2019年4月30日火曜日

渡邉傳次郎先生の「著作目録」を見つけ、また書評探しに復帰

「リサーチ・ナビ」を使う練習として、今日は大学学部時代の恩師、渡邊傳次郎先生の論文類を調べる。

「渡邊傳次郎 東北大学」だと、ヒットするものは少ない。ただし、結果を見ていると、先生の専門分野がわかってくる。というか、思い出してきた。「渡邊傳次郎 固体物理」とか、「渡邊傳次郎 金属」とかすると、かなり良い結果が出てくる。

そして「いわき明星大学理工学部研究紀要 (4)」にも論文があった。「オスロ大学の近況(談話室)」というのもあった。オスロにもいらっしゃったのか。どちらも私が卒業した後のことだ。

博士論文は「Au3Mn及びAu4Mn規則格子構造の電子回折による研究」であったこともわかった。ただし、これはまだ、国会図書館の関西分館に冊子体であるもの、しか見つけていない。すぐに読めるものがないか、リサーチが必要。

他の論文も、国会図書館のものはデジタル版が館内だけで読めると検索できるだけ。今度は論文の題名を、Googleでサーチしてみると、pdf版が幾つか見つかる。

そのうち、Googleで、東北大学が出した「著作目録」が見つかった。これは役に立つ。これが、「リサーチ・ナビ」ですぐ見つかるのが理想だが、まだ今日のところは、偶然というか力づくでサーチしている。まだリサーチャーとしては未熟だ。>自分。

あれ、「渡邉傳次郎」が正しいのか…?

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情報追加。KAKENの「渡辺傳次郎」のページ。https://nrid.nii.ac.jp/nrid/1000050004239/

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ここまで書いてから、青葉台にでかけた。S先輩とI先輩との月例飲み会。ただし、朝、S先輩の奥様から電話で体調がすぐれないので欠席の通知をもらっている。I先輩も以前から体調は優れないので、メールで開催可否を問い合わせたが返事がない。電車内で返信メールを受け取る。やはり出られないとのことなので、下車せずに引き返す。駅員に事情を話したら、電車賃は免除してくれた。ありがたい。

お二人とも、私とはそんなに年が違わない(でも後期高齢者に近いけど)ので、もっと元気でいてほしい。

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帰って、平成の終わりと騒いでいるテレビを見る。江戸時代には天皇即位の儀式を入場券を買った庶民にみせたという興味深い話もあった。

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国会図書館デジタルコレクションで書評さがし。中谷宇吉郎の『日本の科学』や、国会図書館で出した『良書百選』など、面白そう。



2019年4月29日月曜日

検索における「良い答え」は、より深い疑問とその検索をもたらす

昨日の当ブログで触れたが、図書館での「参照読み」に近いことができるのが。国会図書館の「リサーチ・ナビ」と思える。

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ということで、今朝早速、「国会図書館リサーチ・ナビ」に行って、最近懸案の原二郎先生の文章を検索してみた。キーワードを少し工夫すると、結果の書誌(今回は論文やエッセイの収録されている雑誌類の巻号など)を出力してくれる。



おかげで、新たに4つの資料が見つかった。早速、国会図書館に行きたいところだが、十連休中なので、来週まで我慢しなければならない。



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「リサーチ・ナビ」は非常に良く出来た検索システムで、まさに、昨日の書物蔵:古本フレンズさんのおっしゃる通りに、文脈のなかでの検索ができる。そのため、検索をしているうちに新たな発見(学習)ができる。

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キーワードをうまく選ぶのが、コツだろうが、これは聊か難しい。ここは最初は専門家(司書)の助けを借りたいところだ。逆に言うと、このようにシステム化された環境の場合、司書の専門性はここで発揮できるのだろう。
司書に頼らずに、頑張ることも可能だが、その場合には調べる分野の体系的な基礎教養が必要だろう。すべての学問分野と同じく、基礎教養(その中にはヒューリスティックなアプローチができることが含まれる。つまり、検索で出てくるのは1つの「答え」ではなく、より深い学習のために有効な素材群であることを知る事だろう。)は大切であると思う。
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最近のニュースで漏れ聞こえてくる、「実用的」学問の重視ということとは、正反対の話と考えたい。

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検索における「良い答え」は、より深い疑問とその検索をもたらす。良い読書が、より深い読書を誘発するのと似ているようだ。

2019年4月28日日曜日

やはり、「参照」は大事だということに、なりそうだ

Twitterからいろいろ情報を得ることが出来た一日。

(1)若草山さんのTweetで、オルダス・ハクスリーの『島」という小説を紹介された。鬱を克服する生き方を書いているというところに興味を持った。図書館で本を予約してみた。原語ならすぐに読めるが…

(2)編集者の起源も論じているという、横田冬彦『日本近世書物文化史の研究』が読みたくなった。岩波書店のTweetによる。


(3)そして、極めつけ。書物蔵:古本フレンズさんのTweet。米英の図書館での潮流、「参照」読みというお話。これはじっくり調べたい話だ。




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1998年の写真。たしか、2台目のデジカメ(リコー製)でとったタンポポの綿毛。


2019年4月27日土曜日

読書もシゴトもゆっくり確実にすすめよう

「世紀の小説『レ・ミゼラブルの誕生」をやっと読み終えた。「ALL REVIEWS友の会」の鹿島さんと島田歌穂さんとの対談が4月17日で、その前から読み始めたので10日以上かけたことになる。

このごろ一冊の本を読み終えるスピードが遅くなった。並行して複数の本を読んでいることもあるし、校正関連のオシゴトもやりながら…ということも関係する。気の向くままに読むのが、ともかく、いいのだろう。あと何冊読めるかと焦ってはいけない。

