2019年11月20日水曜日

「週刊ALL REVIEWS」にここまで書かせていただいた巻頭言をまとめてみた

「週刊ALL REVIEWS」に巻頭言を時々書いているが、いままでの分をまとめてみた。改めて、読み直すと、未熟なことがよくわかる。一方、これから何をどう書くかの参考になる。
(実際には、ALL REVIEWSの書評記事への埋め込みリンクもあるが、ここでは省略した。)

(メールマガジンの冒頭部分)



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週刊ALL REVIEWS Vol.22 (2019/11/4-2019/11/10)

通常、「月刊ALL REVIEWS」は友の会会員なら、YouTubeビデオで視聴できるし、その気になれば豪華な書斎兼用のノエマ・イマージュ・スタジオ(西麻布)などでの収録を観覧できる。11月9日に、高遠弘美・鹿島茂両先生の対談「『失われた時を求めて』を読む」を観覧させていただいた。直接両先生の貴重なお話を聞けるまたとない機会だった。

当日収録したビデオは、今回特別に一般にも開放されている。ご覧になることを強くオススメする。 (この文章の下にビデオへのリンクがある。)
(注:リンクはこれ
https://www.youtube.com/watch?v=VbWiJOTfnRs


光文社古典新訳文庫版で『失われた時を求めて』の完訳を目指しておられる、高遠弘美先生のお話はすべて、「完読」を目指す私の胸に突き刺さってきた。私としては、現在第6巻まで出ている、この本との貴重な出会いを大切にしながら、楽しみながら今後も読み続けたいと強く思った。

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一方、収容所の中という極限の状況で、手元に本がないままに、記憶のみで『失われた時を求めて』の連続講義を行ったという話が、書籍化されている。『収容所のプルースト』(著者:ジョゼフ・チャプスキ 翻訳:岩津 航)だが、この本について、高遠弘美先生の書評が二つ、ALL REVIEWSに収録されている。リンクはこの二つ。

https://allreviews.jp/review/2104
https://allreviews.jp/review/2045

どちらの書評も素晴らしい。これらの書評を読むと、『収容所のプルースト』を読みたくなる。それだけでなく、『失われた時を求めて』をも猛烈に読みたくなることは間違いない。実践した私が保証する。

実際にどう読むかについては鹿島茂先生の『「失われた時を求めて」の完読を求めて』を参考にするのが良い。(hiro)




週刊ALL REVIEWS Vol.21 (2019/10/28-2019/11/3)

濫読家hiroこと私の今朝の様子です。
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起床する前に、Twitterのタイムラインをチェックし、読書に関する情報を得るのが日課。今朝見つけたのは、青空文庫で新規リリースされた文章で島村抱月の「今の写生文」。そこに『セルボーンの博物學』という手紙形態の自然誌の本が紹介されている。著者は単に「ホワイト」とある。
読みたくなった。明治40年頃の文章なので、国会図書館デジタルライブラリーに相談してみる。寝床なので「帝國圖書館」という手軽な検索・読書アプリを使った。「セルボーンの博物學」で検索したがヒットしない。「博物誌」でもだめ。一般公開していないのだろう。念の為、「ホワイト」で検索したら100冊以上の本が検索できた。目的の本はなかったが、網にかかった本たちはどれも面白そうだ。ホイットマンの『自選日記』、とか『世界飛行機構造図解』とか…ホイットマンのは「ホワイトハウス」が、飛行機の本は「グラハム・ホワイト複葉機」が書誌に含まれているのでヒットしたらしい。
かくて、まったく関係ないが面白そうな別の本の読書にいそしむことになる。あいまいな語「ホワイト」でなく、正確な「ギルバート・ホワイト」で検索していたら、この寄り道は楽しめない。
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起きたあと、Amazonさんで調べたら、『セルボーンの博物誌』はいろいろな翻訳本が今でも出ている。近所の図書館で調べたらそのうちの一冊があったので借用することにした。そしてInternet Archiveで調べたら、『The essential Gilbert White of Selborne』という本の中に、『セルボーンの博物學』らしきものを発見。島村抱月は、きっと原書で読んだのだろう。(hiro)




