2020年11月30日月曜日

iOSでの手書き入力派には良いタッチペンが必須

『トーマス・マン日記』をなおも読む。

1952年7月1日、チューリヒ、ボル・オ・ラク
(承前)ゴーロ達と、エーリカについて、私たちの将来計画についていろいろと話し合う。テシーンかそれともチューリヒ近郊にするか?

7月3日、チューリヒ。
宿は見つからない、なにしろ、(体調のせいで)トイレット付きの部屋に固執せざるを得ないからだ。

7月4日、金曜日。。
カトヤが山間保養地各所と電話。いずれも断られる。結局、ホテル・レギーナ・ヴァルトラントに火曜日を予約する。

7月5日。
車でノイマン邸へ。

7月6日。
落ちつかぬ夜。じくじくする耳。アルコール洗浄。セコナールのあとイプラール。それから数時間快眠。

カフカの『ミレナヘの手紙』を読む。(捨て鉢な恋文)

7月8日、火曜日。
車でエーリカの保養所へ、エーリカとともにカンダーシュテークヘ。

(#ここでタッチペン破損、買い直さないと!、とりあえず中指で。)

7月9日、カンダーシュテーク。
上等の浴室付きの簡素な部屋。(#これは皮肉らしい)

7月11日、カンダーシュテーク。
きのうは病気の一日。腸カタル。ホテルの部屋が小さすぎる。

7月13日。
シカゴの党大会、アイゼンハウアーを指名。これで悪質なカリフォルニア出身の副大統領(ニクソン)が誕生することになろう。

7月15日。

パシフィク・パリセーズの甥から純真な手紙。レコード・コレクションを整理してくれた。

7月16日、ホテル・ヴィクトーリア。
きのうこのホテルに移った。オーストリア的。部屋を読み書きできるようにどうにか整える。

7月19日。
このところ午前中短編小説に少し苦労して取り組む。

7月20日。
Kとエーリカに短編小説の書き上げた30枚以上をほとんどすべて朗読した。エーリカは誉めたが、生理学的なものは抑えるよう助言。高地では朗読は大変。

7月21日。
原稿に手を入れる。

エーリカは病気。

7月22日。
あまり食欲がない。

書き進める。

エーリカ回復。

7月24日。
Kの69歳の誕生日。人生の来し方について語り合った。

数行しか書き進まなかった。難しい地点。

8月1日、ルガーノ、ヴィラ・カスタニョーラ。
1933年以来のこの記録(日記)はそう必要でなかったという感じ。

きのうミンクスでエーリカと、ルツェルンヘ走行。我々のみ列車でこちらへ5時到着。3階の窮屈なバス付きの小綺麗な二人部屋。朝食後少し原稿と取り組む。10時にバルベンゴの家の持主の車で家を見に行く。

8月2日、ルガーノ。
Kがアニョの物件は問題にならないとの結論を得て戻る。バルベンゴの可能性。しかしまだチューリヒ近辺を見て回る必要がある。

8月4日、チューリヒ、ヴァルトハウス・ドルダー。
放送局で、『社会の中の芸術家』の収録。400フランの中間報酬。

8月8日、ミュンヒェン、フィーア・ヤーレスツァイテン。
きのうヴァルトハウスを出発、長い走行。ミュンヒェンに入る。食堂の移築の他はホテルは変わらぬ姿。朝食後、講演に目を通す。南ドイツ放送の出迎えを受け、局で集中して講演を朗読。

8月9日。
ザルツブルグへ。

8月10日、ザルツブルグ、マリーア・テレージア=シュレーセル。
きのうここに4時に到着。さしあたり浴室なし。モーツァルトの夕べに、ビービが登場。

***


『精選女性随筆集5 武田百合子』で「富士日記」の抜粋を読む。川上弘美さんが「まえがき」(?)で書いているように、文章も内容もいい。楽しい部分も哀しい部分もいい。こんな生き生きした日記は初めてだ。抜粋でなく、全文を読んでみたくなった。

***

上記のメモを手書き変換ソフトで書いていたら、ディスクタイプのタッチペンのディスクがとれてしまった。夕方の買物ついでに100円ショップで買い直した。書き心地は良いのだがディスク部分は良くこわれる。



2020年11月29日日曜日

トーマス・マンにせよ、西脇順三郎にせよエライ人はどの分野でも飛び抜けている

『トーマス・マン日記』を読み進む。

77歳の誕生日のお祝い。ローマ賞受賞の知らせなどで忙しく暮らす。が、移住の件が頭にあり、真に楽しむことはできない。もろもろをふりすてて、スイスへ向け旅立つ。その間も「短編」『あざむかれた女』と、『クルル』の執筆は欠かさない、作家魂。

1952年6月11日。
1933年からの日記の包みに、「死後20年、何人も開封すべからず」という上書きを書いた。体調悪い。横行結腸痙攣、胃弱。

6月12日。
若きプリングスハイムがこの家に入ることが確定。すでにこちらに向かっている。きのう日記の包みを封印する。

書き進める。

6月14日。
短編小説を書き進める。(恋人ケン・キートンの導入。)

6月17日。
短編小説を急ぎ書き進める。

6月18日。
晩、封印した日記と他の原稿を銀行保管のためトランクに収める。

6月19日。
書き進める。注文したタクシーでウェストウッドへ散髪に。老ジムに別れを告げる。午後、カーン女史。浄書してもらうため『クルル』第3部第6章を渡す。

夕食後、短編小説『欺かれた女』をケンが登場するところまで朗読。うまくいった。母娘の生理にかかわる対話に対して異論。

6月20日。
この家に住まうことになる甥がニューヨークから到着。

6月21日。
周旋人に連れられて、この家の買い手、あるいは購入希望者が今突然現れたのにびっくりする。ほかならぬ今、有利な売却が迫ってくるとなると、どうしたらよいのか。明け渡しまで4週間の時間しかない。

旅行の準備。書類を集める、『クルル』資料も集める。書類鞄に詰め込む。

6月22日。
短編小説を少し書き進める。

6月23日。
衣服や手提げ鞄に入れるものの整理。興奮。

飛行場への出発はあす早朝。

6月26日木曜日、シカゴ、ショアランド。
火曜日に甥に飛行場へ送ってもらう。5時間の飛行。メーディが迎えにきていた。きのう午前、博物館を再訪。

6月27日、ニューヨーク、セイント・リージス。
きのう正午近くメーディに飛行場へ送ってもらう。飛行時間3時間。ランチ。

ラ・グァーディア飛行場にはベルマンが迎えに来ていた。快適にエアコンの効いたホテル。

エーリカの再入国許可願いが拒否されたとの知らせ。

7月1日、チューリヒ、ボル・オ・ラク。
目的地に到達。

おととい、KLMの係員が迎えに来て新しいニューヨーク空港へ運んでくれる。特別待遇の手荷物処理。丁寧なサーヴィス。速い飛行。座席では休めない。脚がつる。カナダ、アムステルダム経由でチューリヒへ。クローテンに正午ちょうどに到着。ホテルで休息。

8時過ぎ起床。文房具等の買い物。エーリカが、ベルン近郊の施設からランチにやってくる。快方に向かっているらしい。ゴーロもランチに来た。

***

午前中はマンション管理組合理事会。

午後、月刊ALL REVIEWSフィクション回の放映。テーマは「西脇順三郎」。詩人としての西脇も知りたくなり、岩波文庫の『西脇順三郎詩集』を図書館で予約。実は以前、西脇の『評伝』を買ったときに、この文庫も借りたが、よく読まなかった。



2020年11月28日土曜日

赤木 曠児郎(あかぎ こうじろう)先生がTBSテレビの『世界ふしぎ発見!』に出演


『トーマス・マン日記』を読み進める。

生活習慣(たとえば朝の入浴や、午前中の仕事)は、私が真似している事が多い。

1952年5月1日。
澄んだ天候、でも風邪気味。

5月2日。
アドルノから長文の手紙、『クルル』を完成するよう主張している。

5月3日。
昨夜睡魔と戦いながら『悪霊』を読了。スタヴローギンはレーヴァキューンを思い起こさせる。子宮と月経について抄録。欺かれた女の物語のための形式を見出す試み。そのあとリスボン近郊について抄録。