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ゴールデンウィークに入ったので、それ用に借りた本を読み始めた。『高岳親王入唐(にっとう)記』と『戦中派不戦日記』。「高岳親王」に関しては少し深みに嵌りそうな気もしてきた。これを読んだらもっと大部な研究書を国会図書館で眺めてきたいし、澁澤さんの本も読み直す。


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ビタクラフトのフライパン二種(ガラス蓋付き)とエッグパンの格安セットを、少し早いが、誕生日プレゼントとして買ってもらった。早速、夕食に卵燒きを作る。いい形(弁当向きかも)にできた。

2019年4月26日金曜日

現代の書評を探す

今朝、Twitterをパトロールしているうちに、関連記事があったので、思い立って「楽天マガジン」のお試しに加入してみた。お試し1ヶ月は無料だが、その後は月あたり410円かかる。とりあえず、一ヶ月間樣子見。

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目的は、いろいろな雑誌の書評欄を見て情報を得ることだ。そのためには、そもそも書評がどの雑誌に掲載されているかを知らなくてはならない。これらのサイトが参考になろう。
1.書評・出版情報を探す: 書評を探す(慶応大学)
2.書評(国内)の探し方・見つけ方(国会図書館)

少ししか調べていないが(下記の事情で)、多くの雑誌に書評は掲載されているようだ。身をいれて調べていけば、面白い展開があるかも知れない。

これは昨日国会図書館の前で撮った「路面写真」。

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しばらく入院していた、K先輩が数週間前に退院されたらしく、お誘いがあったので、昼前にあざみ野に出かける。ついてみて驚いたが、他の飲み仲間も二名来ていたので、計4名で、駅から5分(足の遅い大先輩は10分)のお寿司屋さんに入る。人数がまとまったので、予想外の酒宴となる。中瓶のプレミアム・モルツが超絶に旨い。快気祝ということもあろう。その後、寿司屋の近所でコーヒーを飲み、その後また有志(?)二名で、中華料理屋さんで飲み直す。結局11時開始で終わったのが19時。

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私がALL REVIEWSの若い仲間とお付き合いを頂いている話をしたら、皆羨ましがっていた。男性の年寄は世間を狭くしがちで、それが健康にも影響するようだ。

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快気祝いや、本のプレゼント、そしてあざみ野「茉莉(ジャスミン)」の箸袋。「茉莉」もその前に行った鮨屋「タフ」も、おいしくてさりげないサービスで居心地よかった。

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おかげさまで、今日はオシゴトは開店休業。まあ、こちらには十連休とやらは関係ないので、いいだろう。

2019年4月25日木曜日

「朝食ラーメン(覆麺 智)から古本屋めぐりそして国会図書館で資料発掘」のコースは最近のお気に入り(*^^*)

「覆麺 智」さんの渡り蟹冷やしラーメンを、二週間前に食べたが、その味が忘れられず、また行くことにした。一昨日決意。なにしろ遠いので、これだけのために出かけるのは気が引ける。そこで、古本屋めぐりと、国会図書館での資料入手とを合わせることにした。東急往復とメトロ乗り放題きっぷの助けを借りる。数百円安くなる。

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朝ドラを見てすぐ出かける。味を楽しみたいので、朝食ぬきだから、なるべく早く行かないと行き倒れになる。急行は混むので敬遠した。向かいに座ったお年寄り(でも同年代かもしれない)が、週刊文春を読んでいる。そのうち居眠りをはじめた、週刊誌は開いたまま。漫画のページが見える。そのうち、週刊誌は手から滑り落ちる。今では珍しい光景。

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10時に神保町につき、すぐ覆麺へ。並んでいる客がいない。ラーメンは期待通り美味しかった。前回と同じ種類なのだが、渡り蟹のジュレが少し薄味で、水分が多い。帰りに、店主が暑い時こそ、美味しいラーメンだとおっしゃる。気候にも合わせた工夫が見て取れる。また来ますと言って店を出る。

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古本を見て歩くには、まだ早い。大抵の店は開店前。小宮山書店も。これからは、ラーメンを食べるのを10時半からにしよう。

交差点近くの大雲堂で、
 南方熊楠全集が14000円。
 堀辰雄7冊全集(新潮社)が5000円。
 森有正全集が15000円。
名前を忘れたが、明大近くの文芸書の店で、
 荷風全集が4000円。
どれも欲しいが、場所が無いので買わない。荷風全集は近所の図書館にあるし。

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国会図書館に行き、調べてあった、原二郎先生の論文を三つコピーしようとする。一つはデジタル化されていたので、PDFを自分で作り出力してもらった。他の二編は、なんとマイクロフィルムになっていた。今まで面倒なので避けていたが、今回はやむを得ないので、館員さんに教えを乞うて、やはりPDF化。データがシークエンシャルファイルなので、時間がかかる。なんとか成功。



歩きまわっていると、神保町や国会図書館界隈は冬の間はパリを思わせたが、今は香港みたいな感じだ。

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疲れたので、他の本を見るのはやめて、帰ることにした。帰宅したら午後2時。シャワーを浴びてすぐ昼寝。目を覚まして原先生の論文コピーに目を通す。モンテーニュの宗教観の論文は面白い。あとで、要旨をブログ化したい。原先生の著作集をつくるという夢が湧いてきた。

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夕方、注文していた『「レ・ミゼラブル」百六景』が届いた。昨日借りた『金栗四三 消えたオリンピック走者』とともに、連休中の読書対象とする。他にも9冊有るのだが…


2019年4月24日水曜日

OLD REVIEWS試作版第十弾…源氏物語序(谷崎潤一郎)

