2020年5月31日日曜日

ジュリエット・アシュトンのように、「ひたすら純粋な喜びのためだけに」読む



『ガーンジー島の読書会 上』を読み返しながら、アニー・バロウズがこの本の紹介と朗読をするビデオ(昨日観始めたもの)を最後まで観た。
ガーンジー島へメアリー・アンが行くときのエピソードは昨日のブログに書いたものを改訂した。ストーリー・テリングを重視する著者たちの趣味に合わせた(つもり)。
https://hfukuchi.blogspot.com/2020/05/blog-post_30.html

そして、ジュリエット・アシュトンの手紙の中の次の一節に大いに共感。
私が読書を愛するのは、それがあるからです。本の中で、ある小さなことが読み手の心を捉えると、その興味がべつの本へと読者を導き、第二の本の中の小さなことが、またべつの第三の本へと誘う。幾何学模様のように広がっていくのです――行き着く先はなく、ひたすら純粋な喜びのためだけに。
(上巻17頁 木村博江さん訳)

71頁以降に出てくる、「ガーンジー読書とポテトピールパイの会」でとりあげられた本。渋い本ばかりだ。ガーンジー島のフォックス書店で売れ残っていたものだから……
というより、自分の不勉強が恥ずかしい。

『嵐が丘』
『ピクウィック・ペーパーズ』
『シェイクスピア選集』
『オックスフォード現代詩選集、1892-1935』
『セネカ書簡集/ラテン語翻訳版一巻本・補遺つき』
『過去と現在』(カーライル)

『ピクウィック・ペーパーズ』に関しては読む前に、ビデオを観よう。
https://youtu.be/-GLWl6JLA6Q

ほかはこれから。

2020年5月30日土曜日

『ガーンジー島の読書会』の周辺を調べると面白いのでこの本自体の仮想読書会をやってみている

『ガーンジー島の読書会』(イースト・プレス)の下巻が手に入るまで、主たる著者のメアリー・アン・シェイファーのことや本の背景を勉強することにした。

The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society: A Novel (English Edition) Kindle版


昨夜購入したKindle本のあとがきを著者の一人アニー・バロウズ、メアリー・アンの姪、が書いている。そこに書いてあるエピソード、この本を書く前にメアリー・アンは北極探検のスコットの妻に興味を持ってその伝記を書こうと試みた。1980年にイギリスに行きスコットの妻の残した資料の箱をやっと借り出し、期待しながら中の書類を調べたら、洗濯屋の伝票や八百屋の買い物メモみたいなものばかり、まともな文章はなにもないということで落胆し、伝記は諦めた。気分を変えるため、なぜかガーンジー島に飛んだが、あいにく濃霧でまったく何も見えずのままで、引き返した。空港にしか居場所がなく、空港の売店でガーンジー島の本を何冊もを購入したのが、この島に興味を持つきっかけとなった。
この話は、アニー・バロウズがYouTubeでも語っている。
このビデオ。
https://youtu.be/5Wk7FvwFAQE?t=332

ちなみに、メアリー・アンもアニーもその家族ぐるみでストーリー・テリング好きで、その一端がこのビデオであり、『ガーンジー島の読書会』という本そのものに表れている。

あとがきをもっと読むと、『読書会』で、登場人物が取り上げる本はメアリー・アンが好きで読んだ本そのものらしい。そこで、取り上げられた本のリストを作って、それを調べるのがよさそうだ。これからの楽しい宿題。

まずは、登場人物ドージーが読んだまたは読もうとした、チャールズ・ラムの『エリア随筆』、『書簡集』など。参考書としてはE. V. ルーカスの『伝記』など。これらは、Internet Archiveで探せるので、読むことができる。ドージーが読んだと想定したのはどの版かと推測するのも楽しみだ(ろう)。



ガーンジー島は目立たないので、なにか天啓または偶然に近いことがないと訪れようとは、大抵の人は思わない。
神谷美恵子も偶然訪れた、メアリー・アンより半世紀前に。
そのときには独軍占領という悲劇は考えられなかった。



『エリア随筆』には豚を食べる話が出てくるが、それと読書会の名称と貴重な豚をたべる件との、関連はあるのかしら。ヒントは14頁。

2020年5月29日金曜日

「極限状態での読書会」について情報を集め始める

意識の流れが「ガーンジー島」や「極限状態での読書会」に行っている。「すごい読書会」というエッセイ・テーマを考えついた。情報をあつめたい。

https://allreviews.jp/search/?q=%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E4%BC%9A

『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』を借りてみることにした。

https://allreviews.jp/review/1672
https://allreviews.jp/review/968

近所の図書館はまだ、完全閉館。だが、本館のほうは予約貸し出しが開始されたようなので、こちたでももうじき貸し出し開始となり、読めるだろう。昨日読んだ『ガーンジー島の読書会』の下巻も予約した。

The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society: A Novel (English Edition) はKindleで250円なので、購入しておいたほうがいい。



そして、映画化された『ガーンジー島の読書会の秘密』はAmazonプライム・ビデオで399円でレンタルできる。



Netflixにもあるのだが、再入会すると、他の、特にビデオシリーズを観てしまって、また目を悪くするのが怖い。下巻を読んだらAmazonで観よう。

***

昼前にトイレの工事は終了。思ったより簡単で短時間で済んだ。工事に来た面白いおじさんと仲良くなり、帰りに飲み物のボトルを進呈したら、リモコン取付費用をまけてくれた。駐車場への車の誘導や、品物の運搬時の扉の開閉・エレベーターの呼び出しなどもやってあげたので、トントンかも。自営でやっているらしく、今回は量販店の工事下請けだが、エアコンでも何でも直接連絡をくれればやってあげるとのこと。頼もしい。

トイレの漏水の心配がなくなり、スッキリしたので、お祝いとして、今夜はトンカツをおごった。

2020年5月28日木曜日

やはりガーンジー島に行きたい

https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025008145-00

『ガーンジー島の読書会 上』(イースト・プレス)を2時間半で一気に読み終えた。神谷美恵子が昔、イギリス経由でパリに行こうとして、間違った連絡船に乗ってしまい、この島に行ってしまった。そして、ユゴーが『レ・ミゼラブル』を書いたのもこのガーンジー島。そこからは平和なイメージが伝わってきたのだが、この書簡体の小説からはそのイメージを破る、第2次世界大戦中の悲惨な歴史が見えてくる。
https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%BC%E5%B3%B6

