この本には心にしみる文章が多い。何度も読み返していると、逆にここに書かれたことを無意識になぞって生活しているような気がしてくる。
冒頭のインタビュー記事は、1973年9月25日朝日新聞に掲載された。インタビューアーは森本哲郎さん。最後のキメ台詞が、「本が好きになるコツは本の好きな友達をつくること」だ。
巻末の解説で、佐伯彰一さんが書いている通り、植草さんのは文章だけでなく、題名が秀逸。いつもまねしようと考えているが、うまくいかない。簡単に書いているようで、実はヘミングウェイのように、熟考を重ねて推敲されている。遅筆だったそうだ。月にペラ(200字詰め原稿用紙のこと、このコトバも知らない人が多くなった)400枚は書かないと生きていけないとおっしゃって、徹夜(して朝寝)を続けておられたようだが、最後の心筋梗塞はこの影響ではなかったのか。
そんな仕事の合間に「三日間だけ神保町のそばのホテルに泊りたい」と夢想したと、「本の話だとすぐ古本屋歩きのことになる」の最初に書いてある。私もこれをやってみるのが夢となった。いつになったらできるだろう。「夢」はできるだけ口にだすのが実現の早道だそうだから、ここにも書いておく。生活費を削って、貯金をして実現させてみたい。山の上ホテルが理想だが、他でもいい。
索引カードを作った。中身の文章の性格上、引用されている本の名前と書店の名前もここに追加しておきたい。たくさんあるので、これはすこしずつやっていく。
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『ぼくの読書法(植草甚一スクラップ・ブック6)』の索引カード
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ぼくの読書法(植草甚一スクラップ・ブック6)
著 植草甚一
税込価格823 円
読書のたのしみ
(『僧正殺人事件』)
1 洋書捜しと古本屋
わが道はすべて古本屋に通ず
(丸善支店 武内 南洋堂 三省堂 彰文堂 『遠いロンドンから』 ヒル店 『隠された頭』 大倉 一誠堂 『大いなる絶縁』 『文学と道徳』 松村 原 南海堂 島崎 書泉 進省堂 『鯨の内部』 『ヨギとコミサール』 長島 崇文荘 『人質』 巌松堂 『プラーター・ヴァイオレット』 『パリの陥落』 東書房 「ラドリオ(喫茶店)」)
本の話だとすぐ古本屋歩きのことになる
本はどのように買うか
本はどのように読むか
ぼくの原体験は英語を覚えたことだ
「衰亡記」などの初版を買った思い出
パラピン紙のことから「フリーク・アウト」的なものへ
アメリカ雑誌について書いたこと
ペンギン・ブックス三十五年の歩み
ベストセラー談義
2 おかしな本、おかしな人々
コレットとモナ・リザとエリア・カザンの話
おかしな世界には、おかしな人物がいつでも登場する
行動派のサリートレンチと幻想派のメアリー・ブキャナンの話
外部と内部との接触
翻訳や書き下しのこんな本を読んだ
3 本から世界を見ると
クーデターがやりたければ誰にだってできるというので読んでみた
本や雑誌の記事から見ると
4 文学に何が起ったか
ゴシック・ロマンの世界
ヨーロッパの文学を斜めに読んでみよう
「幸福の追求」という小説には惚れてしまった
文学世界になにが起ったか
解説 書物愛のダンディズム 佐伯彰一
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ALL REVIEWSのオシゴト記録。OCR一件。
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