2019年7月31日水曜日

『シェークスピア・アンド・カンパニイ書店』は愉快な本だ

『シェークスピア・アンド・カンパニイ書店』(シルヴィア・ビーチ 中山末喜訳 河出書房新社)を190ページまで読む。ほぼ三分の一。もちろん『ユリシーズ』はなんとか出版された。ジョイスの生計はもちろん、目の病気の面倒まで見てやっている。随分惚れ込んだものだ。そして英国と米国の執拗な妨害にもめげない。

ヘミングウェイも出てくるが、こちらには逆に頼っていたようだ。他にも多くの文学者たちとつきあう。彼女(ビーチ)のやっているのは、単なる書店でも出版社でもない。本とその出版そして本をめぐるコミュニティが本当に好きなのだ。開業資金を母親に出してもらったのが良い影響を与えた。

このあたり、ALL REVIEWSでも参考にしないといけない。

『ユリシーズ』(丸谷才一他訳)、そして『Shakespear and Company Paris A History of the Rag & Bone Shop of the Heart』(これは昨年息子からパリ土産としてもらったもの)を横において眺めながら読む。面白い。



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ALL REVIEWSのビデオからの書き起こし作業を開始した。担当は15分間分。1時間で2分半をやったら疲れた。このペースならあと5時間かかるだろう。徐々になれてくるとスピードも上がり、疲れなくなると思う。

2019年7月30日火曜日

「日本近代文学館 夏の文学教室」へ行ってきた



「日本近代文学館 夏の文学教室」に出かける。有楽町。よみうりホール。鹿島先生のお話もある。「三島由紀夫とフランス文学」。

行き帰りには、シルビア・ビーチの本を読もう。そういえば、お土産本で『Shakespeare and Company PARIS』という本もあるので、帰ってきたら拾い読みしよう。ジョイスの『ユリシーズ』もこの春、古本屋で買ってある\(^o^)/

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☓☓暑い中を出かけた。永田町で乗り換え。かなりの期間通勤で通っていた。ホームドアが出来て、景色が違う。会場についたのは20分前の開場と同時だが、すでに半分くらい席が埋まっている。ALL REVIEWSでの知人も来ていた。チラシもあった。



公演のお一人目は赤坂真理さん。天皇についてのお話だが、最後にワイツゼッカーの話のところで、涙を流しておられた。悪いが意味がわからなかった。

二人目が鹿島茂先生。「三島由紀夫とフランス文学」三島の心性とカトリックの関係の話。秩序のない時代に自ら秩序を生み出しそれを乗り越えたがる。結局学生運動が挫折して自分で秩序のない世界にしようと直接行動に出るがうまく行かず自刃する。
ラディゲが好きだったらしい。でも共通点はあるのか…明日、ラディゲ全集を出してこなければなるまい。三島全集は駅前の図書館に揃っているので、何冊か目を通そう。鹿島先生の三島に関する本『三島由紀夫のフランス文学講座』は、古本なら手に入る。どうするか…

三人目は京極夏彦さん。存在感の塊。『遠野物語』を現代語訳した話。『遠野物語remix』と『遠野物語拾遺retold』だ。図書館にある。柳田国男は内閣府法制局参事官だったそうだ。

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先日の月刊ALL REVIEWSのバンド・デシネ話の書き起こしの仕事がきた。

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今日出た、「週刊ALL REVIEWS」の巻頭言も、先週に引き続き担当させていただいた。画像でご披露。


2019年7月29日月曜日

暑さがこたえる梅雨明け日

やっと梅雨明け。夏空が恋しいなどと言っていたが、いざ暑くなると涼しさが恋しくなる。人間は勝手なものだ。

暑くても、用足しがあれば出かけなくてはならない。お盆のお墓参り用の、卒塔婆を書いてもらう依頼状と礼金とをお寺に書留で送る。郵便局へ。日陰を拾って歩く。夕方、滞納していた自動車税の払込に、コンビニへ行く。日が陰っているが、蒸し暑さは変わらない。

読みかけの『百鬼園戦前・戦中日記』には、暑い中を「錬金術」(要するに借金)をしに歩いて、結滞を起こす姿が描かれている。その気持はよく分かる。豊富に金があれば、暑さなどはそれほど気にならないだろう。

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『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』(シルヴィア・ビーチ 中山末喜訳 2011年 河出書房新社)を50ページまで読む。面白い。最初は戸惑っていた筆が、30ページ(?)あたりから冴えてくる。だんだん、知った人物が出てくるからだろう。50ページ付近になって、ヘミングウェイが少しだけ出てきて、ジョイスが荘重に登場する。これからが、楽しいところだろうが、読書を打ち切って、オシゴトをしなければならない。

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週刊ALL REVIEWSメールレターの巻頭言を書く。今回は『三体』のことを書いた。500字。今日、Twitterでは、日本語版が十万部を超えたと伝えられた。めでたいことだ。面白いから当たり前なのだが。部数はもっと増えるだろう。メールレターは明日夜に出る予定だ。

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図書館で三冊借り出した。シートンの自叙伝は楽しみ。


2019年7月28日日曜日

バンド・デシネの話を聞いてきて、思いついた二人…ロマン・ユゴーとグランヴィル

『紙の動物園』の目次つまり短編題名。あとで英語題名も追加しよう。

紙の動物園
もののあはれ
月へ
結縄(けつじょう)
太平洋横断海底トンネル小史
潮汐
選抜宇宙種族の本づくり習性
心智五行
どこかまったく別な場所でトナカイの大群が
円弧(アーク)

1ビットのエラー
愛のアルゴリズム
文字占い師
良い狩りを

やはり表題作が印象的。「文字占い師」も悲しいが名作。「1ビットのエラー」はなかなか売れなかった作品だが、難しすぎたのだろう。
水準以上の作品が揃っている。科学ネタの取り上げ方はクラークを思わせるし、詩情あふれるところはブラッドベリ風。ハイラインの『夏への扉』も思い出した。

次は『母の記憶に』を図書館で予約。

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昨日の専修大学での月刊ALL REVIEWSイベントで、バンド・デシネの話を聞いていて、ふと飛行機に関するバンド・デシネはないかと思いついた。調べてみたら、ロマン・ユゴー(Romain Hugault)がいた。『雲の彼方 オドゥラ・デ・ニュアージュ』など、面白そうだ。ほしいなあ。飛行機の絵の勉強にもなりそうだ。

昨日もうひとつ、思い出したのが、フランスの風刺漫画家のグランヴィル。今朝はもっと思い出して、植草甚一先生の『ぼくの大好きな外国の漫画家たち』を出してきた。このなかに、「挿絵画家グランヴィルのビザールな世界」という文章がある。
Internet Archiveを探すと、彼の挿絵の入った本がたくさん出てくる。たとえば、ラ・フォンテーヌの『寓話』。下の絵は、その中の「アリとキリギリス」だろう。

