2017年4月12日水曜日

空海の悩みもそうだが、長谷川郁夫さんの「編集者 漱石」が面白い!

 徐々に読書が楽しくなりつつある。体調との関連があるのだろう。エンジンがかかってきた。

 空海熱はすこし冷めつつある。『密教の水源をみる』(松本清張)のちょっと突き放した記述が、今回のポイント。ただし、空海の人間性を考え得たというところが大きい。

 『三教指帰』で空海自身が若き自分を語っている。儒教をベースとした現実出世主義には、もちろん飽き足らない。道教の語る厭世主義もちょっと違う。仏教の語る、悩める人(まず自分)への救いに希望を持った。もちろん、悟りの境地そして理性主義はすでに身についていただろう。衆生を救う力を持たなければならず、そのための最新の知識や方法は、本場(中国本当はインド)に行かないと手に入らない。

 うまく手に入ったのが中国密教というツール。かれはそれを持ち帰り、空海自身の密教と言う形で花開かせて、嫌っていた権力も手に入れる事になってしまった。

 これは彼の本意だったのか?そうだと思う。しかし、長安の街歩きで発見した、自由な自分も懐かしかっただろうと思う。

 1000年以上前の人なのに、空海が皆に好かれいや話題にされる理由は、彼のこのような複雑性言い換えれば現代性だと思う。かれの俗物性をなじるだけでなく、彼の多様な側面を推測して、自分の身に置き換えて考えるのが、空海熱を楽しむコツだと思う。突っ込みどころが多いというのがスターのいや超人の超人たる所以だ。

 日曜に買った雑誌「新潮」を読む。長谷川郁夫さんの「編集者 漱石」が面白い。漱石の初期作品(幻影の盾や草枕や猫他)の成立の舞台裏が知れる。長谷川さんの評伝「吉田健一」も読みたくなった。

 キケンキケン(*^^*)

 昨日までの雨が晴れて、春らしい雲が浮かぶ空のもと、これから買い物に出かけます。デパ地下のカレイの塩焼きが楽しみ。


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