2022年6月23日木曜日

堀辰雄を読みはじめたのは中学生のころかもしれません

 昨日届いた『堀辰雄全集』の第四巻559頁に「芥川龍之介論」が収録されています。解題によると昭和4年3月に提出された卒業論文です。冒頭に、「批評する事は他人の作品を通じて自分自身を表現する事であります。……芥川龍之介を論ずるのはそのやうに僕にとって困難であります。」とあるように、近しかった、しかも、亡くなって間もない恩師を批評するのは大変だつたでしょう。でもこれを書くことにより、芥川のように生き急ぐのでなく、じっくりと少数のテーマを追い求めることにした掘辰雄の生活が定まったことはよろこぶべきことだったかも知れません。

ところで私はいつごろから芥川や掘の作品を読んでいたのか、二人の師弟関係に気付いたのはいつからか考えてみました。すぐには思い出せず、若い頃どの本でこの二人を読んだのかを調べてみました。

芥川龍之介の春陽堂版全集は昔から持っていて、奥付を調べると1966年発行です。高校生のときに自分で買った記憶があります。


堀辰雄については1954年発行の『現代日本文学全集. 第43 (梶井基次郎,三好達治,堀辰雄集)』筑摩書房を読んでいたのですが、これは父親が全集を買ってくれてあって、応接間に並んでいたのを覚えています、大学入学直後に自宅が火災に遭い、焼けてしまいました。今持っているのはその後日吉の古本屋で買ったもので、1973年発行です。1954年版はいま、国会図書館デジタルコレクションの個人送信でよめるようになりました。



この「堀辰雄集」の末尾の年譜を読むと、芥川と掘の師弟関係が書いてあり、作品の「聖家族」を読む堀から見た心理まで書いてあるので、そんなものかと思った次第です。

大学時代から就職し、結婚する頃までは、どうも堀辰雄の生き方を真似していた気もします。

今回『堀辰雄全集』を入手でき、楽しめるようになったのは、これらの素地のおかげです。

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