2020年2月4日火曜日
マコーマックは無類の本好きだが『雲』の主人公はそうでもない
先日の対談の課題本、『雲』には、「本」に関する話題が満載されている。
著者はかなりの本好きと見た。それはわれわれ本好きの興味を引きつける。
たとえば、プロローグの『黒曜石雲』という題名の古本。主人公が出張先のメキシコの町ラベルダで、突然の雨を避けようと飛び込んだ古本屋で偶然に見つける。この本の中にメグ・ミラーなる人物が登場するが、このメグ・ミラーは主人公が知っている名前だった。
若いころの主人公が、忘れられない人から手渡される『アップランドの話』という古本の著者なのだ。
古本以外にも、図書館の話題が出てくる。亡くなった父親が愛用していた故郷トールゲートの図書館。初恋の人と出会ったグラスゴーの大学の図書館。
図書室もいくつか出てくる。二度目の航海中に本を借りだした船員用図書室。ここの書棚で全然読まれていない本たちの題名は著者マコーマックの実際の本のパロディーだ。カナダのポンプ会社の社長の自宅の豪華な図書室。お金持ちの図書室はたいてい、晩餐後男たちがタバコと酒をやるときに使われるが、ここもそうだ。立派な古典の全集類があるがほとんど読まれていない。
主人公はかなりの俗人で、本を漫然と読むのは好きだが、マニアではない。ただし、後に彼の息子はミニチュア本の超マニアとなり、その趣味が嵩じて古い高価なミニチュア本も置く骨董店を始めたりする。
物語の点景としてこれらのガジェットはかなり重要な役割を果たす。マコーマックのガジェット好きは、対談のなかでも話題となった。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