5月4日。
クックック一家との交際を語り進める気持ちが失せる。

5月10日。
考えていたよりも早く今月の終わりに当地を発って、スイス航空でチューリヒに飛び、先ずはスイスに滞在したいという意図が(当局に?)認められる。

(この日、私は3歳)

5月13日。
『芸術家と社会』講演を何とか録音した。

5月14日。
(『欺かれた女』)物語の冒頭を数行書く。

5月19日。
短編小説を少し書き進める。

5月20日。
ハインリヒとともに過ごした若きローマの日々を思い、この市に再会する日々の状況を思う。短編小説を少し書き進める。

5月21日。
短編小説を少し書き進める。

5月23日。
チェーホフの『死の影』、優れている。

5月24日。
私たちの出発は6月23日に確定。エーリカは今月末。短編小説を苦吟しながら書き進める。

5月25日。
短編小説を少し生き生きと書き進める。

6月1日。
六時ごろエーリカは、ニューヨークへ飛ぶ。

6月4日。
夕食後、旅行に持っていく本の選択。これは前もって送られることになる。

6月5日。
7時半に起床、コーヒーのあと入浴。ここで、いつものように、すでに課題を熟考する。

短編小説を書き進める。

カーン女史に1933年から51年までの日記を銀行に預けるべく荷造りさせる。「文学的価値なし、しかし私の死後20年経たないうちは何人も開封すべからず」と書くことにする。

6月6日。
マンの77歳の誕生日。

***

赤木 曠児郎(あかぎ こうじろう)先生が、夜9時からのTBSテレビの番組『世界ふしぎ発見!』に少し出演された。短いインタビューで、内容は乏しかったけれど、週5日も街角で絵を書くなど、お元気な姿を見ることができて嬉しかった。コロナ禍のパリ、気をつけていただきたいものだ。

2020年11月27日金曜日

コトバそのものがタイム・マシンなのだろう


昨夜、『ゲイルズバーグの春を愛す』(ジャック・フィニイ 福島正美訳 早川FT文庫)の末尾にある「愛の手紙」を読む。80年前の女性と文通するファンタジー。これを読んで寝たら、似通った夢をみた、ような気がする。インフルエンザの予防接種を受けたからかも知れない。

テレビ映画化されたものを見つけた。面白そうだ。

https://youtu.be/ggmiyof04nY

***

今朝も『トーマス・マン日記』の続きを読む。

1952年4月1日。
穏やかな春の天候。第7章を少し書き進める。

4月2日。
数行書き進める。

4月3日。
昨晩遅くまで『悪霊』を読む。第7章にかかるが、進まなかった。疑念と嫌悪による抑制が強すぎる。……

夕食の際、仕事の危機、生涯の最後の年月を実際にこの対象に振り向けるべきかという疑念を論じ合う。この作品を拡大したところで断片として放っておこうか、とつおいつ考える。場合によってはあとはリスボンとアルゼンチンの冒険を書きあげることにするか。(注)によるとこれについては『トーマス・マン研究Ⅴ』に指摘された諸計画と予備作業に参照すべきものがあるという。読みたい!

4月4日。
回想録は、老年の最後の力を[振り向ける]「ファウスト」ではない。終始私は、その完成の見通しの立つ、相応しい対象を願い求めている。中断を決意するほうが、無理やり完成させるよりもおそらく尊敬すべきことであろう。……

非常に疲労。私の危機的な創作状況で頭が重い。[クルル回想録]を諦めれば――私は、諦めなければならないと信じている。――その代わりに何を取り上げるか。

4月5日。
Kは、今年の収入が十分な場合には、とにかくヨーロッパ旅行にでかけ、とくにガスタインの保養を繰り返すべきだと考えている。

4月6日。
Kが、息子の若い家庭教師を愛したある年配のミュンヒェン貴族女性の話をする。(注 これは1953年の『欺かれた女』の物語の骨子となる。)

第3部第5章に必要な変更。

4月7日。
第3部第5章の変更。

4月8日。
もう一度第3部第5章に戻る。それから、第6章を試みに書き進める。

4月9日。
博物館見学のくだり、変更。

4月10日。
第7章の書き直しを進める。

4月11日。
第7章の改訂を進める。

4月12日。
第7章を少し書き進める。……

第5章の愚かな鯨の箇所の出来に納得がいかない。

4月15日。
朝食でメーディと、私たちはこのままアメリカに止まるか、移住するかの問題について。

4月16日。
第6章を書き進める。

4月17日。
第7章を書き進める。……自筆の通信。――カフカの『変身』と『流刑地にて』。後者の印象的な幻想。

4月18日。
ビヴァリ・ヒルズの映画館で、日本の成功作。これにはいささかも感心できなかった。(注 によると『羅生門』のこと。)

4月19日。
第7章を書き進める。

4月22日。
今年はヨーロッパと当地で収入が非常に良好。それでいて奇妙なことに移住に係わる憂慮が小説に係わる憂慮と対応している。

博物館の章を書き進める。

4月23日。
第7章の結末部分を書き進める。

4月24日。
メーディの34歳の誕生日。

第7章の結末部分を滞りながら書き進める。

4月25日。
私の「アメリカとの訣別」について、新聞や通信社からひっきりなしの電話。

博物館の章の終止カデンツァ。

4月26日。
博物館の章の締めくくりと前章のズーズーの肖像の改変。

メーディにクックックの章を朗読。感激の態だった。「私の書いた最も美しいものなのだよ!」この本にとってのこの部分の危険性。これによってこの本はあまりにも高みに祭り上げられてしまう。それにもかかわらず、全てでありたいとする欲求がやはりすでに感じられる。冒頭の部分との関連。

4月27日。
ズーズーの肖像。第3部の第6、第7章は脇に置く。

***

すごいサイト、「オーウェルの日記」をみつけた。正しくは『ジョージ・オーウェル日記』(白水社)の「序」を読んでいて発見。

https://orwelldiaries.wordpress.com/about/

2020年11月26日木曜日

私もトーマス・マンも年寄り特有のヒガミやすさに注意すべきだ

『トーマス・マン日記』の続きを読む。なんとか、今月中に1952年分を読み上げたい。

1952年3月

『クルル』の筆が止まっている。この月の後半になると再開するが、小説そのものに関する疑念が生じ、はかばかしくは進まない様子。心配しても役に立たないが、心配だ。

3月10日。
カフカの『アメリカ』を読了。

3月11日。
キューバで軍事革命。全ドイツとの講和。

晩、音楽を聴く。フランチェスカティは当代随一のヴァイオリニスト。

3月14日。
エーリカはカール(『アメリカ』の主人公)は同性愛を暗示していると言う。私はむしろユダヤ的純潔だと思う。

3月19日。
ここに止まることは、エーリカのことを考えればとうてい考えられないし、私自身、この国には言いようもなく疲れている。……ミュンヒェンの場所に私たちの新居を建てようという考えにいろいろ思いを馳せる。

3月20日。
「スイス」でランチ。

3月22日。
日本との安全保障条約。

夕食後、客の前で『クルル』の朗読。

3月23日。
長篇小説原稿と取り組む、きのう朗読した分に訂正。ウプレの章。

3月24日。
小説原稿と取り組む。第3部第5章のある箇所が気になって仕方なく、書き換えたが、決定とまではいかない。

3月25日。
長篇小説にかかる。最後の章(6章)の変更。ズーズーの新しい肖像。博物館の[描写]のために写真の観察。
(#マンの小説の書き方が知れて面白い。)

3月28日。
ズーズーの肖像の修正に苦心。「クックック」の章の訂正部分を浄書のために手渡す。雑誌「南アメリカ」の動物園関係記事や旅行写真などを見る。

3月29日。
きのう第3部第7章を書き始める。(注 クルルの博物館訪問。)新しい義歯に手こずる。ものを読むのにあまり役立たない目も私には気がかりだ。エーリカが、クックックの章の、巨大な鯨が無視されている誤った箇所に注意をしてくれる。

3月30日。
新しい章を少し書き進める。

3月31日。
きのう、私たちがスイスヘ移ろうと計画しているというニュースが新聞に出ていたことを知る。

第7章をわずか書き進める。この仕事の将来に関して重大な懸念。

***

午後、昼寝のあと、K内科クリニックに行き、インフルエンザのワクチン接種。会社を辞めてからはずっと接種していなかった。そのせいか、終わったのに待合室で15分間待たされた。幸い具合は悪くならなかった。