2019年7月27日土曜日

月刊ALL REVIEWS ノンフィクション部門第7回への参加印象記

以下に参加します。
【月刊ALL REVIEWS・イベント】
ノンフィクション部門第7回のゲストと対象本の正式発表です!
(フィクション部門のメインパーソナリティは鹿島茂さん)
イベントへの参加、今回は一般無料ですが、友の会優先予約と致します。

【ゲスト】原正人さん(バンド・デシネ研究家・翻訳家)

【対象本】

■主対象本
・『かわいい闇』(河出書房新社)
マリー・ポムピュイ、ファビアン・ヴェルマン作、ケラスコエット画、原正人訳https://allreviews.jp/isbn/4309274900

■副読本
・『年上のひと』(リイド社) バスティアン・ヴィヴェス、原正人訳https://allreviews.jp/isbn/4845860198
・『フランス絵本の世界 ―鹿島茂コレクション』(青幻舎) 鹿島茂https://allreviews.jp/isbn/486152637X
【日時】2019年7月27日(土)17:00~
【場所】専修大学 神田校舎 7号館(大学院棟) 8階 781教室
東京都千代田区神田神保町3-8 

ここまでは出かける前に書いた。

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会場、専修大学の近くは、神保町の交差点からほんの少しのところだが、静かな佇まい。
少し腹が減った気がして、「てんや」に入ろうとしたが、気が変わってやめた。やめなければ、フランス語の達人の友人に会えたはずと後で知った。

三分前にはほぼ全員が揃い、イベント開始。



「バンド・ドシネ」とはフランス・ベルギーのちょっと豪華なマンガ本のことだが、いままで殆ど知らなかった。日本のマンガとも、影響しあっているそうだ。課題本『かわいい闇』を見せてもらったが、面白そうだ。少し残酷で子供向きではない。

『年上のひと』は、コレットの『青い麦』と似た話だそうだ。そうならばこの本、ほしい。

最後に、サドゥールの『現代SFの歴史』を鹿島さんが訳していると知り、速攻で図書館に予約入れた。インターネット、便利。

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持参した『紙の動物園』を読みながら、電車往復。おかげさまで、戻ってすぐ読み終えた。素晴らしい。
ケン・リュウの本をさらに予約した。

2019年7月26日金曜日

『紙の動物園』と『シートン動物記』の関連性は…ない

『紙の動物園』(ケン・リュウ 古沢嘉通訳 2015年 早川書房)を読む。短編15篇のうち、5篇を読む。佳品が多い。特に表題作「紙の博物館」は詩情あふれた素晴らしい作品。「もののあはれ」は、静かで勇気のある日本人が主人公だが、クラークの『神の鉄槌』や、宇宙ヨットの話を思わせる。「結縄」は着想が優れている。学術論文からアイディアを得たのだろうか。



これに刺激されて、クラークの『神の鉄槌』を取り出して少し読んでみた。短編と長編の違いが如実。詩情と論理。

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空は青いし、暑い。台風が来そうなので(?)梅雨明け宣言はまだだが、ワタクシ的には、もう梅雨明けだ。

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朝、昨夜急に読みたくなった、『シートン動物記』を捜して読んでみた。たしか、子供の頃に読んだのは内山賢次訳。今、図書館にあるのは、その後の新訳のようだ。内山さんの訳本の中で、『りす物語』というのが、国会図書館デジタルコレクションのインターネット公開で読める。その冒頭に、シートンの簡単な伝記が書いてある。

大英博物館の貴重な自然博物関連書を読む許可を、まだ若いといったん断られながら、評議員(プリンス・オブ・ウェールズ他)に手紙を書いて、なんとか手に入れるという話が面白い。若くて、一文無しだったが、なんとか手を尽くして自分の好きなことに邁進する楽しさを、このとき知ったと、後にシートンは回想する。

内山さんの経歴も面白い。調べる価値あり。

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Open環境整備プロジェクト。
「Keep」でメモをしておくと、画面上ではメモ用紙をばらまいたように見えて、あとで原稿化するときの自由度が高くて良い。文章でメモを取っておくと、その順序にどうしてもとらわれる。

2019年7月25日木曜日

『蜜蜂と遠雷』やっと読むことが出来た…名作


『蜜蜂と遠雷』(恩田陸 2016年 幻冬舎)を一日で、ほとんど読んだ。最後のピアノ・コンクール本選の部分は、もったいなくてまだ残してある。以下、感銘をおぼえたところ。ネタバレほとんどなし。天才の演奏が人に感銘を与えること自体を、文章で伝えられるのは、素晴らしい。

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300頁
第二次予選終了。
音楽の、ピアノの事はよくわからない。しかし、演奏により宇宙を感じられるのは素晴らしい!
プロコフィエフのコンチェルト2,3番は聞いてみよう。バルトーク3番も。(後記:プロコフィエフ、素晴らしい)

339頁
リスト ピアノ・ソナタロ短調は、一楽章のみの曲。

415頁
コンクール中の主人公の「超弩級の進化」。

418頁
「天才のみが天才に影響を与える」。

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夕方、図書館でまた何冊か借りてきた。最近は好調なので、ほとんど読めるだろう。





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昨日コピーしてきた資料を見ていたら、終戦直後の東北大教養部のフランス語教育の様子がわかった。辞書すら満足にはない…原二郎先生も随分苦労されたようだ。


2019年7月24日水曜日

『コンタクト』読了。SF小説と他のSF小説たちとの複雑な関係性に気づく。

『コンタクト 下巻』を読了。以下もかなりネタバレなのでご注意。

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183ページ
紆余曲折を乗り越えて、出発したクルー5名は、多くのワームホールを通りぬけて遂に「目的地」に到着。ワームホールはどうもネットワークになっているようだ。地下鉄のように。216ページあたりまで読むと、この地下鉄道ネットワークのイメージは、『都市と星』から借りたのではと思えてくる。クラークへのオマージュ。

207ページ
エリーの「夢の父親」の言葉、「戦闘的な文明は、まずほとんどが自滅する。」は、この作品が宇宙人との「幸せな」接近遭遇にくみしていることを示す。ただし、エリーの周囲のほとんどの人はその反対に「不幸な」接近遭遇説をとる。『地球幼年期の終り』と比べる必要もある。

284ページ
失意のエリーは、「夢の父親」の示唆に従い、πの値をスーパーコンピューター(CREY)で計算しその無限の数の列中に究極の「メッセージ」を探そうとする。

それはいいのだが、訳文中に「プログラム修飾」という言葉が出てきた。「修飾」は「修正」だろう。modifyかmodificationを訳しそこねたようだ。コンピューターの専門家の校閲を受けてない翻訳で、ちと残念。この作品の価値を大きく損なうわけではない。翻訳の難しさを物語る例。

