2025年9月16日火曜日

「ぼくの好きな読書と天文学」

 15年前、60歳定年を迎えてなにをしようかと考えた。生活のために最小限はフリーランスのIT講師として働くが、自由な時間はありあまる。好きなものを好きなだけやれば良い。2つ頭に浮かんだ。読書と天文学。天文学を糸口にして当時のことを書いてみる。

大学で学科を選ぶとき、天文学科にしたいところを、食えないという雑音に惑わされて、就職のことも考えて物理学科にした。それをずっと後悔していた。過ぎたことはしかたない。これから勉強してやろうと考えた。放送大学というありがたいものができていたので、天文というより宇宙物理学の講義を2つほど受講し、単位もとった。天文学の学会にも何度か顔を出してみた。面白かった。この過程でヘンリエッタ・リーヴィットという米国の天文学者を知った。20世紀はじめに以下のような業績をあげた。

リーヴィットの、一見地味だが実はすごい業績と天文学一筋の生涯とに魅せられた。業績(変光星の変光周期と絶対光度の関連法則の発見)の意味を知るために宇宙物理学の歴史を真面目に勉強した。論文をさがして読んだり、ひとつだけある伝記を読んだ。伝記の内容だけではものたりないので、ゆかりのある人々の事績もしらべた。

こうして読んでいった本はかなりの山になった。漫然として読書のみを行っているよりも、充実した読書体験が得られた。もっと楽しむには、リーヴィットについて学んだことを文章にまとめてみるのが良いと気づいた。書いてみると、自分がまだ知らないことが見えてくる。それをまた追求する読書をして、わかったことをまたまとめる。この繰り返しは無限に続けられる。

リーヴィットが研究三昧の生活をしていたボストンに行く計画も立てている。インターネットではどうしても手に入らない資料がハーヴァード大学の文書館にねむっているのだ。

Margaret Harwood, Public domain, via Wikimedia Commons