源氏物語 序 (谷崎潤一郎)

私が中央公論社の嶋中社長から、源氏物語を現代文に直してみたらと云ふ相談を最初に受けたのは、昭和八年頃であつたかと思ふ。私は前から源氏が好きであつたし、その飜譯と云ふことにも興味を感じないではなかったが、しかし何分にもこれを完成するためには數年間の努力と根氣とを要する仕事であるから、もし嶋中氏の提案と熱心なる慫慂とがなかつたならば、斯樣な企てに手を染めるべくもなかつたのである。事實私は、さう云ふ話があつてからも猶󠄁暫くは躊躇してゐたのであるが、山田孝雄博士が校閱の任に當たつて下さると云ふ吉報などに、激勵されて、昭和九年の末頃からぼつぼそんな心積りをし、昭和十年の九月から實際に筆を執り始めた。そして、本年、郎ち昭和十三年の九月に至つて、兎も角も第一稿を書き終へることが出來た。

敢て第一稿と云ふ所以は、私は決して今書き上げたものを以て完壁とは信じてゐないからである。元來私は非常な遲筆なのであるが、此の、自分の原稿用紙にして三千三百九十一枚になるものを書き終へるのに、滿三箇年を費したとすると、一日平均三枚強と云ふ速力になる。尤もその間に、中篇小説一篇を書くために二箇月程を割いたことがあり、去年の四月には痔瘻で一箇月程入院したことなどもあり、又毎年三四囘は巳むを得ぬ用事で上京する等のことがあつたが、それらの日を除いた既徃三年の間と云ふものは、他の一切を放擲して、全然助手を使はずに自分一人だけで此の仕事に沒頭し、殆ど文字通り「源氏に起き、源氏に寢ねる」と云ふ生活をつゞけた。時には午前四時五時から午後十一時十二時迄机に向つてゐたことも珍しくなく、日課とする夕方の散歩の時間、手紙一本書く暇をさへ惜しんだ程であつた。斯くてやうやうこれだけのものに纏め上げた譯なのであるが、まだ現在のところでは、一應「しまいまで書けた」と云ひ得るに過󠄁ぎない程度でなかなか満足な出來榮えには逹してゐない。たゞ幸いにして此の全卷を刊行し終る迄には、今後尚一年一箇月の日子があるので、その間に更に推敲を重ねつゝ印刷に附するつもりである。否、出版後と雖、私にして若し餘生があれば、暇にあかして心行く迄修正することを老後の樂しみにし、さうしていつかは、ほんたうに完壁なものとして世に送り出したいと思ふのである。
(續く)

次に此の書を讀まれる方々にお斷りしておきたいのは、これは源氏物語の文學的飜譯であって、講義ではない、と云ふことである。云ひ換へれば、原文に盛られてある文學的香氣をそつくりそのまゝ、とは行かない迄も、出來るだけ毀損しないで現代文に書き直さうと試みたものであって、そのためには、原文の持つ含蓄と云ふか、餘情と云ふか、十のものを七分ぐらゐにしか云はない表現法を、なるべく蹈襲するやうにした。飜譯文が原文よりも長くなることはどうしても防ぎ得ないけれども、努めて饒舌にならないやうに、言葉の分量と種類とを節して、原文のあの曖昧さ、幾樣の意味にも取れるやうな云ひ方から生ずる陰翳を、わざといくらか殘すやうにした。それで此の書は、口語で書いてある限りに於て、原文よりは現代人に分り易いに違ひないが、だからと云って、全然辭書や註釋書等を用ひることなしに、悉くを理解する譯には行かないであらう。たとへば諸君が、現代作家の作品を讀む場合でも、普通はそれが現代語で書かれてゐるが故に分つたやうな氣がして讀過するのであるが、若し學校で古典を解釋するやうに一字一句について詮索し出したら、矢張字引を引くなり講義を聽くなりしなければ分らない箇所が相當に出て來る、それと同樣だと考へて頂きたい。そして私の趣意とするところは、あまり學究的にならずに、普通の人が普通の現代小說を讀むやうな風に讀んで頂きたいのであって、典據だとか、故實だとか、文法だとか云ふもの、詮議に囚はれると、その瞬間に藝術的感興は飛んで行つてしまふのである。

さう云ふ譯で、此の書はそれ自身獨立した作品として味はふべきもので、原文と對照して讀むためのものではないのだけれども、しかしそのことは、原文と懸け離れた自由奔放な意譯がしてあるとか、原作者の主觀を無視して私のものにしてしまってあるとか云ふやうな意味では、決してない。正直を云ふと、此の原作の構想の中には、それをそのまゝ現代に移植するのは穩當でないと思はれる部分があるので、私はそこのところだけはきれいに削除してしまった。[實際それは構想のほんの一部分なのであって、山田博士も既に指摘してをられる通り、筋の根幹を成すものではなく、その悉くを抹殺し去っても、全體の物語の發展には殆ど影響がないと云ってよく、分量から云へば、三千何百枚の中の五分にも達しない。]が、その他の部分では能ふ限り原作者の藝術的境地を尊󠄁重し、可なり忠實に原文に卽いて行ったつもりで、少くとも、原文にある字句で譯文の方にそれに該當する部分がない、と云ふやうなことはないやうに、全くないと云ふわけには行かぬが、なるたけそれを避けるやうにした。であるから原文と對照して讀むのにも役立たなくはない筈であり、此の書だけを參考としてゞも、隨分原文の意味を解くことが出來るやうには、譯せてゐると思ふのである。たゞ何處までも文學的と云ふことを主眼にし、語學的飜譯をしたのではないから、細かい言葉の末節迄も一致してゐるとは云ひ難く、時には、現代文としてはかうした方が效果があると信じた場合、故意に原文の意味を歪め、ぼかし、ずらし、などしてゐるところもないではない。

