2021年6月30日水曜日

ジョン・コナリー『キャクストン私設図書館』(東京創元社)は素晴らしくオモシロイ


ジョン・コナリー『キャクストン私設図書館』(田内志文訳 東京創元社)を読む。短(中)編が4つ収録されており、そのうち表題作と、「ホームズの活躍」しかまだ読んでいないが、これは今年のベストテンに確実に入りそうな本だと思った。

読書と図書館と文学作品登場人物への愛に満ちたミステリー。表題作ではアンナ・カレニナが、他ではホームズとコナン・ドイルが「登場」してしまう。舞台とされているキャクストン私設図書館は貴重な初版本を網羅したとてつもなく魅力的な建物だ。ぜひ行ってみたい。現実には無理だが、ヴァーチャルには出来そうな気もしてきた。

図書館の名前はウィリアム・キャクストンなる人物から取ったらしい。「ホームズの活躍」にはそのことが書いてある。Wikipediaを参照するとなかなかオモシロイ人物のようだ。なお、Wikipediaの発展を祈って、また300円寄付しておいた。

https://en.wikipedia.org/wiki/William_Caxton

著者、ジョン・コナリーも初めて知ったが、他の作品も面白そうだ。図書館で『失われたものたちの本』を予約した。

AR友の会に、『アンナ・カレニナ』が好きな方がいらっしゃったので、早速この本のことをお知らせしておいた。

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本日、東京都の新規(コロナウイルス)感染者は、700人を超えた。どんどん増えているが、これは怖い。自分たちは神奈川の田舎で引きこもっていればいいが、息子家族は感染のど真ん中で暮らしている。

無観客にせよオリンピックが本当に開催されれば、この怖さは何倍にもなりそうだ。無責任な開催はやめてほしい。

2021年6月29日火曜日

『モンテーニュ私記 よく生きよく死ぬために』(筑摩書房)によく生きるためのヒントが書かれている

今朝のTwitterからの情報。

理論上の「電子捕獲型」超新星をついに観測。約40年前に日本の天文学者が予測、藤原定家の記録解明にも(秋山文野) - Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20210629-00245245/

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「書評」というキーワードでAmazonを検索。

https://www.amazon.co.jp/s?k=%E6%9B%B8%E8%A9%95&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss_1

たとえば、「なにか見つけて、ARに載っていなかったら、こちらで(アドレスXX)、報告しよう。とするか?」

書評の堆積をエキスパートの創る「伽藍」としてではなく、「バザール」としてみんなで作り出したい。と、テレビでイスタンブールのバザールの映像を観ながら、なんとなく思う。

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週刊AR巻頭言総集編作り始めよう。(忘れていた😅)……
興が乗って一時間半で作ってしまった。おかげさまで腰が痛い。

この作業中にも「書評」に関する気付きが……

BGM。

Franck:  Sonata / Debussy:  Sonata
by César Franck; Claude Debussy; Erick Friedman; André Previn
RCA Victor / RCA Victor Red Seal (LSC-2907)

https://archive.org/details/lp_franck-sonata-debussy-sonata_csar-franck-claude-debussy-erick-friedman/disc1/01.01.+Sonata+In+A+For+Violin+And+Piano%3A+I%3A+Allegretto+Ben+Moderato.mp3


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自分で(古本だけど購入した、『モンテーニュ私記 よく生きよく死ぬために』(保苅瑞穂さん、筑摩書房)を、傍線をひきながら読む。

たとえば、6頁から7頁。

モンテーニュは……「生活を作る」と言っている……生活を作るにはそれだけの精神の努力が実際に必要だった……生涯書き続けることになったのは、生活を作るにはまず自分というものを知り尽くす必要があったからで、それには書いてみることが一番なのだ。

ここは身に沁みてわかる。そして森有正の生涯との類似に驚く。

2021年6月28日月曜日

新型コロナウイルスとの戦いは長く続くだろう

「Internet Archiveで懐かしのLPを聴く」プロジェクト。


"Les Adieux" Sonata · Sonata In C, K. 330
by Van Cliburn; Ludwig van Beethoven; Wolfgang Amadeus Mozart
RCA Victor Red Seal (LSC-2931 / LSC 2931)

https://archive.org/details/lp_les-adieux-sonata-sonata-in-c-k-330_van-cliburn-ludwig-van-beethoven-wolfgang_0/disc1/01.01.+Piano+Sonata+No.+26+In+E-Flat+Major%2C+Op.+81a+(%22Les+Adieux%22)%3A+Adagio.mp3


4 Concertos For Diverse Solo Instruments
by Georg Philipp Telemann; Eugene Ormandy; The Philadelphia Orchestra
RCA Red Seal (LSC-3057)

https://archive.org/details/lp_4-concertos-for-diverse-solo-instruments_georg-philipp-telemann-eugene-ormandy-the/disc1/01.01.+Concerto+Grosso+In+D+For+3+Trumpets%2C+2+Oboes%2C+Timpani+And+Strings%3A+Intrada%3B+Allegro.mp3


Julian Bream And His Friends
by Julian Bream; Cremona String Quartet; George Malcolm; Luigi Boccherini; Joseph Haydn; Boccherini; Bream; Haydn
RCA Victor Red Seal (LSC-3027)

https://archive.org/details/lp_julian-bream-and-his-friends_julian-bream-cremona-string-quartet-george/disc1/01.01.+Quintet+In+E+Minor%3A+Allegro+Moderato.mp3

音楽を聴く余裕ができた。

理由はMちゃんのPCR検査結果は「陰性」だったから。熱は一日で下がり、鼻詰まりも解消し嗅覚も戻っていたので、子供の通う保育園由来のXXウイルスの感染症だったのだろう。周囲の皆も安心し本人も職場復帰し一安心。でも、私としては新型コロナウイルスとの戦いはこれからも続くと覚悟しておきたい。それはもしかすると永遠に。

書評収集とコミュニケーション・マネジメントの勉強を続ける。なるべく勉強過程を記録しておき、仲間へ向けてのレポート作成またはマニュアル化に使いたい。

CM(コミュニケーション・マネジメント)のアイデア。いままで思いついたものの一端。

CMツール使用スキル習得のハードルを乗り越える手助けをする。

(1)やさしいガイドの紹介。(共通理解のベースとする)

(2)発言の場のやさしい紹介を見えるところに書いておく。

これから、『ファンベース』の読み直しを始めます。気になるところは以下。今日の「メモ」参照。



2021年6月27日日曜日

大栗博司さんの『探求する精神 職業としての基礎科学』(幻冬舎)は早めに読んでおきたい

今朝、新聞を読んでいて気づいた。

土曜日の朝日新聞朝刊、「読書」ページの広告を読むと、さんの『探求する精神 職業としての基礎科学』(幻冬舎)への賛辞が取り入れられている。以下4つ。

東京大学教授、須藤靖さん、朝日新聞朝刊2021年6月19日付。

(この書評は紙面で読んでみたが、一般読者にも寄り添った、好書評と思った。) 

大阪大学教授、仲野徹さん、読売新聞朝刊2021年6月1日付。

慶應大学教授・ヤフー株式会社CSO、安宅和人さん、2021年5月3日Twitter。

静岡大学教授、松本剛昭さん、静岡新聞朝刊021年6月7日付。

科学書への書評はやはり科学者が中心である。また、新聞のWebページやTwitterを探すべきということだろう。

ところで、この本はなるべく早く読んでおくべきだろう。



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今日も(孫の)母親の体調不良で、孫を世話することになった。楽しかったが、疲れた。おかげさまで読書ははかどらず。もちろん、『ファンベース』も読めなかった。

2021年6月26日土曜日

『民主主義を信じる』(青土社)の宇野重規先生のお話を聴くと民主主義の大きな可能性が見えてくる

まだ半分も読んでません。

昨夜の月刊AR、鹿島茂さんの対談相手は『民主主義を信じる』(青土社)の宇野重規先生。今の民主主義の危機を救うには、現行の選挙制度そのものを変える方法がある、これに対し鹿島茂さんは1人10票にしたらと。オモシロイ。結社(アソシエーション)がポイントになるという話も。私は草の根民主主義を思い出した。


