2022年4月3日日曜日

メルマガ週刊ALL REVIEWSの今週号巻頭言は私が「PASSAGE by ALL REVIEWS」のことを書いた

 今週号のメルマガ週刊ALL REVIEWSの巻頭言は私が書いた。内容は以下の通り。

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3月1日に東京神田の神保町すずらん通りに開店したPASSAGE by ALL REVIEWSのことは、ご存知の方も多いと思います。私は、その一棚を借りて日記文学専門の「店舗」を開設しました。自分の本棚のなかから、前から好きだった日記のたぐいを持ち出して一棚の「店舗」に並べて、それが売れると楽しいだろう。昔から本屋をやってみたかったから。などと単純に考えていました。

ひとつの棚だけとは言え「店舗」を構えお客様に本を売るという行為は、実際には非常に意味深く刺激的なことなのだと、3週間たった今やっと気づきました。自分の設定したテーマ(私の場合「日記文学」)に沿った商品(本)の良さを顧客に上手に説明できないとその商品は手にとってもらえません。そこで日記文学はなぜ良いのかという、「店のキャッチフレーズ」を考えて書棚に表示し、各商品には、自分なりの「推しの文章」を手書きで書いてラベルにして貼ることにしました。

キャッチフレーズは「日記を読むと人生がわかり、日記を書くと人生がかわる!」としました。人生の先輩達の日記を読むことでその方たちの生き方が理解できて自分の参考になり、自分でもそれらに触発されながら日記を書くと現状を打破するような新しい人生の道がひらけると思ったからです。後半は過去5年間ブログ日記を書いてみた私の率直な感想です。ブログ記事を書くことを通じて、ALL REVIEWSとも関わりができPASSAGEの一棚店主にもなれたのです。

商品としての本の一冊一冊につける「推しの文章」は、過去それらの本を読んだ感想をブログに書いていたので、その中から適切な文章を選ぶことであまり苦労することなく書くことができました。例えば堀江敏幸さんの『河岸忘日抄』については、「〈たゆたえど沈まず〉のパリに滞在する理想形は、セーヌ河岸に繋留された船に住むこと。ゆるやかな暮らしを描いた日記的小説。読むのが楽しくなります。」としました。

本を買っていただいた方から、これらの文章に関する感想をいただくこともあり、嬉しいと同時にとても参考になります。同じ一棚店主仲間との語らいと合わせて、PASSAGEという「場」で、多角的な読書会をやっているような気持ちになります。そして、書棚の本の追加や補充をするために、神保町の古本屋さんの店を巡っていると、積極的読書の奥深い楽しみがより深く感じられます。

今日はPASSAGEのお隣の「虔十書林(けんじゅうしょりん)」さんで、武田百合子の『犬が星見た ロシア旅行』を購入してきました。『富士日記』で有名な武田百合子の旅行日記です。即物的なのに流麗な筆は『富士日記』以上に見事です。もう一度よく読んだ上で書棚に入れて売りに出します。

PASSAGE by ALL REVIEWSという店名が何を意味しているかを考える鍵は、鹿島茂さんの『パリのパサージュ-過ぎ去った夢の痕跡』という本の中にあります。途中経過を略して、私なりの意味づけだけを書いてみます。

PASSAGEに集う我々皆は、誰にも邪魔されずに、自分の好きな本を売り・買い・批評しあうことを、楽しみながら自由にできます。これは簡単なようで実はとても難しいのですが、それを保証するのは誰でもない、われわれPASSAGE by ALL REVIEWSに集う人たち全員の読書への愛であり、読書の自由を追求する毎日の努力なのです。

(hiro)




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