2021年7月5日月曜日

『読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』を読んで自分の書評観の狭さに気づいた


三中信宏『読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』(東京大学出版局)を読みすすめる。第2楽章「打つ」から読み始めたが、難しい道からの登山だったかと少し反省中。

自分の書評に関する見方が、非常に狭いものだったと気づかせられた。短め(800字から1500字くらい)の書評ばかりを考えていたが、長い書評でないと意を尽くせないことがある。そもそも、書評を書く側の主観的な意見や知見を押し出さないほうが良いと思っていた。文芸書の紹介レベルならこれでいいが、最近興味を募らせている科学書の書評をしっかりやるとすれば、かなりの長さが必要だ。

読者の知識レベルを低いものと想定すれば、まず基礎的な知識を解説する必要がある。書評対象本の論理構成を批評するには、本の長さと同じとは行かずとも、相当な長さを要求されそうだ。

最近読んだ、天文学者の体験を書いた本の新聞書評に、失礼ながら物足りなさを感じたのは、このせいだ。書評家の責任ではなく、与えられたスペースが狭すぎる。単にこの本は面白い、一般向けのこんなエピソードもあるというだけで、天文学上の重要な発見の内容の一般向けの解説をすることができていない。

すると、三中さんのように、自分でスペースを用意して「意を尽くす」しか方法がなくなるのだろう。あるいは、論文の形態をとる必要があるのかも知れない。

文芸書の場合も実は同じようなことが言える。短い書評で本の拡販に全面的に協力するか、あえて、炎上を恐れずに書評家の忌憚のない意見を言うかだ。植草甚一さんのエッセイ的書評の書き方(例えば『ぼくは散歩と雑学がすき』)のように、長い内容の紹介と見せかけて、自分(植草さん)の意見を述べてしまうという高等テクニックを使うという第3の道もありそうだ。

ともかく、今回のこの本は「書評」について素人の私には、絶好の本だった。AR友の会の仲間にも読むことを勧めたい。

明日は第1楽章「読む」を読むつもり。目からウロコがたくさんおちるだろう。楽しみだ。

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今朝の注目Tweet。

今度行ってみなくては。

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図書館で三冊借り出してきた。

『プルースト読書の喜び 私の好きな名場面』
著者名 保苅 瑞穂/著
出版者 筑摩書房
出版年月 2010.12
(保苅さんの本なので鉄板。)

『サムライに恋した英国娘 男爵いも、川田龍吉への恋文』 
著者名 伊丹 政太郎/著 アンドリュー・コビング/著
出版者 藤原書店
出版年月 2005.9
(「チコちゃんに叱られる」で紹介された川田龍吉男爵の本。)

『ダ・ヴィンチ・コード 上』 角川文庫  
著者名 ダン・ブラウン/[著] 越前 敏弥/訳
出版者 角川書店
出版年月 2006.3
(養老先生が『考える読書』で紹介してくれた。)

結局、読書傾向はかなりミーハー的であることがわかる。自分を褒めている。

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寝る前にKindle Unlimitedでこれを読んだ。面白かった。『ぼくは翻訳についてこう考えています』。





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