2020年7月10日金曜日

『古本屋散策』(論創社)を片手に古本屋と図書館を仮想散策

幸田露伴のことを昨日考えたが、今朝になって、『古本屋散策』(小田光雄さん 論創社)に露伴のことが取り上げられていたのを思い出した。昨年やっとの思いで購入できた本だ。



自前本なので、自由に書き込みができる。詳細な目次を見て、露伴に関係した文章を探し、印をつける。余談ながら、目次だけでは不十分なので索引がほしいところだ。自分でなにか索引代わりを考えなければ。若い時なら頭の中に索引ができるのだが。(『植草甚一スクラップブック』を読んでも同じことを考えたが……)
目印をつけた頁を眺めてみる。

256頁。
至誠堂にいた藤井誠治郎の『回顧五十年』(この本は国会図書館デジタルコレクションにあるがインターネット公開されていない、図書館にいかなくては読めない、嗚呼)に、露伴の『洗心録』(至誠堂 国会図書館デジタルコレクションで公開中)のことが書かれているそうだ。『洗心録』は随筆集といった趣の本だが、「大正名著文庫」の一冊でよく売れたという。塩谷賛『幸田露伴』(中央公論社 こちらも国会図書館に行けば読める、もしくは古本で買うか)にもこの本に関する記述があるという。。

259頁。
小田光雄さんは幸田露伴の古本をもう一冊お持ちだそうだ。「日本文芸叢書」中の『努力論』(ベタな題名だ……)。これもよく売れたらしい。この本も国会図書館デジタルコレクションで見つけることができた。別に自分が偉いからではないが、ちょっとうれしい。国会図書館デジタルコレクションではページごとの影像を見ることができるので、巻末の奥付や広告も見ることができて楽しめる。そして小田光雄さんが実物を見て教えてくださることを、自分でも確かめられる。非常に勉強にもなるし、趣味としてもオモシロイ。
小田さんの記述や巻末広告を眺めていると、露伴の業績がものすごいことがわかってくる。『椿説弓張月』などの、古典の校訂がそれだ。

262頁。
小林勇の『蝸牛庵訪問記』には出版社(岩波だけではない)と露伴との知られざる関係が記されているらしい。蝸牛庵とは引っ越し好き(?)の露伴のことだが、面白そうなので、『訪問記』は図書館で予約した。『国訳漢文大成』についても書かれているらしい。これは多分全巻が国会図書館デジタルコレクションで、インターネット公開で、読める。露伴は『水滸伝』(18巻〜20巻)の訳を受け持った。同時に『紅楼夢』(14巻〜16巻)の訳に名義貸しをしているという。実際に、国会図書館デジタルコレクションであたってみるとその通りのようだ。
小田さんはこれらを未見と2009年に書かれているが、その後たぶんインターネットでお調べになっただろう。

***

『古本屋散策』を片手にして、いながらにして仮想「古本屋めぐり」ができるのはうれしい。でも、コロナ蟄居がすんだら、ぜひ実際の古本屋と国会図書館に出かけてみたい。それを考えると、年甲斐もなく胸が躍る。

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