2011年6月20日月曜日

トーマス・マンとジーンズ卿の宇宙論

書簡集(新潮社版全集12巻)をめくっていたら、538ページにトーマス・マンは「ジーンズの本は以前夢中になって読んだことがあります。」と書いている。1952年にカリフォルニアからスイスの知人に書いた手紙の一節である。年代から見てこれはJ.ジーンズ卿の宇宙論の通俗本であろう。もちろんトーマス・マンのことだから本気になったら論文まで読んだだろうが。
1929年のリタイア以降ジーンズはいくつかの一般向けの紹介本を書いている。この材料をもとにして「フェーリクス・クルル」の食堂車のなかのK教授のお話を書いたのだろう。当時F.ホイルとともにジーンズも定常宇宙論を支持していたと思うがもちろんこれは「フェーリクス・クルル」にははっきりとは反映されていない。

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