最後に、「メッセージ」が見つかったと、システムがエリーに知らせてくるところで、物語終了。

トータルで考えると、まずまず面白い作品だった。そして、SFは他の無数のSFを糧として作られるものだと改めて気づいた。科学論文を書きなれたセーガンなら、これは当たり前だったのだろう。セーガンの天文学上の業績を調べ、論文も少し読んで見たくなった。

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昼前にALL REVIEWSのオシゴトで書評OCR作業を一件こなす。三週間ぶり。

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相模大野のデパートの中の眼鏡屋さんに、眼鏡のつるの修理に行ってきた。

サロンでミルクココアを飲んだあと、隣接の相模大野図書館に行ってみた。システムが改修されたらしいので行ったのだが、インターネットの利用できる端末は前と同じ。画面が小さい。なんとか、頑張って国会図書館オンラインで、図書館送信資料を検索し、原二郎先生の文章を探す。4編ほど見つかった。印刷しようとしたら、利用者向け端末では出来ないらしく、館員さんの端末でやってもらう。

8ページ印刷してもらい、料金80円を払おうとして、財布を改めたら、小銭が79円しかない。あとは5千円札だけ。カードも使えないようで、困惑。なんとかお願いして、会計の館員さんに、お釣りを持ってきてもらう。手数をかけて申し訳ないとあやまっておいた。あとで、よく考えたら、あやまるほどのこともないのだが。

2019年7月23日火曜日

『コンタクト 下巻』はクライマックスへ、そして梅雨明けは秒読みへ

『コンタクト 下巻』を読み続ける。そろそろクライマックスが近い。さすがに、冷静なセーガンの筆にも、熱が入ってきたような気がする。以下、ネタバレ御免。



146ページ 「 物理学をやる時間は贅沢品 」と、「統一理論でノーベル賞」の、 エダ博士。貧しい仲間は生活に追われそんな時間がない。エダはマシーンに乗る5人の仲間の一人。そういえば、映画ではエリーだけがヴェガに向かうのだが、原作では5人です。まあ、このような場合、一人というのはありえないなあ。

158ページ 北海道の基地で、いよいよマシーンに乗り込む。荷物なし。宇宙服なし。地球感覚の宇宙船ではないのだ。そして、マシーンは地球を離れ、ワームホールに突入する。

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「Open環境推進(一人)プロジェクト」、今日の進展。

「メモ」アプリの代替は、「Writer」としていたが、「Googleキープ」もいいなと思い出した。デザインが洗練されている。ま、「Writer」はわざと、タイプライター風のレトロなデザインにしているわけだが。使い分けするのがいいだろう。執筆用は「Writer」、メモは「キープ」。

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いよいよ梅雨明けらしい。青空が見えてきた。


そして、青空の下で用をたして、まったりと戻ってくる外猫Amちゃん。


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以前からのブログ読者の方には、さっき出た「週刊ALL REVIEWS Vol.6 (2019/7/15-2019/7/21)」のメール画面をお見せします。私の書いた部分です。

2019年7月22日月曜日

『コンタクト 下巻』の感想(続き)…もっと盛り上がって欲しい編


『コンタクト 下巻』を読み進める。
134ページ付近。
中国の歴史話が出てくるが、意味あるのか?
ハッデンさんも日本(!)の老政治家(?)とともに活躍するが、少し無理がある。それを著者は意識しているようでもある。

中盤を過ぎて、ストーリーとしては盛り上がって欲しいところであるが、もう一つ物足りない。ここは『三体』のように、バカバカしさをおそれずどんどん攻めてほしいところ。

素晴らしい小説とは、(辻邦生さんがどこかで書いていたが、)常人の考える数段上を行く、ストーリーとその記述をらくらくと(書くのが楽という意味ではない)読者に提示するものらしい。

天文学者セーガンにそこまで期待するのは無理だろうから、このテーマをクラークに書いてほしかった…などと妄想をたくましくする。

ともかく、話はクライマックスの「宇宙旅行」に突入しようとしている。

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ALL REVIEWSのメールレターの巻頭言の当番は、来週だったが、今週予定していた方が都合が悪くなり、急きょ担当することになった。昨夜その話が来て、今日朝から夕方までかかって、原稿用紙2枚分くらいのものをなんとか書き上げた。この長さなら、ネタがあれば一日でできるという変な自信がついた。

2019年7月21日日曜日

『コンタクト』読書は下巻へ…

『コンタクト 下巻』を読み始める。

29ページ付近
ハッデンさんの活躍面白い。「文脈認識チップ」で放送の音声を分析するという考え方は、参考になる。いまなら、TwitterやFacebook他のインターネットトランザクションも分析するという筋書きになろう。

44ページ付近
代数式や元素周期率(律)表などをメッセージに含ませることにより、解読のヒントを上手に与える。要するに宇宙内で共通の科学知識を使えば、普遍的なコミュニケーションが可能となる。。科学的真理の持つ力はすごい、とセーガンは言いたいわけだ。このあたりはセーガンの面目躍如で、『三体』の科学的記述をはるかに凌駕している。

このあと、メッセージに従い「マシーン」が建造される。主人公ははじめ「マシーン」に乗れないことになってしまうが、思わぬ事故で、運命が変わってくる。このあたり、ちょっとメロドラマチックすぎるけど。

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「Open環境推進(一人)プロジェクト」、今日の進展。
Googleプレゼン使ってみた。いいかも。

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参議院議員選挙投票へ夕方行ってきた。夜、神奈川選挙区の様子を見たが、思わしくない。比例区では、れいわ新選組の候補者が複数当選しそうで、これはめでたい。

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2001年の今日撮った写真。コフキゾウムシ。この緑の世界が好きだった。
そして、この年はもう暑かったということもわかる。

2019年7月20日土曜日

OPEN環境推進プロジェクトを発足させた

近い将来、MacやiPhone が高くて、買い替えできない状態になりそうなので、なるべくOpenな環境(要するにインターネットとブラウザだけ)で作業をすることを考える。とにかく安く…できれば無料で行いたい。長期的にはPCはChromeBook的なもの、携帯はAndroidにすることを念頭に調査していく。

とりあえず、日常の作業ツールを見直して変えていく。

(1)パソコンや携帯をまたがったテキスト入力。
今まで使用していたツールはMacとiOSの「メモ」。
これは、Web上の「Writer」 https://writer.bighugelabs.com/ にする。いままでもブログの下書きには使っていた。これをメモ目的にも使う。アドレスなどはそのまま貼り付ける。バックアップしたいものについては、Evernoteに貼り付ける。有料バージョンにすれば楽にできそうだが、無料のままで手動で保存しようかしら。いま、Macでは別ソフトを入れてタイプ音を出しているが、これからはWriterそのものの機能でタイプ音を出すことにする。タイプ音は詩人にとってとても大切だ。

