2016年10月26日水曜日

J.J.氏は若い頃の私のアイドルだった


植草甚一読本』(1975年 晶文社) 307ページ
1970年11月14日の日記のなかの記述。(前日(13日)の日記では夜中の二時から「話の特集」の記事の原稿をかいている。)

 「早く目がさめたが、二度めは二時になっていた。図書新聞を何げなく拡げていたら、平岡正明が「雑学」の面白い批評をしてくれていた。三時ころ「話」の来生さんが来る予定。すこし渡すことにする。彼女が来たあとで下北沢まで散歩。八時半に帰ってきて十一時ころから原稿のつづき。…下北沢では白樺で…三冊… コーヒー。…帽子(三八〇〇円)を三〇〇円値切る。...」

 「雑学」とは、『ぼくは散歩と雑学が好き』のこと。来生(きすぎ)さんとは雑誌「話の特集」の編集部で植草先生の担当をしていた来生えつこさんのこと。

 当時大学生だった私は、「散歩」などを読み、植草先生の生き方にあこがれた。学生運動が下火になり、三島が市ヶ谷で自殺し、今後いかに生きるべきか、みな迷っていた。
 植草先生の生き方は、個人として自由でありその自由さが文章にもあらわれていた。年齢も感じさせない。

 その後、企業に就職をしようとしたときに、面接官に「趣味は読書とあるが、さいきんどんな本を読んだ?」と聞かれ、植草甚一先生の『知らない本や本屋を捜したり読んだり』です。と答えたが怪訝な顔をされただけだった。真面目そうな面接官がこの本を知っているはずがない。もし、知っていたら、落とされたかもしれない(^O^)

 植草先生の本はほとんど全部持っている。また読み直そうと思っている。そしてその自由な生活も少し真似したい。原稿の締切がないのでより幸せかも。

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