2017年5月9日火曜日

川端康成文学賞は短編が対象なんですね

 就職以降、文学雑誌に遠ざかっていたが、突如として今年の「新潮」五月号、六月号を買ってしまった。理由は円城塔さんの短編連作「文字禍」を、空海つながりで読みたくなったため。正確には五月号をこの理由で買ったのだが、六月号は予定していなかった。

 しかし、新聞広告(新聞広告や書評については別途書いてみます)で、川端康成文学賞が「文字禍」に与えられたと聞き、その受賞の言葉と受賞作を読みたかったので、また駅ビル書店で購入。

 さっき書いたように、連作全体の題が「文字禍」なのであり、川端賞はその第一回の作品に与えられた。期せずして、読みたかった第一回分もすぐ手に入ったわけだ。

 「文字禍」はニ回分しか読んでいないが、「小説らしくない」小説だ。話が抽象的いや概念的なのだ。昔風に言えば高踏的。空海が唐で文字を扱うシステムを作っているというのが五月号の話だが、受賞の「文字禍」は始皇帝時代の俑を8000体(?)作った職人が人偏の字を三万字も竹簡に書いておいたというお話。謎の阿語生物群というのも出て来るが、まだ意味不明。数千画の字なんてあるのか??



 このあたりの本当か空想かわかないところが面白い。さすがに理系出身の作者だという人がいそうだが、そもそも小説とは昔からそんなものだ。読んだ当初には微妙な違和感が有る方が、ずっとそのことを考えることができて、長く楽しめる。

 「文字禍」はこれからも「新潮」に掲載されそうなので、楽しみにして駅ビル書店に毎月通わなくてはならない。これこそ「文字禍」そのもの。

 なお、この短編以外にも六月号には森田真生さんの「数が作った言語」というフレーゲの解説作品も載っていて「面白い」。昔の文学雑誌とはイメージが変わっているので驚いている(*^^*)

 いまに、計算機のプログラムも掲載されたりするのではないか。

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