2020年5月24日日曜日

ヴァージニア・ウルフの日記は拾い読みすると面白い

昨年月刊ALL REVIEWS対談でお話を伺ったことがある、高橋源一郎さん。最近よくラジオに出演されている。NHKラジオ金曜日夜9時の「飛ぶ教室」という番組。前半は高橋源一郎さんの読書案内、後半はゲストを読んでの読書に絡んだお話。

直前の金曜日に、紹介されたのがヴァージニア・ウルフの『自分自身の部屋』。どこかの大学での講演をもとにしたエッセイだが、女性が差別を乗り越えて文筆業のような職業につく難しさと、みんなの努力でその自由を勝ち取ろうという感動的な趣旨の話だ。一世紀前の話なのに。それを紹介する高橋源一郎さんの話にも熱が入る。

もちろん、『自分自身の部屋』を読みたくなったが、図書館は閉じているので、Internet Archiveで捜して、拾い読み。そして、借り出してかなり経つ『ある作家の日記 (A Writer’s Diary) 』(みすず書房 神谷美恵子訳)もまた読みだした。訳者あとがきも読む。1976年にこの訳書は出ているが、訳している時期に夫のレナードを神谷美恵子は訪ねている。もちろん、その時にはヴァージニアはこの世にはいない。彼女が身を投げてなくなった川の岸にたつ家にひとり暮らしていた。この訪問の模様を神谷美恵子の別の本で読んだ。(『遍歴』だったか?)神谷美恵子としては、初対面のレナードとは、かならずしも満足の行く会話はかわせなかった。

『ある作家の日記』の126頁以降を読むと、ウルフ夫妻が、トマス・ハーディーを訪ねる話が書いてある。ハーディー夫妻の奇妙な(とウルフは思ったのだろう)会話と、ウルフとハーディーの噛み合わない会話。これをウルフの視線でいきいきと捉えている。読んでいると不思議な臨場感がある。残された大量の日記から、この本のために抜粋をしたレナードはここを読んでどんな思いだったろうか。多分、自分の記憶に残った印象との微妙な違いに気づいたのではないか。

抜粋版でない『日記』はInternet Archiveで読めるが、一から読む気力はない。しかし、今後ウルフの小説を読みながら、それを書いているウルフの内面を知りたい時に、参照しようと思う。とりあえずは、『自分自身の部屋』を読んでからそれを書いたあるいは講演をしたときの『日記』を読もうと思う。



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外猫Amも、ステイホームらしい。




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