週刊ALL REVIEWS Vol.17 (2019/9/30-2019/10/6)

私事になるが、『失われた時を求めて』を本格的に読み始めて約一年になる。もちろん翻訳で。何回か挫折しているが、今回は高遠弘美先生の訳で、光文社古典新訳文庫のKindle版を5巻まで入手して読んだ。
今回、挫折せずにマドレーヌどころかずっと先まで読めたのは高遠先生の流麗な訳文と、読者に親切な巻頭・巻末解説と、脚注のおかげだ。脚注はKindle版の特徴で、本文との行き来が楽で、読みやすい。実は、途中で感想をつぶやいたら、高遠先生からゆっくり読むようにと助言をいただくというハプニングもあった。6巻以降の翻訳もゆっくりと、でも首を大いに長くして待っている。
集英社版の鈴木道彦抄訳『失われた時を求めて』の書評が今週の新着でALL REVIEWSに掲載された。それには、
「むしろ不惑の年齢を過ぎ、《失われた時》が多くなった中年以上の人間にこそふさわしい書物であろう。それはきっとプチット・マドレーヌのように《失われた時》を喚起する役割を果たすにちがいない。」
とあって、かなり感動した。
人生の良い伴侶のような読書経験をナビゲートしてくれるのも、書評の役割だろう。
なお、今週末10月12日の月刊ALL REVIEWSは高遠・鹿島両先生の対談。もちろん話題は新刊の『「失われた時を求めて」の完読を求めて 「スワン家の方へ」精読』。これも首を長くして待っている。(hiro)




週刊ALL REVIEWS Vol.14 (2019/9/9-2019/9/15)

『植草さんについて知っていることを話そう』(高平哲郎 2005年 晶文社)を読んだ。「お弟子」の高平さんがいろいろな人に取材して書いたもの。
担当編集者だった来生えつこさんが述べている日常生活の植草さんが可笑しい。原稿を受け取りに行くと股引(ももひき)をはいたまま応対する。原稿は書き上がった分、2、3枚だけを彼女に渡して残りをまた書き始める。複写機などもちろんないので渡した原稿は読み返せない、だから続きは「話は変わるが…」で書きはじめる。
平野甲賀さんは、植草さん宅でご馳走になった昼飯がコロッケ一個だったことがあると回想する。大皿にぽつんと乗っていて、すべり止めに刻んだキャベツが少々。
片岡義男さんが述べておられるように、植草さんの未発表の手書きの原稿(出版社の倉庫に大量にあるそうだ…まだ残っているのかやや心配…)を写真版で出版する件は、夢のような良い話だが、ぜひぜひ実現してほしい。できるならお手伝いをしたいくらいだ。声かけてください。
植草さんのことを書いた本には、『植草甚一の勉強』(本の雑誌社)もあり、ALL REVIEWSでその書評を読める。(hiro)


週刊ALL REVIEWS Vol.7 (2019/7/22-2019/7/28)

最近出版されたばかりの『三体』を読んで、長らく忘れていたSFへの情熱がまた燃え上がった。

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ALL REVIEWS 友の会限定YouTube番組「月刊ALL REVIEWS」で、2月のビデオ収録終了後に、ゲストの牧眞司さんと雑談をさせていただき、最近のおすすめSF作家を伺った。回答は、テッド・チャン、ケン・リュウ、そして、超ベストセラー『三体』の著者、劉慈欣など。

『三体』の日本語訳が出るのを心待ちにしていたが、7月になって、訳者のお一人である大森望さんのサイン本を八重洲ブックセンターで入手できた。帰りの電車で100ページを読み、翌日には全部読み終えて、なるほどこれは素晴らしいと思った。壮大なスケールの話だし、奔放なストーリーの設定においては過去の多くのSF名作への敬意にあふれている。訳文も読みやすい。