***

夕方、買い物ついでに図書館で本を4冊借り出した。図書館員さんが全部持てますかと真顔で尋ねた。大丈夫と答えて、買い物もたくさんして、一緒に持ち帰ったが、確かに重かった。本の重さを量ってみたら、2.8キロあった。夕食材料などと合わせたら5キロくらい。孫と同じくらいだ、大丈夫。皆が年寄り扱いをするのは気になる。



2020年11月25日水曜日

米国を離れる寸前のトーマス・マンの気持ちを推し量る鍵はカフカの『アメリカ』かも知れない

昨日から再び使い始めた古いiPhoneで読書メモを取る。しばらく読んでは、要所のメモをとるが、自動画面OFF機能は使わない設定にしておくと良いことを発見。毎回立ち上げ直すというストレスが減る。

***

『トーマス・マン日記』をさらに読み進める。

1952年2月2日。
カリフォルニア州の15人の共産党指導者に対する裁判の始まり。

『クルル』の第3部第6章を書き進める。

2月3日。
夢。それと気づき、快く迎え、一緒に逍遙、非常に幸せというわけでもない。手首を掴み、組んだ腕の記憶が残る。

夜、モントゥ演奏会(ラジオ?)を楽しむ。『魔笛』序曲、『悲愴』のスケルツォ(第3楽章)、『牧神の午後』。(注 『魔の山』の最後の方の章「溢れる妙音」参照)

2月6日。
「小説を書き進める。」

イギリスではジョージ六世が死去。エリザベス二世がアフリカからロンドンヘ帰国の途に。

2月8日。
小説を書き進める。

2月10日。
小説を書き進める。晩、ヴィオラ奏者ウィリアム・プリムローズのチャイコフスキーを聴いて楽しむ。(注 『イタリアのハロルド』の吹き込みを高評価していた。 #私も聴いてみた。)

ポルトガルでは婦人は母娘であっても男性のエスコートなしには喫茶店に入れないとエーリカが文句をつけた小説の場面について話し合い。付き添い人を組み込む必要を認める。直ぐに老学者を考え出す。最終的には違う人物になったが。

2月11日。
庭の入り口に(売り家の)「標識」が取り付けられる。複雑な気分。

2月12日。
直腸の疾患と調子の狂った胃に悩まされる。

小説を少し書き進める。

2月13日。
第6章を書き進める。

2月14日。
朝食の際にベーコン片が食道上部に引っかかって不安になる。

小説を書き進める。

2月16日。
小説を書き進める。

午後、『没後十年の命日にあたりシュテファン・ツヴァイクについて』

2月17日。
『ツヴァイク』書き終わる。小説を書き進める。

2月19日。
小説第3部第5章終わりに向かう。

2月20日。新聞に『クルル』の恋人ズーズーのモデルに相応しい綺麗な写真を発見する。(注 アメリカのマヌカンの写真。文書館に保存されている。)

2月22日。
第3部第6章を書き終え、母と娘の肖像を書き直す。(注 母親の肖像にトーマス・マンは以前の直観資料、アンナ・パブロヴァとアントニア・デ・リーザイス男爵夫人の新聞写真にさらにもう一つの資料、アンナ・マニャーニの肖像を利用した。)

2月23日。
部屋の取り片づけ。

晩、Kとエーリカのために、完成した第6章を朗読。生き生きした表現を楽しむ。マダム・クックックは本物。……まず冒険を先に進めることにならないのは残念。

(#私も非常に残念。ヨーロッパ移住とのトレード・オフとなってしまったのか。)

2月25日。
『芸術家と社会』のための準備。

2月29日。
講演を書き進める。

カフカの『アメリカ』を読む。

(#この年に入ってからトーマス・マンはカフカの『アメリカ』を読み続けている。どんな気持ちで読んでいたのか? 前年の欧州旅行ではカフカの日記を読んでいたと思う。)

***

『絶倫の人』も読む。ウェルズは絶倫を夢見る純真な人とも言える。

***

夕方のAmちゃん。


夕方のHALくん。



2020年11月24日火曜日

「なつ子☆です!」さんのメルマガ『天文雑学』はなんと4200号が出た!前人未到かも。

HALくんの超音波検査の朝。良い結果を祈っている。

***


『トーマス・マン日記』を読み進める。米国居住最後の年がはじまる。マン本人はすっかりその気になっているようだ。

1952年1月1日。
昨夜のパーティーでのマダム・ウプレの章の朗読は気分が良かった。始まったこの年は決定的な変化をもたらすかも知れない。

改稿の章を書き進める。

1月2日。
第5章を書き進める。

1月3日。
ロサンゼルスの新聞によると緊急時に破壊分子を収容するための強制収容所が用意されるという。

第5章を書き進める。

1月8日。
構成上の化け物というべき章に苦労を続ける。

『カフカとの対話』、『ドゥイノーの悲歌』を読む、サーカスの章との平行性。カミュのニーチェ論(「モーナト」誌)。

アイゼンハウアーが大統領になる。ドゴール派政府がみこまれる。「西」ドイツは「人民」軍の編成を決定。

1月10日。
胃のレントゲン検査。

1月14日。
可能な限り、少し書き進める。

1月17日。
とまどいながら、芸術的にはおそらくはまったく許されない第5章の結末直前まで書き進める。

1月18日。
第5章の新稿をKとエーリカのために朗読。壮大という印象。もっとも独創的なのは三度の原生殖の理念。人間主義的な自然科学。汎生愛として全体の背景そして心理学的基盤。

1月20日。
『クルル』資料を検当。

随想集『古きと新しきと』の選択と配列の検討。

1月21日。
検討を続ける。

1月22日。
さしあたり、小説に戻ることにする。

1月24日。
第3部第6章を書き始める。

1月25日。
第6章を1ページ書き進める。

***

数年前から購読している「天文雑学」メルマガは4200号!「なつ子☆です!」さんが毎日出しておられるが、2009年から10年以上続いているわけだ。頭が下がる。

もちろん、天文ファンには有用な記事が毎日満載だが、今日の記事のなかでは、全体説明の部分が参考になる。ブログにも。

ここ👇(「なつ子☆です!」さんのページ、このページも素晴らしい)から、購読登録できる。

http://natsukoplanet.world.coocan.jp/n/index1.html

***

夕方、孫のHALくんの脊髄下部の超音波検査の結果は問題なしと、知らせがあった。良かったとジジババが胸をなでおろす。夕食時、レモンの香りの炭酸水で乾杯!



2020年11月23日月曜日

世界は孫を中心に回っている

『トーマス・マン日記』を読み進める。

そろそろ米国を離れて、慣れ親しんだヨーロッパに戻りたいという思いが強くなってきた。本当はミュンヒェンに戻りたいのだろうが、状況が許しそうもなく、スイスに骨を埋める覚悟が固まりつつある。

1951年11月30日。
濃霧。このアメリカの雰囲気に苦しめられる問題について、他方もはや逃れる余地のない世界の矮小さと等質性によって与えられる苦痛についてKと意見交換。いずれにせよヨーロッパの大気のほうが、そこに憩うに適しているし、大地は肌に合っている。

『クルル』、第5章を書き進める。

12月3日。
出来る限り機嫌良く、生物学的対話を書き進める。

12月6日。
「スイス・シャレ」で食事。料理の出し方が早過ぎ、せわしない。

12月12日。
さらに試みを続けなければならない。身体は私のみるところ衰えかけているが、精神力は七十六歳にしては若い。しかも私はスイスへ行くことを考えている、そこで生活するためではなく、そこで死ぬためだ。

Kとエーリカに朗読。二人の反応によって一応慰められる。…この小説の基本理念は感覚的な超感覚性の中の愛以下のものではない。それと対照をなす非道徳性。

12月14日。
ブルクハルトについて、その創造力は体力より先に消えていったと読んだことで、深く衝撃を受ける。

12月16日。
別の家屋周旋人が来て、この家の建築上の難点を指摘し、70,000ドルにしか評価しなかった。

12月20日。
リンカーン・バーネットの『宇宙とアインシュタイン博士』を読む。『クルル』の最後に書き上げた章を技術的にも思想的にも書き直そうと絶えず心中で試みる。

12月24日。
朝食の際に激しく噎せる。

***

孫が将来遊びに来るのを見越して、部屋の片付けをぼちぼちとしている。一日に出来ることは限られているが、少しずつやっている。本だけでなく、CDもかなりある。CDケースは捨ててしまうという案を考え付き、少しやってみた。両面収納袋に、CDとジャケットの紙の部分を入れておく。CDケースをバラさないと裏面のジャケット紙は出せない。CD一枚を処理するのに数分かかる。数百枚のCDを処理するにはかなり時間がかかるだろう。しかも、こんなCDがあったのか!と聴いてしまうので、なかなか終わらないだろう。孫がいたずらを始める前に部屋を広くしておきたいものだ。


昨日の孫との半日で、かなり疲れた。可愛がりすぎた。一方、体力が落ちたのを感じる。午後はたっぷり昼寝して回復をはかる。




2020年11月22日日曜日

『絶倫の人』の訳者、高儀進さんは8月4日に84歳で亡くなっていた

『トーマスマン日記』の続き。

1951年10月9日。
オスカル・ザイドリーン(1911-1984)のピカレスク論に再度(日記1946-1948 261頁)目を通す。『クルル』を書き進めるつもりならば、私に必要となる視点の数々。(# オスカル・ザイドリーンて誰だっけ?)

