2020年6月14日日曜日

『自省録』(岩波文庫)、50年前に傍線を引いた部分を読み直す

最近の版の表紙は美しい


『自省録』(岩波文庫 神谷美恵子訳)が昨日出てきたので、眺めている。約50年前の自分が、どこに感銘を受けたのか、傍線を引いたところを調べてみた。

7頁。
「……公立学校にかよわず……自宅で良い教師についた……このようなことにこそ大いに金を使うべきである……」 
8頁。
「人の眼をみはらせるようなポーズをとらぬこと。……注意深くものを読み、ざっと全体を概観するだけで満足せぬこと。」 
12頁。
「いつ緊張し、いつ緊張を弛めるべきかを経験によって知ること。」 
23頁。
「自分自身の魂のうごきを注意深く見守っていない人は必ず不幸になる。」 
32頁。
「君は船に乗った。航海した。着陸した。上陸したまえ。」 
37頁。
「各人はただ現在、この一瞬間にすぎない現在のみを生きるのだ……」 
42頁。
「君はいつでも好きなときに自分自身の内に引きこもることが出来る……簡潔であって本質的である信条を用意しておくがよい。」 
44頁。
「事物は魂に触れることなく外側に静かに立って居り、わずらわしいのはただ内心の主観からくるものにすぎない……」
この句の欄外に「M.」と書き込んでいるが、これは多分森有正を連想したのだと思う。


49頁。
「エメラルドは賞められなければ質が落ちるか。」 
68頁。
「哲学は君の(内なる)自然の欲するもののみを欲することだ。」 
102頁。
「人間各々の価値は、その人が熱心に追い求める対象の価値に等しい。」

半分近くは読んでいる、飽きっぽい私にしてはよくやったほう。解説もかなり読み込んだあとがある。

傍線を引いたところを読むと、当時の思考の跡がわかるような気がする。そして、訳をつくった神谷美恵子の思考過程と少しだけ類似したところがあると思いたい。

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