宇野重規先生の他の著書も読んでみたい。

『民主主義とは何か』

『民主主義のつくり方』

『保守主義とは何か』

『トクヴィル 平等と不平等の理論家』


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AR書評家既存書評収集案。徒然なるままに書いたので実現性はまだ未検討。まずは、既存書評情報をうまく洗い出す方法を考え出す必要がある。

以下はその後の皮算用。

前提:ARの書評家数 120。既存書評調査入手作業員数 10とする。

ARの書評家120人の既存書評情報をすべて洗い出す。(新規書評洗い出しは別途機械化)手作業 10名で作業するとして、1人が1ヶ月に1名の書評家の書評情報を洗い出す。

10(名)×12(ヶ月)×1(書評家)で、12ヶ月(1年)で洗い出し終了。

掲載可否確認にそれぞれの書評家1ヶ月。この期間は下記にオーバーラップさせる。

書評pdf入手とOCR、書評家1人に2ヶ月は必要。先程のような計算で10名だと2年。

計、10名で3年かかる。うまく行くなら、悪くない数字。

手始めに、テストケースとしてHさんとKさんの書評収集方法を考えよう。かなり信頼できる参照例があるから。

コミュニティマネジメントの方の予定、『ファンベース』の再読はできなかった。孫と遊びすぎた。


2021年6月25日金曜日

「埋もれた書評探し」はオモシロイ

まず、ここを読んだ。

https://allreviews.jp/about/

「オール・レビューズ」は、「原理的」には、明治以来活字メディアに発表されたすべての書評を閲覧可能にする書評アーカイブの構築を目指します。願わくは、「オール・レビューズ」を介して、より多くの読者が叡知の宝庫にアクセスされんことを!

 ここに書かれたことを「原理的」のレベルから、「なんとか」できそうなレベルにまで変更したいと思う。

そこに立ちはだかるのは、「著作権」の壁であり、経済性の壁である。この壁を打ち破るのではなく、法をおかさずにしかも見事に軽やかに迂回したい。専門家でない一般読者の立場で出来ることは実は非常に多彩である。それらを十分に活用していく。

書評を読む意味はなにか。

(1)読むべき本を知る。

(2)読むべき本の価値を知る。

(3)本と書評の存在する世界の文化を知る。

 *

世界とは「本」と「読者」から構成される集合体である。世界に含まれるすべての事物は「本」に投影されており、もっと言うと「本」のなかに存在している。

「本」とは、現在書店に満ち溢れているものだけではない。過去から現在にいたるすべての「書庫」に存在したものを含む。そのなかには今となっては実際に読むことのできない、その存在だけが言い伝えられている本も含む。われわれ「読者」は、そのすべてを読みたいと思い、そのすべてにアクセスする権利と方法を、この世界の始めから保有している。これは本と読者の宿命であり、すべての「本」を読むことは難易度は違うが必ずできる。

この真理のもとに、読者は「本」を読み、結果として楽しみ、ときには苦しみを獲得する。

急激に話を絞る。ALL REVIEWSの書評のジャンルは、以下のようである。ALL REVIEWSから転載。

「ジャンル一覧:文学・評論人文・思想社会・政治ノンフィクション歴史・地理ビジネス・経済投資・金融・会社経営・科学・テクノロジー医学・薬学・看護学・歯科学その他」

私は「科学・テクノロジー」分野に(も)興味を持っているが、ALL REVIEWSでは私が数えたところ現在112編の書評がWebで読める。

この分野の書評の数が少ない。少なすぎる。「科学」分野の書評はもっと読みたい。文句だけ言っていても仕方ないので、「自分で」科学書の書評を探すことにした。そもそも「科学・テクノロジー」分野の書評そのものはどのくらい存在するのか。どんな人が書いているのか。これは自分で数えないといけないのだろうか。おもしろそうなフィールドワークなので考えてみる。

とりあえず、思いつくのは以下の方々の書評。

新しいところでは

(1)須藤靖さん(現在朝日新聞で書評を書いておられる)
(2)海部宣男さん(残念ながら物故されたが、毎日新聞で丸谷イズムの書評家集団におられた)

この方たちの書評はこれらのサイトでチェック出来る。と書いてから(おいおい)、探してみたらにわかには見つからない。地道に探さないとだめなのか。明日探す。(孫と遊ぶ方が優先だが、空き時間に……)

古くは、まずすぐに思いつくのがこの二人。

(1)寺田寅彦
(2)中谷宇吉郎

寺田寅彦の書評はとりあえず「全集」(岩波書店)で調べる。とほんの少しだけだ。これも地道な作業が必要。

中谷宇吉郎さんのは最初から「地道」に調べた。

国会図書館デジタル・アーカイブで調べると例えば次の本(『科学小論集』、『日本の科学』)に掲載されている。


https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1871398

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1246542

これらは、書評の域を超えている。専門性の意味で。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/card57860.html

こちらは書評というよりエッセイ。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/card57274.html

そして、このあたりにも宝が眠っていた。雑誌『科学史研究』の書評記事連載。

https://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?searchWordFulltext=%E6%9B%B8%E8%A9%95&featureCode=all&viewRestrictedList=0&fulltext=1&searchWord=%E6%9B%B8%E8%A9%95&facetOpenedNodeIds=1%3A01%7C4%3A14&filters=1%3A01%7C4%3A14

ここまで、「地道に」と言っていたのは無手勝流に「書評家名 書評」というキーワードでインターネット検索していたが、これでは21世紀が終わってしまうので、もっと頭を使わなくてはいけないのだろう。それがわかったのが今日の収穫。どう頭を使うかを自分なりに方法化し、コトバで記述しておきたい。

***

ついでに読んだ。(じつはこの「ついで」が楽しい、と言っていると怒られるが。)

子規の俳書年表には頭が下がり、涙が出る。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/978849

獺祭書屋日記も。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/978851


2021年6月24日木曜日

『ファンベース』を参考とすべく再読開始

「沼野充義東大退職記念<最新>講義第2弾「亡命・ユートピア・世界―ロシア東欧を超えて」

6月26日(土)17:40-19:00 YouTubeライブ」があるそうだ。

この日は孫と遊ぶ日なのでリアルタイムでは無理そうだ。アーカイブ視聴ができればいいのだが。

https://twitter.com/mitsunumano/status/1407759215985188872?s=21

***

これも今朝見かけた、川本さんのツイート、書評の大変さを物語る。

こうして苦労して書かれた書評が、粗末に扱われるのには耐えられない。微力ながら過去から現在にかけての書評が、それを最も必要とする一般読者に用意にアクセスできるような仕掛けや場所を整備することを、今後やっていきたい。もちろん。今関わりのあるALL REVIEWSを念頭においているが、必ずしもそこだけを目標にするわけではない。

***



もう一つ考えているコミュニティ・マネジメントの話。今日は作業計画をブラッシュアップした。そして、参考書として『ファンベース』を再読し始めた。具体的な目標があると内容を理解しやすい本だ。やはり、一度仲間で読書会をすべきか。


2021年6月23日水曜日

書評は散逸しているので一筋縄のちから技では収集できない、さて……

書評の体系的収集の基礎勉強を続ける。(風呂敷を広げすぎているので、そろそろ取りまとめなくてはならない。まずは簡単なレポートを書いてみることにする。)

以下は今日のお勉強項目。

ブログを検索して「OLD REVIEWS」関連の記事を読み直す。

https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=OLD+REVIEWS

ここに、たくさんの示唆とノウハウが含まれている。ありがとう!>昔の私。

これらをまとめて、古い書評のサンプルと、古い書評探しのマニュアルを作りたい。発想を少し転換し、古い書評をわれわれだけが集めるのでなく古い書評の読み方を知る人を増やせばいい、と気づいた。「OLD REVIEWS愛好サークル」をALL REVIEWSサークルの下に作ればいい。古い本を含めた読書を好む人が増えれば、本のマーケットは健全に存続する。

などと考えながら、ブログを眺めていたら『後西遊記』と言うのを国会図書館デジタルで再発見して読み耽る。この楽しみを「OLD REVIEWS愛好サークル」に伝えたい。