10月10日。
ザイドリーンに手紙を出す。ブルーノ・ヴァルターに向かってシカゴの博物館を称賛する。

10月11日。
ホテルのテラスでのフェーリクスとヴェノスタの対話を少し書き進める。(第3部 第4章)

10月15日。
9時半から1時まで第4章を書き進める。

10月17日。
このところ毎日、7時半起床。1時まで第4章を書き進める。

10月19日。
スエズ運河をめぐるエジプト=イギリス間の戦争。第4章を書き進める。思いつきが生き生きと飛来する。

10月24日。
2人のFBIの紳士による1時間半にわたるエーリカ尋問。

10月31日。
第4章を書き進め、いまや終わりに近付く。

『クルル』、『掟』、『マリオ』、『すげかえられた首』の日本語版。それぞれ、1951年、1948年、1951年、1946年。

11月2日。
第3部の第3章と第4章を包括する部分を、かなり不満を残したまま書き終える。

(この間、ビービが問題を起こし、ヨーロッパへ去る。)

11月8日。
スペイン語とポルトガル語の辞書を注文。資料を読み、試みに書き進める。パウル・カメラーの『一般生物学』をまた引っ張りだし、一日中貪り読む。

(注)によれば、クックック談話の準備。

11月9日。
1時頃まで生物学的モティーフに焦点をあてて書き物机に座りつづける。

11月13日。
あてずっぽうに第3部第5章(リスボン行きの列車の食堂車でのクックック教授とクルルの対話)を書きはじめる。

11月30日。
クックックとの対話が先行の対話同様、食卓で行われるという失策。

***

昨夜の夕刊、朝日の「惜別」欄で、『絶倫の人』の訳者、高儀進さんが8月4日に84歳で亡くなったと書いてある。最後のお仕事はウェルズの『ポリー氏の人生』の訳。白水社。当然読みたくなった。

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午後は、三茶にでかけて、孫と遊び、夕食の支度をしてやって、戻ってきた。



顔を見て笑ってくれ、抱いて少し歩き回ると眠ってしまう。別れるときは泣き出す。こんな可愛い存在が世の中にあるとは…



2020年11月21日土曜日

デイヴィッド・ロッジの『絶倫の人 小説H・G・ウェルズ』(白水社)はとても面白い伝記小説

『トーマス・マン日記』をなおも読み進める。

1951年9月29日、チューリヒ。
出発の日。

10月1日、ニューヨーク、セイント・リージス。
9月29日チューリヒからスイス航空機で出発。座席は大きな機体の後部。見事な客扱いのスチュワーデスは有名なヨーデル歌手。ジュネーブを経由。晩にアイルランドのシャノン。ビールとコーヒー付きの上等なディナー。ニューファウンドランドまで8時間。ガンダー(カナダ)で朝食9時。機内で二度目の朝食後、ニューヨーク着。

10月2日、シカゴ、ショアランド。
昨日4時半旅立ってグラン・セントラル駅からヴァンダービルト提督号に乗る、特別室。

晩、カフカ(全集)の旅行記録を読む。

10月4日。
小説原稿と取り組む。ヴェノスタの章を書き進める。シカゴの自然史博物館を熱心に見学。

10月6日、列車シティ・オヴ・ロサンゼルス号。
昨日、もう一度自然史博物館へ。夕方シカゴ駅へ。朝、7時起床。ニューヨーカー紙に『罪人』の書評。面白くない。

10月7日、車中。
7時前に起床。カリフォルニア、青い空。9時到着。ゴーロが車で迎える。

やっと自分のソファに戻れた。一番の旅の思い出は、チューリヒのシャウシュピールハウスにおける朗読の夕べ。

10月8日、パシフィック・パリセーズ。
『ヨゼフ』を映画にという話が持ってこられた。

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昨日、図書館で借りてきた『絶倫の人 小説H・G・ウェルズ』は、コミックのようで面白い。読み始めたら止まらなくなりそうなので、そっとしておく。ただし、うっかりと、ウェルズのことをまた調べ始めた。Youtubeでインタビューを聞いてみる、奇声だ。コンプレックスがあったと思う。彼に関しては著作をのみ読むべきか。でもWikipediaを読むと、著作が多すぎる。私が読んだのはわずかだ。『Experiment in Autobiography』をダウンロードしてみた。Macの「ブック」アプリへ。

『絶倫の人 小説H・G・ウェルズ』の著者、ロッジも面白い本を出している。最近だと『小説の技巧』。ご本人のことを書いた『Quite a Good Time to Be Born: A Memoir: 1935-1975』の方が面白そうだ。

午後、『絶倫の人』を読み始めた。二段組だがあっという間に60ページ。月刊ARの視聴がなければ100ページは行っただろう。

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私の日記。続きのノートを探し出した。だんだん読む本がふつーの給与生活者風になってきた。

1976年8月28日(土)
『シャガール展』 竹橋、東京国立近代美術館
『翔ぶが如く 5』 司馬遼太郎 文藝春秋社 980円
『毎日が日曜日』 城山三郎 新潮社 850円 第九書房

8月29日(日)
『総会屋錦城』 城山三郎 新潮社
『ある倒産』 城山三郎 新潮社
『当社別状なし』 城山三郎 徳間書店

9月2日(木)
『不毛地帯』 山本薩夫 新宿ビレッジ1 1200円

9月3日(金)
『真昼のワンマン・オフィス』 城山三郎 新潮社 750円 第九書房

9月7日(火)
『1974年弾劾の夏』 ジミー・ブレズリン 新潮社 1300円
『小説日本銀行』 城山三郎 角川書店 460円
『月と太陽諸国の滑稽譚』 シラノ・ド・ベルジュラック 講談社 340円 第九書房

9月9日(木)
『宝島 10月号』 JICC出版局 480円
『(企業の権力)パワー』 マイケル・コーダ 徳間書店 980円 第九書房

9月10日(金)
毛沢東主席、昨日死去。

9月11日(土)
『棟方志功展』 日本橋東急デパート 400円
『COBOLによるモジュラー・プログラミング』 アームストロング 産学社 3200円
『秋の朝 光のなかで』 辻邦生 筑摩書房 750円 丸善

9月12日(日)
『コンピュータ白書 1975』 日本情報開発協会編 コンピュータエージ社 3800円
『ドキュメント昭和史 6 占領時代』 平凡社 1000円
『ウォーターゲートの遺産』 みすず書房 1400円 吉祥寺東急紀伊国屋書店

9月15日(水)
『JISハンドブック 情報処理』 日本規格協会 3400円 吉祥寺東急紀伊国屋書店

9月19日(日)
『タクシー・ドライバー』 マーティン・スコセッシ 渋谷東急 1200円
『1979年の大破局』 ポール・アードマン ごま書房 850円 吉祥寺東急紀伊国屋書店

9月21日(火)
『bit 10月号』 530円
『スーパー・ウェポン』 ジェームス・キャナン ダイヤモンド・タイム社 1700円 吉祥寺東急紀伊国屋書店

9月28日(火)
『翔ぶが如く 6』 司馬遼太郎 文藝春秋社 980円
『石油業界』 岡本隆三 教育社 600円
『情報経済学』 増田米二 産業能率短大出版部 2800円
『60年代日本SF ベスト集成』 筒井康隆編 徳間書店 700円 虎ノ門書房田町店