そこは、下巻を読んでから考えるとして、題名になった島民の「読書会」が素晴らしい。ドイツ統治下の暗い苦しい時期に、通常は本など読んだことのない人々が催す読書会。各自が自分の読んだことのある、大抵は一冊程度しか読んでないにもかかわらず、書物の感想を他のメンバーに話す。最初はいやいやながら参加していたメンバーも、次第に読みそしてそれを話すことで人間性をとりもどしていく。極限状態のなかでの読書が人間にどのような影響を及ぼすのかという点で、『収容所のプルースト』に通じるところもある。

神谷美恵子の『本、そして私』で、ガーンジー島を知ったのだが、『本、そして私』の主題も、本との関わりで人生を切り開いていくところにある。

この本は映画化もされているらしい。観たい。そして著者のメアリー・アン・シェィファーの人となりも知りたくなった。読書会メンバーの読んでいる本や著者たちにも興味が湧く。たとえば『エリア随筆』。ラム姉弟などなど。

久しぶりに、一気読みできた本だった。図書館から借りていたのだが、コロナ禍のために2ヶ月近く借りっぱなしだった。もうじき図書館は機能を回復しそうなので、すぐに下巻を借りたい。

***

運転免許更新の最終期限が迫っている。来週高齢者講習を自動車学校に受けに行き、その直後に更新という予定だが、昨日やっと免許更新の業務が開始されたらしい。自動車学校からはなにも通知がないので、予定どおりとしても、免許更新は大人数が集まって怖いので、更新の延期を郵送で申し出ることにした。仕事を抱えていると、これらのことは煩わしいだろうが、隠居の身としてはあまり問題ではない。そう思おうとしている節もある。

半年近く悩まされていた、トイレの漏水問題も、解決の見込みがたった。今日、工事の下見をしてもらって、明日温水洗浄便座の交換。10万円給付金のおかげだ。

2020年5月27日水曜日

『自分ひとりの部屋』は最初、ウルフに『女性と小説』と呼ばれていた



『ある作家の日記』をなおも、拾い読み。『自分ひとりの部屋』に関する記述を探してみた。

1928年1月17日。ニューナム女子大生たちにむけた「女流文学」に関する講義について……
考え始めているようだ。

1928年2月18日。ニューナム女子大で講義することになっている「女性と小説」……
講義テーマが微妙に変化しているのがわかる。

1928年8月12日。今晩は急いでジェーン・オースティンをむさぼり読み、明日何かを面白く語らなければならない……
次の日が講義の日だったのか。

1928年10月27日。ありがたいことに、女の人たちへの講義についての長い苦役は今終った。雨のざあざあ降る中をガートンへ行って講演をして帰ってきたところ。飢えているけれど勇気ある若い女性たち……
連続講義だったのか?

1929年3月まで、この講演をもとに『女性と小説』のちに『自分ひとりの部屋』という本に書き直したらしい。途中病気もした。この頃、『オーランドー』も書いていたはず。題名変更とのかかわりはあるのか?

1929年3月28日。『女性と小説』の決定版を書いたのだ。

相変わらず遅筆だ。

***

Jが午前10時に退院。迎えに行き、帰りはタクシーをおごる。配車料金を含めて1100円。近い距離なので、運転手さんに1000円をお礼として差し上げる。夜はテークアウトながら寿司を食べてお祝いした。

2020年5月26日火曜日

自分だけの部屋で『ある作家の日記』(みすず書房)を読むのは楽しい

この写真、書斎のヴァージニア・ウルフと思います


今日もヴァージニア・ウルフの『ある作家の日記』を拾い読みしながら、ウルフの学習を続ける。

1922年8月28日の日記。ギリシャ語を勉強しながら、『ダロウェイ夫人』を書き続けている。筆は必ずしも順調に進んでいないようだ。

1923年8月17日。書き溜めたエッセイを、架空の人物の会話に埋没させて、不足を補い、まとめて本にするという案が湧いたと嬉しそうに書いている。これは実現したのかしら。ウルフの「意識の流れ」の書き方には、これに類する点がありそうだ。

1924年9月7日。『ダロウェイ夫人』がいよいよ書き終わりそうだと書いている。ところが、10月になってやっと、最後のページを書いたとのこと。素晴らしく遅筆だ。

昨日のブログで引用したビデオ。

https://youtu.be/jYySvYKGong?t=22

このなかに、書斎で執筆中のヴァージニア・ウルフが登場する。机に向かい、ソファに腰掛け、椅子に行儀悪く(つまりヴィクトリア風でなく)座り、万年筆や鉛筆や執筆用の板も使って、いろいろな姿勢で書き進めている。片隅にはタイプライターも置いてある。
この様子を見ると、ヘミングウェイを思わせるが、どうもウルフも腰が悪かったような気がする。恐れ多いが、ちょっと身近に感じてしまう。



今日の発見。

松岡正剛さんの『ダロウェイ夫人』のページ(面白い)。
https://1000ya.isis.ne.jp/1710.html

日本ヴァージニア・ウルフ協会のページ。
http://www.vwoolfsociety.jp/review/index.html
ここから『ヴァージニア・ウルフ研究』の電子コンテンツの閲覧方法という頁に行くとたくさんの論文や資料が(J-Stage)経由で見ることが出来る。
http://www.vwoolfsociety.jp/review/digital_contents.html

J-Stageには個人資格で登録してしまった。無料。


***

Jの白内障手術は無事に終わったとのこと。明日は退院。また忙しくなる。
ところで、Jはこの病院への入院は二度目。前回もそう言っていたが、看護師さんたちがすごく親切で明るくて優しいとのこと。私も機会があればここに入院したい。食事も美味そうだった。東林間駅近くの病院。

2020年5月25日月曜日

「世界は美しさで溢れている」と思えるような隠遁生活にしていきたい

『ある作家の日記』をもっと面白く拾い読みするために、ウルフの人となりをもっと知りたくなり、Youtubeでビデオをいくつか見る。『ダロウェイ夫人』の一部と書斎のウルフを描いたノンフィクションとドラマの融合したようなビデオが面白かった。そして最初と最後のシーン、海岸の夜明けと日没の映像が美しい。英語も字幕を出しながらだとよく分かる。
https://youtu.be/jYySvYKGong?t=22

作家の日常の描写では、いつもタイプライターやペンや鉛筆、机や膝の上での筆記用の板などが気になる。このビデオではどれもしっかり描写されていて、そこも気に入った。板に関して言えばトーマス・マンと同じようにして書いていたが、当時では当たり前だったのか?

