2017年10月13日金曜日

マーク・トウェインが自動植字機に投資した結果の損失額がすごい

 「マーク・トウェイン 完全なる自伝」を読み進める。200ページまで来たが、1000ページの本なのでまだ2割。本来は三巻本なので、そうすると十五分の一しか読んでないことになる(T_T)



 ただし、邦訳は二巻までしかされていない。第二巻が出たのが一昨年なので、そろそろ三巻も出そうな気もする。第二巻も我が図書館にあるので、つぎに借りて読もう。せこい話だが、それぞれ1万7千円もするので、自分では買えない。場所も取るし図書館にあるほうがいい。地方税を払ったかいもあるというものだ…

 いままで読んだところに、グラント将軍に回想録を書くことを勧め、自分の関係する出版社に版権を買い取らせる、話が書いてある。グラント将軍の聖人君子ぶりに比べると、クレメンズ(マーク・トウェインの本名)のしたたかさが窺える。

 もっとも、クレメンズは商才はほとんどない。著書の(トムソーヤとハック)がよく売れて財産ができてからお金に興味を持ったのだろう。そして、当時(十九世紀末)の時代風潮もあり、新技術に目をつけた。

 ペイジという「天才」発明家が売り込んだ、自動植字機とやらに興味を示し、莫大な投資をしている。英語版Wikipediaでは30万ドル、現在だと600万ドルと書いてある。6億円以上!!!???

 ペイジが「天才的」すぎたので、自動植字機はビジネスにならず、投資は全部パーになったらしい。無一文になったクレメンズは、講演旅行を世界的に行い、当面の小遣いを稼ぐ。また、その旅行記を書くとそれも売れて、まずまずのお金持ち暮らしに戻れた。

 この経緯も文章に書いて儲けているわけで、さすがと言うべきか。売文をなりわいとする人の鑑みたいな人生だ。年を取っても、踏まれても、蹴られても。あっけらかんと文章をひたすら書き続けるのは偉い。

 自動植字機は、活字を拾うのを自動化しようとするキカイだったらしい。このあと間もなく写真植字機が発明されたはずだから、どっちみちマーク・トウェイン先生が儲かる目はなかったということになろう。

 ただし、今の作家達がワープロソフトやポストスクリプトに技術的興味を持つのと同じような、ある意味でけなげな雰囲気があるので、同情できる面はある。

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