2020年11月20日金曜日

トーマス・マンの作家魂を『日記』から読み取る

朝焼け再び。

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『トーマス・マン日記』の続きを読む。

ヨーロッパ旅行。再亡命する悩みながらの落ち着かない気分で、朗読会などをこなす。76歳にして、体調も良くはない。そのなかでも、過去の著作の評判と売れ行きを気にし、今書いている『クルル』の書き方になやみ、将来書きたいテーマについて思いを巡らすという「作家生活」を、ホテルの喧騒のなかで守り続けようとする。これぞ作家魂。

1951年8月2日、ヴォルフガング湖畔シュトローベル「グランド・ホテル」にて
チューリヒから車でミュンヒェンへ。二年前は列車だった。ミュンヒェンは不可思議な夢で、なじみ深く、しかもよそよそしい。昔住んでいて今は醜くなった家を見る。

二日後(?)ビービの家へ。フリード。

8月3日。
よく眠れず、重苦しい夢。胃が悪く、咳も出る。

8月5日。
孫フリードに800シリングで自転車を買い与える。

8月11日。
私を苦しめる最悪のものはクルル回想記への不信。

8月12日、アイゲン。ヴァルトブルク館。
きのう、フリードたちに別れを告げ、ザルツブルグへ。昼食。その後当地へ。

(#ついでにザルツブルグ音楽祭も見物しているようだ。)

8月16日、バートガスタイン、ホテル・カイザーホーフ。
朗読会?

8月17日。
朗読会についての好意的報道。

8月19日。
聖マリア教会記念祭にあたってのリューベック向けの祝賀状。

8月20日、ゲルケ館。
昨日移動。温泉付きの部屋。

8月21日。
入浴は快適。ときおり、『クルル』の仕事を続けようかという気持ちが動く。

8月26日。
フリードがやって来た。

少し仕事。

9月2日。
『クルル』のことを考えると疑念を覚え、心配が先立つ。給仕の章は書き換えなければならない。

9月9日、ルガーノ、ヴィラ・カスタニョーラ。
6日にガスタインを出発。ボーツェン泊。7日、コモ湖、ルガーノへ。ホテル・マジェスティクへ。きのう8日朝、ホテルを移る。

カフカの日記を読む。5時、モンタニョーラのヘッセ邸へ。心温まる再会。

9月12日。
ヘッセ邸へは毎日通った。ヘッセもカフカの日記を読んでいた。

9月13日。
ヘッセに別れを告げる。

9月14日、チューリヒ、ヴァルトハウス・ドルダー。
13日にチューリヒへ移動。ホテルの副支配人は『ヴェニスに死す』を10回読んだと言う。

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自分の日記。

1976年8月14日(土)
『ミッドウェイ』ジャック・スマイト 有楽座 1300円
シェーファーの万年筆(その場でイニシャルを彫ってもらった) 有楽町そごう 7200円
『愛と同じくらい孤独』 サガン 新潮社 850円
『鳶色の襟章』 堀元美 原書房 1600円 数寄屋橋旭屋書店

8月16日(月)
『船の科学』 吉田文二 講談社 560円

8月17日(火)
『大統領の陰謀』 アラン・J・パクラ 丸の内ピカデリー 1300円

8月18日(水)
『大統領の陰謀』 ウッドワード・バーンステイン 立風書房 1000円

8月20日(金)
『カトマンズでLSDを一服』 植草甚一 晶文社 780円
『密航』 佐井好子 テイチク・レコード 2300円

8月21日(土)
『第一種情報処理技術者試験既往問題集』 オーム社 1600円 御茶ノ水巖翠堂書店
『戰艦大和ノ最期』 吉田満 北洋社 1000円 MEikeido

8月22日(日)
『エチオピア絵日記』 岩波書店 280円
『黄金繭の睡り』 徳間書店 650円
『銃弾のシュプール』 徳間書店 200円
『本当のような話』 吉田健一 集英社 980円 吉祥寺弘栄堂書店
『植草甚一の英語百貨店』 主婦と生活社 650円
『海軍技術戦記』 図書出版社 1200円 吉祥寺紀伊國屋書店

8月25日(水)
『世界の船 1976年』 朝日新聞社 1200円

ここで日記用のノートの終わりになった。次の一冊を探す必要がある。

***

孫の小児科での初受診結果に一喜一憂する爺バカぶり。情報は正確にかつ配慮を持って伝えて欲しい、と考える老人の情けなさ。

2020年11月19日木曜日

大岡昇平とトーマス・マンと自分の日記を並べるのは不遜かも

『成城だより』を読み進める。

1980年7月1日。
カート・ヴォネガット・Jr の『母なる夜』(白水社)。訳者池沢夏樹は福永武彦の遺児だ。朝までかけて読む。「海」75年1月・2月号のヴォネガット特集も取り寄せる。(#これ探せば本棚のどこかにあるはず。)

7月7日。
『ハムレット日記』校正を新潮社ヘ渡す。

7月8日。
レントゲン画像良し。

7月9日。
大平首相葬儀。

7月12日。
山小屋へ持って行く本を整理。

7月13日。
娘の運転にて、河口湖の山小屋へ。中央高速はこんでない。

7月14日。
故武田泰淳の武田山荘によるが車がない。赤坂の百合子さんのマンションに電話したが応答なし。

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『トーマス・マン日記』も読み進める。

1951年7月1日。
『クルル』小説を書き続けることに「意味」があるのか? 芸術性は没趣味でしかない。エラスムス=ルター=フッテン計画が浮かんでくる。でも長編第3部の2章、3章にかかる。短縮、変更、少し書き進める。

7月2日。
進行中の章を少し書き進める。

7月4日。
夕方7時出発。列車は9時発。

7月7日、シカゴ、ホテル・ショアランドにて。
列車スーパーチーフ号特別室で『ロードジム』を二晩読みながら、『ノストローモ』も再び読み始める。7月6日3時にシカゴ駅に到着。メーディが出迎える。

7月11日、汽船ド・グラスにて。

8日午前にシカゴ発、夕方にニューヨーク着。10日午前9時半港へ。

7月15日、船上にて。
おととい、映画『ウェストポイント(物語)』(1950)を見た。主役の士官学校生は美貌。裸の姿は現れない。船は19日晩にプリマスに着く予定。

7月22日、チューリヒ、ボル・オ・ラク。
19日にル・アーブル到着。列車でパリに向かいホテル・スクリープへ。20日にミンクスでディジョンへ。一泊。21日、ベルン経由でチューリヒへ。運転はエーリカ。

クルルはジッドの『背徳者』に近づくかも。

7月24日、チューリヒ。
Kの68歳の誕生日。でも風邪をひいている。

7月27日。
自分も風邪をひいた。

7月29日。
ミュンヒェンへ出発の準備。(ホテルの)申し込みにあたり厳密に身分が外に漏れないよう念をおす。

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私の日記。

1976年3月14日(日)
『自註鹿鳴集』 会津八一 新潮文庫 240円 
『西郷隆盛語録』 角川文庫 380円
『日本霊異記』 角川文庫 300円
『沙門空海』 渡辺照宏・宮坂宥勝 筑摩書房 1000円
『日本古典文学大系 三教指帰・性霊集』 岩波書店 2100円 三鷹三省堂書店

3月18日(木)
『哲学講義 1』 フルキエ 筑摩書房 1800円
『弘法大師空海』 和歌森太郎 雄渾社 1200円
『仏教の思想9 生命の海 <空海>』 角川書店 900円 渋谷三省堂書店
『狼たちの午後』 渋谷東急(東急文化会館5F) 1200円

