昨夕、注文しておいた中古本が割と素早く(3日目で)届いた。定価1800円の本が、中古とは言え1円。送料が257円としても安い。『會津八一書論集』(1967年初版 二玄社)。今裏表紙の裏を見たら最初の購入者らしい方のメモが書いてある。「1976年4月3日に成美堂で購入」、このような書き込みがあると中古価格が安くなるので、普通は嫌われるが、このような控えめなものだと、かえって奥ゆかしく、好ましい。メモを挟んだりしている人もおり、興味も湧く。私はよく購入時のレシートを捨てずに挟んだままにしておく。栞にもなる。今回も一円の領収書を挟んでおいた。本文に赤線も引いた。
『會津八一書論集』だが、夕食後少し読んでから寝ようと思ったら、引き込まれて三分の一近く読んでしまった。
真面目な書道の先生なら卒倒しそうなことが書いてある。たとえば。
まず、子供の頃の書道の先生には、字が下手だと怒られてばかりいた。(後年、また字を見てもらったが、お前の字はどこがいいのかわからぬと言われた。)
自分でも下手だと認識したので、上手な字ではなく他の人が読んでわかるような字を書くことだけ心がけた。手本は明朝体の活字。「はねる」などの技巧は無用のものと考えた。
一般の書家が尊ぶような宋朝などの辛気臭い字は好まない。王羲之などの、世の中でもてはやされる字体は百害あって一利なし。山岡鉄舟や勝海舟のよく読めない字も無用。西郷隆盛も女々しい字を書いていたと思う。
良いと思うのは「泰山刻石」のようなフラットな字。
しかし、法帖などは(王羲之などを含め)随分集めた。戦災で全部焼いてしまったが。
會津八一先生のような達人の意見として面白く読んだ。でも私のような凡人は、やはり手本を見て格好良い字を真似してみたくなる。
で、怒られそうだが、會津八一先生の字を真似てみた。
なかなか似た字は書けない。雰囲気はこんなもの。ヘタウマ。
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