朝読書で吉田健一の『瓦礫の中』を読み終える。
最後はそっけなく終了。ベートーベン的にこれでもかと畳み掛けるのでなく、バッハやハイドンのようにさっさと終わる。このほうが余韻をを楽しめるので、好みである。高踏的すぎるという批判はありそうだが気にしない。
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次のように、最近のブログで書いた。
『吉田健一ふたたび』を拾い読み。
156頁。
長篇(大長編ではなく200頁前後)小説の系譜がまとめられている。1970年(万博の年 #この皮肉) 『瓦礫の中』
1971年 『絵空ごと』
1972年 『本当のような話』
1973年 『金沢』
1973年 『東京の昔』
1974年 『埋れ木』全部すでに読んだが、また一から読み直そうと、今回『瓦礫の中』を借りてきた。あとは全部書棚にある。なお、『埋れ木』のあとは『時間』という随筆か論考とでも言うべきものを1976年に書いて、翌年吉田健一はなくなる。
157頁で、樫原辰郎さんはこれらの作品執筆は吉田健一の「終活」だという。
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このリストに従って読破するプロジェクトをやはり実施することにして、2番めの『絵空ごと』に取り掛かった。1976年に再販された本だ。
すると、人より遅れて会社員になって2年目に買って初めて読んだことになる。若かったがこの物語も同様に若かった、そして1970年代の時代の文脈に乗っていたので読めたのだろう。渋谷の鶯谷町の安アパートの一室で、誰の邪魔もない状態で思う存分本を読めた日々が懐かしい。
後で再刊された単行本の裏表紙のカバー 紹介文を苦労して書いたらしい |
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