3月20日(土)
『長安の春』 石田幹之助 平凡社 700円 小宮山書店
『入唐求法巡礼行記 1』 円仁 平凡社 810円 八木書店

3月21日(日)
『恐竜の島』(原作 E.R.バロース) 渋谷東急レックス 800円
『入門PL/I』 竹下亨 オーム社 1000円

3月30日(火)
『悲将ロンメル』 岡本好古 講談社 850円
『虞美人草』 夏目漱石 岩波文庫 400円 三鷹三省堂書店

4月8日(木)
『翔ぶが如く 4』 司馬遼太郎 文藝春秋社 980円

「ソニー・スカイセンサーICF5900」 23500円 三鷹三平ストア

4月20日(火)
『植草甚一スクラップブック 1 いい映画を見に行こう』 晶文社 780円
『植草甚一スクラップブック 13 バードとその仲間たち』 晶文社 780円
『空母プロメテウス』 岡本好古 講談社 650円
『巨船』 岡本好古 講談社 680円 三鷹三省堂書店

4月21日(水)
『APL入門』 長田/内山 丸善 2300円
『PL/I入門』 司馬/吉川 培風館 1500円
『プログラマのためのPL/I』 森北出版 3800円
『図説PL/I』 朝倉書店 3800円 吉祥寺東急9F紀伊國屋書店

4月22日(木)
『ラッキーガール』 スタンリー・ドーネン ライザ・ミネリ 新宿スカラ座 1300円

4月25日(日)
『風とライオン』 ジョン・ミリアス キャンディス・バーゲン 新宿ミラノ座 1200円

5月24日(月)
『カッコーの巣の上で』ミロス・フォアマン ジャック・ニコルソン 新宿文化 1200円

6月19日(土)
『アリスの恋』マーチン・スコルセーゼ 渋谷東急名画座

6月27日(日)
会津若松へ。図書館で柴五郎のことなど調べる。一泊。


7月4日(日)
『グリニッチビレッジの青春』 ポール・マザースキー 1200円

7月17日 (土)
『バリー・リンドン』スタンリー・キューブリック ライアン・オニール 新宿ピカデリー 1300円

7月24日(土)
『森山良子リサイタル』 日比谷日生劇場 4000円


7月25日(日)
『バルチック艦隊の壊滅(ツシマ)』 ノビコフ・プリボイ 原書房 980円 吉祥寺光陽館書店

7月27日(火)
『絵空ごと』 吉田健一 河出書房新社 1200円
『旅の時間』 吉田健一 河出書房新社 1200円 第九書房

7月31日(土)
『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』 新宿松竹 1200円
『移郷の人』 岡本好古 講談社 新宿紀伊國屋書店 850円


2020年11月18日水曜日

Mireille Mathieuの76年公演に行ったはずだが、たった44年前のことを思い出せない😊

これは良い使い方だ。応用できそう。

https://twitter.com/proust_rikkyo/status/1328726831709601793?s=21

https://twilog.org/page-about

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『トーマス・マン日記』(昨日借り出し延長手続きした。)

1951年6月2日。
「旅行先の風景記録を読んだ……」とあるが、(注)によると義母ヘートヴィヒ・ドーム・プリングスハイムが1907年に執筆した南アメリカ旅行日記のことかも知れないと。(#本当なら重要情報だが。)

6月4日。
『聖なる罪人』(選ばれし人)が、「ブック・オブ・マンス」に選ばれた。25,000ドルを意味する。

6月6日。
76歳の誕生日。

お祝いのプレゼントや会食。体調悪く(今回は直腸)あまり楽しんではいないようだ。

6月7日。
少し書き進める。

6月8日。
意に染まないことが多い。

ベートーヴェンの第8とセザール・フランクのヴァイオリン・ソナタを聴く。

6月9日。
またもや唾を誤嚥し激しい咳の発作。

6月10日。
風邪をひく、のどが腫れる。

6月15日。
7月4日にヨーロッパ旅行に出発することになった。

6月16日。
ふたたび長編小説第3部第3章を書き進める。

6月17日。
トウェンティマンの章を家族に朗読。「軽い代物」。この調子で進まねばならない。

6月30日。
あと数日で出発。鉄道とホテル予約を済ます。どの本を持っていったらよいか。16世紀に集中するか? クルルにか? ゲーテ小説にか? 重要な結果をもたらす転回点としてゲーテの生涯の何が役立つか。

長編小説の第3部第3章の校正刷り。


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1976年辰年の日記から。

せっせとスキー場に通った冬。ほぼ毎週末。

1月10日(土)
『アメリカの大衆文化』研究社 1200円 
『自伝的日本海軍始末記』高木惣吉 光人社 880円 新宿紀伊國屋書店

1月11日(日)
『NewsWeek J. 5. '76』 300円
『米内光政』実松譲 光人社 1990円 吉祥寺東急百貨店

1月12日(月)
『時事英語研究 2月号 特集 英米の大衆雑誌』 研究社 450円
『山本元帥! 阿川大尉が参りました』阿川弘之 中公文庫 220円
『板極道』棟方志功 中公文庫 320円 第九書房

1月13日(火)
『NewsWeek J. 12. ’76』 300円
『海原が残ったー提督東郷平八郎伝 上・下』相良俊輔 光人社 1900円
『海は甦る 第一部』江藤淳 文藝春秋社 1000円 虎ノ門書房(赤坂?)

1月20日(火)
「Mireille Mathieu公演」中野サンプラザホール 4000円。

証拠があるので確かに行ったのだろうがさっぱり覚えていない

1月29日(木)

『長崎海軍伝習所の日々』カッティンディーケ 平凡社 800円
『翔ぶが如く 1,2』司馬遼太郎 文藝春秋社 1960円
『海舟余波』江藤淳 文藝春秋社 1200円
『NewsWeek Feb. 2. 1976』 300円 数寄屋橋旭屋書店

2月6日(金)
『海は甦る 第二部』江藤淳 文藝春秋社 1000円

2月10日(火)
『海舟語録』講談社文庫 340円
『氷川清話』角川文庫 300円
『ロシヤにおける広瀬武夫』島田謹二 朝日新聞社 580円 第九書房

2月11日(水)
『西郷隆盛 上・下』井上清 中央公論社 680円
『大久保利通』毛利敏彦 中央公論社 380円
『木戸孝允』大江志乃夫 中央公論社 360円 三鷹三省堂書店

2月29日(日)
『君よ憤怒の河を渉れ』 新宿松竹 1100円

3月7日(日)
うっかり日曜に神田古本街に行ってしまった。
『日本の思想 最澄・空海集』 筑摩書房 1600円
『新・弘法大師伝』宮崎忍勝 大法輪閣 1000円
『密教の哲学』金岡秀友 平楽寺書店 2000円
『密教の歴史』松長有慶 平楽寺書店 2000円 書泉グランデ

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コロナウィルス感染者一日で2000人を超える。また非常事態宣言を出さざるを得ないだろう。


2020年11月17日火曜日

1975年当時読んだなかで何度も読み返したのは栃折久美子さんの『モロッコ革の本』

『言語の起源』の続き。

第4章 みな記号の言語を話す
パースの記号進展はインデックス→アイコン→シンボル

だが、インデックスはどんな生物でも使う。 例「You Jane, Me Tarzan.」

「文化」を出発点として社会環境因子を理解せよ。

動体としての文化は社会の個々人にのみ見つかる。

チョムスキー由来の言語発生の突然変異説。言語は再帰的文法。奇妙だ。

しかし、文法は言語を助けるがそれ自体が言語なのではない。シンボルの証拠がないからと言って、かつてのヒト族には言語がなかったという結論に飛びついてはいけない。

進化はありあわせの物を使う。進化は完璧なシステムを設計することはない。

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午前中に、雨漏り事件のアンケート結果をまとめた。午後、マンション管理会社の担当者と打ち合わせ。おかげさまで今日も昼寝できず。これは結構こたえる。眠い。

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1975年、入社二年目の私の日記から、当時観た映画と、買って読んだ本を抜き出してみる件の続き。昨日この作業で日記を読み直してみたが、やはり入社当時は会社と仕事になれるだけで精一杯で、読書や映画鑑賞の余裕がなかったようだ。2年目も余裕綽々ではなく、仕事の疲れを癒やすための読書であって、積極的な楽しみのための読書をするのは、定年までお預けだった気がする。大きな忘れ物をしてしまったのかも知れないし、仕方なかったのかもしれない。

1975年10月21日(火)
『禅とは何か』鈴木大拙 春秋社 600円
『モロッコ革の本』栃折久美子 筑摩書房 880円 銀座旭屋書店

10月22日(水)
「レコード芸術 バッハ特集」音楽之友社 550円
『情報の探検』坂井利之 岩波新書 230円
『花洛』松田道雄 岩波新書 230円 三鷹第九書房