(2)HTMLエディター。
Mac上の「mi」を使っていたが、今日発見した「Liveweave」 https://liveweave.com/ にする。
使い勝手は、今日使ってみたかぎりでは、後者の方がまさっている。

(3)写真保存。
今まで、ほとんどAmazonPrimeでやっていたので問題なさそう。

(4)電子書籍閲覧。
もともとKindleや青空文庫や国会図書館デジタルなどなので問題なし。
Mac上で「ブック」を少し使っていて、森有正『のエッセー集成』とアーサー・クラークの『楽園の日々』がある。(これらは紙の本があるので最悪読めなくなってもいい。)

(5)音楽。
iTunesは無料状態だが、200枚ほどCDを読み込ませてある。これはこのままでもいいか。要変換?
クラシックのストリーミングはもともとOpen環境で聞いているので問題なし。

(6)メール。
もともとGmailしか使っていないのでOK。

(7)SMS。
個人認証と友人との連絡などのためどうしても必要。

(8)オフィスソフト。
そもそも使わないことにしたい…無理か? どうしても使わざるを得ないであろう場合は「Googleオフィス」を使う。ある方から指摘があって気づいたが、ALL REVIEWSのオシゴトではSlackの中で自然に使っていた。

今後継続的に(気が付き次第)、open環境への移行を行っていく。

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『コンタクト 上巻』読み終えた。明日から下巻。

243ページ付近
『コンタクト」のうるさい神学的論争は形を変えて、『三体』では共産主義者との争いになっていると見る。どちらにせよ、避けられない、そして煩わしい話だ。

265ページ
ヴェガからのメッセージで「世界は正気をとりもどした」のか? そうならいいのだが…

279ページ
国際会議の出席者(インド人)の発言中の引用で、「哲学者」としてクラークが登場。例の十分発達した科学は魔術と区別できない…というやつ。

何度も書くが、いまのところ『三体』のヒントとして『コンタクト』のなかのネタがたくさん使われているように見えてしかたがない。「宇宙人との接触モノ」としての常識的な線だから、だが。

今後、クラークの『幼年期の終わり』のネタなども、出てきそうだ。以上、あくまでも私見、です。

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図書館で借りてきた。予約が多く、2年かかってやっと借りることが出来た。『蜜蜂と遠雷』。

2019年7月19日金曜日

『三体』を三倍楽しめる『コンタクト』との比べ読み

先に林檎の話。このところいつも食べていたガス冷蔵品(たぶん)のスーパーの在庫が切れかけた。ニュージーランドからの輸入品が一玉98円だったので、昨日2個買ってみた。小さいので、いままで一個で済んでいたが、朝と昼に一個ずつ食べることにした。JazzとEnvyという品種。Jazzは甘酸っぱく、Envyは甘く薫り高い。

食べ比べるとお互いの味がひきたつ。


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『コンタクト (上巻)』読み進めた。

115ページ ベガ星から送られてきた謎の通信の中身は、「エンサイクロペディア・ギャラクティカ」かという冗談話が出てくる。そもそも、このアイディアを言い出したのはアシモフだろう。彼の怪作『ファウンデーション』によく登場する。アシモフは百科事典が好きで、仕事部屋に備え付けたし、著作にも実によく活用した。

119ページ(にかぎらず) 文章の区切りに時々入る「・・・」は、私の使ってる「***」の方がエレガント。私のは、堀辰雄とか芥川龍之介の影響かも。

128ページ付近 エリーは(まがりなりにも所長)なので、政府要人とも「互角」に渡りあおうとする。
葉文潔は、それすらできない。これを劉さんは書きたかったのだろう…と一瞬思った。しかし…。

179ページ 資本主義体制では圧制は必ずしも権力の仮面をかぶってはいない。するとエリーも葉文潔も、どちらも苦しみは同じかな、と思えてきた。

2019年7月18日木曜日

『コンタクト』を読めば『三体』がもっと楽しめる



『コンタクト 上巻』を本格的に読み始めた。まだ、100ページだが、『三体』はこの本から大いにヒントを得ていると言ってもいいだろう。『コンタクト』は専門家(天文学者)のセーガンが書いたので、個々の記述に大きな破綻がない。まさにハードSF。文章の上品な味わいと含蓄には、クラークに通じるところがある。逆に、一般読者には難しすぎるのかもしれない。何部売れたのかまだ調べていないが、『三体』の十分の一にもならないだろう。訳文はやや古風(格調高いと言ってもいい)。

以下、感銘をうけたところ。

***

43ページ 主人公(奇しくも『コンタクト』も女性電波天文学者)の、電波天文学への目覚め。ソ連の金星探査がきっかけ。探査機からの情報と、電波望遠鏡での観測結果が一致することに驚いたという設定。本人は子供の頃からエレクトロニクス好きだった。

65ページ 「人類が電波天文学を追求しはじめてから、まだ数十年しか…」たっていない…。私は数年しかたっていない…。

66ページ 「アーガス計画」というSETIプロジェクトが出てくるが、これは実世界で何かに対応するのか…調べたい。

79ページ 「野辺山天文台」は実名で出てくる。DNA部品の有機分子を分子雲中に発見したとある。これも要調査。そして、主人公が好きな天体はアルファ・ケンタウリであり、それは三連星だという記述がある。しかも、三連星の太陽のもとに惑星があったら…暑いだろうという記述まで…(*^^*)

99ページ 突然素数の連続の電波信号が来たのはこと座のアルファ、ヴェガから。これは地球から26光年先。

***

このあと、悪いニュースが入り、読書どころではなくなった…
「京都アニメーション」ビル火災(放火)で死傷者多数(ToT)

2019年7月17日水曜日

『三体』ロスを終わらせ、『コンタクト』読書に移る。梅雨も終わりだ。

『三体』ロスは終わったようだ。しかし関連本の読書は続ける。

(1)『「中国共産党」論 習近平の野望と民主化のシナリオ』(天児慧 2015年 NHK 出版新書)をKindleで読んだ。李克強の北京大学での友人は天安門事件の学生側リーダーだったのだとか。中国共産党の独自の統治方法が少しわかった。民主的とはとても言えない。社会の中にはことなかれ主義(長いものにはまかれろ主義)が蔓延していないといいのだが…

(2)図書館で『コンタクト』(カール・セーガン 高見浩/池央秋訳 1986年 新潮社)を借りてきた。上下二巻。かなり長い。冒頭を覗いてみると映画とはかなり違う。期待できそうだ。


***

『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール 柳瀬尚紀訳 2005年 評論社)をほとんど読む。かなり辛口な童話。

