2021年6月5日土曜日

重力波検出には昔のHiFiオーディオ技術が役に立つという

土曜の朝は朝日新聞の書評欄チェックで始まる。今朝の注目書評は須藤靖先生が書かれた「ユーモアたっぷり 驚きの日常」で、エミリー・レヴェックさんの『天体観測に魅せられた人たち』についてのもの。

「天文学者の日常と観測天文学の魅力を伝えてくれる」と評しておられる。「天文学者の日常」に関するエピソードが盛りだくさんで面白い、とのご意見には大いに賛同する。ただし、「観測天文学の魅力」がいかなるものかについては、読者にまかせるつまりこの本を読みなさいというスタンスだ。

私がしばらく前に書いた、書評とはもちろん言えない、文章では、「観測天文学」が現在どのようになっているかについて、苦労して書いた。その一点だけは私の文章の勝ちかなと、一瞬おもったが、想定読者がちがう。須藤先生のものは、広く一般向けに書かれており、読みやすい。私のは、天文学の生半可な知識を振り回しており、読者への訴求力に乏しい。

「天文学界隈」でのジェンダー不平等問題にもきちんと須藤先生は触れておられる。私は難しくて避けて通った。

良い書評を書くというのは難しい。でも、同じ本に関する文章を「プロ」のものと比べるのは、勉強になる。こんな機会をもっと作りたい。

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朝食と掃除をそこそこにして、孫の世話の手伝いにでかけた。行きの電車のなかで『重力波は歌う』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)を読み始める。MITのライナー・ワイス教授(重力波観測所LIGOの創設者のひとり)のインタビューは、HiFiオーディオ装置自作の話から始まる。重力波の観測では微弱な重力波をいかに雑音のなかから検知するかが問題で、まさにHiFiの分野なのだそうだ。おもしろい。目的地にはすぐ着くので、話の途中で本を閉じる。

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