星新一の『祖父・小金井良精の記』かなり読み進めた。
定年退官したあとも、好きな研究(人類学)のために、発掘した人骨を自ら洗う生活を続ける。夜は遅くまで論文を読み、自分も書く。根っからの研究好き。土日もあまり休まない。ただし、夜ふかしはしない。
貧乏で、地味な研究者なのだが、名声は高い。他の有名人との交遊も多い。坪井正五郎(地球物理学者坪井忠二の父親)、ベルツなど。そしてもちろん、義理の兄森鷗外、たとえば、大正11年奈良に旅行し、国立博物館長だった鷗外と邂逅。アインシュタイン。
交遊ではないが、原敬首相が暗殺されたとき解剖に立ち会い、その自宅の質素なのにおどろく。
女婿、星一に息子ができ(大正15年9月5日)、可愛がる。二番目の孫だが同居していたこともあり、猫可愛がり。これが星新一。名付け親だ。星一は研究者ではないが、事業一筋の生き方に共感していたようだ。
星一の参考書はいくつか、国会図書館デジタルコレクションで読める。『百魔』、『星とフォード』など。
同じ星新一の『明治・父・アメリカ』は読んだが、『人民は弱し 官吏は強し』も読まなくてはいけない。
70歳で、御前講義。「本邦先住民族の研究」で、日本人の先祖にはアイノ(彼はそう記述していた)であったと述べる。若き天皇は興味深く聴いていたという。熊楠を連想させる。
昭和4年には八戸の是川遺跡の発掘調査にも行っている。
小金井良精の孫柿内信子は坂田昌一と結婚し京都住まい。もちろん、京都にも旅行する。後継者とみなしていたが、先に病んだ足立文太郎(人類学者『日本人の動脈系(ドイツ語)』)を見舞う。ちなみに足立の娘は、井上靖と結婚。
決して体が丈夫ではないが、小金井良精は節制しながら研究を続け、87歳まで長生きした。
*
ここまで読んで、わかったのは、節制しつつ好きな事(例えば研究)をこつこつ続ければ、長生きするだろうということ。
***
ところで、本日午後、初孫が産まれた。男子3032グラム。先週は医師の見立て違いがあり、かなり心配したが、無事に誕生し、母子ともに健康のようだ。ありがたい。小金井良精におとらず猫可愛がりしそうだ。ひ孫ができるくらいまで長生きしたい。節制する。
0 件のコメント:
コメントを投稿