実は、「OLD REVIEWS」だけでは駄目で、新しいものも含めた全体的視点が必要。

***

https://japanknowledge.com/personal/

で見つけた参考書。

随筆 明治文学 2 文学篇・人物篇
ズイヒツ メイジブンガク 2ブンガクヘン・ジンブツヘン
東洋文庫742
柳田泉 谷川恵一校訂
明治の文学・文化研究の先駆者・柳田泉の仕事の精髄を3巻に分かって刊行する。第2巻は、資料を博捜して語る明治文学の諸側面と著者自らその謦咳に接した逍遥、露伴、魯庵などの人物伝。
2005年09月刊
"随筆 明治文学 2 文学篇・人物篇 P.10", 東洋文庫, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-06-23)

https://japanknowledge.com/psnl/display/?lid=80010V0742P0001#B0001



閑板 書国巡礼記
かんばんしょこくじゅんれいき
東洋文庫639
斎藤昌三 紅野敏郎解説
第二次世界大戦下の時流にのる「官版」を排し,「時代離れのした忙中の閑談」を謳う「閑板」を掲げて,書物・雑誌の迷宮を縦横に駆けめぐる。“明治物の書痴三尊の第一”といわれる斎藤昌三の代表作。
1998年08月刊
"閑板 書国巡礼記 P.1", 東洋文庫, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-06-23)

https://japanknowledge.com/psnl/display/?lid=80010V0639P0001#B0639


ついでに見つけたもの

梵雲庵雑話
ぼんうんあんざつわ
東洋文庫658
淡島寒月 紅野敏郎解説
一代を苛烈に生きた奇人,淡島寒月。彼は江戸から東京へ,激しく変化する時代に江戸っ子の気概をみなぎらせ,おのれの創りだした趣味の世界に徹して生きたコスモポリタンだった。その随筆の集大成。
1999年08月刊
"梵雲庵雑話 P.4", 東洋文庫, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-06-23)

https://japanknowledge.com/psnl/display/?lid=80010V0658P0001#B0658

こういうのを読んでいると楽しくなって、本来の目的を忘れてしまう。要注意。

ともかく考えすぎないで出来ることから始めるのが吉。

***

コミュニティマネジメントの教科書はないかと考えたが、昨年読んだ『ファンベース』が良いと思いついた。Kindle版を買ったので参照もしやすい。これで行く。

2021年6月22日火曜日

書評に関する勉強と任意加入組織員の活動活性化案を考えて一日が終わる


海部宣男さんの科学書書評集2冊(『世界を知る101冊』、『77冊から読む 科学と不確実な社会』(岩波書店))のあとがきを読む。毎日新聞掲載の書評が主体。

寺田寅彦の「相対性理論側面観」の書評が「科学書評・評論の使命」を体現する見本だろう。「わかることとわからないこと」の追求。「教育」の使命。現代社会のいい加減さを鋭く追求する評論になっている。

海部さん2019年に76歳でなくなられたのは惜しい。

***

布川角左衛門『本の周辺』(日本エディタースクール出版部)を取り出して、「雑誌の出版と誌名の話」を読む、明治維新から関東大震災までの雑誌の歴史を、教養として勉強できた。『キング』は創刊号75万部で売り切れとはすごい。

小田光雄さんの『古本屋散策』の28頁。参考になりそうな目録の紹介記事。

『図書総目録』と『書籍総目録』の話。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1141204

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1845193

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友の会会員活性化計画のラフスケッチ

第1段階 Slackを使えるようになる。

https://slack.com/intl/ja-jp/help/articles/360059976673-Slack-%E3%81%AE%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB

第2段階 自分のやりたいことを決め、適切なチャンネルに参加する。

第3段階 チャンネルでカバーしきれないときに新しいチャンネルをおこす。?

盛り上げには書くことをすすめる。天声人語チームのCMを成功例とする。

それと、「ちょっと書きたい人」が楽しめる場が必要。AR上のマイページ?も必要だ。


2021年6月21日月曜日

保苅瑞穂『モンテーニュ私記―よく生き、よく死ぬために』(筑摩書房)を読むと冒頭からしびれる

夏至の日の日没。この季節は晴れれば、空の色が美しい。

***

保苅瑞穂『モンテーニュ私記―よく生き、よく死ぬために』(筑摩書房)を読み始める。


最初から引き込まれる。

4頁。

「一日にわれわれは色々な時間を生きている。そのどの時間にもわれわれの精神は等しく働いているはずであり、夕日を眺めるにも、なにかについて本を書くにも、精神の働きに高下というものはない。そして、そうやって精神が様々に働くうちに時間が過ぎて行って、その、一日が暮れて行く。」

この付近の記述は吉田健一を思わせる。ともかく『エセー』への愛にみちている。

26頁。

「かれがあれだけ本を読み、勉強したのも、それによって知識やなにかの肩書きを得るためでなく、よく生きて、よく死ぬためだった。」

素晴らしい。この本は借り物だが、自分で買いたくなった。……

今、Amazonへ行き購入した。中古だが。

***

以下は「書評に関するメモ」の下書きの下書き。

1.書評捜しの基礎
国会図書館リサーチ・ナビの「書評を探す」は出発点。

ここを読むと書評探しの糸口が得られる。まずは、ここから各種サイトへ行ってみることを繰り返す。
時間をおいて、常に読み返すこと。

(*注
ここもいいかな。北海道大学図書館

書評の探し方
出版された書評集や、雑誌記事・新聞記事として掲載された書評を探す
各データベースで、「書評」「ブックレビュー」などの書評を示すキーワードを追加して検索します。
CiNii Article: 「書評」「ブックレビュー」などの書評を示すキーワードを追加して検索します。
Web of Science: まずキーワード検索し、ドキュメントタイプ「Book Review」で絞込みします。
Humanities Abstracts: 「文献タイプ」から「** Review(**にはBook, Entertainmentなどが入ります)」を選択します(場合によっては「** Criticism」なども)。複数選択可能です(OR検索になります)。
聞蔵IIビジュアル(朝日新聞): 「ナビ検索」を開き、「ジャンル」から「読書・書評」→読書・書評欄名のボタンをクリックします。
一覧画面が表示されますので、書名等のキーワードを追加して絞り込みます。
LexisNexis Academic: 左メニューの「ニュース(全分野)」を開き、「記事の種類」から「論評([対象])」をチェックして検索します。
書評データベース、及び書評を含むデータベース
「週刊読書人」( 新聞 / http://www.dokushojin.co.jp/ )


2.過去の書評を探す
JapanKnowledgeで「書評」をキーワードとして、日本大百科全書と世界大百科事典を引いてみる。日本大百科全書の記事は紀田順一郎さんが執筆しており、「石川達三のいう「書評は文化批評であり読書指導でもある」という性格が、いよいよ強く求められている。」という部分が印象に残る。

両者から書評に関して今後調べるべき雑誌等の名前を拾う。
たとえば、
『退読書歴』(柳田国男 書物展望社 1933) 国会図書館デジタルで読める。
『出版月評』
『史学雑誌』
『日本図書月評』
『日本読書新聞』
など。ほとんどは、国会図書館まで出向いて調べるしかなさそうだ。

ほかに、「《書物展望》とか《ブック・レヴュー》などの書評誌が大正時代に入って創刊されたが,あまり長くつづかず,第2次大戦後創刊の《読書展望》《書評》(いずれも1949休刊),《本と批評》《50冊の本》(いずれも1981休刊)なども存続できず,現在は《本の雑誌》など」、「週刊の《日本読書新聞》(1937創刊,1945復刊),《図書新聞》(1949創刊),《週刊読書人》(1958創刊),月2回の《ほるぷ図書新聞》(1968創刊)」も。

イギリスの《タイムズ文芸付録The Times Literary Supplement》,アメリカの《ニューヨーク・タイムズ書評紙The New York Times,Book Review》,フランスの《ヌーベル・リテレールNouvelles Literaires》も調べたい。こちらはかえって、インターネットが役に立つかも知れない。

(*注
文芸書以外の専門書の書評はそれぞれの専門誌の書評ページを観るのが良さそう。例えば、『天文月報 オンライン』。『季報唯物論研究』(国会図書館へ出向くか指定図書館へ行くこと)。『書評大全』(共同通信社)は図書館本館で読む。(禁帯出)県立図書館では帯出可。

先程の北大のページからの受け売り。
👇
CiNii Article: 「書評」「ブックレビュー」などの書評を示すキーワードを追加して検索します。


国会図書館リサーチ・ナビの引用:

戦前の書評を収録した例として、次のものがあります。

『書香』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(復刻版 緑蔭書房 1992 【Z21-B207】)
[範囲] 1930年~1938年
[備考] 「書評輯覧/書評展望」欄に、各種の新聞書評が要約・転載されています。索引はないので、刊行年から通覧します。

書評集のはじまりは、戸坂潤『読書法』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク【特501-202】(国立国会図書館デジタルコレクション)あたりとされていますが、これらの書評集に収録された書評を横断的に検索できる資料は、あまり見あたりません。国立国会図書館デジタルコレクションに目次データが採録されていれば、検索することができます。

(*注 『読書法』は青空文庫でも読める\(^o^)/


3-6.明治期~大正期の文芸書
明治期~大正期に、後刷りの末尾に書評が掲載される場合がありました。ただし、法定納本をもとにした当館蔵書に、そのような例は多くありません。

(例)乙羽生『累卵の東洋 : 政治小説』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク (5版 大橋又太郎 1899 【71-395x】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
巻末(跋と奥付の間)に約40点の書評が掲載されています。

ある著者が同じ出版社から出した別の本の巻末に、書評の転載が付けられる場合もありました。

(例)竹越与三郎『二千五百年史』国立国会図書館の所蔵情報へのリンク(訂補 二酉社 1916 【73-86ヘ】)(国立国会図書館デジタルコレクション)


具体的にはこうなっている。 「別の本」ではないが。





2021年6月20日日曜日

『解説屋稼業』(晶文社)は文庫本巻末などの「解説」ばかり集めたユニークな本

ARの「自発的」オシゴトとして、2つをやってみることにし、提案した。

(1)「過去から現在においてどのような書評が公開されていたかを調査/体系的な収集」と

(2)「(友の会の)コミュニティ・マネジメント」。

まずは、書評に関する調査とコミュニテイ・マネジメントの予備的試行とその評価をしてみよう。

「過去の書評情報」と「コミュニティ・マネジメント」を組み合わせるアイデアを思いついたが、これは両者が軌道に乗り始めたらしっかり考えたい。今考えているのは以下のような質問を手がかりにするというもの、「好きな書評(家)は、読みたい本(書評)は?」、「書評をさがす上で困っていることは?」、もっとありそう。

***

予約していた本を図書館で受け取る。今回も借りた理由を書いておく。

(1)嵐山光三郎『文人悪食』(マガジンハウス)

昨日のAR定例懇親会で紹介された本。

(2)鹿島茂『解説屋稼業』(晶文社)

昨日のAR定例懇親会で紹介された本。内容はかなりARにアップされているというが、あとがき代わりの「解説屋の解説」をはじめとする文章を紙の本でも読みたい。


(3)半藤一利『戦う石橋湛山』(東洋経済新報社)

稀有な政治家の考えやひととなりをしりたい。

(4)デイヴィッド・べロス『耳のなかの魚 翻訳=通訳をめぐる驚くべき冒険』(水声社)

同じ著者の『世紀の小説『レ・ミゼラブル』の誕生』が月刊ARの課題本だったことがある。

***

『2001:キューブリック、クラーク』(早川書房)を読み終えた。MGM関係者や試写を観に来たいわゆる映画専門家には、受けが悪かったが、若者中心の「新しい」観客には評判が良かったという。『白鯨」の例があがっていたが、『失われた時を求めて』も当初ジイドが評価しなかったのも思い出してしまった。

***

机上の模様替え。尊敬する方に倣って、コックピット風にした。


***

Jがワクチン接種(1回目)を受けてきた。体調問題なし。

2021年6月19日土曜日

新規図書館開拓

『2001年宇宙の旅』関連のビデオ。とりあえず、この2つが目にとまったので観ておきたいが、時間がない。

『スタンリー・キューブリック:FILMMAKERS/名監督ドキュメンタリー<映画製作の舞台裏>「ライフ・イン・ピクチャー」』

https://youtu.be/a0XVAnjLi3A


『2001年 神話の創造』

https://amzn.to/3wIzejZ

***

孫の世話のお手伝い。今日は夜ALL REVIEWSのオンライン打ち合わせがあるので、早く帰ってきたかったが、夕方私の不注意で指先に軽いやけどをおわせたので、心配なので母親が帰ってくるまで待った。ゆびさきが少し赤くなったようだが、水ぶくれにはなっていない。すぐ泣き止んで自分で指をなめている。念の為、流水で冷やしたり、保冷剤を触らせる。保冷剤は自分でかじろうとするのでやめておいた。

打ち合わせには、なんとか間に合ったし、夕食を摂る時間も取れた。

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「下馬図書館」に行ってみた。少し古い建物だが、広い公園の中に建っている静かな図書館。今後、お世話になるだろう。初回の記念に入り口で「リユース本」を頂いてきた。

石川九楊『書の終焉 近代書史論』(同朋舎出版)\(^o^)/




2021年6月18日金曜日

吉田健一入門には『新編 酒に呑まれた頭』などのユーモア・エッセイがおすすめだ

 夜、9時からALL REVIEWS定例(懇親)会。今日のお題は「食べ物または食べ物の本」。

鹿島茂さんが最初だけご出席。ゆで卵がお好きだとか。コーヒーの上手な入れ方はお湯の量を少し減らし、抽出後、その分のお湯を足すこと。紅茶は分量を正確に。

私の話は、以下の通り。





食堂車の話をしていたら、Jが子供の頃「はつかり」の食堂車で、石坂洋次郎を見かけたと言い出して驚いた。

2021年6月17日木曜日

書評の勉強はまずリソースから

JapanKnowledgeで「書評」をキーワードとして、日本大百科全書と世界大百科事典を引いてみる。日本大百科全書の記事は紀田順一郎さんが執筆しており、「石川達三のいう「書評は文化批評であり読書指導でもある」という(書評の)性格が、いよいよ強く求められている。」という部分が印象に残る。


両者から書評に関して今後調べるべき雑誌等の名前を拾う。

たとえば、

『退読書歴』(柳田国男 書物展望社 1933) 国会図書館デジタルで読める。

『出版月評』

『史学雑誌』

『日本図書月評』

『日本読書新聞』

など。ほとんどは、国会図書館まで出向いて調べるしかなさそうだ。また、国会図書館に泊まり込みたくなってきた。コロナ禍の今は、自由に行くことさえ、かなわないのだが。

ほかに、

「《書物展望》とか《ブック・レヴュー》などの書評誌が大正時代に入って創刊されたが,あまり長くつづかず,第2次大戦後創刊の《読書展望》《書評》(いずれも1949休刊),《本と批評》《50冊の本》(いずれも1981休刊)なども存続できず,現在は《本の雑誌》など」、「週刊の《日本読書新聞》(1937創刊,1945復刊),《図書新聞》(1949創刊),《週刊読書人》(1958創刊),月2回の《ほるぷ図書新聞》(1968創刊)」も。

イギリスの《タイムズ文芸付録The Times Literary Supplement》,アメリカの《ニューヨーク・タイムズ書評紙The New York Times,Book Review》,フランスの《ヌーベル・リテレールNouvelles Literaires》も調べたい。

こちらはかえって、インターネットが役に立つかも知れない。

***

『2001:キューブリック、クラーク』(早川書房)もどんどん読む。

冒頭の「人類の夜明け」の撮影で使われた特殊メークや、俳優たちの訓練と、その苦労話が面白い。キューブリックの苦労はその何百倍もであっただろう。彼の神経はどうなっていたのだろうか。常人には計り知れないところがある。

From Wikimedia Commons, the free media repository


2021年6月16日水曜日

『夢見る帝国図書館』(文藝春秋)を一気読み

『夢見る帝国図書館』(中島京子さん 文藝春秋)を一気読み。おもしろかった。素敵な本だった。


最初に出てくる話はこれについてだろうか。『帝国図書館設立案』を捜してみた。


あと、書中で引用されている本の一部は青空文庫で参照。


樋口一葉

https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person64.html

宮本百合子

https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person311.html#sakuhin_list_1