神谷美恵子はウルフの病歴と創作の関係について調べたかったようだが、ウルフの「書くこと」に対する信仰に近い傾倒ぶりに、最初に惹かれたのではないだろうか。

こうなってくると、ウルフの著作を集めたくなってくる。
ここを参考に自前の収集や図書館の蔵書検討を考えたい。

***

のっぴきならぬ理由で、電車で外出。ここから一駅の総合病院にJを送っていく。明日右目の白内障手術なので今日入院。そして、もう一駅足を伸ばして家電量販店に行き、温水洗浄便座を購入し設置工事も手配してきた。今の便座の水漏れが末期的症状になってきたので。帰りに、駅ビルで崎陽軒の焼売弁当を買ってきた。一人なので食事を作るより経済的。手間もかからない、おかげでウルフのビデオを観る時間がとれた。

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国際宇宙船と日本の貨物運搬船とのドッキングを生中継で見守る。この映像も美しい。



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テレビを観るより、今日観たようなものを観ていたい。世界は驚きに満ち、美しさに溢れている。ウルフもそんなところを書きたかっただろう。

2020年5月24日日曜日

ヴァージニア・ウルフの日記は拾い読みすると面白い

昨年月刊ALL REVIEWS対談でお話を伺ったことがある、高橋源一郎さん。最近よくラジオに出演されている。NHKラジオ金曜日夜9時の「飛ぶ教室」という番組。前半は高橋源一郎さんの読書案内、後半はゲストを読んでの読書に絡んだお話。

直前の金曜日に、紹介されたのがヴァージニア・ウルフの『自分自身の部屋』。どこかの大学での講演をもとにしたエッセイだが、女性が差別を乗り越えて文筆業のような職業につく難しさと、みんなの努力でその自由を勝ち取ろうという感動的な趣旨の話だ。一世紀前の話なのに。それを紹介する高橋源一郎さんの話にも熱が入る。

もちろん、『自分自身の部屋』を読みたくなったが、図書館は閉じているので、Internet Archiveで捜して、拾い読み。そして、借り出してかなり経つ『ある作家の日記 (A Writer’s Diary) 』(みすず書房 神谷美恵子訳)もまた読みだした。訳者あとがきも読む。1976年にこの訳書は出ているが、訳している時期に夫のレナードを神谷美恵子は訪ねている。もちろん、その時にはヴァージニアはこの世にはいない。彼女が身を投げてなくなった川の岸にたつ家にひとり暮らしていた。この訪問の模様を神谷美恵子の別の本で読んだ。(『遍歴』だったか?)神谷美恵子としては、初対面のレナードとは、かならずしも満足の行く会話はかわせなかった。

『ある作家の日記』の126頁以降を読むと、ウルフ夫妻が、トマス・ハーディーを訪ねる話が書いてある。ハーディー夫妻の奇妙な(とウルフは思ったのだろう)会話と、ウルフとハーディーの噛み合わない会話。これをウルフの視線でいきいきと捉えている。読んでいると不思議な臨場感がある。残された大量の日記から、この本のために抜粋をしたレナードはここを読んでどんな思いだったろうか。多分、自分の記憶に残った印象との微妙な違いに気づいたのではないか。

抜粋版でない『日記』はInternet Archiveで読めるが、一から読む気力はない。しかし、今後ウルフの小説を読みながら、それを書いているウルフの内面を知りたい時に、参照しようと思う。とりあえずは、『自分自身の部屋』を読んでからそれを書いたあるいは講演をしたときの『日記』を読もうと思う。



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外猫Amも、ステイホームらしい。




2020年5月23日土曜日

友の会例会(オンライン)に参加



5月23日夜、ALL REVIEWS友の会の定例会に参加しました。通常の定例会と違い、Zoomを使ったオンライン定例会です。20時開始、22時終了ただし2次会(というのか)終了は23時30分。参加18名。参加者は、鹿島茂さん、柳瀬博一さん(日経BP→東工大)、ひらりささん。そして友の会の方々。オンラインではあるがいつもどおりに、いやオンライン効果でいつも以上に和気あいあいと、読書とその周りのことを話し合える会合でした。

書籍に関して印象に残ったこと。まず冒頭、会員からの質問「パンデミック時代にオススメの本は?」、に答えて、鹿島さんが『疫病と世界史 上下』(中公文庫)を紹介してくれたこと。これは読まねば……
鹿島さんの近刊(再刊)の『職業別パリ風俗』(白水Uブックス)の紹介ももちろんありました。当時のパリでのいろいろな職業の珍しい内情を知ることが出来る本だそうです。本の「前書き」が今週のALL REVIEWS新着記事になっていますね。
たとえば『ゴリオ爺さん』のゴリオは年金生活者だったが、自分の虎の子の年金証書を抵当にいれて金を借りて娘を援助したりするが、そんなことが出来る事自体が私には理解不能だったのです。『職業別パリ風俗』を読むとこんな疑問がたちどころに氷解しそうです。

これらの本を知ったことにより、e-honの「My書店」機能を使って購入し書店を支援するチャンス到来です。FABL向けに書いた記事が自分自身のために役に立つことになりました。もうじきこの記事も読んでいただけそうです。

2020年5月22日金曜日

『猫を棄てる』(村上春樹 文藝春秋)や、『独楽園』(薄田泣菫)の境地にはたどりつけてない

『猫を棄てる 父親について語るとき』(文藝春秋)読了。



「猫を棄てる」と書名にあって、村上春樹さんが猫を棄てるのかそんな筈はない、いやイワシは棄てたっけかなどと思っていたが、読んでみると猫は戻ってきたので安心した。猫の話は話の糸口に過ぎず、本題は村上春樹さんの父上の回想だった。