***

午後、ときどき晴れ間があった。二週間ぶり。そろそろ梅雨も終わりそうだ。

2019年7月16日火曜日

『三体』再読のポイント(*^^*)

『三体』再読のポイント。読書会をやるなら、それにも役立ちそう。

1.参考となる(SF)本をリストアップ(ついでに目を通す)
・クラーク『楽園の泉』(宇宙エレベーター)
・同『幼年期の終わり』(悲観的?未来スペキュレーション)
・セーガン『コンタクト』(遠距離恒星系との通信と旅)
・ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』(昆虫類と人類の戦い、で昆虫類が勝つ?)
・『三体』を再読してみれば、他にも多数ありそうだ。

2.中国文革後現在までのの国内事情を知る
・歴史書は役に立ちそうもなく、小説やルポ、ビデオなどが役立ちそう。

3.取り上げられた話題(物理学、天体力学、天体物理学関連)を調べる
・三体問題
・「太陽内エネルギー増幅反射面」これの可能性は?
・量子情報
・加速器のターゲット粒子に変な陽子をまぎれこませ、実験の邪魔をするというひどいやり方
4.ゲーム事情
・「三体」テーマのまたは似たようなVRゲームがないのか調べる。

5.コンピューター事情
・紅岸基地のコンピュータシステムの構成を推測する。

6.世界・中国SF事情
・SFの世界から遠ざかっていたので、知識をアップデートしたい。いろいろ読まないと…
・大会にも行ってみたい。今年は再来週大宮なのでチャンスだが…一日参加は4,000円…うーむ。

7.ナノテクノロジー
・カーボンナノファイバーについて調べておくと、第二部が楽しめそうだ。

8.おまけ、カメラ
・ライカM2を主人公が持っているが、これからも使うかしら…



2019年7月15日月曜日

『三体』読み終えて、三体ロス状態(T_T)

『三体』、ついに読み終えた。ひさびさの長編SF 。

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378ページ。船に乗った相手を攻撃するのに、ナノテクを使ったスプラッターな方法を使う…ちょっといや。

410ページ。ミクロコスモスとマクロ宇宙のかかわり。特に高次元ではミクロコスモスが広大なのだ。

420ページ このあたりになると、理解不可能になってきてその荒唐無稽さがうれしい。無限に面白い。量子情報理論を勉強してみようかと思うほどだが、やめておく。

422ページ。智子(シフォン)が人間の網膜やカメラのフィルムに悪戯すると、最初のあの現象が起きるわけか。なるほど。

430ページ。イナゴを見て、将来の戦いに備える、虫は人類に滅ぼされていないから。

437ページ。あとがきだが、第二部は第一部の1.5倍。第三部は2倍。なので、第一部は全体の4.5分の1なのだそうだ。450ページかける4.5は約2,000ページだ。嬉しい。

***

でも第二部は来年にならないと出ない。英語版をちょっとお試しで読んだが、ぜったい読み通すのは無理。

***

映画「コンタクト」の冒頭と後半を観る。面白いが、少し浅薄。原作を読んでみることにして、図書館で予約した。


***

劉慈欣さんのイギリスでのインタビューをYouTubeで観た。案の定、驚くべきことは言っていない。作家は、その作品だけ読めばいい。

***

やはり、『三体』ロス。
夜、テレビで松浦武四郎のドラマを観て少し癒やされた。国会図書館で彼の著書はほとんど読めそうなのだ。


2019年7月14日日曜日

『三体』は面白くて息がつけない

『三体』を読み進める。

***
263ページ 「三体」はここではまだVRゲームの名前。やってみたくなった。探せば、もう出来ているのではないかというギモン。

266ページ ゲームの中での話。文明#192は情報化時代まで進んだ。そして、「三体問題」の解はないとされている。したがって、ゲームの次のゴールは星々の中の新たな故郷を探すという事になった。

この本の「第三部」、「人類の落日」。

290ページ この本での「中国」の状況。すべてのことに政治的意味付けがされていた。行進する隊列は左折しか出来ない。信号の赤で進み、青は止まれ…これはさすがに「周恩来」がやめさせた。

295ページ 太陽が一万二千MHzで銀河一輝いた。これはヒロインが送り出した電波を太陽が「増幅」したからだ。これで、恒星間通信の手段を手に入れたことになる。

298ページ 電波望遠鏡の基地で働くヒロインの姿は、あきらかに「コンタクト」の主人公(映画だとジュディ・フォスター)の投影だ。宇宙の彼方の電波を夜を徹して探る姿を考えていると、自分の若いときに短波放送で遠距離局の放送を受信していたときのワクワク感を思い出した。そして、映画「コンタクト」の冒頭も、Amazonプライムで、観てしまった(^^)

299ページから300ページ付近 この本の「山場」。

305ページ クラークの『楽園の泉』へのオマージュ。宇宙エレベータ…

342ページ エヴァンスの船上基地。ちょっと余計なお世話という気もする…そして「地球三体運動」が始まる。

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もう少しだが、もったいないので、明日のお楽しみにとって置く。

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「コンタクト」は観たほうがいいかもしれない。『楽園の泉』は拾い読みだけしておこう。

2019年7月13日土曜日

「三体問題」をモンテカルロ法で解くってできるのかしら

『三体』を読み進める。昨夜の勢いでは、徹夜で今朝読み終えるかと思ったが、さすがに途中で眠くなり、今朝起きてから読んだ。半分くらいまで。
急いで読むのが、もったいなくなるくらいの面白さ。しして、ときどき昨日の大森さんと藤井さんのトークで、このことを言っていたのかという箇所が出てくる。ネタバレにならない程度に、そしてうまく興味をひいて、読書が楽しめるようなトークはさすがだと再び感心した。以下は読みながら、気になったところ。なるべくネタバレを避けている。

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三体問題は、物理学をかじったことがあるので知っていたが、それをSFのテーマにうまく仕立てるのはさすが劉さんだ。「三体」でVRゲーム中の世界に悪影響を及ぼさない「恒紀」と、そうでない「乱紀」がある。この単語は昨日、よくわからなかった。

164ページの、ゲーム中の「燃える馬たち」のイメージは、昨日見せていただいた、画集の挿画にあった。

166ページに、しゃれた文句がある。「仕事というのは効果的な麻酔薬」。

167ページ。文革後の中国史を学ばないと、少しわかりにくい。(もちろん、「わかりにくい」小説のほうが、「わかりやすい」小説より面白いという立場で言っている。)

171ページ。DJS1301という、ミニコン。これは中国版のNOVA(DATA GENERAL社の1969年のミニコン。PDP-8の対抗馬。)という事になっている。

195ページ。「紅岸基地」の宇宙観測用コンピュータでの使用言語が、アセンブラでなく、FORTRANという進んだ言語でヒロインが驚く。

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お里帰りのYくんに撮ってもらった、外猫のAmちゃん。寝ぼけている。

