2021年1月8日金曜日

トーマス・マンについての勉強は終わりがないし楽しい

『トーマス・マン日記』で、最後の講演旅行のくだりを読む。とやかく言うことなし。昨夜観たドキュメント映画には、ヴァイマルやリューベックでのトーマス・マンが映っていた。

1955年5月。
「新緑と花咲き出る道」を、5月7日、Kとエーリカと3人で最後の講演旅行に出る。シュトゥトガルト、キシンゲン、アイゼナハ、ヴァイマル、ゲティンゲンを経てリューベックへ。

トラーヴェミュンデ、リューベック市庁舎(突然のスピーチがうまくいかなかった)、市立劇場での朗読(「ハンス・ハンゼン」、「綾ぎぬ」、「サーカス」)は大成功。市庁舎食堂での晩餐会。マリーア教会、カタリーネウム(ギムナジウム)(グラウトウやヴィルリ・ティムペへの想い出)、寝台車でチューリヒへ。5月25日朝、キルヒベルクへ戻る。5月26日朝、嚥下困難。


5月29日。
『ペンツォルト』メセージを書き始める。

5月31日。
『ペンツォルト』書き進め
る。

どこまでも執筆をやめないマン。そして80歳の誕生日の6月がやってくる。


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「近代日本文学のねじれ--三島由紀夫、辻邦生、村上春樹におけるトーマス・マン」(小黒 康正 文学研究 102, 19-48, 2005-03)を読むと、三島、辻、村上がそれぞれどのようにトーマス・マンの作品を通じて欧州文明に対応したかが、わかる。日本に取り込もうとした三島、逆に自分を欧州文明に同化させようとして辻、インターナショナルに取り扱った村上。村上春樹の『ノルウェイの森 上』の主人公は149ページで、『魔の山』を読みふけっている。そして、『ノルウェイの森』全体は、『魔の山』に照応していると言う。



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トーマス・マンのテキスト・データベースというすごい代物があるというのをトーマス・マンに関する他の論文を見ているうちに発見した。九州大学にいた樋口忠治の作成したもの。(全集の文章をすべてキーボードで入力したという。驚嘆。)まだ、使い方がよくわからないし、多分わかっても今の所猫に小判だろう。学術的には素晴らしいものだ。http://www.flc.kyushu-u.ac.jp/~hgmc/


しかし、Internet Archiveで適当な本(*)を探して、本文検索をするほうが、素人には面白そうだ。

(*)たとえば、『The Hesse-Mann letters : the correspondence of Hermann Hesse and Thomas Mann, 1910-1955』

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