2017年11月5日日曜日
「ピアニストは指先で考える」らしい、料理人は舌で考えるよね
「ピアニストは指先で考える」(青柳いづみこさん 2007年 中央公論新社)を昨日から読んでいる。青柳さんのホームページはここ。そしてこの方はたくさん本を書いていらっしゃる。私の図書館にも今借りているもの以外にかなりあるので、別の本も読んでみるつもり。
身近な人の引越し手伝いで疲労気味なので、今日は午後寝転がって読み続けた。技術的なところは理解できないが、ピアニストの逸話などが散りばめられており、そこは読みやすい。
99ページ。すぐれた即興演奏家ショパンは自分の曲を演奏するときインスピレーションでいろいろ違うふうに弾いたが、その「霊感」を楽譜に定着できるかというとそうではなかったらしい。
#これは講師をやった経験からもわかる(おこがましいが)。うまくいった講義はなかなか再現できない。講師としての能力がないせいだが、そうでもない要素もあるような気がしていた。また、教育を商売としたいと目論む人からは、詳細な講師ガイド(マニュアル)を書けと言われたが、難しくてなかなかできなかった。また、有能な先輩講師の「講師ガイド」を読むと、骨子のみだったので、詳しいことを質問したら、「そこは自分で考えろ、それが講師の役割だ」と突き放された。
104ページ。リストは、ピアノの表現を追求してより良いパフォーマンスを目指した。ショパンはおなじく表現を追求して自分の意志を伝えることに努めた。
109ページ。ラヴェルは技師の家に生まれ、機械好き。ドビュッシーは自然が大好き。ラヴェルは体が硬い。ドビュッシーは猫のように柔らかい。彼らの演奏のみならず作品にもこれらが影響している。
175ページ。ポリーニの驚異的な記憶力。たいていの曲は一度弾けば覚える。
176ページ。もっとすごいのはギーゼキング。楽譜を見ただけで音符だけでなく演奏の仕方までアタマにいれる。
177ページ。リヒテルは作曲家への敬意から、後年は楽譜を前にして演奏した。これの利点はレパートリーが広がること。難点は譜めくりさんが必要になること。
#今ならiPADアプリで譜めくりさん不要となるらしい。リヒテルなら使ったかもしれない。
といった具合でまことに面白い。
何ページか忘れたが、青柳さんは公演前の明け方に頭のなかで演奏の「おさらい」をするそうで、これが効果的と書いておられる。これも研修講師と似ている。ピアニストと講師の共通点を整理してみるという宿題を思いついた。
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今週から家族が3名から2名に減った。寂しいが、よいこともある。
例えば、料理作りが途端に楽になった。なぜなら、料理レシピは2名用が多い。小型の扱いやすい鍋やフライパンが使える。スーパーのパック入り食材はほぼ2名用になっているなどなど。たいていの料理は一挙に2人前作れるので、一人だけ(自分)後回しで作って食べるという悲しい事態が避けられる。
他の家事も労力が3分の2になる。年寄りにはありがたいことだ。
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