2019年7月12日金曜日

『三体』刊行記念イベント参加印象記

「『三体』翻訳者 大森望さん×作家 藤井太洋さん トークイベント 劉慈欣著『三体』早川書房 刊行記念」に行ってきた。

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本はまだ読んでなかったが、前評判がすごい。一週間で、日本語版は9万部近く売れた。全世界だと2100万部だそうな。劉慈欣さんは百億万長者w

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一階で本を購入し、8階に上がる。途中に面白そうな本がたくさん居て、上昇スピードが上がらない。でも、なんとかたどりつき、一番前の席に座れた。藤井太洋さんが、関連図書(画集)を開いて、いろいろ見せてくださったので、前に座れてよかった。

司会の方が写真OK、ぜひ拡散してほしいとおっしゃったので、この写真を撮らせていただいた。

大森さんにサインもいただいた。せっかくなのでALL REVIEWSの福地という宛名にしてもらった。

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大丸のデパ地下で、木村屋のあんぱんを買って帰った。帰りの電車は座れたので、最初の100ページを一気読みした。お*も*し*ろ*い!!!
今夜は徹夜かなあ。

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以下、現地でのメモ。まあ、他の方が読んでもわからないかもしれない。あとで、気が向いたら書き直す。それより、はやく読みたい〜。


8万6千部
藤井 毎年会ってる著者
日本SFももり上げたい。
翻訳全800万
中国SF特に長編初めて
日本より20年遅れ?
小松左京的存在
科学への態度
英語動画参考
来日決定
毎日l0K走る
文革疎開
クラーク他読んでる
ゲーム世界の乱
国家の統一を妨げない…契約

文革から始めるべきか議論
2014米で出版
えん 人問コンピューター

りゅうさんのいる所で彼のことTwitterしてはダメ

ヒューゴー賞、初めてのマイノリティ反パピーズ

ケン.リュウはワールドコンに来てる

共産党が支援
オールディスの中国訪問記

科学普及
科学幻想
キャラクターイラスト(藤井)写真
現代中国科学
加速器人気

米中の対立がテーマじゃない
でもフック

主人公はなぜ科学者になるのか?

ばかSFも混じる
教養でコーティング
第二部はデスノート
第三部未来冷凍睡眠

第一部は長さ5分の1

『おりたたみ北京』中国SF状況

三体Ⅹ 宝樹 オタク みなみ出てくる

小川さん英語でのみSF発表
オンラインマガジン多い

2019年7月11日木曜日

ロアルド・ダールもパトリシア・ニールも「自分」を思い出すため必死に書いた

『真実 パトリシア・ニール自伝』については、昨日のブログでほとんど書き終えた。と思っていたが、今朝、もう一つメモしておくべき事を思い出した。

パトリシアのこの自伝のベースとなったのは、本人が修道院で書いた、「自分を思い出す」ための「日記」だ。修道院長から命じられたとあるが、修道女になる人たちも過去の日記を書くように言われるらしい。(真偽はまだ調べていないが。)日記を書くことにより、脳の障害からくる記憶喪失と、過去の生活から来る悩みを解消し、より深く「自分」を知ることになる、というのは頷ける。

このブログもこうして続けて書いていると、今まで知らなかった「自分」を発見できるような気がしてくる。

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『奇才ヘンリー・シュガーの物語』(ロアルド・ダール 柳瀬尚紀訳 山本容子絵 2006年 評論社)も読んでみた。著者が初めて書いた短編、「楽勝」が最後に収録されている。戦闘機が不時着し重傷を負ったときのことを書いた作品だが、この文章も、ダールにとっては記憶を取り戻し、かつ「自分」を発見するための記念的な作品なのだろう。
その他は表題作も含め、幻想的なフィクションが多いがが、ダールが自分の内面を掘り下げて、現実世界のなかの自分以外の「自分」を描いていると言えなくもない。

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どのような文章にせよ、自分の頭で考えて書くということは、不思議な作用を自分に及ぼす。面白いが、少し怖いところもある。

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「はやぶさ2」が、小惑星への二度目のタッチダウンに成功。採取したであろう岩石サンプルを、無事に持ち帰って欲しいと願う。

2019年7月10日水曜日

『真実 パトリシア・ニール自伝』は「脳溢血」後のリハビリの良い参考書

『真実 パトリシア・ニール自伝』、最後は一瀉千里に読み終えた。

脳内の動脈瘤破裂で、大きなダメージを負ったパトリシア。命こそとりとめたが、右半身不随、記憶も失ってしまった。ダールは、医者の勧める以上に、急速で強引とも言えるやり方で、リハビリテーションを行わせる。このやり方はその後の、同様な患者にも取り入れられるような方法だった。(私の家族が病気のときには、医者が倒れてすぐつまり数時間後の患者に、リハビリを命じてびっくりしたが、これはダールの考え出したことに影響されているのかもしれない。)

ただし、パトリシアの場合は、精神的にもダメージを受けていたので、ダールはそこをケアしてくれる専属の「看護人」を雇った。これが、パトリシアの回復に大きな助けとなった。

右半身の麻痺の回復だけでなく、言葉も含めてほとんどの記憶を失ったので、生まれてすぐの子どもが成長しながら経験するようなことを、パトリシアは周囲の助けを借りて、すこしずつ行っていく。うまくいかないと、苛立って、怒鳴り散らし、泣き出す。

何年もかけて、彼女は再び演劇と銀幕の世界に復帰する。この強靭な精神力には感心した。

ふたたび、栄光を取り戻したように見えたが、ダールとはその後、離婚してしまう。お互いに疲れてしまったのだろう。ダールは別の女性と一緒になる。

苦しみの中で、あるホテルで、パトリシアが出会ったのが、ゲーリー・クーパーの娘だ。彼女と和解し、彼女に紹介された修道院に通ううちに、カトリックに入信する。その後、ゲーリー・クーパーの未亡人とも再会。

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読んで面白いだけでなく、このような重篤な病気からの回復の記録としての価値が高い作品だ。身近にこのような病人がいる場合の参考として役に立つ。

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珍しく、雨の降らない一日だった。外猫くんも薄い日光のひだまりでのんびり甲羅干しをしていた。

2019年7月9日火曜日

まさに波瀾万丈→『真実 パトリシア・ニール自伝』

『真実 パトリシア・ニール自伝』を読み続ける。いよいよ、重大な運命が待ち受ける悲喜こもごもの時代に入ってきた。

ついに、子どもが授かった。長女。ダールはものすごく子煩悩な面を見せた。でも、やはり基本的な世話はパトリシアがしなくてはいけない。はじめての子育ては大変。もちろん、女優業は続けている。当時の状況ではさぞかし大変だっただろう。もちろん、ベビーシッターは必須。次女も生まれ、待ち望んだ長男も。