淡島寒月

https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person388.html

https://www.aozora.gr.jp/cards/000051/card47087.html

「図書館幻想」 宮沢賢治

https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4884.html

「出世」 菊池寛

https://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card500.html


***

BGMは以下の通り。アーティー・ショーはキューブリックの友人でクラークのSFのファンだった。それでキューブリックが『2001年』を作るときに、クラークを推薦したと、読みかけの本に書いてある。

Artie Shaw And His Gramercy Five Album #3
by Artie Shaw And His Gramercy Five
Clef Records (MG C-630)

https://archive.org/details/lp_artie-shaw-and-his-gramercy-five-album-3_artie-shaw-and-his-gramercy-five/disc1/02.03.+Dancing+On+The+Ceiling.mp3

 


Artie Shaw Plays Cole Porter And Irving Berlin
by Artie Shaw And His Orchestra
Lion Records (L70058)

https://archive.org/details/lp_artie-shaw-plays-cole-porter-and-irving-be_artie-shaw-and-his-orchestra/disc1/01.01.+What+Is+This+Thing+Called+Love.mp3


Artie Shaw Hour
by Artie Shaw And His Orchestra
Royale (1466)

https://archive.org/details/lp_artie-shaw-hour_artie-shaw-and-his-orchestra/disc1/01.01.+My+Heart+Belongs+To+Daddy.mp3


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書評本の分類番号はまちまちである例。

(1)『世界を知る101冊 : 科学から何が見えるか』の分類は404

(2)『書評大全』は019.9


2021年6月15日火曜日

マイケル・ベンソン『2001:キューブリック、クラーク』(早川書房)は映画製作の裏話がわかって興味深い

マイケル・ベンソン『2001:キューブリック、クラーク』(早川書房)を読み始めた。これは面白い。あっという間に200頁まで読んでしまった。ただし、全体は600頁ほどあるので、まだ三分の一だ。キューブリックとクラークの一方に偏らない立場での記述が好ましい。二人とも超個性的なのだが、監督と原作者では、監督のほうがもちろん絶対に偉い。その証拠には、MGMに売れるまでは、キューブリックがクラークの給料を払っていた。何度も企画案を書いて持っていっては、キューブリックにダメ出しをされるクラークはそれでも、根気よくアイデアを出し続ける。二人の付き合いのきっかけはキューブリックがクラークに天体望遠鏡の購入のアドバイスを求めたこと。もちろん、これは口実だったのだが、仲良くなるきっかけになった。


クラークの『失われた宇宙の旅 2001』(ハヤカワ文庫)も、これを機会に読み直したい。そして写真入りのメーキング本もあったような気がしたが、とりあえず見つからない。図書館で借りたのだったろうか。思い出せない。

***


図書館で5冊借りてきた。なぜ借りたかの覚えを書いておく。

(1)『モンテーニュ私記 よく生き、よく死ぬために』 保苅 瑞穂/著 筑摩書房
昨日まで読んでいた『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』の関連本。

(2)『夢見る帝国図書館』 中島 京子/著 文藝春秋
国会図書館好きとしては見逃せない。一昨年の出版から2年経ってやっと借り出せた。

(3)『77冊から読む科学と不確実な社会』 海部 宣男/著 岩波書店

(4)『世界を知る101冊 科学から何が見えるか』 海部 宣男/著 岩波書店
この2冊は、科学書の書評の勉強のため借り出した。

(5)『堀辰雄全集 第7巻上 ノオト』 堀 辰雄/著 筑摩書房
『堀辰雄全集』を購入すべきか、何冊か読んで判断したい。

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『三体III』に関するメルマガ巻頭言を書いたが、今夜送信された。

2021年6月14日月曜日

『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(講談社)は素晴らしい本だ


モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』を読み終えた。面白くてためになりしかも読みやすい、素晴らしい本だ。

270頁。
「なにかを書いてみようという心境に彼を追いこんだ孤独の源をなおも深ってみるとき、隠棲生活のはるかかなたにラ・ボエシーの死が秘められていたのである。」

若くして死んだ私の友人K君を想起する。

286頁。
「読んでみてもすぐには腑に落ちなくて肝腎の愉しみを味わえないときは、さっさとそこを飛ばして読む。あるいは別の本を読むかして自在に本とその読み方を操った。」

たとえばⅡの十を見よ。

297頁。
プルースト『読書の日々』。創作の前には本は読まないつまり「反読書論」。

298頁。。
書くことの意味。自己との対話。

300頁。
書くという営みの「異常な楽しみ」。

『エセー』最後の引用。「アポロンよ、どうか私が手に入れた幸福を、たくましい健康と、願わくは私のいっさいの知力をもって愉しむことを許し給え。また私の老年が恥多きものでなく、これからも竪琴を奏でられるように計らい給え(ホラティウス)」

自分もモンテーニュのように「愛した(塔のなかの)書斎に寛いで」、平静な死が迎えられるように準備をしておきたい。

これは意外に大切なことと思えてきた。死から目を背けないことが、よりよく今を生きることとつながるはずだ。

とりあえず、堀辰雄全集7巻上(筑摩書房)を図書館で予約し、自分の本棚から、『ドゥイノの悲歌』と、プルーストの「読書の日々」の入った本を取り出してきた。


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「Internet Archive で懐かしのLPを聴く」プロジェクト

Symphony No. 4 In E Minor, Op. 98
by Johannes Brahms; Eugene Ormandy; The Philadelphia Orchestra
Columbia Masterworks (ML 4017)

https://archive.org/details/lp_symphony-no-4-in-e-minor-op-98_johannes-brahms-eugene-ormandy-the-philade/disc1/01.01.+Symphony+No.+4+In+E+Minor%2C+Op.+98%3A+First+Movement%3A+Allegro+Non+Troppo.mp3

そしてAppleMusicから。



2021年6月13日日曜日

植草甚一さんの書く引用だらけの文章は書評と言えるのだろうか

 今朝、AR友の会のSlackで有益な情報をもらった。UTokyo OCW(OpenCourseWare)。

https://ocw.u-tokyo.ac.jp/about/


早速、柴田元幸さんの講義を聴いた。

https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_1188/

「幸福の追求(pursuit of happiness) 」の話。米国で言う幸福は日本で言う小市民的家庭的幸福ではなさそうだ。個人が自己実現を果たす(ときには他を蹴落として)のが幸福かも知れない。ともかく、小説になるのは主人公が幸福になる前まで。

思い出したので、学生時代の愛読書、植草甚一さんの『僕は散歩と雑学がすき』(晶文社)を出してきて、『幸福の追求』という小説の紹介記事を読んでみた。この作品では「幸福の追求」があきらかに皮肉られている。



ところで、植草甚一さんの引用が多い書評の書き方も参考になると思い始めた。


参考

https://1000ya.isis.ne.jp/0081.html

2021年6月12日土曜日

初夏の一日

朝、11時の駅頭。初夏の陽射し。孫(と父親と)を待つ。電車が到着するまでのドキドキワクワクする気持ちは、半世紀ぶり。まるで恋人との待ち合わせだ。


相変わらず。ミニーちゃんのぬいぐるみがお気に入り。誰とあったときよりもニッコリする。改めて、ウォルト・ディズニーの天才ぶりに感嘆する。


食事。米から炊いたお粥がうまいらしい。むべなるかな。


昼寝。昨夕、発熱で医者に行き、中耳炎を起こしかけているとされ、大きな耳垢がとれたとのこと。今朝は恢復したのだが、薬をもらったせいか、よく眠る。昼寝にしては長い。二時間半。


また、来週。


***

疲れたのでこれを聴くのが快い。

Concert No. 7 / Concertone
by Wolfgang Amadeus Mozart; Yehudi Menuhin; Alberto Lysy; Bath Festival Chamber Orchestra

https://archive.org/details/lp_concert-no-7-concertone_wolfgang-amadeus-mozart-yehudi-menuhin-alb/disc1/01.01.+Concerto+No+7+In+E+Flat+Major+K.268%3A+Allegro+Moderato.mp3


2021年6月11日金曜日

保苅瑞穂『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(講談社)の読みやすさは天下一品だ

保苅瑞穂『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(講談社)を読み進める。昨日も書いたが、この方の文章は実に読みやすい。読むと同時に、内容が自動的に頭にインプットされる感じがする。どうすれば、このようなわかり易い文章が書けるのか。その意味でもこの本を熟読したい。