前にも云ふやうに、此の仕事は嶋中社長の庇護と鞭撻の中から生れたやうなものであるが、一面山田孝雄博士の懇切な指導に負ふところが甚だ少くないことを感ずる。私が博士のお宅へお願ひに上ったのは、博士の名前を看板にお借りしたいからではなく、實際に叱正の筆を執つて頂きたいからであったが、博士は私が豫期した以上に、十二分のことをして下すった。その校閱は頗る嚴密丁寧を極め、單に誤譯を訂正して下さるばかりでなく、文章上の技巧、表現の仕方等にまで周到な注意を與へられ、往々にして校正刷が眞赤になったくらゐであったが、これが私をどのやうに力づけてくれたか知れない。此の書がどれほど原作の味はひに肉薄し得たかは、大方の批判に待つとして、博士の援助がなかったらば、今あるやうな程度のものにも成し得なかったことは確かである。

その外、此の方面に於ける先人の研究のお蔭を蒙ってゐることは云ふ迄もないところであるが、現代文に譯す上には、何と云っても口語で書かれてゐるものが一番參考になる譯であるから、その意味に於いて、特に明治以後現在もなほ盛に出版されつゝあるあらゆる種類の飜譯書、註釋書、講義錄等が、多大の援助を與へてくれたのであって、私はこれらの先輩諸家や新進國學者の述作にも、深く感謝しなければならない。

それから、此の書の裝釘は私の三十年來の舊友である長野草風畫伯にお願ひすることにした。かう云ふ性質の文藝作品は、裝釘の適否が大いに内容に影響すると思ふのであるが、草風氏のやうな凝り性の人が、畫家として、友人として、いろいろ骨を折って下すったお蔭で、ほゞ私の註文に嵌まった、優雅な本が此處に出來上つた次第である。

顧れば、足かけ四年前に私が筆を執り始めた頃とは、社會の狀勢が著しく變り、今や我が國は上下協力して東亞再建の事業に邁進しつゝある。かう云ふ時代に、われわれが敢て世界に誇るに足ると信ずるところの、われわれの偉大なる古典文學の結晶を改めて現代に紹介することになったのも、何かの機緣であるかも知れない。

名も知れぬ草にはあれど紫の
ゆかりばかりに花咲きにけり

昭和十三年十一月
潤一郎しるす

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出典 『源氏物語. 卷一』 谷崎潤一郎訳 1939.1(昭和14年) 中央公論社
国会図書館デジタルコレクション (下の画像も)


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あとがき 裏話が面白い。最近の版にはこの序文がなさそうなので、ブログ化してみました。あと、6ページ分あるので、また明日以降やります。

美しい造本ですし、デジタル化された画像も奇麗です。

2019年4月23日火曜日

アスパラガスのアーキテクチャを知って料理に生かす

文字起こしは終了したが、Googleドキュメントに結果をアップロードしたら、改行した部分の行間が一行空いてしまい、体裁が悪い。

質問をしたら、「シフト+Enter」せよとのこと。調べてみたら、いわゆる『改行』は「シフト+Enter」で、「Enter」のみでは、段落を変えることとみなす処理系が多いそうだ。Wordもそうらしい。いままで四半世紀くらいワープロ他を使ってきたのに、これを知らなかったとは…(T_T)

ともかく教えてもらってよかった。

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朝、下の駐車場に、奇麗なメタリック混じりの「マリンブルー」塗装のミニクーパーが停まっている。「マリンブルー」というのがこの車種の色の正式名称かどうかは知らない。わたくしから言わせると「マリンブルー」。
では、わたくしの「マリンブルー」とはどんな色か、コトバで説明するのは大変に難しい。色はアナログ量、変化もする、環境によっても変わる。そしてそれを見ている網膜の状態も違う。
デジタルなコトバの限界と、それを補う人間の総合的な想像力、経験。追求するとどこまでもできる不思議な世界。

***
夕食にドライカレーと、アスパラガスの蒸し燒きを作る。ドライカレーはいつものように、包丁を研いだあと、ひたすら野菜をみじん切りにする。フードプロセッサ的な道具も有るのだが、包丁で切ることにこだわる。これが味の決めて。30分ほどかかる。結果は期待通り旨い。


アスパラガスは太くかつ新鮮なものが手に入ったので、今朝、テレビで見た方法で調理してみた。下の方の皮はむかずに、横に細かく包丁で切れ目を入れる。フライパンに水を少々入れ、アスパラガスを入れ、バターを加える。蓋をして8分中火で蒸す。水が無くなりかけたら、蓋を取り、表面に薄く焦げ目をつけるように焼く。太い部分が甘くて柔らかくて旨い。穂先より旨い。


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アスパラガスのアーキテクチャ(ここでは、「総合的な構造」)を知らないと良いアスパラガス料理はできない。これだけではない、モノ・コトのアーキテクチャから考える教育をしないと、旨い料理はできないし、良い仕事もできない。と支離滅裂なことを考える。

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『世紀の小説 レ・ミゼラブルの誕生』は佳境に入った。出版前のドタバタ劇は小説よりずっと面白い。巨額の(日本円に無理やり換算すると3億円と鹿島先生はおっしゃっていた)前渡金にも驚く。

2019年4月22日月曜日

文字起こしほぼ完了し明日納品予定

鹿島先生と島田歌穂さんの対談文字起こしを続けた。私の担当部分は、終了時のコメント部分。

前日起きたノートルダム大聖堂の火災に関する発言で、『ノートル・ダム・ド・パリ』が紹介され、ユゴーが「中世の叡智」を「石の書物」としたのがノートルダム大聖堂だが、書物が軽視されようとしている現代に、その「石の書物」が火災にあったのは、象徴的なこととおっしゃったのが興味深かった。

