最初は学寮でなく、下宿生活。夕食はカレッジの「大広間」でとる。このあたりは、最近読んだラマヌジャンを思い出さざるを得ないが、ディラックは菜食主義者ではないので、普通に食べていたのだろう。ただし、子供時代からの消化不良児なので、豪華な料理はあまりたくさんは食べない。痩せていた。他の学生は周囲と大声で会話しているが、ディラックは黙って座っている。
指導教官、ファウラーはすぐにディラックの才能を見抜く。ディラックも月曜から土曜までぶっ通しで研究に励む。日曜日だけは天気が良ければ散歩した。頭を休めるのが目的。
ケンブリッジでは有名な科学者に会える。たとえば、相対性理論を理解し天文学でも偉大な存在だったエディントン。講義は下手だが、科学に数学的アプローチで取り組む姿にディラックは感動した。そして、ラザフォードも。ラザフォードはエディントンと違い、外交的で現実的。学界のボス的存在だ。
他に、キャベンディッシュ研究所では後に親友となるブラケットやカピッツアにも出会う。
当時のディラックが家族(母親)に、帰省を知らせるはがきはそっけない。用事を簡潔につたえる三行だけ。帰省したディラック家には当時最新のラジオ受信機があり、皆でBBCの番組を聴いていた。94頁。
パブリックドメイン、若いときから額が広かったが、これはもっと後の写真だろう |
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思ったほど、読書ははかどらなかった。かかりつけの医院が満員で出直したりしたため。
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