2018年12月27日木曜日
「忘却の整理学」…目の付け所に感服
「忘却の整理学」(外山滋比古 2009年 筑摩書房)を読み始めた。一般的には好ましくないとされている「忘却」を積極的な事象として、評価しようとするのは面白い。ちょっと意表をつかれた。さすが外山先生だ。
「忘れ」なければ、新しい知識が頭に入らない。人間には「忘却」するという高度な能力がある。幼年期のことを書くとだれでも名作がかける…と言われるのも記憶のいくばくかを忘却し、残った記憶と新しい知識がむすびついて、美しい形に構成し直されるためだ、という。
短編小説は最初から最後まで細部を思い起こせるので、全体を「絵画」として把握できる。読者に鮮明な印象を与えることが出来る。一方、長編小説は、読み進むと最初の方を忘れていく。読者の中には、ぼんやりとしたイメージが残っている。その上で現在読んでいる部分が前景に浮かび上がる。以前読んだ部分と現在読んでいる部分が同時に読者の意識に働きかける、音楽的な印象を与える。
古典絵画と、現代音楽…。記述された文章と夢の記憶…。
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面白すぎる話だが、科学的根拠が欠けているので、公平な評価は出来ないだろう。しかし、文学的な評価は高いと考える。
後半も楽しみ。明日以降読み続けたい。
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校正関連で、新しい急ぎの仕事が入ってきた。珍しく、文字起こしの仕事。自分のスケジュールとの兼ね合いで、明日中に文庫本1ページ半を文字起こしする必要がある。窓拭きを、明日予定していたが、午後に回そう。
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そういえば、「忘却の整理学」をなぜ選んで借りてきたかを、忘れている。深層心理では覚えているかも知れない^^;
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