自分もそうだが、母親はともかく父親を真面目に語る息子はなかなかいない。恥ずかしいからでもなく、詳しく知らないからでもなく、父親と息子の間の妙なわだかまりがある。

71歳の今、(村上さんもそうだ)父親のことを書けるかというと、まだ難しい。村上春樹さんの勇気(?)に感心した。義父のことは以前ブログで書いたのだが。

80歳になったらまた考えよう。

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ALL REVIEWSの書評ピックアップで、高遠先生の書かれた『独楽園』(薄田泣菫)の記事を読んだ。気になったので、『独楽園』を捜して読んでみた。青空文庫と国会図書館デジタル・コレクションで。パーキンソン病で苦しみながらも、孤独の中で自宅の庭の小さな自然の美しさを見つけて、自らを慰める薄田泣菫の様子に心打たれる。コロナ禍のなかで読むにはピッタリだが、薄田泣菫の境地には、まだ手が届かない。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1213008

2020年5月21日木曜日

『ファウンデーションと地球」読了、ネタバレ有りの感想です



『ファウンデーションと地球』を読み終えた。これは『ファウンデーション』シリーズ全7作中の第五作だが、ストーリー上はここで終了となる。

358頁。アルファ・ケンタウリの惑星に住むヒロコに主人公トレヴァイズは惹かれる。しかしこの惑星の民族は様子がおかしい。出発前にトレヴァイズはヒロコからのウィルスに感染していることを知らされる。宇宙に出ればウィルスは活動しないとのことだが。ここは何の気なしに読み飛ばしたが、あとで考えると、アシモフの死の原因のHIV感染を本人が示唆しているのではないかと思わせる。裏はまだとっていないが……(このあと調べたら、1983年の心臓バイパス手術での輸血が原因。この本の出版は、1986年。)

432頁。地球上には放射能があり、着陸できない。地球探索の旅は終了かと思わせたが、月に生体反応があり、そちらの地下の港に着陸する。ここで、ダニール・オリヴォーと出会う。彼は地球文明を保存していたが、その陽電子回路脳の寿命が尽きようとしている。しかし、主人公たちの連れてきた全人の子どもが意外な役割を果たすことに成り、地球文明の消滅は避けられる。

451頁。今の所、人類は「銀河系」における唯一の知性生物だが、銀河系の外にはマジェラン星雲そしてその先にアンドロメダ大星雲がある。そしてその先にも広大な宇宙が……先はどうなるかわからないし、人類そのものの行末もわからない。

最後はアシモフはキャンベルと設定した制約条件を超えるアイディアを垣間見せる。もっと長生きしてそちらも書いて欲しかった。

あとがきに紹介されたシマックの作品も読みたくなった。

***

昨日e-honに注文した『猫を棄てる 父親について語るとき』が、もう今日の午後配達された。伝票を見ると、きちんと八戸の伊吉書院の売上になったようだ。



そして、この本の造本と挿絵の良さに感激した。


2020年5月20日水曜日

e−honの「My書店」機能を使って遠い故郷の書店から本(『猫を棄てる』)を購入



e-honというサイトが有る。昨年から本の購入で使い始めた。
e-honのページから、その説明を引用すると、

e-honは、e-honサービスにご加盟いただいた全国の書店からお客様にMy書店をお選びいただき、そのMy書店を通じて商品のお受け取りと代金のお支払いをしていただくサービスです。
宅配のみでのご利用も可能ですが、その場合も、ご注文情報の管理上の必要から、My書店のご登録をお願いしております。ご登録後のMy書店変更も可能です。
My書店では、ご注文商品のお受け取りの他、書店ごとに独自のサービスを実施している場合があります。詳しくは、それぞれの書店ページにてご確認ください。

普通の本の通販サイト(たとえばAmazon)と同じだと思って、使っていたのだが、今回のコロナ禍のため、登録していた「My書店」が休業。しかたなく使用を控えていたが、今日新しい本(村上春樹さんの『猫を棄てる』)を注文したくなり、注文するには「My書店」を変更せざるを得なくなった。

しばらく、「My書店」のページの使い方を、ググってみていたら、登録変更は何度でも出来る。これは当たり前だが、以下のことがわかった。
(1)書店での受け取りだけでなく、書店からの配達サービスや、直接宅配での受け取りができる。
(2)どの方法で購入しても、登録した書店にマージンが支払われる。
これは目からウロコだった。多分コロナ禍のもとで苦しい経営を強いられている書店を少しだが支援できる。もちろん、書店に出向いて、注文すれば書店のマージンはもっと多くなるのだろう。

外出自粛のなか、徒歩圏内の書店は、残念ながら登録できなかった。そこで、昔(私の言う昔なので50年くらい前)、お世話になった郷里八戸の老舗、伊吉書院さんを「My書店」に登録してみた。もちろん、受け取りに行けないので、直接宅配を選択した。ほんのちょっぴりだが、ご恩返し。

今、メールの受信トレイを開いてみたら、半日しか経っていないにもかかわらず、発送の通知が届いていた\(^o^)/
宅配の料金は、コロナ禍の現在、無料である。ありがたい。

2020年5月19日火曜日

アシモフ先生はもちろんブリタニカ以外の事典・辞書を揃えていた

内田百閒の『實説艸平記』(旺文社文庫)にスペイン風邪に罹った話があるという情報を耳にしたので、確かめてみた。漱石全集の編集を森田草平などとやっていたときのことらしい。1918年。

153頁。岩波の仕事場、築地からの帰りに新橋の烏森のガードのそばの眼鏡屋で金縁のメガネを誂えた。森田草平が金縁の方が体裁がよく耳や鼻へのあたりがやわらかいと大いに進めたからだ。その時、眼鏡屋の店主が息苦しそうだったので、さてはと思ったが、案の定翌日から40度の発熱。家族ともども罹患。仕方なく医者の勧めで看護婦を雇い、本人は数日、家族は一ヶ月ちかく寝込む。後に、看護婦の日当1円50銭×一ヶ月の高額の支払いに困って、森田草平に借金を申し込みに行く。残念ながら貸してもらえなかったようだ。

***



『實説艸平記』を本棚から出すときに、アシモフの『I. ASIMOV』が目についたので、百科事典のことが書いてあるかとめくってみた。あった。

94 Reference Library
I have an Encyclopedia Britannica, an Encyclopedia Americana, aMcGraw-Hill Encyclopedia of Science and Technology, a complete Oxford English Dictionary, books of quotations, and so on.

だそうだ。さすがだ。ブリタニカ以外もInternet Archiveで読まねばならない。

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『ファウンデーションと地球』はまだ終わらない。惑星ソラリアで「全人」(両性具有の宇宙人)に捕まりそうになったが、なんとか助かる。また、地球を探しに飛び立つ。278頁。

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FABL(FOR ALL BOOKLOVERS)のサイトのある頁の文章を書くことになった。まだ書いていないが、FABLのトップページに賛同者として名前を掲載していただいた。ありがたい限り。せいぜい努力して文章を書きたい。今日明日と材料を仕入れるて文案を練ることにする。

2020年5月18日月曜日

地球がなかなかみつからない!