11月11日(日)
『レニー・ブルース』有楽町シネマ 1000円

11月8日(土)
『ヤング・フランケンシュタイン』有楽町シネマ1 1000円
レコード『英雄』ミュンシュ・ボストン響 数寄屋橋ハンター 1300円

11月9日(日)
『シュルレアリスム展』東京国立近代美術館 300円
『プレイヤー・ピアノ』カート・ヴォネガット・ジュニア 早川書房 470円 数寄屋橋旭屋書店

11月13日(木)
『維摩経』中央公論社 180円
『結婚の貌』三浦哲郎 中央公論社 280円 第九書房

11月15日(土)
『プチ・ニコラ』牧神社 1200円
『続プチ・ニコラ』牧神社 1300円 渋谷旭屋書店

『新・男はつらいよ』、『望郷篇』 三鷹文化劇場 900円 

11月17日(月)
『保革大連合』アノニモ・ロマーナ 日本経済新聞社 800円
『工場管理の知識』並木高矣 日本経済新聞社 450円 第九書房

11月18日(火)
『空海の風景 上』司馬遼太郎 中央公論社 950円
『冷たい社会・暖かい社会』 サイマル出版会 890円
『死の大滑降』生田直親 光文社 600円 第九書房

12月5日(金)
『五木寛之雑学対談』講談社 580円
『60年代のカタログ』主婦と生活社 690円 新宿紀伊國屋書店

12月6日(土)
『空海の風景 下』中央公論社 950円 三鷹三省堂書店

『コンドル』テアトル東京 1000円

12月13日(土)
『失われた横顔』サガン 新潮社 850円
『アメリカにおける秋山真之 上・下』1440円 第九書房

12月16日(火)
『ジョーズ』丸の内ピカデリー

12月29日(月)
『ハリーとトント』有楽町シネマ2 1000円

12月30日(火)
『男はつらいよ・葛飾立志篇』1200円

1975年は暮れた。

***

11月14日のHALくんの写真貼っておきます😊 抱いていたら寝てしまいました。



2020年11月16日月曜日

やはり若いときはたくさん本を読めたようです

朝の読書。

『成城だより』の続き。

117頁。
小林秀雄に『あんまりむきになってやるな、やりすぎているのに気がつかないのがぼけなのだから』と言われている。富永太郎全集の編集の仕事をしている大岡昇平は明治42年(1909年)生まれ。72歳。

6月12日。
大平首相急死。冠動脈不全に心筋梗塞併発。70歳。自分の方は、弁膜症から来るうっ血性心不全だと言う。散歩をかねて本屋へ行く。

6月16日。
虎ノ門福田家で中央公論の仕事。帰りに武田百合子さんのマンションに寄る。泰淳の仏壇が作ってあった。富士山麓の山小屋では隣組。

***

『トーマス・マン日記』の続き。

1951年5月2日。
スコットランドの城館主と給仕勤務への移行を書き進める。(#クルル続けてくれて良かった!)

5月3日。
マダム・ウプレの章の浄書をしてもらったカーン女史に称賛され、気をとり直す。

5月4日。
少し生き生きと書き進める。

5月9日。
あまり仕事をしなかった。まったく衝動が感じられない。

5月21日
第3部の長い第1章を書き終える。

『詩と真実』、『ロード・ジム』を交互に読む。

5月23日。
「サーカスについての補足」について考慮を重ねる。

5月24日。
「サーカス」を書き進める。「スイス(シャレー レストラン?)」でランチ。

5月25日。
書き進める。

5月26日。
サーカスの章を2分割する。

5月31日。
第3部の最初の2章を書き上げた。

6月1日。
私の月の始まり。

エーリカと地所や家を売却する算段。


***

先週末に発掘した日記を眺めていて思いついた。

1975年、25歳から26歳の私の日記から、当時観た映画と、買って読んだ本を抜き出してみる。


3月30日(日)
金曜日に見た映画。『That’s Entertainment』 丸の内ピカデリーにて。

8月31日(日)
『Funny Lady』新宿ピカデリー 1000円

9月1日(月)
『船』須藤利一、石井謙治 1300円

9月2日(火)
『The Great Age of Sail』新宿紀伊國屋書店 7550円

9月6日(土)
『ジョーズ』Peter Benchley 三鷹第九書房 1000円

9月7日(土)
『らせん階段』新宿東映パラス 1000円
『海のテロリスト』クストー 新宿紀伊國屋書店 790円
『仏教の思想11 古仏のまねび<道元>』新宿紀伊國屋書店 900円

9月13日(土)
『道元』竹内道雄 吉川弘文館
『道元』菊村紀彦 社会思想社
『正法眼蔵随聞記』 講談社
『道元集』 筑摩書房
『道元 上・下』(日本思想体系) 岩波書店

『構造化プログラミング』ダイクストラ他

9月16日
『道元の冒険』井上ひさし 第九書房 750円

9月18日(木)
『愛のゆくえ』ブローティガン 新潮文庫

9月19日(金)
『アメリカの鱒釣り』ブローティガン 晶文社 1200円
『平家伝説』半村良 

9月24日(水)
『イタリアからの手紙』塩野七生 新潮社 750円
『英雄伝説』半村良 祥伝社 600円
『楽園伝説』半村良 祥伝社 600円
『死神伝説』半村良 祥伝社 600円 以上三鷹三省堂書店

9月27日(木)
『砂のミラージュ』有楽町スバル座 1000円

9月28日(金)
『潮騒』有楽町シネマ2 1000円

9月29日(月)
『にっぽん三銃士 上・下』五木寛之 新潮文庫 計760円

9月30日(火)
『にっぽん退屈党』五木寛之 文藝春秋 780円

10月1日(水)
『たった一人の反乱』丸谷才一 講談社 1380円

10月2日(木)
『七人の侍』テアトル東京 1000円

10月5日(日)
『年の残り』丸谷才一 文春文庫 260円

10月6日(月)
『釈尊』宮坂宥勝 評論社 1700円

10月7日(火)
『横しぐれ』丸谷才一 講談社 880円
『笹まくら』丸谷才一 講談社文庫 400円 第九書房

10月8日(水)
『植草甚一読本』晶文社 1500円
『宝島 11月号』480円 第九書房

10月10日(金)
『恋のモンマルトル』新宿武蔵野館 1000円
「国吉康雄展』ブリジストン美術館 「禁じられた果物 1950年」の青

10月11日(土)
『アメリカ俗語辞典』研究社 1800円 第九書房
『男はつらいよ 寅次郎恋歌』、『寅次郎子守唄』三鷹文化劇場 900円

10月12日(日)
『日本教について』イザヤ・ベンダサン 文春文庫 320円
『日本語のために』丸谷才一 新潮社 750円
雑誌『流動』、『大法輪』 三鷹三省堂書店

10月13日(月)
『日本の名著 清沢満之・鈴木大拙』中央公論社 900円(三鷹下田古書店)

10月16日(木)
『西瓜糖の日々』ブローティガン 河出書房新社 980円

続く(*^^*)

2020年11月15日日曜日

こたつ用のハイヒール

今日の特記事項ふたつ。

(1)「みんなのつぶやき文学賞」のプレイベントの動画ウォッチパーティーに参加。(一般からの今年のベストワン投票は来年3月。)審査員の方々5名の「推し本」10冊、どれも読んでいなくて残念。

(2)こたつの脚の短さに腹を立てていたが、「つぎ脚くん」という、脚を長くするためのプラスチックの下駄のようなものを買い、それが届いたので試しにこたつに座ってみた。なかなか快適。

(おまけ)昨夜はHALくんと遊ぶので忙しく、今日の買い物をしていなかった。昼食はモスバーガーのハンバーガー。

***

朝読書。

『言語の起源』の続き。
第2章 化石ハンターたち

ハンス・レック
ルイス・リーキー

グレート・リフト・バレーで最初のヒト族の化石を発見、700万年前のもの
グドール(チンパンジー研究)
フォッシー(ゴリラ研究)
ガルディカス(オランウータン研究)

78頁。
1987年1月1日号「ネイチャー」

カン、ストーンキング、ウィルソン
論文「ミトコンドリアDNAと人類の進化」。すべてのホモ・サピエンスのミトコンドリアDNAが20万年前のアフリカの一女性のものにさかのぼる。ミトコンドリア・イブ。

