2019年11月9日土曜日

「高遠 弘美 × 鹿島 茂 スペシャルトーク―『失われた時を求めて』を読む―」と、そのビデオ中継は大成功!!!

昼食後、いつもの昼寝は省略して、日比谷図書文化館へ。要するに昔の日比谷図書館なのか。都立でなく千代田区立になってこの名称になったらしい。


ともかく、そこでやっていた、「鹿島茂コレクション アール・デコの造本芸術」展に、まず行った。20世紀初頭の高級挿絵本がたくさん。50点くらい並んでいたが、全部鹿島先生の個人コレクション、実際にはもっとあるのだろう。素人には考えられない。

美しい本が並んでいたが、ジョルジュ・バルビエの絵が一番気に入った。照明がもう少し明るければ、細かい文字も見えたかなと思った。アンケートにその旨書いておいた。貴重な絵を傷めないためには仕方ないのかも知れない。

観ているうちに空腹になった。外に出て、鶴の噴水のある池のそばで、おやつとして持っていったふかし芋(!)を食べる。

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西麻布のノエマスタジオに向かう。月刊ALL REVIEWS友の会のイベント、「高遠 弘美 × 鹿島 茂 スペシャルトーク―『失われた時を求めて』を読む―」の収録に立ち会わせてもらうため。

少し早くついたが、高遠先生もかなり早くおいでになった。理由がある。重そうなかばんを開くと、『失われた時を求めて』の初版本(グラッセ社からの自費出版本)をはじめ、今年出版された雑誌や文庫類まで、貴重な20冊くらいを、机にお並べになった。初版本は許可を得て手にとって見た。意外に質素な本だったが、まだ売れるかどうかわからなかったので致し方ないのだろう。



対談の中で高遠先生がおっしゃっていたが、プルーストはフランスではまだ「新刊」作家なのだ。今年だけでも30冊以上著書や関連本が出版されているそうだ。

お二人が異口同音におっしゃたのが、世界の中で日本は(フランスを除けば)、プルースト研究では第一の国だということ。翻訳もたくさん出ている。そのなかで、なぜ高遠訳が好まれるのか。基本は、超綿密なプルースト研究と、翻訳文の文体研究なのだろう。その成果は、高遠先生が紹介された、読者からのはがきの内容に典型的に現れている。その中学女子生徒は、高遠訳の本は、まえがきと本文注と後書き(読書ガイドと年譜)の丁寧さによって、素晴らしく読みやすいと書いている。6巻までは読み終えてしまったので、次の7巻を待っているが、そのあいだ6巻までをもう4回読み直した…とも書いてあったそうだ。

私より50歳以上若い方が、私とまったく同じ感想を述べておられる。高遠先生の読者へのサービスの品質の高さがこれでわかる。

そして、読書の「挫折」を恐れてはイケナイ。人によって読みかたの相違があって然るべきだし、中断してもいつかはまた読み出す。さらに、「挫折」しても、それも一つの読み方だと、心強いことをおっしゃていた。

もう一つの特徴、訳文の流麗さは、もともと国文学者になりたかったこともあり、新古今、古今を始めとする日本文学などが好きだったことがあるせいだろうとのこと。最近の文学者では、中村真一郎、吉田健一、寿岳文章(とくに神曲の訳文)などもよく読まれたとのこと。

雑談では、鹿島先生が、プルースト雑記の堀辰雄や三笠書房のクローニンなども愛読されたと伺い、懐かしくなった。やはり、同世代、話がわかる。

もっと、たくさんの話がされたが、思い出せなくなった。(昼寝してないので眠い…)

対談終了後は、参会者のお一人(かごともさん)が提供してくれた、「マドレーヌ」(*^^*)を食べながら、全員でおしゃべり。私は持っていった本にサインをしていただいた。これも家宝!



今回はYoutube中継は特別で、誰でも見ることができたそうだ。おかげで視聴者もいつもより多かったらしい。

(後記: 翌日のいまお昼です。Youtubeでまだ見ることができます。昨日は舞い上がっていてよく話の内容を覚えていないので、見直すことにします。アドレスはここ。友の会会員でなくても観ることはできそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=VbWiJOTfnRs&feature=em-lbcastemail

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