2020年3月12日木曜日

神谷美恵子も日記好きだった、たとえばマンスフィールドの

『若き日の日記』さらに読む。どうもこれ一冊では終わらず、神谷美恵子の著訳書はもっと読むことになりそうな予感がしてきた。

157頁。1944年3月3日。
「書くという私の能力を、学問と文学と、両方に使い分けしていいものだろうか、実際問題としてできるものだろうか。またどちらが本当に私に向いているのだろうか。」

158頁。
「学問か、文学か、論理か直感かと言えばやっぱり私の分野は後者ではあるまいか。」
大いに悩んでいる。当時の戦局を考えると、このような本質的問題で悩めるのはすごいことと思える。皮肉ではない。時代の流れに押しつぶされずに、よく考えている。大官の娘という立場がそれを強化していると言えなくもないが、それにしてもである。 父、前田多門はこのとき新潟県知事。翌年は貴族院議員そして文部大臣になる。

194頁。1944年7月29日。
「さてこの頃はニーチェだのマンスフィールドの日記――これは非常に参考になる――だのシュライエルマッヘルだのショーペンハウエルだの読み散らしていたが、試験後の反動もやっと納まったようだからここで少し秋までの方針を決めよう。」

このあとに、医学、心理学、文学に関する読書計画、創作の計画、音楽(ピアノ)の計画を書いている。

196頁。1944年8月8日。
「マンスフィールドの日記を読んでいると、書くものの苦悩と至福が胸に迫る。」

大分好きだったようだ。読んでみるか?

Internet Archiveにあるが、これでいいのか?



邦訳はこれでしょうか?Amazonにあるけど高いなあ。県立図書館には蔵書があるけど。



この後は、ここで『子供の科学』と『天文ガイド』を読む(*^^*)

https://www.kodomonokagaku.com/20200305/


2 件のコメント:

高橋晴二 さんのコメント...

こんばんは、私は神谷さんの著作は、「生きがいについて」を若い時に読み、その後、この著作と離れずにおります。そして2021年4月に、マタイ受難曲を聞いたきっかけで、神谷さんが戦争中にマタイをローゼンシュトック指揮の日本交響楽団、成城学園合唱団で聞いたことから、この日記を読み始めやめられなくなりました。29-31歳の時の日記ですけれど、聡明であり、尚且つ自分の価値をどうやってこの世界の中で生かすか、意味のあるものにするのかについて真剣かつ誠実に考え抜く姿が素晴らしいと思います。

hiro さんのコメント...

高橋清二さん
コメントをいただき、ありがとうございます。
須賀敦子さんが好きでいろいろ読んでいるうちに、神谷美恵子さんの著作も読むようになりました。遠い昔、学生時代に買った『自省録』の訳者が神谷美恵子さんだったのも最近思い出し、少しずつ読んでます。おっしゃるとおり、自分の取るべき道を真摯に考えて、その道をひたすら進む誠実さに感嘆しております。少しでも見習えればいいのですが。