そして、読んでいると、モンテーニュがどのような心構えで『エセー』を書いたのかが、簡単にわかる気になってしまった。モンテーニュの心構えそのものが、すとんとこちらの腑に落ちる。そうだ、私のブログ(日記)もこんなつもりで書いているのだった。同志が居て嬉しい。愛読している『トーマス・マン日記』はときどき、文学者の俺(マンのこと)って偉いだろうというところが鼻につくことがあるが、『エセー』にはそんなところはなさそうだ。少なくとも、保苅瑞穂さんの筋の通った解釈では、モンテーニュの等身大の姿が描かれているし、モンテーニュは『エセー』を書き、そして書き足しながら、生の自分の姿を写し取ろうとしていることがよく分かる。

31頁。
『エセー』はおよそ20年にわたる執筆の過程そのものが一つのドラマとなった本である。

46頁。

「IIの18章」を引用。読者におもねらないだけでなく、不誠実も許さない。
「言葉は魂の代弁者。」

原二郎先生訳『モンテーニュ 下巻』344頁。「死は生と同じく、われわれの存在の本質的な一部分なのだ。」

52頁。
6年前出版の『エセー』に盛んに加筆。プルーストが後に『失われた時を求めて』でやったように。

68頁。
「自分を貸すのはいいが、自分を与えてはならない。」意訳すると、組織に心を売るな。

73頁。
(自分の)理性の奴隷以外の奴隷にはならない。相手が国王でも。

82頁。
狂気の世間の中でのモンテーニュの態度。そしてそれを真似ようとして失敗したツヴァイク。

原二郎先生の『モンテーニュ 全2巻』(筑摩書房)をひっくり返しているうちに、「詳細目次」が巻末についていたのの気づく。高円寺の古本屋さんで買って以来数年経っているのに、うかつな話だ。要するによく読んでいない。反省する。索引もちゃんとしている。



2021年6月10日木曜日

『三体III 死神永生』を読み終えても「三体ロス」にならないわけは……

『三体III 死神永生』読み終えた。終わりははじまり。繰り返し読むに足る作品。


とりあえず、読後感を書いてみた。まだまだブラッシュアップの必要がある。

三体III 死神永生』(早川書房)を読んだ。劉慈欣さんの国際的ベストセラーSFの第3部でシリーズ完結編である。日本語訳は大森望さん、光吉さくらさん、ワン・チャイさん、泊功さん。翻訳臭がなく、読みやすい素晴らしい訳文である。地球文明よりはるかに進んだ「三体文明」の地球侵略に対抗する戦いを描いた前2作のスケールをさらに凌駕する壮大なSFロマンで、読者を遥かな時空のかなたに連れて行く。

2019年に第1作、2020年に第2作を手に入れて読んだが、その当時「三体ロス」という言葉が流行った。私もそうだが、その面白さにしびれた日本の読者が、早く次回作を読みたくて言い出した言葉と思う。私には今回は「三体ロス」は起きなかった。なぜか。

私の場合の「三体ロス」解消の最大原因は、本訳書の本文にあった名言による。いわく「すべてが移ろいゆくこの世の中で、死だけが永遠だ」(日本語訳下巻108ページ)。主人公を代表とする人々、地球文明や三体文明、そして宇宙とその基礎となる物理法則、これらすべてがこの物語のなかで生まれ、変化し、消えて行く。我々が絶対の物理法則と信じている光速ですら変化する可能性を持つとされ、物語の中で実際に変わっていく。皆が絶対不滅と思っていることが変わっていく。劉慈欣さんは言外にイデオロギーの違いなどで争うのは無意味だと言っていると思えてきた。この境地に至れば、「三体ロス」など問題にならない。

変化する物のなかでより長い生命を保つものに、「言葉」がある。数千万年後の人へのメッセージとして岩盤に文字をきざむ話が出てくる。子供向けのおとぎ話を使って密かに情報を伝えるエピソードも出てくる。文学はその多義性・曖昧性により、かえって他よりも強力な情報伝達力を持つということが示される。ここも劉慈欣さんのメッセージに完全アグリーであるし、この『三体』のテキストそのものも言外に私の考えているよりはるかに多くのことを語ろうとしていることに、驚きを感じる。

もう一つ、私が注目したのは「冬眠」だ。登場人物は何回か冬眠して不遇な時代をやりすごす。物語進行をスピードアップする著者の高度なテクニックなのだが、冬眠後蘇生して新たな時代の課題に敢然と立ち向かう主人公のすがたに憧れてしまった。私もできるなら冬眠して、今よりもっと複雑で困難な世界と対峙してみたい。

すべての『三体』ファンの皆様は当然『三体III』を読むべきだし、当然読むであろう。そして、はじめての方には『三体III』からこのシリーズを読み始めるのをお勧めしたい。3部作の中でもっともロマンチックで、もっとも読みやすい。ストーリー以外の道具立ても魅力的で、例えば『ドラえもん』の「どこでもドア」を思わせるガジェットも出てくる。ハインラインの『夏への扉』へのオマージュかも知れない。


***

保苅瑞穂『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(講談社)を読み始める。面白い。娯楽作品である『三体』よりもすらすら読めるのが不思議だ。

2021年6月9日水曜日

『夜も昼も』はコール・ポーターの伝記映画というよりミュージカル・ナンバーの紹介映画として優れている

『夜も昼も(字幕版)』を昨夜から今朝にかけて観た。

監督 マイケル・カーティス
出演 ケイリー・グラント, アレクシス・スミス

From Wikipedia, the free encyclopedia

コール・ポーターの伝記風の映画。当時のミュージカルの様子を垣間見ることができる。ガーシュインは貧困の罠に落ちていたが、コール・ポーターは金満の罠に落ちていたらしい。映画だと、第一次世界大戦で足を負傷しているのだが、これは事実なのか。調べなくてはならない。

***

『三体III 死神永生』昨日の続きを読み続ける。

115頁。
危機への対策は掩体計画など、三通り。

117頁。

二通り目。暗黒領域計画。低光速度の罠。
三通り目は、光速宇宙船プロジェクト。

171頁。
主人公はまた冬眠。三度目。私も冬眠して未来の世界を見たくなってきた。

178頁。
直径8キロの円筒形の宇宙都市。『宇宙のランデブー』のラーマは40キロだった。

243頁。
三体人よりもっと進化したエイリアン。善悪の基準が違うので、邪悪とか善良とかの議論はできない。でもともかく、地球を大ピンチに陥れる「双対箔」を無造作に投げる。太陽系の座標を知らせたのは、『三体I』のヒロイン。

明日には読み終えるだろう。とりあえず、読後感を第一稿として書いてみよう。

2021年6月8日火曜日

『三体III 死神永生』を読むのが、おかしろくなってきた

『三体III 死神永生』昨日の続きを読み続ける。

下巻

上巻402頁。

軌道エレベーターも出てきた。体力がない人が宇宙に行くのに向いている。ロケットと比べ、加速度があまりかからないから。この本では3G以下としている。

下巻に入る。

面会時に「検閲」に引っかからないために、主人公が編み出した情報伝達手段がおとぎ話。伝えられた側は、二段階のメタファーを解読するのに四苦八苦する。そもそも69頁を読むと、「曖昧で多義的であることこそ、まさに文学的表現の核心です。」と書いてある。

15頁。
饕餮の海」という単語が出てくるが、(とうてつ)とはなかなか読めない。いま、かなで入力したら漢字が出てきたがすごい。知らなかったのは私だけか?妖怪のことらしい。

80頁。
太陽が破壊され爆発した後も生き残るには、地表が吹き飛ぶ地球を捨て、木星他の巨大惑星の裏側に隠れる。その後、生き延びるには、資源が必要。水も。水はエウロパにある。ここもクラークを思わせる。

90頁。
光速近くにまで速度をあげるには、「曲率推進」が使える。まだ意味がわからないが。

108頁。
すべてが移ろいゆくこの世の中で、死だけが永遠だ。」これは脱出不可能な渦のなかの船上でのセリフ。この渦はエドガー・アラン・ポーの名作からきたものだ。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000094/card2075.html

