5月2日の月刊ALL REVIEWSの課題本、『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』を読み終えた。ただし、途中駆け足で眼を通しただけの部分もある。
ほぼ、100年前、公称よりかなり多い、50万人が亡くなったと著者速水融は書いている。当時は日本の人口は5500万人なので、現在で言えば、120万人が亡くなったということになる。とてつもない話だが、意外にこの大惨事に関する本は少ない。この本は珍しい本である。
他に東洋文庫で『流行性感冒』という当時の内務省衛生課の出した本があるくらい。著者は当時の新聞記事や数少ない記録をもとに、きちんとデータをもとにして、この事件の記述をしている。
スペイン風邪と呼ばれているが、最初は米国の兵営で大量感染がみつかった。当時の技術ではウイルスは、小さすぎてみつからない。まさに見えない敵と世界中が戦った。あるいは、戦えずになすがままにまかせた。
第一次世界大戦があったせいもあるが、原因がわからず死者が増えるだけで自然におさまるのを待つだけだったというトラウマが、この事件を忘れ去らせる主因だったのではないか。
当時も政府はうがいやマスク装着、人混みをさけるなどの対策しか打ち出せなかった。現在のコロナ騒ぎにおいてもまったく進歩していない。
「科学的」に対処していくべきであるが、そのためにもこのようなしっかりした本は大切である。コロナ禍に関しても将来このような本がでるだろうか。少し疑問が…。外国では出るだろう。
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月刊ALL REVIEWSのゲストは磯田道史さん。この本の著者の弟子である。面白いお話が伺えそうだ。
https://allreviews.jp/news/4396
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