『ファウンデーションと地球』、今日も順調に読み進める。

164頁。「ハリ・セルダンは心理歴史学を、気体分子運動論をモデルにして考え出したといわれている。」
アシモフ先生、これはさすがにエンサイクロペディア・ブリタニカじゃなくて、大学で勉強しただろう。

184頁。「午後おそくにちがいないという感じがするが、太陽はたぶん正午まぢかといってもいいほど高いんだなあ」
ブライアン・オールディスを思い出す記述。オマージュかも知れない。裏を取らないとなんとも言えないが。

地球を求めて、変な惑星を渡り歩く。それにつけても、「重力船」の威力はすごい。このアイディアはどこから出てきたのか。

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文字起こし作業の結果は提出した。秋に本になるというが、楽しみである。

***

朝日夕刊に、新たな連載小説の予告が出ていた。なんと、柴田元幸さんの『新訳 ガリバー旅行記』だそうだ。楽しみが一つ増えた。



***

検察庁法改正案が今国会では採決されない見込みとなった。喜ばしいが、秋の臨時国会での再提出がないかどうか注意していく必要がある。

2020年5月17日日曜日

アシモフはエンサイクロペディア・ブリタニカを全項目読んだらしい

『ファウンデーションと地球』をどんどん読み進める。

18頁。図書館では地球の資料が除去されてしまっていた。
19頁。一般相対論でいう場のエネルギー(?)が動力の「重力船」。超自動コンピュータ制御。

ゲイアから惑星コンポレロンヘ向かう。地球の手がかりを求めて

コンポレロンからまた出発。

いま、152頁。どうも太陽系内に来ているようだ。土星のようなガス惑星も見える。

***

アシモフは旅行ぎらい、いやほとんど旅行せず、窓のない書斎にこもって執筆していた。なのに他の星系から来た宇宙船の検疫のことを適確(?)に描いている。これは例によって百科事典の助けを借りたかも知れない。

私の万有百科事典をみたが、実際の検疫はかれの記述どおりの項目を行うようだ。もちろん、アシモフの使っていた、使っていればだが、百科事典はこれとは違うだろう。

アシモフの持っていたのはエンサイクロペディア・ブリタニカ。『アシモフ自伝 I 下』をあたると、1942年5月13日に、父親から買ってもらったもの。

Wikipediaをよむとエンサイクロペディア・ブリタニカの第14版だと思う。小項目主義と大項目主義両方の巻を備えたベストセラーだったようだ。ブリタニカという名前だが、アメリカでもよく売れていたようだ。

自伝によると、22歳のアシモフが親元を離れ、フィラデルフィアの海軍工廠に赴任するまでの数日間で、百科事典の第三巻まで「読んだ」と言う。時間があれば20巻以上のブリタニカを全部読んだに違いない。

『アシモフ自伝 II 上』によると、158頁、1958年に16年目にしてやっと念願の書斎を作って、百科事典を備え付けた。それまでは親に預けていたのだ。

アシモフが、その後も執筆活動に大いに利用したエンサイクロペディア・ブリタニカ14版。これを「読んで」みたいと思って、Internet Archiveに行ってみた。全部ではないかも知れないが、かなりみつかった。

南方熊楠の持っていたエンサイクロペディア・ブリタニカに関するサイトを発見、感謝しつつリンクを書いておく。
https://minakuma.exblog.jp/8434193/


下の写真は、エンサイクロペディア・ブリタニカ14版の第一巻目。「読んで」いると感無量!
Internet Archiveより。


***

ALL REVIEWSの文字起こし仕事は、担当分をすべて一応終了。明日、見直して堤出する。

2020年5月16日土曜日

遥かなる地球に戻る旅



今日からは、『ファウンデーションと地球』(早川書房 ファウンデーションシリーズの第五作)を読み始める。昨日読み終えた第四巻とストーリーが連続しているので、すぐ流れに溶け込める。

ところで、主人公らが地球を捜すために高性能の宇宙船(スターウォーズのミレニアム・ファルコン号みたいな)で出発したのだが、あとにする惑星ゲイアは、ユニークだ。動植物だけでなく、無機物に至るまで、共通の意識を持ち、全体として群体となっている。エコな地球の発展型とも言える。これの原始的な生物はA. C. クラークの『都市と星』に出てくる。『都市と星』には、ロボットめいたものも出てくるし、宇宙に飛び去った仲間が、長い期間を置いて帰ってくるのを待つという設定は、この『ファウンデーション』シリーズの裏返しのストーリーと言える。

***

Shakespeare and Company Project というサイトがあるのを教えてもらった。

ヘミングウェイがパリで通っていた貸本屋で、誰が何の本を借りたかわかってしまう。すばらしいけれど、一般の人の名前やアドレスが出てくるのはいいのだろうか。100年経っているからいいのかも知れない?

***

高橋源一郎さんのコロナ禍に関する新聞記事を読み、放送を聴いた。このコロナ禍の状況を忘れないようにすべきと言う話が心を打つ。




***

ALL REVIEWS関連の以下のサイトがオープン。
FOR ALL BOOKLOVERS」。皆さんぜひアクセスを。



私もなんらかの形で関わっていくつもりです。

2020年5月15日金曜日

本を読み終えるとはどういうことなのか



『ファウンデーションの彼方へ』を読み終えた。

369頁。「これは確か、量子力学のありふれた推論だと思う……」
それだけでなく、並行宇宙説や人間原理の話も飛び出す。舞台は「ゲイア」。ゲイアは地球なのかと思ったが、必ずしもそうではないらしい。

その後、話は急展開。第一ファンデーションと第二ファンデーションとの全面対決になりそうだったが、ゲイア人の干渉により、両者に花をもたせて、危機は一旦去る。ただし、対決はまだ続くだろう。

ゲイアにはロボットの末裔もいるらしい。

地球の謎はまだ解かれていない。それには以前銀河図書館にあったが、行方不明になっている地球関係の資料を探さなくてはならない。

ここでアシモフ先生は「(とりあえず終わり)」とのたまう。次を書く気満々なのだ。そこで、明日は続きの第五巻を読み始めるつもりだ。

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『言葉と歩く日記』も読み続ける。この本は発行が2013年。私が買ったのが2017年。それ以来何度となく読み返しているが、まだ読み終えたと言いたくない。恐るべき本だ。

