2019年5月19日日曜日

『ふたつのオリンピック』は約600ページあるが、さわやかな文章と訳のおかげで一度も飽きずに読めた


『ふたつのオリンピック』(ロバート・ホワイティング 玉木正之訳 2018年 株式会社KADOKAWA)読了。前回に続き、今回の東京オリンピック開催をもその開催後を危ぶむ筆致だ。ホワイティングさんは長年東京で暮らし、東京を愛している。「日本的」野球や、ヤクザの世界、裏町の生活を実地に体験し、それを日本論に昇華させている。世界に類のない、(褒めているわけでなく、その反対の)「記者クラブ」とは徹底的に対決する。読者に事実を報告するジャーナリストとしては当然なのだが、それを「記者クラブ」は問題視する。題材だけを読み取って考えていくと、気が滅入りそうになるが、彼の明るい文体がそれを救っている。玉木さんはそこをうまく訳したと思う。

最後になって、鎌倉を出た、ホワイティング夫妻(奥様は日本人)が住み着くのは豊洲の高層マンション。近くに「ビバホーム」(DIY の大型スーパー)があると書いてあるので、十数年前まで勤めに通っていた場所だ。ここで東日本大震災に出会う。

来年のオリンピックが、予定通り行われたと仮定して、彼はなんというか、楽しみだ。行われなくてもその内幕を調べて書いてくれると思う。

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『漱石全集』の第二十七巻を借りてきた。1997年に出たもの。蔵書への書き込みや蔵書目録が、改訂されて掲載されている。調べ物には役に立ちそうだ。全集をどんどん買える身分ではないので、取り揃えてくれる図書館には大感謝だ。他に『『サピエンス全史』をどう読むか』も、6月の「月刊ALL REVIEWS友の会 ノンフィクション回」の参考に借りてきた。

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