春の読書、「虞美人草」。冒頭の京都のシーンと並行しての東京のシーン。ここが最も春らしいところと思っています。(アンチ・)ヒロインの藤尾が登場し、男友達(家庭教師)とクレオパトラを論ずる。その一節。
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女は紫色の着物を着ている。 静かなる昼を、静かに栞を抽いて、箔に重き一巻を、女は膝の上に読む。「墓の前に跪ずいて云う。この手にて──この手にて君を埋め参らせしを、今はこの手も自由ならず。捕われて遠き国に、行くほどもあらねば、この手にて君が墓を掃い、この手にて香を焚くべき折々の、長しえに尽きたりと思いたまえ。生ける時は、莫耶も我らを割き難きに、死こそ無惨なれ。羅馬の君は埃及に葬むられ、埃及なるわれは、君が羅馬に埋められんとす。君が羅馬は──わが思うほどの恩を、憂きわれに拒める、君が羅馬は、つれなき君が羅馬なり。されど、情だにあらば、羅馬の神は、よも生きながらの辱に、市に引かるるわれを、雲の上よりよそに見たまわざるべし。君が仇なる人の勝利を飾るわれを。埃及の神に見離されたるわれを。君が片身と残したまえるわが命こそ仇なれ。情ある羅馬の神に祈る。──われを隠したまえ。恥見えぬ墓の底に、君とわれを永劫に隠したまえ。」(虞美人草 青空文庫版)
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「箔に重き一巻」は、最初当然シェークスピアの「アントニーとクレオパトラ」かと思い、Kindleで坪内逍遥版をダウンロードして読んでみた。がどうも上記のような記述が出てこない。戯曲なので上記の文章は違うな。
と、思ったので禁じ手ですが岩波文庫の『虞美人草』(昭和50年 第38刷)で、注(小宮豊隆?)を覗く。すると、素人はシェークスピアと思うだろうが、実はプルタークを引いているとある。
プルタークもKindleならただで読める。
早速ダウンロードした。しばらく捜したら、あった\(^o^)/
こうやって読んでいると、何度でも楽しめるのが「虞美人草」。
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ところで、昨夜食べた焼肉のタレに香辛料がたくさん入っていて、今朝はいろんな夢をみて目覚めた。夢の中で現役で働いていたときのメンバーが出てきて、いろいろ議論している。
「ランチマネジメント(=受講者に昼食の案内を上手にすること)」という単語も出てきてくだらないけれど、面白かった。 客が来たのに、探しに行ったプロジェクトマネージャが風邪で休んでいて困っているというシーンも有った。
もうちょっと娑婆っ気を抜かないといけない。
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