この間、ゲーリー・クーパーと一度会っているが、別れを確認するにとどまる。しばらくして、クーパーはガンで死去。やはり、大きな衝撃を受けた。

子供の件で、不幸が続く。生まれたばかりの長男が交通事故にあい、なんとか命はとりとめたが、水頭症になってしまった。細心の注意をはらって育て続ける。ダールが脳にたまる髄液を排出する、医療器具(バルブ)を発明する。効果があった。

不幸が続く、長女が風疹をこじらせ、一晩で亡くなってしまう。

良いこともあった。映画「ハッド」(ポール・ニューマンと共演)で、主演女優賞をもらった。「オスカー」をもらったわけだが、これも子供のひとりと数えることにした。直後に、三女が生まれた。

https://archive.org/details/Hud1963


三女の世話に心を砕くパトリシアに、最大の危機が訪れようとしている。真面目すぎてストレスがたまって、きっと血圧が上がっていたのだろう。続きはまた明日…

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メールレター『週刊ALL REVIEWS Vol.4』が本日リリースされる。HTMLソースの編集を、少しだけ手伝った。受信者数は先週からは微増。このブログを読んでいる方で、申し込んでない方は、ぜひぜひ申し込んでください。毎回(というか私の回をのぞけば)素晴らしい巻頭言が読める。もちろん、書評掲載の最新ニュースも。
このブログ画面の(PCの場合)右上に、申し込みページへのリンクが用意してある。4649。

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夕方、また買い物ついでに図書館で2冊借りてきた。


2019年7月8日月曜日

『田園の憂鬱』時代の佐藤春夫より、本は読めている(エヘン)(^^)

『真実 パトリシア・ニール自伝』をさらにさらに読み進める。ゲーリー・クーパーとは、別れることになった。ふたりとも、心身ともに傷ついた。精神分析医にかかったのは、当時の流行か? ともかく、未練いっぱいだ。

ブロードウェイに戻り、キム・ハンター(後に「猿の惑星」ジーラ役を演じた大女優。)などとの舞台に出演しながら傷を癒やす。そんななか、ついにロアルド・ダールと出会う。パトリシアは年上の男性が好きなのか。話が面白いので、気晴らしになっただろう。今回は、好意的に言うと大人の恋。燃え上がらないが、結局結婚式をあげる。イタリアへの新婚旅行の帰りにイギリスの、ダール家を尋ねる。ダールの母親とは案の定うまくいかない。ダールはマザコンだった。しかし、ダールの甥や姪は可愛いと思った。ダールの子供はほしい。

「大人の恋」、そして「結婚」の顛末を語る文章は、みごとにダール風になっている。皮肉交じり。影響されやすい性格なのか。一方、この頃の収入はパトリシアのほうが多かったので、ダールは面白くなかったようだ。

ダールの執筆方法が書いてあった。緑色の布を貼った手製の板の上で、手書きする。トーマス・マンがカリフォルニアでやっていたのと似ているなあ。

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朝、寝床を離れる前に、青空文庫で、『田園の憂鬱』(佐藤春夫)を読んでしまった。国木田独歩よりは洗練された筆致。昔勤めていた藤が丘の書店で、『田園の憂鬱』が平積みされていたのを思い出した。

2001年撮影。私の「田園の憂鬱」。

『西班牙犬の家』と、『李太白』も午後、読んだ。少々かぶれてきたようだ。

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2019/6/18 日本語書記技術WG報告書(2019年3月31日付)
https://docs.wixstatic.com/ugd/eb8538_e921485ff03b4900aff942b28019d9f4.pdf
というのを紹介された。ちょっと読んで勉強したい。

2019年7月7日日曜日

『真実 パトリシア・ニール自伝』を読むと順風満帆、波瀾万丈、抱腹絶倒、興味津々

『真実 パトリシア・ニール自伝』をさらに読み進める。


ブロードウェイを後にして、カリフォルニアに向かったが、さっそく、ハリウッドで映画「摩天楼」に出演。なんと、ゲーリー・クーパーの相手役。堂々と、映画の最初に二人の名前が出てくる。つまり主役。ブロードウェイの芝居出身なので、少々「くさい」演技ではあるが、ともかく立派に仕事をやりとげる。立派すぎて、ゲーリー・クーパーと本当に恋仲になってしまう。もちろん、年上のクーパーには奥様がいたので、今で言う不倫。いちおう節度は保って、あまり噂はたてないようにした。

つぎの撮影は、イギリスで行われた。飛行機で行く俳優が居たが、彼女は上品に列車と客船で、戦後の復興が十分でない英国へ向かった。このときはクーパーは共演せず、ロナルド・レーガンという若手のハンサム俳優と一緒だった。面白いやつだった。酔っ払うと、自分は将来大統領になると言って、皆に笑われていた。

帰りも客船に乗り、手紙のやり取りを欠かさなかったクーパーと感激的な再会を果たす。ところで、このクーパーからの手紙は大事に保管していたが、後に脳出血のドサクサで紛失してしまった。まさか、ダールの焼き餅ではないと思うが…

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ここまで、読んで、映画「摩天楼」が気になったので、調べてみた。

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Internet Archiveで映画を観るなら。ここにある。字幕が出せなかったので、内容があまり理解できなかった。でもフルに視聴できる。
https://archive.org/details/TheFountainhead1949_201806

ゲーリー・クーパーが建築家(アーキテクト)で、苦労しながら「摩天楼」を立てる物語。パトリシア・ニールは絶対にそうは見えないが、新聞記者のを演じているらしい。

原作「The Fountainhead」のテキストはここにある。
https://archive.org/details/TheFountainhead

この作者のアイン・ランド女史は「アメリカの保守の女神」と呼ばれているそうだ。文芸評論の世界では認められておらず、リバタリアンおよびアメリカ保守主義者の間に人気があったのだそうだ。ちょっと調べてみたい人物。

映画のさわり、最後の法廷でのクーパーの演説はYoutubeでも見つかった。文字起こしをダウンロードしてみたが、なかなか格好いいことを言っている。

The Fountainhead courtroom speech by Howard Roark
https://youtu.be/AX4MKIDvXLM

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これらのより道のおかげで、40ページくらいしか読書は進まなかった。でも面白かったので、いいか。

2019年7月6日土曜日

『真実 パトリシア・ニール自伝』は読みやすい

『ダールさんってどんな人?』(クリス・ポーリング 灰島かり訳 2007年 評論社)読了。
30ページにダールの「発明室」(=仕事小屋)の記事あり。朝10時から12時半まで仕事。鉛筆で手書き。暖房はアラジンの石油ストーブ(なつかしい)。
129ページ。本を批評ばかりしていないで読むこと。それにより、本を本来の目的の場所にもどすことになる。


