長尾真先生の『デジタル時代の知識創造』のなかの一節をKindleで、今朝読む。以前からの私の夢と似たところがある話だ。
「図書館の書物の全体が人間頭脳における知識の構造に類似したものを形成し、ひとつひとつの本やその部分が知識の構造の中の適当なところに位置付けられることになるだろう。このような極端に進化した電子図書館を考えると、 1冊の本の著作者が知識構造全体のどの部分にどのような貢献をしたかということになり、表現の独自性を対象とした著作権という概念とは遠くかけ離れた世界が展開することになる。」(長尾真)
—『【全15巻合本版】角川インターネット講座 (角川学芸出版全集)』
これは、今の状況よりも数歩先を行く考え方である。AIの助けが必要だろうが、早くこうなってほしい。少し調べてみたいが、生きているうちにこのような世界に突入していくことを望む。なんらかの助力が可能ならしていきたい。ちなみに、このとき著作権はアイデアの使用権(貢献に応じた使用料の支払いを伴う)となるとされている。知的努力が正当に報われるようになるはず。
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『歴史の風 書物の帆』に最後まで目を通す。最終部分の書評で取り上げられている荒俣宏、高山宏の知の巨人ぶりに感嘆し、著書全部を猛然と読みたくなる。書評なのだが、個人の評にもなっている好例。書評対象本だけでなく、著者の本をまるごと読みたくさせる技のすごさ。
「あとがきに代えて」に書評集を本で出す意味が書かれており、こちらにも納得した。良い書評を分野ごとに複数並べるとその分野の良いブックガイドになるというもの。これは昨日まで読んでいた三中さんの『読む・打つ・書く』の趣旨でもある。複数書評家の良い書評を分野別に並べるARにはこのようなすばらしさがもっとある。鹿島さんはこれをARで狙っていたのか。ここを強化する手伝いがわれわれ友の会会員にもできそうな気がしてきた。
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