PASSAGE by ALL REVIEWSのわたしの書棚の本はなかなか売れてくれない。そんなとき、Twitterでの投稿で各所の「古本市」での良い成果報告を読むと、羨ましくなる。
古本市で本がよく売れるのは、「一期一会」感が強いからだろう。客も「買おう」と思ってやってくる。PASSAGE by ALL REVIEWSでも、次回買おうと思った本はその次回にはほとんど売れている経験を何度もしている。気に入ったらその場で買うべきだ。この本は私以外絶対だれも買わないだろうという思い込みは危険。
「一期一会」と紙に書いて書棚に貼っておくといいだろう。
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一方、「売れれば良い」だけの考え方だけでは、大きな過ちをおかす。
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たとえば、
池澤夏樹『海図と航海日誌』(スイッチ・パブリッシング)の231ページ。
「やはり本は読むものである。一つの作品に対して著者が著者であるのは執筆の間だけであるのに似て、書物が書物であるのは、読まれている時だけだ。それ以外は本棚にただ所蔵されているものにすぎない。それならば、自分の本棚と世間一般の本棚の区別をせず、古書店や図書館や知人の棚まで含めて、本を巡る環境の全体を一つの図書館だと思えばいい。有益なものであるのだから、これを利用するのに少しばかりお金がかかるのはしかたがない。新刊でも古書でも買う時にはそれなりの金額を払う。しかしそれは書物というものの形而下的な側面に対して払うのであって、知そのものは金銭とは別の次元で流通する。こんな風に考えると、少なくとも所有欲に促されて書痴・書狼・書豚になるおそれはないし、第一自分の書棚が風通しがよくなる。それでもどうしても残ってしまう本、手放したらなかなか再入手が困難で、しかも自分がまだ何度か読みそうな本、それらだけを残すとすると、蔵書というもの、ずいぶん少なくて済むのだ。」
この一節に完全同意。寝るまえになにか読むものをと探し当てた本だが、こんなに自分の意見をピタリと言い当てた文章が含まれているとは。奇跡的シンクロニシティ。
この考え方は、PASSAGE by ALL REVIEWSの理念に通じるし、国会図書館で個人に対して書籍データの送信サービスを行うことの価値をも言い当てている。
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