近刊の『フランス史』も紹介されたが、かなり前に出た『タブロー・ド・パリ』もご紹介頂いた。どちらも高くて手に入らない。次善の策は図書館で借りることだが、『フランス史』はまだ出たばかりで、図書館にない。『タブロー・ド・パリ』は私の手に届く範囲では、国会図書館にしか無い。原先生の論文のコピーとともに見に行ってこようか? 覆麺のラーメンをご褒美として神保町古本屋にも行くという、一人ツァーを企画しよう。

とりあえず、『「レ・ミゼラブル」百六景』を、古本で密林さんに入手手配した。

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こうして仕事していると、わずか8分の対談の文字起こしに足掛け3日もかかってしまう。このような楽しいペースの仕事はボランティアでしか出来ない。(年寄で仕事が遅いことの言い訳にすぎないだろうって? その通り。)

2019年4月21日日曜日

ビデオからの「文字起こし」を初めて体験

統一地方選後半の選挙運動が昨日終了。街は静かになった。夕方、投票所に行く。空いている。大丈夫か?

静かな外は新緑に…


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4月17日の鹿島先生と島田歌穂さんの対談。YouTubeビデオを見ながら、分担の最終部分を文字起こしする。ビデオからの文字起こしは初めてだが、いろいろ困難ではあるが興味深い点がある。

一から文字起こしするのではなく、YouTubeの持つ機能で自動文字起こししてもらい、その結果のファイルをダウンロードしておいて、それをもとに音声(緩急は調節できる)を聞きながら修正する。YouTubeの文字起こしを画面の右側に表示しつつビデオを再生すると、自在なところでビデオをスタート・ストップできる。
最初は、これらのやり方を技術として理解して実施するのに手間がかかる。しかしこのやり方は、慣れれば困難ではなくなった。



本当に大変なのは、「話し言葉」を「書き言葉」に変換するところにある。いままでやっていた、確定原稿がある場合の校正は、ある程度機械的にできる(ようになりつつ有る)。

「話し言葉」には、無意味な単語(「えー」、「ああ」、「まあ」…など)が混じる。それは大部分除去しないといけない。また、話すときには文法的に正しいとはいえない言葉使いをする。これはある程度まで修正する必要がある。

もっと難しいのは、「校閲」的なことが必要となることだ。正確ではない(つまり曖昧な)言い方で述べられたことを、なるべく話者のニュアンスを大切にしながら、正しく直さないと、「読める」談話記録にならない。

リアルタイムで字幕が出る番組がある。いままでは時々あるミスを、見つけて、得意になったりしていた。でも、今回それと似たことをやってみて、字幕をすばやく出すのは至難の業と気づいた。

10分程度の文字起こしを90分ほどやったが、9割ぐらいのところで、疲れて中断した。残りは明日やることにする。鹿島さんの著書の説明でわからないところがあるので、その本を読まないにしても書誌的事項ぐらいは、調べておきたい。

この作業中に、「疲れる」というのが老年期の特徴ではないか。以前は、平気で何時間も作業を続けられた。いまや、一時間を超えて作業の緊張に耐えることは出来づらくなってきた。少しさみしい。

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数日前には、手書き原稿のデジタル・テキスト化もお手伝いできたし、この年になって新しいことを体験させてもらうのは嬉しい限りだ。

2019年4月20日土曜日

原二郎先生の略歴と論文を調べた(*^^*)

朝食後、園芸店へお供した。Jたちの買い物中、店の周りで花や虫の写真を撮ってあそんだ。

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午後、昨日国会図書館でコピーしてもらった、原二郎先生の資料(『フランス文学研究』21号・原二郎先生追悼号)を読む。

資料の中の略歴をもっと簡略化してみた。

大正8年3月25日 宮城県亘理(わたり)郡山元町で生まれる
昭和16年3月 京都帝国大学経済学部卒
昭和16年4月 大阪商船入社
昭和17年4月 臨時召集で野砲兵となる
昭和19年1月 召集解除(戦傷のため)
昭和24年4月 東北帝国大学文学部哲学科卒
昭和24年8月 東北帝国大学大学院文学研究科退学
昭和24年8月 東北大学講師
昭和36年1月 東北大学助教授(川内分校)
昭和37年7月 『エセー』(全訳)筑摩書房 を出版
昭和40年4月 東北大学教養部教授
昭和45年4月 東北大学文学部・大学院文学研究科教授併任
昭和55年5月 『モンテーニュ』(岩波新書)を出版
昭和57年4月 東北大学を定年により退職
平成12年8月21日 沒

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私が川内(教養部)でフランス語を教わったのは、昭和44年と45年。馬小屋を改造したと言われる教室を思い出す。不肖の学生だったが、優しく接していただいた。

資料を読んでいくと、晩年には奥様が腦出血で倒れられて、先生は大変苦労なさったようだ。

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論文が、三編挙げられている。いずれも、東北大学文科紀要に。これは国会図書館オンラインの詳細検索で「原二郎 東北大学」というキーワードで発見できた。ということは、また来週に国会図書館に行かなければならない\(^o^)/
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この本も調べておく必要がある。


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4月17日の鹿島先生と島田歌穂さんの対談が、あまりに素晴らしかったので、ビデオをもとにお二人のお話を書き起こし、編集して外にだすことになった。書き起こしの一部分を、お手伝いできることになった。明日から作業を開始する。

