https://allreviews.jp/reviewer/48
植木等の語り口が充分に取り入れられており、明るく饒舌。テーマは時代を反映して暗い面もあるにもかかわらずだ。徹誠の性格や行動様式が非常に陽性だったことが影響している。北畠さんの取材能力と構成力がそれを助長したかもしれない。
それにしても、徹誠の行動は息子等の何倍も破天荒。いや、息子はマジメ人間に思えてくる。
75頁。
「闘友」(一緒に戦った仲間の意)、の一人が語る、おやじ徹誠は「無作法で、向こうみずで、遊び好きで、どこを探してもそこに深刻ぶった「主義者」の面影はなかった、しかしそれでもおやじはなんと魅力的な男だろう。」
113頁。
「現実社会に生きる人間の、たった今の救済、つまり、衆生済度こそ親鸞の思想である」
おやじ徹誠は僧侶でありかつ、水平社のメンバーであった。昼は年寄りやこどもにおもしろい法話をし、夜は若者たちに差別反対を説く。このため、何度も投獄されるが、警官や看守の暴力にめげず、かえって彼らをアゴで使うような態度をとる。息子の植木等は朝、弁当を獄に届けてから、学校に行く。
その息子は、一時、東京の寺で修行するが、住職のすすめ(だけでなく学資も出してもらった)で、東洋大学に進学、その後「おやじ」の反対を押し切って、芸能界入り。
歌だけでなく、ギターも独学し1950年代には『スウィング・ジャーナル』で新人ギタリストとして紹介される。1959年、「スーダラ節」大ヒット。おやじはこの唄は親鸞の思想に合っていると、妙に高評価した。
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今日はこのあと、オンライン読書会。課題本は『ファンベース』、一応全部読んでおいた。
只今終了。面白かった。ARの運営にも大変役立ちそうな(すでに役立っている)本だった。
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