今回の『三体』日本語版は、原作のほぼ25%のみで、来年以降、続きの日本語版が出版される。ああ、『三体』ロス。渇きを癒すため、ケン・リュウやテッド・チャンの作品を読み漁りはじめた。こうして、いままで途絶えていたSF読書熱が完全にぶり返した。

『三体』の解説(大森望さんによる)は、以下から参照できる。『三体』ロスが怖くなければ、本を購入するのがもちろんおすすめだ。(hiro)




週刊ALL REVIEWS Vol.6 (2019/7/15-2019/7/21)

いま旅行中の「シャーロキアン」が、今回この文章を書く予定でしたが、日程変更のため執筆時間がとれず、私(hiro)が急きょ代理をつとめます。よろしく。
個人的なALL REVIEWSとの関わりと楽しみ方を紹介します。

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ごく平凡な読書好き老人の私が、ALL REVIEWSに出会ったのは、2017年。鹿島茂さん @_kashimashigeruのツイートを読んで、ALL REVIEWSの存在を知り書評を読みはじめた。自ら求めて書評を読むのは初めてだった。有名書評家の書いた書評記事がたくさんある。存在すら知らなかった本を発見して、手に入れて読むのがこよなく楽しい。

2018年夏に、やはり鹿島茂さん @_kashimashigeruのツイートで、書評記事の校正を手伝う「サポートスタッフ」の募集を知り、大胆にも応募。たぶんなにかの間違いで採用された。ともかくいまも老骨に鞭打って頑張っている、いや楽しんでいる。サポートスタッフって、実際何をやるのか…は別の機会に。

2019年初め。ALL REVIEWS友の会が発足。早速会員になる。多くの読書好きの人たちと知り合って好きな本の話をすることは最高に楽しい。サラリーマンおよび隠居人生には味わえなかった楽しさだ。
そして、多くの書評家・作家の方々の話をビデオでも直接にでも聞くことが出来る。これは嬉しい。

読書とは受動的な娯楽と考えられていそうだが、私はそれ以上のものと考え始めている。
本の感想などの情報を、積極的に発信すると、それが数倍数十倍になって戻ってくる。
以前から読書記録ブログ(「りんかん老人読書日記」)は書いていた。これだけでも十分楽しい。が、友の会やサポートスタッフの仲間とオンライン・オフラインで読書についてあれこれ話し合ったり、イベントを企画して一緒に実行したりすると、至福の極みということになる。なんだか寿命も延びそうだ。(hiro)




vol2(2019/06/25配信)

「古稀の素人読者目線ながら、読書の喜びをぜひ伝えたいです。ALL REVIEWS友の会会員・同サポートスタッフでもあります。」と創刊号で自己紹介したhiroです。5週間に1回登場します。それでは…

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私のような素人読書老人にとって、ALL REVIEWSの書評ってどういう意味があるのだろうか。と、考えてみる梅雨の朝。

きのう、偶然入った下北沢の有名本屋さんで以前から欲しかった本を手に取った後に、そのまわりの本棚の本もたくさん読みたくなって驚いた。

ALL REVIEWSの書評はよりどりみどり。有名書評家さんの数千の書評がおさめられており、自分の気に入りそうな本を、リアル本屋内感覚で楽しく選べる。本屋さんには多くのあたらしい本が並んでいる。その中に突然飛び込むと、どれを選んでいいのか大いに迷う。老眼のせいもある。ALL REVIEWSを読んで選んでおいた本は有力な「水先案内本」となる。

昨日入手した本は『戦地の図書館』。数週間前に読んだ書評記事はこちら、『戦地の図書館――海を越えた一億四千万冊』、本を「読むこと」の意味を深く考えさせる一冊だろうと思う。雨降りなので、今日はこの本をじっくり読んでやろう。(hiro)

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