2019年4月19日金曜日

コレットの『青い麦』以外を読まないと…『シェリ』、『牝猫』、そして『学校のクローディーヌ』

テレビでみた「しっとり鶏ロース」を夕食用に仕込。愉快キャラに変身した大原千鶴さんのレシピ。(よる帰ってから食べたら美味しかった。時間をかけるとうまくできる。)

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国会図書館で「フランス文学研究」(2001年1月、原二郎先生追悼号)の資料をコピー。私にとって貴重な資料だと一人で喜ぶ。内容の検討は明日。

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日比谷図書館で「コレット」の試写会。よく出来た映画だが、もっと作家コレットの描写が欲しかった。鹿島先生が上映終了後解説してくださった。

要点
(1)20世紀最大の作家はプルーストとコレット
(2)工藤庸子さんの翻訳が有名
(3)『学校のクローディーヌ』が売れたのは、女性用のリセの第一世代のコレットが書いた風俗小説としてもてはやされたからで日本では二見書房の本を古本で買うしか無い
(4)ジイドは『シェリ』を評価した、その後文名があがり、女性ながらアカデミー・フランセーズ会員にまでなった
(5)ムーランルージュでパントマイムをして論争を巻き起こした
(6)レズビアンが世界から集結したしシェークスピア書店もできたころ

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もちろん、ALL REVIEWSの仲間達はいたが、今夜は真面目に帰宅。しかし自宅についたら23時30分。

2019年4月18日木曜日

本、本、本


『学問の曲り角』(河野與一)を拾い読みする。外国語の学び方を書いている部分がある。フランス語やイタリア語は発音にこだわりすぎないほうがいいと言っている、哲学をやろうとするなら、読み書きが大切なのであると、從って、発音記号(これは英語向きだ)でなく、カナをふっておけば良い。この本はほかにも痛快なことがたくさん書いてある。やんちゃな先生だ。反動でお弟子の原二郎先生は謹厳実直。

しかし原二郎先生も、我々に対する授業ではフランス語には最初はカナを振らせた。そして訳読が授業の中心だった。先日、国会図書館で見つけてきた『世界』への寄稿文でも、フランス留学のはじめに、会話の集中講座を受けたと書いてあった。

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しばらく借りっぱなしになっていた徳富蘇峰の本を返しに、相模大野図書館に行ってきた。電車で返しに行くのが億劫なので、やめておこうと思ったが、他にないので『高丘親王入唐記』(佐伯有清 2002年 吉川弘文館)を借りだした。3000円。これを読んだら、次は『真如親王伝研究 : 高丘親王伝考』だろう、これは古本で4万円近くで出ている。1万5千円のも有る。これは図書館の除籍本だろう。「日本の古本屋」のインタフェースが少し良くなっている。まあ、国会図書館デジタルで、内容をまず覗くのがよいだろう。


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夕方、今度は近所の図書館に行き、4冊借りる。鹿島先生の『渋沢栄一』2巻本、『吉田健一著作集2』(東西文學論が入っている)、『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』(オースター)。前に借りたものや買った古本と合わせて、連休中の本は1ダース強揃つた。あとはどれだけ読めるか、だ。

2019年4月17日水曜日

月刊ALL REVIEWS・イベントの放映立会に行ってきます\(^o^)/

以下、主宰者のコメント。
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【月刊ALL REVIEWS・イベント】
 
ノンフィクション部門第4回の詳細です。
ゲストは女優の島田歌穂さん。ミュージカル「レ・ミゼラブル」の初代エポニーヌです。
(ノンフィクション部門のメインパーソナリティは鹿島茂さんです)
 
今回は生放送を一般公開して、「友の会」の知名度アップに繋げようと思っています。
生放送は下記URLで誰でも閲覧可能ですので、ぜひ拡散にご協力お願いできれば幸いでございます!
https://www.youtube.com/watch?v=yykv_W5XXBI
 
【対象本】『世紀の小説『レ・ミゼラブル』の誕生』(白水社)
著者:デイヴィッド・ベロス
翻訳:立石光子
鹿島茂による書評
https://allreviews.jp/review/2509
 
【日時】2019年4月17日(水)19:00~
  
【場所】西麻布NOEMA images STUDIO
https://studio.powerpage.jp/#!/detail/8905
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『レ・ミゼラブル』が今でも読まれるのは主人公が「公正」を貫くから…という鹿島先生のお話に納得。ミュージカルの配役の中で、エポニーヌ役は観客と交流ができたのが魅力的だったと島田歌穂さん。これにも納得。
エポニーヌは遠慮していないでマリウスをとってしまえばよかったのに…という私の馬鹿な質問にも笑いながら答えていただきました。

対談を聽きながら欲しくなった本。
(1)『「レ・ミゼラブル」百六景』(文藝春秋)
(2)『フランス史』(講談社選書メチエ)


無事終わり、さっき帰宅しました。
記念写真をアップします\(^o^)/
うーむ。なんて寝ぼけ顔なのだろう>自分。

2019年4月16日火曜日

「永遠のノートル・ダム」を見つける

未明にJに起こされた。ノートルダムが燃えているとのこと。Twitterなどで探ってみると、確かに日本時間の午前2時ころにパリのノートルダム大聖堂で火が出て、燃え広がっているらしい。しばらくニュースなどを見て、どうしようもないので眠った。燃えるノートルダムの写真を撮っている夢を見た。赤い炎も。

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今朝になって、いろいろニュースなどを見ていると、やっと様子がわかりだした。入口両側の塔や後陣や両側の外壁など石造りの部分はなんとか、焼け残ったが、中心部分(木造)のところは焼け落ちた。バラ窓も3箇所のうち1箇所しか残らなかったらしい。原因は改装工事中の失火だと言われているらしい。