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文字起こしはあと2日で終了しそうだ。終わるのが惜しくなってきた。

2020年5月14日木曜日

本との三密は楽しいので自粛できない

『ファウンデーションの彼方へ』(ファウンデーション・シリーズの第4作 早川書房 1984年)を読み進める。今日は286頁まで。

ながれに乗っているので、ストーリーを構成する二つのそして互いに呼応する筋と登場人物がイメージできるようになっている。したがって昼寝をしながら切れ切れに読んでも、興味が途絶えない。第一ファンデーション側の宇宙船組は、人類の起源を訪ね、謎の惑星地球を探している。第二ファンデーション側はその動きを察知し、精神支配の主導権を失わないように、地球探索の邪魔をしようとする。なぜだかは、よくわからない。

この話の宇宙船もワープするのだが、ワープ航法の記述の歴史を調べておきたくなった。スタートレックやハインラインやキャンベルなど調べる必要ありか。

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『言葉と歩く日記』、相変わらず楽しく読んでいる。今日は、トーマス・マンの文章の流れと、日本語特有とされていた文章の美しさの似て非なる性格について。(195頁)

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他に心に残ったのは『新編 学問の曲がり角』(河野与一 岩波文庫 原二郎編)の88頁。「作らず・書かず・ただ読む人」。これは、著者河野与一のことだが、自分にも当てはまる気がした。



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ALL REVIEWS対談の書き起こしは7日目。あと、3日で終わりそうだが、その遅さに自分でも呆れている。でも楽しいから無問題。

2020年5月13日水曜日

旅を書くことも、書くことの中で旅することも、素晴らしい

『言葉と歩く日記』を、今日も拾い読みする。どうして、こう共感するのだろうと思いながら。

107頁。2月29日に沼野充義さんと本郷で対談の予定が、寝過ごして少し遅刻なさった。

過去のでき事が、無声映画のように言葉無しで記憶されているということがあるのだろうか。それとも記憶は常に言語を伴うのだろうか。……(遅刻の)夢の中でドアを開ける時、「ドア」という日本語も「Tür」というドイツ語も考えていない気がする。……

多和田さんのような方でも、遅刻の悪夢はご覧になるようだ。ちょっと親近感を覚える。そしてたしかに夢の中ではたまにしか言葉は出てこない。

110頁。

旅はその旅について書き終わるまで完結しない…

これにも深く同意。もっと言うと、旅をしながらこの旅についてどう書こうかといつも考えている。ブログ記事にすることも「書く」ことと言えればだが。

そのような旅をこれから何回出来るのだろうかとも考える。生きている事自体が旅であるとまではまだ達観していない。



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『吾輩は猫である』(角川文庫 1963年)が出てきたので、久しぶりにめくってみた。山本健吉さんの注釈と解説を読む。漱石が古今東西・縦横無尽に行った引用の幅広さに改めて驚く。これをも勉強してみたい。とりあえず、新しい岩波の全集の『猫』の注釈を読みたいが、図書館が閉まっているので今は不可能。なにか手立てを探そう。

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ARの対談書き起こしはやっと半分(16分)終わった。対談している二人の口調の違いも反映させようとすると、難易度が上がる。しかもこれは共同作業なので、どこまで出来るか。

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黄砂が飛来している。午前中の空は晴れているのに黄色みを帯びている。そのせいか、喉がいがらっぽい。

2020年5月12日火曜日

アシモフのような作家には、元気づけてくれるパートナーが不可欠だったろう

さきほど、NHKTVの夜9時のニュースで、多和田葉子さんのインタビューが放送された。このような時代にこそ、フェイクな物語でなく、真正のフィクションが大切とのこと、拳拳服膺したいお言葉だ。

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ALL REVIEWSの文字起こしのオシゴト。今日も一時間弱。前回noteに印象をまとめたときより、内容の理解が深まった気がして嬉しい。時間は相変わらずかかる、これで稼ぐわけにはいかない遅さ。

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昨日アシモフのノンフィクション本を何冊か出してみた。そのなかに『空想天文学入門』(早川書房 1967年)があり、懐かしくてめくってみた。訳者(草下英明)あとがきに、同じアシモフの “The Intelligent Man's Guide to Science” も、評判がいいと書いてある。読んだことがないので、調べてみた。

https://archive.org/details/intelligentmansg00asim/page/n5/mode/2up

当然ながらInternet Archiveには一巻、二巻ともに存在し、借り出すことが出来る。表題のニュアンスが微妙なので、あれ?と思っていたのだが、本の中で、アシモフは Intelligent Man とは自分のことだと、弁解している。アシモフ自身は出版前に違う題名にしたかったが、Basic Books の編集者が、この題名に固執したようだ。その後の版で、 “Asimov's Guide to Science” に題名は変更された。(ここはWikipedia情報)


『アシモフ自伝 II 』(早川書房)によると、上巻212頁に、編集者との1959年5月13日のやり取りが書いてある。1500ドルのアドバンスを提示されても、科学全般を書く自信がなくて、うんと言わなかったアシモフ。216頁を読むと、後の再婚相手のジャネットに勇気づけられ、契約を促されて7月15日に契約書に署名する。

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しっかりものというより、アシモフの才能を信じて疑わないジャネットの姿は、いま、NHKの朝ドラの古山裕二(古関裕而)婦人の音(金子)に似ていなくもない。ソクラテスの妻と対極的?でもソクラテスの妻も結果オーライだったのかもしれない。

ところで、アシモフのような多作の作家の場合、読者にはこんなのが必要になる。でもこれを見ると精神的積読本が一挙に増える\(^o^)/

Isaac Asimov bibliography (chronological)
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今週は、体調が悪くて往生したが、素人診断によると「ギックリ背中」のようだ。背中の大きな筋肉(広背筋)というのがありどうもそこが痛む、インターネットで調べてその位置と形をJに知らせ、メンタムやタイガーバームを塗ってもらって休んだら、かなり楽になった。解剖学の知識も時には必要。

