2022年1月19日水曜日

『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』と『誤作動する脳』は必読の名著

昨夜の週刊ALL REVIEWS巻頭言は私が書いた。文章をそのまま紹介する。

樋口直美さんの著書『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』と『誤作動する脳』を2冊とも、一気読みした。1冊目は、1962年生まれの著者の実体験の日記(2012年から2014年)であり、2冊目は、病に対応するためのノウハウが詰まった本だ。この両者はその文章が素晴らしく読み物としてみても一級品と思う。もちろん、私の知らなかった「レビー小体型認知症」に関する、患者側からの貴重な知見が得られる貴重な本だ。認知症患者というわけではない72歳の私にも、この後の人生をより良く生きるための手がかりが得られるという、稀有な読書体験を与えてくれた。

個人的には老化現象と、種々の「認知症」の症状は、程度の軽重はあるが、どちらも脳の不調が原因だと考えている。それらへの対処方法は似ており、どちらも単に恐れているだけではダメで、積極的に立ち向かわなくてはならないと思っている。

『私の脳で起こったこと』で、著者の樋口直美さんがリアルな日記として記述していることは、病気の「克服」にいたる過程とそのためのキーワード(「書くこと」と「発信すること」)である。「克服」とは病気の完治ではなく、病気を知り、病気をなだめながら共存し、積極的に生き、同病の人に救いの手を差し伸べることすなわち「発信」だ、『誤作動する脳』では、その「克服」のためのノウハウがわかりやすく具体的に書かれている。

これらの本で読んだことには、私の今後の生き方に対するヒントが含まれていると思い、Twitterでそのことを「発信」してみた。驚くべきことに樋口直美さんから、丁寧な応答ツイートをいただいた。私の考え方もまったく見当外れというわけではなさそうだ。

いわゆる「健康余命」は日本人男性の平均値では、私の場合あと10年と言われている。そのあとにほぼ10年の平均余命が残されているらしい。2つを合わせた20年全部を、私は「健康余命」としたいと思う。このために予想される老化現象のことを知り、上手な対処方法を考え、老化現象と共存する覚悟を決めた。今日から「楽しく」動き始め、「発信」もはじめる。

そのための基本的な手段は広範な「読書」と「書くこと」と「発信すること」と思っている。

上記2冊に関する、ALL REVIEWSの記事のリンクをご紹介しておく。

https://allreviews.jp/isbn/4893088432

https://allreviews.jp/review/4750

(hiro)

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以上だが、昨夜から体調が悪く、今日は一日寝床で過ごしたので、自分は体調の悪さにどう対処しているのかを考え始めた。5年ほど前の入院生活では、病院にPCを持ち込んで治療の様子をできるだけ記録することを心がけた。2017年3月のこれらのブログを見るとその様子を思い出す。

https://hfukuchi.blogspot.com/2017/03/blog-post_6.html

今回は短い間だったが、スマートフォンで青空文庫にアクセスし、正岡子規の『病床苦語』や、夏目漱石の『点頭録』を眺めて、気の滅入る病気の克服のヒントを得ることにした。漱石の記述はきわめて哲学的だが、子規のは実際的でとても参考になる。絵を書くなど新しい趣味を始める。そして旺盛な創作欲があった。子規は苦痛の中でも周囲へのおもいやりは忘れない。もちろん、看護をしていた母親や妹を怒鳴りつけることが多かったのだが、彼女らが気晴らしに出かけることをこころから喜んでいる。どこかに心の余裕が残されているのだ。句作が良い影響を与えているのかも知れない。

漱石


子規

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