『真昼の暗黒』は予定通り、今朝読み終えた。徹夜はやはり不要だった。主人公は取り調べ(予審)で徹夜を続けさせられて、朦朧とした末に、ついに供述書にサインしてしまった。そしてその後の裁判でもまったく抵抗力を失っていた。
読み終えた後、窓から見える見慣れた風景は、曇り空で寒々しく、ルバショフ(主人公)の見た独房の小窓からの風景を思わせる。
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ケストラーの年譜を含む紹介が、訳者の中島さんの手で書かれている。
勉強してみた。
(1)アーサー・ケストラー(Arthur Koestler)、1905年ブタペストで生まれた。
(参考)ボーヴォワール 1908年生まれ。サルトル 1905年生まれ。カミュ 1913年生まれ。
ちなみに私の父は1906年生まれ。カミュ以外はみな明治生まれなのか。
(2)父はハンガリー系ユダヤ人。母はオーストリア人。
ジャーナリストとして働く。
(3)1931年。共産党入党。
(4)スペイン内乱で、潜入していたケストラーは捕らえられる。イギリスの尽力で釈放。ロンドンクロニクル紙の特派員だったから。
(5)1938年。共産党を脱党。スペインでの体験と、ソ連の粛清裁判が原因と言われている。
(6)1940年。『真昼の暗黒』執筆。原稿はドイツ語・ハンガリー語だったが、ヴィシー政権による捜査・逮捕のときに原稿は失われ、英訳されたタイプ原稿のみ残った。これが出版された。
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ファシズムまたは共産主義のもたらす全体主義への批判が、『真昼の暗黒』への主テーマだろう。ボーヴォワールが夢中で読んだのもうなずける。もちろん、この本を勧めたカミュも読んだだろうし、サルトルも読んだと思う。
現在の日本にいて読んでも、このテーマは切実であると思う。
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図書館で、2冊借りてきた。ケストラーの自伝と、サガンの短編集。
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