2020年5月11日月曜日

「動物的」な能力は、文字起こしにも推敲にも、必要不可欠

午前中はALL REVIEWS関連の文字起こしの仕事。昨日やった部分を見直して文章の修正。そして新たな部分の文字起こしを進める。今日の部分を見直して、おかしな表現を直すが、完全には出来ない。翌日見直すと、手直しすべき部分が容易に見つかる。このサイクルは何回か繰り返すのが良さそうだ。一回分はビデオの長さで3分、文字起こしは40分ぐらいかかる。修正を含めると一時間弱。

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『言葉と歩く日記』を拾い読みすると、こんな一節が見つかった。49頁、1月23日のところ。

推敲という作業は不思議なもので、同じ箇所を一日のうち何度も読み返して何度も推敲することがなかなかできない。一晩寝かせておいて(この場合、寝るのが原稿なのか自分なのかよく分からないが)翌朝、昨日書いたことは何もかも忘れた頭で読み返してみると、どこを直したらいいのかが明確に見えてくる。
深い眠りが良い推敲の条件である。眠りによって、全体をぱっと動物的にとらえる能力が脳の前面に出てくる。

この「動物的」というところが重要だと思う。そして、歳を取るということはこの能力が弱まることとも言える。口は達者になり理屈はいくらでもこねることが出来るが、獲物を逃さない「動物的」な感覚は消え失せていき、いつかは餓死する(T_T)

「動物的」感覚は、人とのコミュニケーションでも大切なのだろう。講師業で大切なのは聴衆の無言の反応を感じ取る能力と思っているが、これは歳を取ると急速に失われていく。そのかわりに、「お念仏」を流暢に唱えられるようになる。

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アシモフの『ファウンデーション』シリーズの読書は、続いている。本棚から何冊か、若き日(つまり50年前)に愛読した、アシモフの科学読物を出してみた。私にとってはいまでもその魅力は衰えていない。小説よりも、これらの科学読物の方が好きだった。アシモフ自身もこっちを書くほうが好きだったと言っていたような気がする。


2020年5月10日日曜日

『読書の技法』(佐藤優 東洋経済新報社)を読んでみる誕生日



『読書の技法 Kindle版』をkindleunlimitedで読む。残された時間が少ないからこそ、たくさん本を読むべきだという意見に共感した。先人が貴重な長い時間をかけて得た知識を、その本を読むだけの時間で手に入れられるのだという。そのかわり、読む本は精選しないといけない。そして、熟読すべき本は必ず買って、本に線を引いたり、メモを取ったりしながら読むべきだとも。基礎知識のある分野の本は、飛ばし読みができる。そして、読む価値がない本は、思い切って途中でも捨てる。これらの「技法」は参考になるし、自分なりに今までやっていたことが間違っていないという確認にもなった。
佐藤優さんは自宅・仕事場・別荘に六万冊の蔵書スペースがあるそうだ。写真も掲載されている。羨ましい。

そして、自宅でも、仕事場でも仕事中は書斎で寝泊まりしながら連続して何日も読み・書きするそうだ。『福翁自伝』の適塾での生活ぶりを彷彿とさせる。若ければこそ、出来ることだが、その集中ぶりには学ぶところがある。

外務省時代に、新人研修でロシア語を教えたとき、大学で下手に第二外国語として履修して変な癖がついた新人のほうが、まっさらな何も知らない新人より教えにくいと書いてあり、苦笑した。癖を取るために時間がかかるそうだ。

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他には、文字起こしを40分ほど。そしてこれらの間、口直しに『言葉と歩く日記』(岩波新書)を何度も拾い読みする。どこを読んでも楽しい。

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今日は71歳の誕生日。真善美を追求する隠遁者への道をこれからも歩いていきたい。


2020年5月9日土曜日

『ファウンデーションの彼方へ』『言葉と歩く日記』、題名もうまくつながる

『ファウンデーションの彼方へ』を読みすすめる。



120頁。一緒に旅している学者ペロラット。「わたしは銀河系のあらゆる惑星から集められる限りの資料を集めてきた。……分析し、組織しそれらの内容のさまざまの側面を表す記号を定め……これらのすべての神話から共通要素を探り、真にあり得ないものを除去する変換法を探し出すようなコンピューターのプログラムを組み上げ、次第に地球とはこういうものであったにちがいないというモデル」を作ったという。なかなか壮大なお話だ。

121頁。「トランターはじつは地球」なのか?

124頁。「地球には数種(!)の異なった、相互に理解不可能な言語があった……」「何だって?」

ここまで読んだら、つい思い出して、『言葉と歩く日記』(多和田葉子 岩波新書)を読んでしまった。この本は何回読んでも楽しく想像力を刺激してくれる〈自分観察日記〉だ。


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Kindleで、手塚治虫『漫画の描き方』読了。やはり素晴らしい。偶然だが、夜テレビ東京で、トキワ荘の話をやっていた。

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話は前後するが、朝食後、昨日開始したALL REVIEWS関連の文字起こし作業を続けた。30分間分のビデオ対話の文字起こし作業だが、3分間分をやるのに30分はかかる。しかもそれ以上続ける根気がない。年を感じる。同時に他の部分をやっている若い友人は一日経ったら、30分間分を終えていた。体力の差?頭の体力。

明日は71歳の誕生日……。

2020年5月8日金曜日

大学一年生の時の物理学の教科書を発掘

昨日のビデオで思い出した。

大学教養部の物理学の先生は福田義一教授。お名前はよしかずと読むが、当時我々はぎいち、ぎいちと呼び捨てにしていた。恐れ多いことだ。

当時の教科書を引っ張り出した。感心にも捨てなかった。奥付に自分で描いた似顔絵が貼ってある。ノートに描いていたら悪友が似ていると言ったので、切り抜いて貼っておいた。ノートそのものはどこかに行ってしまったので、これが唯一のノート? もっとも、教科書にはたくさん書き込みがあるのでそれで済ませていたのかも知れない。



義一先生は、その後も大学に真面目に奉職され、最後は叙勲もされたようだ。(記事、pdf注意  東北大 https://tohoku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=99952&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

米国ご留学時の短信。(pdf)
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/85704/1/KJ00004746646.pdf

読みやすそうなご著書。『物理学の世界』(文化書房博文社, 1989.10)。
国会図書館に行かないと読めない。と思ったら、神奈川県立図書館にあった。川崎のほう。コロナ禍が終わったら行ってみよう(*^^*)
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000002010967-00

