2020年8月29日土曜日

毎日書かないといけないようです

『荷風と東京 『断腸亭日常』私註』(都市出版)。ALL REVIEWSの書評(評者は出口先生)でこの本を知り、読みたくなって図書館で借りてみた。

読み始めると止まらなくなる面白さ。11章の「鷗外への景仰」を先に眺めていたら、磯田光一の『永井荷風』や、山崎正和の『鷗外・闘う家長』も読みたくなる。芋づる式に本が読みたくなるいわゆる「危険」な本。

あらためて、まえがきから、読み進める。

13頁。
荷風が日乗(日記)を書く方法が紹介されている。まず手帖に鉛筆でメモ書き。次に、大型ノートに万年筆で文章として書く。推敲もする。最後に、筆で和紙に書く。最後のはきちんと製本して保存する。これを42年間ほぼ毎日続けた。うーむ。真似したいが無理。

46頁。
家庭を持つと老い込む。孫を可愛がる「おじいちゃん」はゴメンだ。独身主義の荷風の持論。

47頁。
独身なら自由に街歩きできる。池波正太郎はやらない無目的の街歩き。

51頁。
単身者のユートピア。40代で隠居生活。

54頁。
単身者でないと毎日日記は書けないと荷風。


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『頼山陽とその時代』、「山陽の学藝」は山陽への接近作業の頂点だ、と中村真一郎は書く。(531頁)

この章のまえがき。「儒学は元来死の哲学ではない」ので山陽も死は気に留めない。

534頁。
京の古注学者、猪飼敬所も、江戸の朱子学者・陽明学者、佐藤一斎も山陽は「無学」だと公言していた。本人は学統には無関心。そんなのは時代遅れだと思っていたフシがある。

535頁。
幽閉中に暇つぶしに毎日書いた物がその後、『日本外史』になった。著述と言うより編纂物に近い。(537頁)

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とにかく、毎日書くのが好きな人が多いようだ。

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