2020年2月6日木曜日

「異次元空間」としての図書館(室)

2月5日に、ALL REVIEWSに掲載された「作家論/作家紹介」の記事。
https://allreviews.jp/column/3722

冒頭に村上春樹の『カンガルー日和』が紹介されている。野谷先生のおっしゃるとおり「彼(村上春樹)の作品世界を考えるための手掛かり」を与えてくれる本だ。収められた話のうちで最後の「図書館奇譚」は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に通じるものがあるという。


『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』では、図書館で奇想天外なモノを「読む」ことになるのだが、「図書館奇譚」では、読むものよりも、図書館の存在そのものが不思議な空間となっている。この不思議空間には『羊をめぐる冒険』と同様な変な登場人物(羊男)が登場する。



図書館という場所は、通常空間とは違うと思っている。どんな本でもそのなかには異なる時間と空間が詰まっている。図書館に通う人の頭の中にも特異な時間と意識の流れがあり、それらが入り混じって独特な時空を創り出す。

多数の文学作品が図書館を舞台にしているのは、このせいだろう。図書室まで考慮の範囲を広げると、もっと面白い。『白鳥の歌なんか聞こえない』(庄司薫)はその典型例か。そして最近読んだマコーマックの『雲』も、図書館と図書室と(そして古本ないしは古本屋)をキーワードにして読むと、面白く読める。

自宅の中に異次元空間を創りたければ、愛読した本を並べれば良い。

(書き終えた後寝る前に思い出した。

異次元空間としての図書館なら、ブローティガンの『愛のゆくえ』だ。昭和50年版の新潮文庫で読んだ。
https://allreviews.jp/isbn/4102147012

今手に入るのは、こちららしい。
https://allreviews.jp/isbn/4151200215



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今朝Twitterで見つけた情報。
https://zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/item/genre07/category07-04/
廃刊船舶雑誌が二種類読める。面白そうだ。

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