『トーマス・マン日記』を読み進む。
77歳の誕生日のお祝い。ローマ賞受賞の知らせなどで忙しく暮らす。が、移住の件が頭にあり、真に楽しむことはできない。もろもろをふりすてて、スイスへ向け旅立つ。その間も「短編」『あざむかれた女』と、『クルル』の執筆は欠かさない、作家魂。
1952年6月11日。
1933年からの日記の包みに、「死後20年、何人も開封すべからず」という上書きを書いた。体調悪い。横行結腸痙攣、胃弱。
6月12日。
若きプリングスハイムがこの家に入ることが確定。すでにこちらに向かっている。きのう日記の包みを封印する。
書き進める。
6月14日。
短編小説を書き進める。(恋人ケン・キートンの導入。)
6月17日。
短編小説を急ぎ書き進める。
6月18日。
晩、封印した日記と他の原稿を銀行保管のためトランクに収める。
6月19日。
書き進める。注文したタクシーでウェストウッドへ散髪に。老ジムに別れを告げる。午後、カーン女史。浄書してもらうため『クルル』第3部第6章を渡す。
夕食後、短編小説『欺かれた女』をケンが登場するところまで朗読。うまくいった。母娘の生理にかかわる対話に対して異論。
6月20日。
この家に住まうことになる甥がニューヨークから到着。
6月21日。
周旋人に連れられて、この家の買い手、あるいは購入希望者が今突然現れたのにびっくりする。ほかならぬ今、有利な売却が迫ってくるとなると、どうしたらよいのか。明け渡しまで4週間の時間しかない。
旅行の準備。書類を集める、『クルル』資料も集める。書類鞄に詰め込む。
6月22日。
短編小説を少し書き進める。
6月23日。
衣服や手提げ鞄に入れるものの整理。興奮。
飛行場への出発はあす早朝。
6月26日木曜日、シカゴ、ショアランド。
火曜日に甥に飛行場へ送ってもらう。5時間の飛行。メーディが迎えにきていた。きのう午前、博物館を再訪。
6月27日、ニューヨーク、セイント・リージス。
きのう正午近くメーディに飛行場へ送ってもらう。飛行時間3時間。ランチ。
ラ・グァーディア飛行場にはベルマンが迎えに来ていた。快適にエアコンの効いたホテル。
エーリカの再入国許可願いが拒否されたとの知らせ。
7月1日、チューリヒ、ボル・オ・ラク。
目的地に到達。
おととい、KLMの係員が迎えに来て新しいニューヨーク空港へ運んでくれる。特別待遇の手荷物処理。丁寧なサーヴィス。速い飛行。座席では休めない。脚がつる。カナダ、アムステルダム経由でチューリヒへ。クローテンに正午ちょうどに到着。ホテルで休息。
8時過ぎ起床。文房具等の買い物。エーリカが、ベルン近郊の施設からランチにやってくる。快方に向かっているらしい。ゴーロもランチに来た。
***
午前中はマンション管理組合理事会。
午後、月刊ALL REVIEWSフィクション回の放映。テーマは「西脇順三郎」。詩人としての西脇も知りたくなり、岩波文庫の『西脇順三郎詩集』を図書館で予約。実は以前、西脇の『評伝』を買ったときに、この文庫も借りたが、よく読まなかった。
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