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『三体』、Kndle版の試し読み。紅衞兵の暴虐の話がでてくる。

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『真実 パトリシア・ニール自伝』(兼武進訳 1990年 新潮社)を読み始める。第一部読了。約100ページ。パトリシアは、ブロードウェイで認められ、ハリウッドへ旅立つ。本人だけの筆ではなさそうだが、軽快な筆致はすばらしい。


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高遠先生と古谷さんの『失われた時を求めて』に関する対談ビデオを観た。第二巻が出たときの収録だが、古びておらず、面白かった。

https://youtu.be/ClcJ4_F1YEc
https://youtu.be/E3NaD7mYyYY

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朝日新聞の読書欄に紹介されたので、あらためて図書館を物色。『夢見る帝国図書館』は予約できなかったが、
『百鬼園戰前・戰中日記』を予約\(^o^)/
あと『ロアルド・ダールコレクション 7 奇才ヘンリー・シュガーの物語』をも予約。楽しみ。

2019年7月5日金曜日

『海辺の生と死』は単なる映画の原作本ではない(あたりまえだが)


『海辺の生と死』を読み終える。映画になった部分は、短編集のうち、ほんの少し。その部分の緊迫した描写もいいが、それ以前の幼い日の思い出を綴った部分が素晴らしい。島の生活の暖かさが伝わってくる。鳥や牛を始めとする風物もいきいきと描かれる。序文は島尾敏雄で、挿画は息子さんだ。図書館で借りたのは単行本だが、最近出た文庫本も手に取ってみたい。梯久美子さんの解説を読みたい。

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引き続き、『狂う人 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(梯久美子 2016年 新潮社)を読み始める。大部な本でかつ重たい話題がつまっていそうなので、すぐには読み終えられないだろう。

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夕方の買い物ついでに、図書館で二冊借りてきた。ダールの本と、パトリシア・ニールの自伝。読み比べると面白いだろう。パトリシア・ニールの脳出血後の闘病記も含まれているようだ。




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今夜のメニューは、ナスと豚こまの甘酢あん…うまく出来たし、うまかった。
(豚こま肉に下味をつけ片栗粉をつけて小さい団子にするのがポイント)


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世の中では、コンビニチェーン大手のスマホ決済システムの問題がかまびすしく語られている。現代の日本の社会の歪たちが集中的に、現れた事件と思う。このまま社会が劣化するのだけは防ぎたい。

2019年7月4日木曜日

今日もいろいろ読み散らす(たおかげでピーマン頭に詰め物ができた気が…)

「旬刊「深掘り『稀書探訪』」第5回【ユゴー『NOTRE-DAME DE PARIS』の挿絵本について】後編」をYoutubeで観た。(ALL REVIEWS友の会会員限定だけれど。)

鹿島先生の話によると、『NOTRE-DAME DE PARIS』の別バージョンの本がある。挿絵(主として木口版画)は共通のものと違うものが混在している。ユゴーの頑張りで、物語の著作権は守られ始めたが、挿絵画家の著作権は無視されていたという、怖い時代だった。
現代に至って、違う怖い話がわかってきた。このバージョンの本の用紙が酸性紙であること。すでに劣化は進んでおり、あと数十年(?)経つと崩れてしまうかもしれないとのこと。自分の書棚にも酸性紙の本が多くありそうなので、紙の歴史と、酸性紙本の劣化を防ぎ、保存する対策について学んでおく必要がある。

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『前畑は二度頑張りました』を読み終えた。昨日の『前畑ガンバレ』を、拡張した話が書かれている。水泳の指導者のくさ分けとして頑張った話が主となっている。そして、切実に読んだのは、兵藤(前畑)さんが腦溢血になり、発症後すぐに苦しいリハビリを始めて、元通りとは行かないが、水泳指導ができるまで頑張ったところだ。程度は違うが身近に同じような例を見ているから。
パトリシア・ニールの自伝も読んでみることにした。同じような話が読めるかもしれない。図書館で予約した。

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『海辺の生と死』(島尾ミホ 1974年 双樹社)を読み始める。うまい。

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「『三体』翻訳者 大森望さん×作家 藤井太洋さん トークイベント 劉慈欣著『三体』(早川書房)刊行記念」とやらに申し込みした。本をその場で購入して、大森さんにサインしてもらえるようだ。7月12日開催。

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夕食に、ピーマンの肉詰めを作る。まずまずの出来。このレシピはパン粉をつけるのがポイントか。


2019年7月3日水曜日

『「チョコレート工場」からの招待状』が来るといいですね


『「チョコレート工場」からの招待状』(チャールズ・シールズ 水谷阿紀子訳 2007年 文溪堂)を読んだ。ダールの簡潔な伝記だ。グラディエータとハリケーンの写真が最初の方に収められていて、ヒコーキファンには嬉しい。
ダールの処女作を激賞した、フォレスタの「ホーンブロア・シリーズ」を読みたくなった。他にも、この本のなかで紹介されている本たちが、読みたくなってくる。

たとえば、『真実――パトリシア・ニール自伝』。(パトリシア・ニールは「ティファニーで朝食を」に出ていたなあ、このころはダールの奥さんだったのかしら。)

『裸者と死者』、『地上より永遠に』も、また読んでみたい。

もちろんダールの『チョコレート工場…』などの「子供向け」シリーズも。

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『前畑ガンバレ』(兵藤秀子 1981年 金の星社)も読んだ。ベルリン・オリンピック前の一日20キロの猛烈な練習もすごいが、子供時代から高校生時代の猛練習にも頭が下がった。特に子供の頃の「茶粥」ばかりの食事で、よく日本新記録を出せたものだと感心した。

引き続き、『前畑は二度がんばりました』も読み始めた。

2019年7月2日火曜日

歴史的なSFを読むのは面白い



昔のSFを探して読むという最近の傾向。『日本SFこてん古典』で紹介された、佐藤春夫の「のん・しゃらん記録」を読んでみた。むちゃくちゃに怖くて面白い。佐藤春夫がこんな物語を書く人だったとは知らなかった。『ちくま日本文学全集』の中の物を読んだが、他の作品も読んでみよう。

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そして、『奇異譚とユートピア 近代日本驚異<SF>小説史』(長山靖生さん 2016年 中央公論新社)も論旨がはっきりしていていい。横田順彌をけなしているわけではない。横田順彌にはこの分野の開拓者としての功績がある。

『奇異譚とユートピア…』の第二章の『新未来記』と『後世夢物語』のことが気になる。同じ原本からの違う翻訳をした翻訳者のそれぞれの物語も。ここは調べ甲斐がありそうだが、深入りすべきではないのかもしれない。

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ダールの本3冊を返却して、次の3冊を借りてきた。
前畑秀子の本が2冊。ダールの子供向け伝記が一冊。