本題に戻り、福田義一先生が使った教科書、『基礎教養物理学 上下』(廣川書店 1968年)の目次はこの通り。




参考書のメモも書いてある


2020年5月7日木曜日

『ファウンデーションの彼方へ』(早川書房)でアシモフはシリーズの近代化をなしとげた

『ファウンデーションの彼方へ』(早川書房)を読み始めた。シリーズ第四作。30年という長い間隔をおいて1982年に再開されたものだ。当然第一巻から第三巻も今回読んでみようとした、ところが第一巻の後半でギブアップし、第二巻も流し読み、第三巻は読まずに、第四作にとりついた。

https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001669139-00

読めなかった原因はよくわからない。アシモフの若書きで中編の集合体(第一巻)であったことや、厚木さんの訳文も古めかしいことが考えられる。第四巻はすんなり読める。ちと不思議。第三巻までについては、英語版や岡部訳にもあたってみたい。


第四巻。12頁から13頁。「銀河百科辞典」(大事典でなくて)は「コンピュータ化」されている。毎日改訂されてもいる。

48頁。脇役の学者。主人公とトランターへの旅に出るのだが、若い頃から歴史本の虫。「ターミナス大学図書館」にいりびたって、伝説を調べまくる。成長してからは図書館相互貸借制度の楽しみを知る。遠い世界からも「超放射通信」で取り寄せた資料を活用している。

72頁。宇宙旅行に出るにあたって、学者は一辺20センチの薄板を持参する。これに彼の蔵書がすべて納まっているのだ。

75頁。主人公は宇宙船を操縦するため、専用のコンピューターと直接「接続」する。細かい指示をしなくても、意志で宇宙船を操縦できる。

76頁。当然、銀河内のすべての星の宇宙座標がコンピュータのメモリー・バンクに納まっている。(!?)

というように、記述が新しい科学技術に応じて「近代化」している。第三巻まではこのへんが欠けているので、読みにくいのだろう。

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夕方、面白いビデオを観た。「物理学入門」を30分でおこなうもの。眺めていると大学教養部入学時も同じような話を聴いてワクワクしたのを思い出した。
「大学で学ぶ物理を板書1枚にまとめてみた 」
https://youtu.be/naBcXoq4aOI

失礼して板書の一部を紹介。

2020年5月6日水曜日

「7日間ブックカバーチャレンジ」の結果

本題とは別に、これ読みたいのだが、図書館が閉まっている。大型本なので、借り出すのには気合がいるだろう。
『秘密の知識』(デイヴィッド・ホックニー 青幻舎)。Internet Archiveでは借りて目を通してみた。



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「7日間ブックカバーチャレンジ」という試みがある。フェースブックで参加してみた。解説抜きで本のカバー(表紙)を紹介するだけ。
私はフェースブックの記事を友達にしか公開していないので、ブログにも記録しておく。
やってみるとなかなか楽しい。今回は「パリつながり」で行ったが、別のアイディアでもやってみたくなった。



【7日間ブックカバーチャレンジ/1日目】。
『物語 パリの歴史』



【7日間ブックカバーチャレンジ/2日目】。
『アカギの版画パリ百景』
(新書版もありますが、これは豪華版のほう。)



【7日間ブックカバーチャレンジ/3日目】。
『パリ左岸』。



【7日間ブックカバーチャレンジ/4日目】。
“A Moveable Feast ”



【7日間ブックカバーチャレンジ/5日目】。
『パリの手記』。



【7日間ブックカバーチャレンジ/6日目】。
『パリだより』。



【7日間ブックカバーチャレンジ/7日目】。
『パリの異邦人』。


2020年5月5日火曜日

人の知恵は時空を超える

籠城生活への慰問品が届いた。息子の配偶者のご実家から。たけのこのたいたんとみずふきのたいたん、もずくとまんじゅう、そしてマスク。ありがたい。たいたんはおばあちゃん(94歳?)の手作りで、どちらもおいしかった。
おばあちゃんからすると、われわれは皆子どもで、子どもの日のお祝いでもあるらしい(*^^*)



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古い写真印刷法でコロタイプというのがある。名前だけは時々、お目にかかったことがある。今日も、Twitterで見かけたので、少しググってみた。今の印刷の網版よりも精巧に印刷できるようだ。法隆寺壁画の焼ける前のコロタイプが有名だ。
最近ではソール・ライターの写真を限定版で出した印刷会社がある。京都の便利堂さん。

http://post-books.info/news/2017/11/14/exhibition-saul-leiter-1950s-new-york

これ、欲しいが高価で手が出せない。なんとか実物を見る工夫をしたい。心当たりのある方は情報ください。

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もうひとつ気になったのが、書類をとじる元結。ホチキスだと年を経ると錆びて書類を傷める。パンチ穴も直接書類を傷つける。錐で小さい穴をあけて元結でとじるのが、役所などでは普通だった。10年ほど前にJが入院していたとき、隣のベッドにいたおばあさんがこれが得意だったと、話していたのを思い出した。絶対に緩まないし、手早いのだそうだ。書類の保存性は正倉院御物(だったかな)などで、折り紙付き。少なくとも数百年は持つ。
元結は力士が髷を結うときにも使うらしい。

特上白元結 文七元結・鬼引元結 66cm 400本 大橋丹治 https://www.amazon.co.jp/dp/B005YYZNNG/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_mPmSEb4Q43S1V

2020年5月4日月曜日

採れたてのたけのこは、お*も*い

福島県にいる兄からたけのことウルイが送られてきた。



さっそく、昼食もそこそこにしてたけのこの皮を剥き、少し米をいれた水から45分間ゆでる。冷えるまで鍋に入れておき、夕食にそのうち一本を使ってたけのこご飯を作る。いや、実際に作ったのは配偶者殿。
私はうるいをかるくゆでて酢味噌和えにした。あと、たけのこの皮の柔らかいところをきざんで味噌汁にした。おかずは買ってきたカツオのたたき。

晩春または初夏の味覚。

夜、なんだか腕の付け根から背中が痛くなる。すわ、心筋梗塞?と驚いたが、たけのこの大きいほう二本を、それぞれ片手で持ったため筋をちがえたためらしい。やれやれ。

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『銀河帝国の興亡 1』のなかの第4部を読む。宇宙の貿易商人が未開の王国の宰相をだますお話。アシモフらしいやや下世話な話だが、超未来の銀河帝国のなかでのことなので、キャンベルは雑誌掲載にOKしたのだろう。