昨日日曜日。PASSAGE by ALL REVIEWSへの往復の電車内で樋口直美さんの『「できる」と「できない」の間の人』(晶文社)を読みおえてしまった。少し疲れていた帰りの電車でも集中して読めたのは、この本の内容の素晴らしさと、簡潔でしかも味わい深い文体のせいだろう。
著者の言う〈誤作動する脳〉をもたらす病気そのものではないが、私も〈老い〉による認知力の衰えを実感し始めている。著者はそのような私にも「救い」の手を差し伸べてくれるような気がした。これはいままでの常識では考えられないことだ。できないことが増えてきたら、それは「我慢」して切りぬけ、できることをささやかに少しずつ行いながらひそやかに生きる、というのがいままでの常識だったような気がする。
著者はそうではなく、自分の衰えをオープンにし、自分の好きなことを積極的にやるというスタンスをとるように勧める。
最後の方の一節を書き抜いてみる。
「人と社会とつながること。本人の望む仕事やボランティア、趣味など、役割や生きがいを持ち続けること。それが、その人の脳にも心身にも周囲との関係にも、最も大切だと実感する。」
これが、衰えを感じながらも「健康」に生きていくためのヒントだし、もしかすると若くて「健康そのもの」の人にすら、当てはまるのではないかと考えたりもする。人の心身の健康状態には波があり、どんなに若くて健康でも不調なときはある。そんなときをなんとか乗り越えるためのヒントになりうるのではないか。
この本に出会えたことに感謝したい。
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取り急ぎの読書直後の感想文だが、もう少し考えてこの文章を膨らませてみたい。
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