今日はすでにVol.157が出ているのですが、先週分のメルマガ巻頭言は私が書きました。以下、自分の備忘のためも兼ねて、再録しておきます。
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(週刊ALL REVIEWS Vol.156 (2022/5/30から2022/6/5)の巻頭言)
5月24日発行のメルマガ週刊ALL REVIEWS154号の巻頭言で取り上げられた柳下毅一郎さんの書評に感動してその対象本、『ゼロヴィル』(白水社)を近所の公立図書館で借りて読んだ。映画フリークの活躍する物語なのだが、その著者スティーヴ・エリクソンに魅せられ、ALL REVIEWSを検索して『ルビコン・ビーチ』(筑摩書房)の書評(牧眞司さんによる)を見つけた。この本は、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉に棚主として出店しておられる「とみきち屋」さんで発見し、すぐ購入した。
さらに『ルビコン・ビーチ』の書評の中で引用されている『アムニジアスコープ』も、2005年刊の柴田元幸氏の名訳で読めると知り、これを〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉内の柴田元幸さんご本人の書棚で発見し、「怪著である」という訳者コメントに臆しながらも、即決で購入した。柴田元幸さんのサイン入りの本だった。『ルビコン・ビーチ』より先に米国現代の神話的小説と言われる『アムニジアスコープ』を読みおえた。早速『ルビコン・ビーチ』に取り掛かる。気ままな読書三昧にひたれるのも、ALL REVIEWSとPASSAGEのおかげである。
〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の店のお手伝いに通っているのだが、その休憩時間に近所の小宮山書店のガレージセールに行き、池澤夏樹さんの『海図と航海日誌』の古本を手に入れた。その中の一節に「自分の本棚と世間一般の本棚の区別をせず、古書店や図書館や知人の棚まで含めて、本を巡る環境の全体を一つの図書館だと思えばいい」とあるのに気づいた。これは至言であると思う。仮想的な巨大図書館のなかに私は取り込まれている、と考えるのはとても楽しい。
当初、PASSAGEで自分の書棚を借りるとき、自分の書棚に余裕を持たせるためにすでに読んだ本を売れば良いと単純に考えていた。しかし実際に売るための本を選ぶのは非常に苦痛であると気づいた。良い本であればあるほどもっと手元に置いておきたくなる。しかしお金を払って買っていただくには良い本を出品したい。
この悩みを解決するのが、仮想的な巨大図書館に売り手も買い手も同等に平等に存在し本をやり取りするという考え方だ。そこに些少の金のやり取りはあるのだが、それは手数料と思えば良い。良い本は流通のための手数料のあるなしやその多寡を超越した知的存在なのである。売り手も買い手も、貸し手も借り手も「自由」に良い本を流通させれば良い。
仮想巨大図書館の一翼を担う力を発揮するのが〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉であり、そこで司書の役割を果たすのが書評サイトALL REVIEWSなのだ。(hiro)
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