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ノートルダム大聖堂を、「考えること」いや「体験」から「経験」への苦しい移行のよすがとした、森有正さんを思い出した。
「遙かなノートル・ダム」(1967年)と「遠ざかるノートル・ダム」(1976年)は、他の本と同じく今でも身近においてある。1965年11月の手記には「霧の朝…、ノートル・ダムの黒ずんだ石の壁が霧の奧に冷たくかすんでいる。」と書き、1974年の手記には「ノートル・ダムはパリと融合してくる。…正面玄関のロザース(薔薇窓)辺の石の壁面の美しさは、見ていても多くの場合我々には見えていない…パリの空間感覚…豊かで自由な感覚から離れてそれに気がつくことはむつかしい…」と書いている。
森有正さんは、豊かで自由な感覚をパリで手に入れてすぐに亡くなってしまった。

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このような、ノートルダム大聖堂への傾倒をパリの多くの人々は持っているのだろう。
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森有正さんの文章に憧れて、約40年後、会社定年後にやっとパリに行けた私には、もちろんそのようなノートルダムに対する感覚は持ちようがなかった。観光地のモニュメントとしてしかみることは出来なかった。三年間、三度にわたり訪れたが、同じだった。当たり前だが…
やっと見ることが出来たという意味の感慨は、一回目がもちろん強く、このブログにも記事を書いた。2009年10月28日付けの記事

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マクロン大統領は再見を誓ったが、私が生きて再建された姿をみることは無いと思う。しかし、美しく再建されたパリのノートルダム大聖堂の「永遠の姿」は私の空想の中にすでに現れようとしている。これをもっとよく「見る」ためには、パリならぬ今住んでいる土地で「自分」を、自由で豊かな生活の中で追求しなければならない。

2019年4月15日月曜日

旬刊「深掘り『稀書探訪』」第1回【『レ・ミゼラブル』、幻の挿絵本!】を視聴しました!

旬刊「深掘り『稀書探訪』」第1回【『レ・ミゼラブル』、幻の挿絵本!】をYoutubeでみました。

ビデオ作成者のコメントをYoutube上のこのビデオのページでみると、

「ANA機内誌「翼の王国」にて12年間144回に渡って連載された、仏文学者・鹿島茂さんによる「稀書探訪」。
その続編が映像コンテンツになってやってきました。
実際の「稀書」を映像に写しながら、鹿島茂さんによる解説が聞ける、という豪華内容。
初回の放送は『レ・ミゼラブル』の挿絵本を公開。」

ということになっています。
このリンクから誰でも見ることが出来ます。初回なので友の会限定ではありません。

私は今週水曜日に鹿島さんと島田歌穂さんが「レミゼ本」に関する「月刊ALL REVIEWS友の会」を現地(西麻布の鹿島スタジオ)でみるので、その予習も兼ねて、じっくりみました。挿絵の素晴らしさを伝えるには、ビデオは必須ですね。

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今日の校正のオシゴト。手がけていた書き起こしと校正を1編仕上げ、チェックに回した。他の原稿のチェックもはじめた。

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昨日届いていた、「学問の曲り角」(河野与一 原二郎編 2000年 岩波文庫)に目を通した。河野与一は原二郎先生の恩師だが、その破天荒さを原二郎先生はほとんど受け継がなかったようだ。


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暖かい一日。旅の疲れが出て、午後はほとんど昼寝に費やす。

テスト

澁澤龍彦
澁澤龍

2019年4月14日日曜日

東北旅日記その2…南へ(人生は旅で旅は人生)

昨夜痛飮した酒は「菊駒」。おかげで起きても頭スッキリ。窓から見る東北の空は水色。

ホテルの枕との相性がよかったのも好調の原因。


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駅で、後続部隊を待ち合わせ中に、併設されている地域図書館をのぞいてみた。こじんまりとしている、書籍よりDVDやCDなどの資料が多い。八戸の郷土史関連書籍も。国会図書館デジタル送信用の端末も設置してある。羨ましい。


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寺で法事を済ませて、近所のホテルのレストランで会食。最後の和風ブイヤベースが絶品。入っている魚介類が吟味されているからか。最近この種類の「旨さ」に体がよく反応する。「覆麺 智」のワタリガニだしのおかげだろう。


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帰路につく。車内のつまみにと姪が買ってくれたホタテのヒモをしゃぶりながら読書。『鬼苑横談』。面白すぎて…でも途中で眠くなる。


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途中仙台で乗ってきた妙齢の女性に、「あのー、この席は私のだと思うのですが…」と言われ、そんなことないでしょう的な顔をして見せたが、彼女は引き下がらない。仕方なく自分の券を出してみたら、なんと、今日は私の間違い。よく切符を確認していなかった(T . T) 申し訳ないと謝った。



横に座った彼女の香水がかなりきつい。乗り遅れまいと急いで来たのだろう。なんにしても、確認は大切。

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東京着。ここからまだ電車で1時間半はかかるので、油断は禁物。やや混雑した電車を乗り継いで帰るのは難儀だ。
しかし気づいた、旅はまだ終わっていない、旅の一環として考えると首都圏を横断していくのもまた乙なものだ。疲れは自宅のドアにたどり着いてから感じれば良い。

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この二日間で私の人生という書物は半ページくらい増えた。アウグスチヌス、万歳。

2019年4月13日土曜日

東北旅日記その1…北へ

11時50分中央林間発。緩行電車。



法事ではあるが一人旅は楽しい。
アウグスチヌスの人生と書物とのたとえを思う。今回もページが増えるとよい。
ブログ書きのために持ったMacBookProは旅の友としては重い。

