2019年9月25日水曜日

吉田健一の『本当のような話』、話は本当でないだろうが、社会批評は本当だ

また、朝6時起きして『本当のような話』を180頁まで読みすすめる。話の筋はたわいがない。そしてもちろん、筋を追って読むような古風な小説ではない。
83頁。「今の東京は明治以後に一切の計画を抜きにして出来上った町で折角の関東の大震災や今度の戦争中の空襲も区劃整理と町の根本的な改造に役立てられず、…」と手厳しい。

吉田健一のこの訴えを真面目にとらず、東京という町をおざなりに発展させてしまった我々は、東北の大震災とそれに伴う原発事故をも教訓と出来ずに、チャンスだった社会の改造にも失敗している。人間として基本的な問いかけ、どのような理想を目指して生きていくのかを考えることを、ないがしろにするわれわれの性格には絶望をすら覚える。

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装幀の勉強を始めるために、新たに平野甲賀さんの本を二冊予約。『天才たちの日課』で知った、バルテュスの評伝も予約した。これは装幀とはあまり関係ない(だろう)。


そして、恩地孝四郎さんの著書(挿画も)も読むべきだと知り、国会図書館デジタルコレクションでいくつか眺める。これなども、面白そうだ。

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