2019年2月17日日曜日

『地球村の彼方』(アーサー・C・クラーク)の前半の主役はグレート・イースタン号だ

 『地球村の彼方』(アーサー・C・クラーク 小松左京監修 1993年 同文書院)を面白く読む。三分の一くらいまで。

 話題は、大陸間電信通信用の海底ケーブルの敷設、無線通信、通信衛星前史、宇宙通信などに分かれるが、いま読んでいるのは電信のための海底ケーブルの敷設のお話。大変な苦労をして完成した。

 重く太いケーブルをまず大西洋を横断して設置したが、そのための技術を開発しながら行なったので、時間と金がかかった。

 技術的なところ(と精神的なところ)をウィリアム・トムソン(…のちのケルヴィン卿、古典物理学の大家。1907年没。アインシュタインが古典物理学の殻をやぶる寸前に亡くなっている…)が、手伝っている。トムソンは実際に海底電線を敷設する船に乗船もしている。

 トムソンの業績は、ここのリストの論文に目を通すといい。>自分。試しに電信に関係の有りそうな論文「On Practical Methods for Rapid Signalling by the Electric Telegraph.」を眺めたが、わかりそうだ。本当か?>自分。

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 グレート・イースタン号という19世紀最大の蒸気船があったのだが、軍艦としては(大きすぎたのか…3万トン)役に立たなかたのを、その図体の大きさを利用して、重いケーブルを載せて、敷設に使ったという。クラークの筆は、トムソン卿の描写には愛情がこもっていないが、グレート・イースタン号とその乗組技術者には優しいまなざしをもって、描いている。

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 つまり、この章の主役は、グレート・イースタン号であり、私は名前だけ知っていたけれど、この船がにわかに身近に感じられるようになった。

 こんな、クラークの文章作法は、批判する人がいるようだが、私は大好きだ。

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 もっと、この本を読み続けたかったのだが、午前中の大半をマンション管理組合の総会で潰されてしまった。まあ、年に一回のことだし、毎年出席しているので、「積極的」に参加してきた。寒い場所でやるので、カイロは必須。

 それでも、終わって戻ってきたら、体が冷えて気持ちが悪いので、朝入った風呂にもう一回入る。極楽だ。司馬遼太郎の『菜の花の沖』の高田屋嘉兵衛の部下が、シベリアで体を冷やして亡くなったことを思い出した。年寄りは暑さだけでなく、寒さから身を護るのも重要だろう。

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 夜、ノーベル賞を取ったあと、その重圧に苦しんだ田中耕一さんが、苦しみながらもプロジェクトを立ち上げてアルツハイマーの原因タンパク質を見つける話と、本庶佑さんが基礎研究の予算を減らさないでという話の、うまいコラボレーション番組を観た。最近のNHKにしては出色の番組。政府の横槍で以前クローズアップ現代を降板させられた国谷さんを起用したのも評価できる。受信料支払いをやめるのはやめる。

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