2019年12月10日火曜日

今年読んだ本のベスト3

夕食用に、牛肉とチンゲン菜入り焼きそばをつくる。もちろん中華鍋使用。焼きそばは市販の袋入のものをほぐさずフライパンで焼き、熱湯をかけて油抜きする。香ばしくてしかも柔らかい食感になる。



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毎年年末には、今年読んだ本から、ベスト3を選ぶ。今年は以下の三冊になった。

これを書き直して、忘年会などで発表する。そのための元ネタである。発表には、もっと表現を工夫する必要がある。今朝、良いアイディアを思いついた。それは著者や訳者への手紙の形にすること。

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私の「今年の3冊」は、以下の通り。
1.『三体』
2.『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』
3.『パリ左岸:1940-50年』



1.まずは、『三体』。定番すぎるかも知れないが、面白かったので取り上げた。

前評判が高かった。7月はじめに、「『三体』翻訳者 大森望さん×作家 藤井太洋さん トークイベント 劉慈欣著『三体』早川書房 刊行記念」に出かけて、その場で本を手に入れ、大森さんのサインも貰った。完全にミーハー的。

しばらくSF本の読書からは離れていたが、今年始めに月刊ALL REVIEWS友の会で対談後の雑談時に、ゲストの牧眞司さんから勧められたのが、読むきっかけだった。

再度、SFの世界に復帰できたという喜びが、読後に湧いてきた。一方、続巻の翻訳はまだか、という『三体』ロスに悩まされている。神保町の中国書籍専門店で中国語の続巻を手にとったが、余計な自制心が働いて、買わずに店を出た。

ALL REVIEWSには記事が2つある。
訳者、大森 望さんの解説。
https://allreviews.jp/review/3590
若島 正さんの書評。
https://allreviews.jp/review/3738


2.『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』、これはユニークな本だった。題名が長すぎて、Tweetもしにくいし、書評も書きにくい(書評家の重鎮豊崎社長談)らしく、一般には知られていない可能性がある。

私は紙本原理主義者ではない、Kindle本で購入。この本の性格上、電子書籍がいいと判断したからだ。これは次の理由で正解だった。

明治期を中心とした昔の本の引用が、たくさん本文や注などに含まれている。それを、国会図書館デジタルコレクションなどで、原本を参照しながら読むのがこよなく楽しかった。

この過程で派生して読みふけった昔の本、もちろん貧乏な私なので国会図書館デジタルコレクションでだが、それらの本の一部分たちを「OLD REVIEWS」と名付けて、自分の日記ブログにため込む。この、楽しい作業のきっかけを作ってくれた、『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』には感謝する。でも題名が長いなあ。

3.『パリ左岸:1940-50年』、昨日読み終えたばかり。この本は月刊ALL REVIEWSの対象本。著者のポワリエさんにも、ビデオ収録現場で出会えた。

まだ、若いポワリエさんが、すごいバイタリティーで資料を集め、関係者に話を聞き、そして驚きの構成力で作り上げた本だと思う。完全保管本だ。

1940年から50年のパリを中心とした、ボーヴォワールやサルトルそしてカミュなどの「文化人」たちの群像劇。彼らが生み出した「実存主義」などの活動は、ときには「第三の道」を政治的にも押し出す。政治活動としてはすぐに力を失うが、ヨーロッパ共同体に理想は引き継がれたし、哲学・文学・映画芸術などでは世界的な影響を与え続けている。

60年代の学生運動の最中に、夜はサルトルやカミュに読みふけり、昼は街頭にでたりしたそのエネルギーの源流はこの本に書かれたことそのままだろう。そして、同時代、1946年前後の日本ではやはり、「第三の道」の動きは地方にもあった。これは、義父の経験と著書によって知った。

『パリ左岸:1940-50年』に登場する、ほぼすべての人物やその著書は、今までの自分の読書生活の対象と符合する。おかげさまで、読んでみたい本や再読したい本が10冊以上出てきた。ありがたい本だ。

ALL REVIEWSでの鹿島茂先生の読書日記。
https://allreviews.jp/column/3838
同じくコラム。
https://allreviews.jp/column/3845

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