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最近多くの若い友人と会話する機会が増えた。
懸命に名前と顔を覚えても、次回は忘れていてもう一度教えてもらう。
小川洋子さんの小説の「博士」になった気分。良く考えられた登場人物だと感心する。

東京駅
13時半に着いた。駅頭の時計を見まちがい、12時半と思ってどうすれば2時間をつぶせるか、食事をゆっくりしてから入場するかと迷う。
13時半とわかり、安心して、簡単な弁当と飲み物を買って待合室へ。
人は多いが静かだ。年寄りが多く、団体客は少い。

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14時20分 乗車時の感想。
車内に入り、切符を見て番号を確認し、指定された席へ行くと中年のおば様が私のと思われるシートに荷物を置いて立っていらっしゃる。どうやら奥の席の人が来るまで座らないで待っているようすだ。でも私のはD席で通路側のはずなので、「すみませんが…」と言ってみた。おば様は、「Dは通路側で、Eが窓側なのよ」とかんで含めるように教えてくれる。どうも私を××老人とみて、言いきかせているようだ。仕方ないので、私の指定券を見せると、「あら、?」、「確かにここは5番ね。私は6番なのだけれど、壁の数字の5が6に見えちゃった。ごめんね。」と言って席をあけてくださった。

親切でそそっかしくて論理的な人は好きだ。
おば様はさっき仙台で下りて行った。さようなら。

確かに小さく書いた5と6は薄暗い車内では紛らわしかったです。

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弁当を食べる。
数日前、飢餓状態で「覆麺 智」の超絶美味ラーメンを食べた。そのショックで味覚本能が覚醒し、美味いものを食べると、体が反応するようになったらしい。
酒の酔いより強力で、タバコより習慣性がありそう。人生が変わったのかも知れない。

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17時4分 定刻に八戸着。ホテルは駅ビルの上階にあった。

2019年4月12日金曜日

原二郎先生を追って…今日の進展、と、ALL REVIEWSスタッフ神奈川支部決起集会速報

(1)筑摩書房の『エセー』全二巻の脚注を注意深く読む。
本はすでに探索・掘り出し済。岩波文庫の解説も読むべきか。


(2)国会図書館に行き「フランス文学研究」の原二郎追悼号(2001年)を読み、コピーを取る。すでにカートに入っている。これは来週やる。


(3)『新編 学問の曲り角 (岩波文庫)』の編者(原先生)の書いたものを読む。Amazon中古で注文済み。河野與一は原先生の先生だ。来週半ばに到着予定。


粘り強く調べていけば、だんだんわかってくる。安楽椅子検索の楽しみ!

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ALL REVIEWSのオシゴト、澁澤全集の書評の書き起こしは一応完成。来週はじめまでに見直して提出。

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夜、ALL REVIEWSサポートスタッフ神奈川支部の決起集会。結局5人の会となったが、かえって距離が近く、本に関する楽しい会話がはずむ。「山東」の水餃子はさっぱりしていてうまかった。


帰ってきたら、外猫たちが暖かい場所で寝ながら迎えてくれた。
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OLD REVIEWS用材料収集。これもよさそう。国会図書館デジタル・アーカイブ。


2019年4月11日木曜日

先輩や先生にはいつまでもお世話になる…


朝食は、神保町駅そばの「覆麺 智」で日替わりラーメン。今日は「ワタリガニだしの冷やし」。Y先輩に連れて行ってもらった。最初は半信半疑だったが、一口食べて仰天。ワタリガニの風味と味が上品かつ濃厚に、口の中で広がり、食道から胃にも広がっていく。これは初めての味。しばらく食べてから、レモンを絞ると味が玲瓏にひきしまる。その後、麺が三分の一になったころ、先輩に習って、トリュフのエキスオイルをかけてだし汁を足していただく。うーむ、旨さの3段ロケット、打ち上げ大成功だ。

会員証もいただき、店を後にする。サボウルでコーヒーを飲みながら味の余韻を楽しむ。コーヒーは余計だったかもしれない。それでも、カニの味は昼過ぎまで残った。記憶は永遠に残るだろう。

覆麺の店員さんに(先輩の)お父さんかと、尋ねられたのが痛恨事。あわてて「友人です」、と返事したのだが「部下です」と答えれば良かった。

また行こう。「覆麺 智」。わざわざ電車賃をかけて食べに行く価値は十分あり。

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とは言え、せっかく行ったので一誠堂書店の店頭で一冊200円の新書版書籍を三冊購入。


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その後、国会図書館に寄り、50年前にフランス語の手ほどきを受けた、原二郎先生の記事をコピーする。「世界(254) 1967年一月号 234ページから237ページ」の「モンテーニュの城を訪ねて」。

「エセー」の訳者でもある、原二郎先生に関する資料は極端に少ない、いや私が見つけきれないのかもしれない。他に東北大学の紀要にありそうだが、まだ未見。論文はまだ探していない。こちらが先か…

こういう事柄の検索方法をもっと学ばなくてはならない。

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国会図書館前でいつもベンチに座っている少女とツーショットで写真を撮らせていただき、帰路につく。


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原先生の書かれた記事は面白かった。自分用にデジタル化しておこうと思う。読んでいるとメールが届いた。しばらく前立腺の病気で床についていた会社の先輩が、やっと歩けるようになったので昼飯を一緒に食べようとのお誘い。承知とすぐ返信。

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夜、食事したくを終えてSlackを見ると、新しいオシゴトが見つかったので喜ぶ。手書き原稿の書き起こし。昔の編集者になったようで面白そうだ。ただし、法事があるので今週中の完成は難しい。待ってもらうことにする。