111頁。
低光速太陽系ブラックホールは外界から閉ざされる。中にいるものは安全。饕餮の海で隔てられたおとぎ話の王国のごとく。

ますます、奇想天外で面白く楽しくなってきた。つまりおかしろい

***

以下を聴きながら読んだ。


Concerto No. 1

by Pyotr Ilyich Tchaikovsky; Emil Gilels; Fritz Reiner; The Chicago Symphony Orchestra

https://archive.org/details/lp_concerto-no-1_pyotr-ilyich-tchaikovsky-emil-gilels-fritz_0/disc1/02.02.+Concerto+No.+1+In+B-Flat+Minor%2C+Op.+23%3A+Third+Movement%3A+Allegro+Con+Fuoco.mp3


4 Suites ( Ouvertures )

by Johann Sebastian Bach; Mainzer Kammerorchester; Günter Kehr

https://archive.org/details/lp_4-suites-ouvertures_johann-sebastian-bach-mainzer-kammerorches/disc1/01.01.+Suite+No.+1+In+C+(+For+2+Oboes%2C+Bassoon%2C+2+Violins+And+Thorough-bass+)+BWV+1066%3A+Overture.mp3


The Complete Cole Porter Songbooks

https://music.apple.com/jp/album/the-complete-cole-porter-songbooks/1429115920


コール・ポーターの曲はまとめて聴いておくと、ジャズを聴くのがもっと楽しくなると思った。

2021年6月7日月曜日

『三体III 死神永世』上巻を読む、物語は佳境に入った

Y市の予約システムでJの1回目のワクチン接種予約がとれた。6月20日。それは良かったのだが、2回目の予約をどうとればいいのか、あるいは集団接種会場でとるのか、よくわからないシステムだ(T_T)

常識的には、1回目の接種会場でか、またはそこでの指示で再度システムを使うのだろう。不安なので電話で訊こうと考えたが、話し中でまったく通じない。システムのページのなかの説明が不足しているのだが、原因は接種実施側の準備不足だろう。初めてのことなので仕方ないというべきか、大切なことなのだからもっと万全の体制でやってほしいというべきか。わからない。

ひとまず、我が家のワクチン接種は4分の3回が、予約済み。Jの1回目は私の1回目日程(かかりつけ医で予約)より、一ヶ月近く早い。うーむ。

***

今日は、ガーシュインでなく、ジェローム・カーンとコール・ポーターの名曲を聴く。

Music Of Jerome Kern
by Jerome Kern; André Kostelanetz And His Orchestra



懐かしい名曲揃い。


Cole Porter on a Steinway, Vol. 1


***


午後はずっと『三体III』上巻を読み続ける。以下、小ネタバレあり。

146頁。

〈万有引力〉なる名前の宇宙船は、先日大きな役割を果たさないだろうという予測を書いたが、大外れ。不明を恥じる。

163頁。

主人公の冬眠後の生活ぶりは、クラークの『3001年終局への旅』を彷彿とさせる。

187頁。
三体人が地球人には真の姿を明かさない。これはクラークの『幼年期の終り』だ。

228頁から229頁。
重力波通信のアイディア。素晴らしい。

284頁。
すべての地球人が一旦、難民と化する。ここは小松左京の『日本沈没』の記述のスケールアップ。

325頁。
ついに重力波通信の実行。これは物語展開に大きな影響をおよぼす。

352頁付近。
4次元世界の体験記が興味深い。

先人へのオマージュだけでなくオリジナルなアイディア満載で、それを物語中に違和感なく語り続ける劉慈欣さんの筆力に敬服。


もうじき上巻を読み終え、下巻に突入する。来週の火曜日までにこの本の感想を書かなくてはならない。うまく間に合いそうだ。

2021年6月6日日曜日

『私的読食録』(プレジデント社)は面白すぎてなかなか読みきれない「食べ物」本の書評集

今朝、土曜日の朝日新聞夕刊を読んだ。毎月第一土曜日に富永京子さんが「モジモジ系時評」を連載中だ。新聞のコラムを書くのは、海に流した瓶詰めの手紙のようなもので、いつか「目指す人」に届けばいい、とのこと。思わず膝を打ってしまった。

今、時々書いているメルマガの「巻頭言」も、読者からのフィードバックは皆無に近い。それでもいつかどこかである読者に読んでもらって、返事をもらわないまでも、何かその人の心を打つことができたらいい。徒労と思わずに済む。

***

夕食用の買い物ついでに、図書館に行ってきた。持ち帰ってきたのは6冊。いや、間違って自分の本『文学部唯野教授』(岩波書店)を持っていってしまったので、計7冊。食材と合わせるといつもの買い物袋にはいらず、エコノミーバッグも動員した。重かったが、両肩に荷物をぶら下げると、バランスは取りやすい。

あとになると忘れるので、なぜ借りようと思ったかをメモしておく。

(1)『穂村弘ワンダーランド』(沖積舎)、穂村弘の「ニューウェーブ」短歌を勉強したかった。きっかけは新聞夕刊の記事。

(2)『モンテーニュの書斎』(講談社)、『エセー』を日記のお手本として参考にするため。

(3)『民主主義を信じる』(青土社)、6月度月刊ARの課題本。

(4)『はじめてのウィトゲンシュタイン』(NHK出版)、これもきっかけは新聞記事。

(5)『私的読食録』(プレジデント社)、AR定例会「食べ物」の参考書。

(6)『アーカイブの思想』(みすず書房)、索引テーマ系の本。

食の観点からの秀逸な書評集だ。

(5)と(6)は借り出し期間を延長しても読みきれず、また借り直してきた。このぐらいになると、全部読んでいなくても、読んだような気になる。自前積ん読本と同じ様になる。そういえば、『文学部唯野教授』も長らく読んでいない。

2021年6月5日土曜日

重力波検出には昔のHiFiオーディオ技術が役に立つという

土曜の朝は朝日新聞の書評欄チェックで始まる。今朝の注目書評は須藤靖先生が書かれた「ユーモアたっぷり 驚きの日常」で、エミリー・レヴェックさんの『天体観測に魅せられた人たち』についてのもの。

「天文学者の日常と観測天文学の魅力を伝えてくれる」と評しておられる。「天文学者の日常」に関するエピソードが盛りだくさんで面白い、とのご意見には大いに賛同する。ただし、「観測天文学の魅力」がいかなるものかについては、読者にまかせるつまりこの本を読みなさいというスタンスだ。

私がしばらく前に書いた、書評とはもちろん言えない、文章では、「観測天文学」が現在どのようになっているかについて、苦労して書いた。その一点だけは私の文章の勝ちかなと、一瞬おもったが、想定読者がちがう。須藤先生のものは、広く一般向けに書かれており、読みやすい。私のは、天文学の生半可な知識を振り回しており、読者への訴求力に乏しい。

「天文学界隈」でのジェンダー不平等問題にもきちんと須藤先生は触れておられる。私は難しくて避けて通った。

良い書評を書くというのは難しい。でも、同じ本に関する文章を「プロ」のものと比べるのは、勉強になる。こんな機会をもっと作りたい。

***


朝食と掃除をそこそこにして、孫の世話の手伝いにでかけた。行きの電車のなかで『重力波は歌う』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)を読み始める。MITのライナー・ワイス教授(重力波観測所LIGOの創設者のひとり)のインタビューは、HiFiオーディオ装置自作の話から始まる。重力波の観測では微弱な重力波をいかに雑音のなかから検知するかが問題で、まさにHiFiの分野なのだそうだ。おもしろい。目的地にはすぐ着くので、話の途中で本を閉じる。

2021年6月4日金曜日

『三体III 死神永生』にもクラークへのオマージュがひそませてあるようだ

「Internet Archiveで懐かしいLPを聴く』プロジェクト。今日の一枚。

Violin Concerto / Violin Concerto No. 1 In D Major
by Yehudi Menuhin; Jean Sibelius; Niccolò Paganini

https://archive.org/details/lp_violin-concerto-violin-concerto-no-1-in-d_yehudi-menuhin-jean-sibelius-niccol-pagani/disc1/01.01.+Violin+Concerto+In+D+Minor%2C+Op.+47%3A+First+Movement%3A+Allegro+Moderato-Largamente-Allegro+Molto-Moderato+Assai-Allegro+Moderato-Allegro+Molto+Vivace%3B+Second+Movement%3A+Adagio+Di+Molto%3B+Third+Movement%3A+Allegro%2C+Ma+Non+Tanto.mp3


