マルセル・プルースト通り14 3月2日朝 |
なぜ自分は読書を好むのか、というギモンに対する一つの答えを見いだしました。それは、同好の士に会えるからです。同好の士は、時空を超えて存在します。毎日『トーマス・マン日記』を読み続けた今は、トーマス・マンは同好の士です。自分と似たようなことで悩み、あるいは喜びを感じる人がいる。そこに、こよない嬉しさを覚え、孤独の哀しみが和らぐ気がします。
*
少し前にブログに書いた自分の文章を引用します。
「トーマス・マンが自分と同じ年齢で、頑張って著作にはげみ、その材料収集だけにとどまらない膨大な読書を、不自由な亡命先で続けている。肺の感染性膿瘍(たぶん結核が原因)で、危険な手術を受けながらもなんとか回復して、書き続け読み続ける。入院先では、看護人の優しさに魅せられたり、麻酔術を受け意識の遠のきと回復を興味深く体験し、はじめてベッドから立ち上がるときのときめきや虚脱感のなかで、生きていることを実感する。これらの感覚は3年前の入院時にわたくしもほとんど同様に感じた。トーマス・マンは自分の「弱さ」も、亡命先での不便な生活の苦しさも、「正直」に日記に書き込む。世界のこちら側でわたくしは『トーマス・マン日記』や『ファウストゥス博士の成立』に書かれた文章を読んで、そうだそうだと一人で相槌をうつ。」
*
大げさに言えば、この宇宙の中で自分は一人ではない、自分と同じ考えの人がいるのだと思うと、安らぎを感じるのです。
*
また、『トーマス・マン日記』の出版の経緯を語った池内紀さんの『闘う文豪とナチス・ドイツ トーマス・マンの亡命日記』も置きました。『トーマス・マン日記』を読む際の手引としてお読みください。ドイツ語版の日記も一冊ございます。
『トーマス・マン日記』の他に森有正の日記や内田百閒の日記も置きました。
***
今後BOOKS HIROでは「日記文学」をテーマにした販売を続けたいと思います。日記好きの方々どうぞよろしくお願いします。もちろん、これから「日記」を読んでみたいという方も。
書棚に置く予定の本たちです。すでに置いてあるものもあります。
BOOKS HIRO店主 hiro(福地博文)
追伸
この店のモットーを
「日記を読むと人生がわかり、日記を書けば人生がかわる!」
としました。
「日記を読むと世界がわかり、日記を書けば世界がかわる!」
でも良いことにしてます。
0 件のコメント:
コメントを投稿