***


『三体III 死神永生 上』を本格的に読み始める。今週ずっと悩まされている風邪で、眠気が襲ってくるのだが、面白さが眠気に勝っている。でも早く読み終わるともったいないので、楽しみながらゆっくり読むように心がける。

今読んでいたり、これから読むひとも多そうなので、公開のブログには、ネタバレは書けない。引用もあまりしないほうが良いと思う。すると、当たり障りのない感想や、周辺知識を書くしかない。とりあえずは仕方ない。

自前本なので、カバーを外して読めるのはありがたい。ここぞと思ったところには、赤鉛筆で思い切りマークをつけたり線を引く。「階梯計画」というモノが出てきた。赤鉛筆で丸をつけた。大切そうに思えたからだ。でも少し先に行くとそうでもないかと思える。しかし、この物語の特徴はどんでん返しだろうから、覚えておくに越したことはない。

「万有引力(グラビティ)」という名前の宇宙船が出てくる。重要な役割は果たしていないと(素人ながら)思えるが、その形が完全な円筒形というところがいい。アーサー・C・クラークの『宇宙のランデブー』に登場する謎の宇宙船そっくりだ。ここでも劉慈欣先生はクラークへのオマージュを織り込んだのだろう。

普通なら、ここでクラークの『宇宙のランデブー』シリーズを読み始めるところだが、それをすると、来週中に上下巻を一旦読み終えようという計画がだめになる。再来週の火曜日のメルマガ巻頭言には『三体III 死神永生』を取り上げたいのだ。どう書くべきかはまだ五里霧中。


なお、『三体』や、『三体II』のなかのクラークへのオマージュについては、このブログに書いてある。暇な方はキーワードとして三体とクラークを右の窓に入れて、検索願いたい。

2021年6月3日木曜日

ボイジャー社のEPUB書籍出版ツール 「Romancer」をちょっと使ってみた

昨日(2021年6月2日)の朝日新聞夕刊、「考える read & think」の面は読ませる。たまにこういう興味深い内容の紙面がないと購読している意味がない。穂村弘さんや古田徹也さんの本の紹介が目を引いた。

歌人の穂村弘さんの「シンジケート」などの歌集を読みたいが、まず、Twitterで関連BOTをフォロー。図書館で『穂村弘ワンダーランド』を予約。

『シンジケート[新装版]』は図書館で新たに買ってもらうことを狙う。今度、申し込んでみる。

一緒に、『はじめてのウィトゲンシュタイン NHKブックス』(古田徹也)も予約した🙌

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EPUB書籍出版ツール 「Romancer」 の 「NRエディター」を使って見た。かんたんなEPUB形式の書籍はすぐ作れる。こまかいレイアウト編集は無理。今の所、β版で無料だししかたないか。一般向けは正式版でも無料になりそう。機能制限はある。

https://romancer.voyager.co.jp/


文句を言う前に、これをよく読まないと!「NRエディター制作マニュアル」。

https://romancer.voyager.co.jp/how2makebynreditor

そして、表紙、奥付も作れる。

https://romancer.voyager.co.jp/frontier

今度、自分の巻頭言集の書籍を作ってみよう。名刺代わりになる。

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「Internet ArchiveでなつかしのLPを聴く』プロジェクト。今日の収穫は……

Sonaten Schubert D-Dur D 850, A-Moll D 784 - Liszt H-Mol
by Franz Schubert; Franz Liszt; Emil Gilels

https://archive.org/details/lp_sonaten-schubert-d-dur-d-850-a-moll-d-784_franz-schubert-franz-liszt-emil-gilels/disc1/02.01.+Sonate+F%C3%BCr+Klavier+Nr.+18+D-Dur+D850+(Ende)%3A+Scherzo%3B+Allegro+vivace.mp3

2021年6月2日水曜日

フランス語初心者の私がミレイユ・マチューの自伝(『OUI JE CROIS』)を読む方法を考えた

夕方、買い物に出ようとしたときに、お見送り勢が三匹いた。


そして、買い物直後に、AR友の会公式アカウントで、以下のツイートをした。

週刊ARメルマガ100号記念記事などを、3種紹介します。

鹿島茂さんのお祝いメッセージ。
https://allreviews.jp/news/5484

巻頭言「編集長」兼執筆者hiro💦へのインタビュー記事。
https://note.com/allreviewsjp/n/n51a6e6300c05

過去の巻頭言総集編。
https://note.com/allreviewsjp/m/m33550ebf395e

(hiro)


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「Internet ArchiveでなつかしのLPを聞き倒す」プロジェクト、今日の実績。

これはいい!
👇
Symphony In D Minor
by César Franck; Boston Symphony Orchestra; Charles Munch

https://archive.org/details/lp_symphony-in-d-minor_csar-franck-boston-symphony-orchestra-char/disc1/02.02.+Third+Movement%3A+Allegro+Non+Troppo.mp3


Concerto In G / Concerto No. 2
by Maurice Ravel; Sergei Prokofiev; Nicole Henriot-Schweitzer; Charles Munch; Boston Symphony Orchestra

https://archive.org/details/lp_concerto-in-g-concerto-no-2_maurice-ravel-sergei-prokofiev-nicole-henr_0/disc1/01.01.+Piano+Concerto+In+G%3A+Allegramente.mp3

Piano Concerto In Gの2楽章( Adagio Assai)は必ず繰り返して聴く。


Heifetz on Television

https://archive.org/details/lp_heifetz-on-television_jascha-heifetz/disc1/02.03.+Scottish+Fantasy+For+Violin+And+Orchestra%2C+Op.+48%3A+Finale%3B+Allegro+Guerriero.mp3


このコレクションが充実していけば、自分のLPコレクションが不要になる……いや、捨て(たく)ないけど。👇
Unlocked Recordings (今日現在LP7959枚。毎日増加中😍 )https://archive.org/details/unlockedrecordings?&sort=-addeddate&page=14


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フランス語はほとんど読めないが、好きな歌手ミレイユ・マチューの自伝(『OUI JE CROIS』)はぜひ読みたい。邦訳はない。そこで次を試みた。

iPhoneのメモ帳で書類スキャン→PCメモ帳でファイルメニューからPDF書き出し→オンラインOCRで変換→これをDeepLで翻訳して読む。

この本は実は、Internet Archiveで読めるので、それを表示してスクリーン・キャプチャーし、オンラインOCRにかけてもいい。(その方が手順が省けて速い)

OCRの結果は以下。修正は入れていない。

1. LA MAISON POINTUE 

Lorsque du jour au lendemain à Paris, je suis devenue « Mireille Mathieu » la gagnante de la télé, la petite fille d'Avignon brusquement célèbre, à la Une de France-Soir... je ne fus pas autrement étonnée. C'était la réponse lumineuse à une prière que j'avais faite, fervente, ardente, un soir de détresse : « Seigneur, je suis toute petite, moi, je ne peux rien faire. Aide-moi à nous sortir de là. Je t'en prie, Seigneur, fais un miracle ! » Le miracle venait. J'étais heureuse.


DeepLで翻訳してほんのすこし手を入れた結果はこうだ。

1.小さな家 (?)

ある日突然、パリで「ミレイユ・マチュー」と呼ばれ、テレビのコンクールで優勝したり、アヴィニョン出身の小さな女の子が突然有名になって、フランス・ソワール紙の一面を飾ったりしても......別に驚きはしませんでした。それは、あの苦悩の晩に私が熱心に行った祈りに対する光り輝く答えでした。「主よ、私はとても小さく、何もできません。私たちをここから出すのを手伝ってください。どうか主よ、奇跡を起こしてください。"奇跡 "が訪れた。幸せでした。


ともかく、この本、なんとか読む見込みがたった。うれしい。

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書評に関して情報を仕入れた。新聞書評をまとめたサイトを教えていただいた。

「いい本のまとめ 新聞の書評欄に掲載された本」http://iihon.boo.jp/np/week/20210516.html

雑誌や、地方新聞を含め、新規書評をキャッチするAR友の会(or一般AR読者)SNSシステム?というアイデアもいただいた。これを実現するのも面白そうだ。先日開発された「みんつぶ文学賞」システムを使うのがいいかも。