第3章 ヒト族の分離

85頁。
心のダークマター、暗黙の構造化された知識、優先される価値、社会的役割

100頁。
世界に散らばったホモ・エレクトゥスは、言語と文化を持っていた。考古学上の証拠。中東、イタリア、トルコ、イラン、パキスタン、ジョージア、スペイン、インドネシア、中国へ。

***

『トーマス・マン日記』の続き。

1951年4月10日。
マカーサーをトルーマンは解任した。

4月13日。
第2部第8章の浄書に手を加え、新しい音も数行書き進める。

4月14日。
関節炎ふう腰痛がぶり返す。

第3部第1章を少し書き進める。

4月15日。
腰痛は口内錠によって軽快したが、刺激は続いている。

4月24日。
長編小説の「最後」の部分を書き直す。(注)第3部第1章のこと。スタンコに関する記述などだろう。

4月25日。
「ニューヨーカー」誌でフォン・ブラウンと火星飛行、月への飛行の話をよむ。月へは100日かかると。

4月26日。
第3部第1章を書き進める。

5月2日。
背景の知識があまりにも欠けているし、さりとて案出の可能性も少ない『クルル』回想録よりも意義のあるかも知れないエラスムス小説はどうか、またまた考慮する。しかし回想録をなお少し書き進める。

***

以下備忘。「映画パンフは宇宙だ」
https://pamphlet-uchuda.com/category/news/


2020年11月14日土曜日

『言語の起源 人類の最も偉大な発明』や『エミール』を読みながら乳児と付き合うのは面白い


『言語の起源 人類の最も偉大な発明』(ダニエル・L・エヴェレット 松浦俊輔訳 白揚社)を読み始める。

魅力的な「序」を読んでこう思った。著者の前作『ピダハン』は、言及があれば参照し、後で読むか、読まなくてもいいかも知れない。

『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』では、「ダークマター」のなかで、人々がコミュニケーションする様子が言語の面から述べられる。その考えをもとに総合的に(分析的でなく)『言語の起源』を考えるのが本書。(訳者あとがき)

かなり、目からウロコの話になりそうな期待感がある。

100頁を今朝1時間で読めた。かなりのスピード。

***

昼のニュース。琴奨菊引退。寂しい!でもよく頑張った!

***

NHKラジオ金曜日の高橋源一郎「飛ぶ教室」の再放送をiPadで聴く。子供の教育論。ミル自伝やエミールを読みたくなった。どちらも正規の学校教育は受けなかった話。

三茶へ届け物がある。文庫本の『エミール 上巻』を読みながら行くことにする。晴。暖かい。乳児には窮屈な産着を着せず、なるべく裸に近い状態で自由に手足を動かせるほうが良い。これは、このあとの学校教育への批判に通じそうだ。

三茶の孫の様子を見ると、『エミール』で言われていることは正しそうだ。有能な家庭教師をつける贅沢ができればもっといいが。

***

「みんなのつぶやき文学賞」のページ(アドレスは下記)に運営メンバーとしてhiroという名前を登録していただいた😊

明日(11月15日)、プレイベントが17時からあり、同時放映されるそうだ。

https://tbaward.jp/

2020年11月13日金曜日

古い映画パンフレットを「発掘」し専門家にお譲りすることになった、気分良好

小津安二郎『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』を少しだけ読み進める。

21頁~
伊勢松阪の少年時代、米の映画、「シヴィリゼーション」にしびれた。
あまりにも古いので、良さがすぐにはわからない。https://youtu.be/UwU035gIGO8

このあとの小津監督の話、失礼ながら意外と理屈っぽくなってきた。

***

大岡昇平、『成城だより』も読み進める。

1980年5月3日。
大西巨人の『神聖喜劇』(光文社)がやっと完成した。さかのぼって全巻を6日かけて読み、疲れたが、凄い大作。

5月3日。
チトー死去。

5月8日。
評論集を出す相談。

YMOのLPを買った。いける。

5月9日。
サルトルへの正しい評価が必要。

評論集のゲラ直し。

5月13日。
神風時代以来の相撲観戦。禁を破ってビールをのむ。

琴風が若乃花を破る。

5月14日。
順天堂で検査。心臓肥大他。三日間安静後再検査。

仕事も延ばさなくてはならない。

5月16日。
内閣不信任案可決、解散。

5月17日。
韓国非常戒厳令、金大中氏連行。

帰化人、渡来人に関する連想の記述見事。

5月19日。
夕食のビールをやめてゲラ直し。翌朝4時まで。完了せず。

5月21日。
再診。良くなっている。

***

『トーマス・マン日記』

1951年4月2日。
昨日から頭の中で彫琢を続け、今日愛の章に僅か数行を付け加えて完成させた。

書いたものを家族に読み聞かせ、好評。これ以上何を求めるか。この長編小説はほとんど先に進むことはできない。これは本来私に十分に満足を与えてくれたのだ。

(# これは私としては困る。)

4月3日。
昨日朗読した部分の修正。

***

以上が、朝読書。

昼食前にTwitterをみていたら、映画『ひまわり』に関する話題が友人から流れてきた。学生時代の「思い出の」映画だったので、思わず反応。パンフレットもあるかも知れないと知らせた。ここから話が急展開。

ぜひ見せてほしいと友人に言われたので、捜してみると返答し、物置部屋の発掘作業を始める。一時間ほどかけて、1970年代の映画パンフレットを数十部発見。同時に当時の日記類も見つけ出した。『ひまわり』のパンフレットはなかったが、それ以外のものは専門家である友人の役に立つかもと思い、表紙の写真を送ってみた。幸い、話がまとまって引き取ってもらえることになった。自分では買って以来開いたことがない、宝の持ち腐れ状態だったので、良かった。



日記も何冊か開いてみた。新刊書をどんどん買い、映画もよく観に行った「幸せ」な独身時代が蘇った。これらは、今後、ブログにまとめてみたい。会社と家庭に時間を取られていた40年間が夢のような気がしている。

***

備忘。これ、買わなくては……



2020年11月12日木曜日

小津安二郎を「トウフ屋」とはとても呼べない、小津の魔法使いと呼びたい

『小津安二郎先生の思い出』読了。
笠徹(息子)の「巻末エッセイ」によると、笠智衆は明治37年5月13日生まれ。周囲は明治40年生まれと言っていたらしい。ともかく私の父と誕生日は同じで、年は2歳上。日露戦争中に生まれていたわけだ。

***


小津安二郎『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』(日本図書センター)を読み始める。

私なら、小津安二郎をトウフ屋と呼ぶよりは、小津の魔法使いと呼びたい。

蒲田の撮影所の食堂で順番を無視されて監督に先に渡された大盛カレーライスを、不当だと奪い返す。それが話題となり撮影所長が、助手だった小津に時代劇『懺悔の刃』を撮らせた。1927年春の実質デビュー作。

***

『トーマス・マン日記』

1951年3月13日。
クルルがスタンコに教えられた通りにモンマルトルの時計修理屋に、「盗品」の宝石類を売りに行くのだが、そのパリの道筋の訂正。地図を調べたのか?

1951年3月17日。
第2部第9章を書きはじめる。エレベーターボーイ経験とマダム・ウプレとの経験。

3月18日。
はかばかしくは(書き)進まない。濡れ場は不得意なのかも。

3月19日。
書き進める。

スイスに滞在するとしたら3ヶ月毎に出入国が必要だ。

フィッシャー書店から『選ばれし人』は1万部出して売り切れとの知らせ。

3月20日。
『ファウストゥス博士』も『魔の山』も売れている。

3月21日。
高級ホテル、ベル・エアに滞在中のマイアー女史に表敬訪問。

3月22日。
マダム・ウプレとの記述に切実にかかわっている(?)。

3月24日。
書き進める。

3月26日。
官能的に没頭して仕事。

3月27日。
官能的に没頭して仕事。

3月28日。
官能的に没頭して仕事。

3月29日。
エーリカはアメリカを攻撃。Kはそれに耐えられず悲しむ。

3月31日。
第9章を終わりに向けて書き進める。

胃に不快感。官能的に仕事しすぎたから?

***

『成城だより』

4月8日。
中原中也『山羊の歌』の名の由来話。

4月9日。
『地獄の黙示録』についてのかまびすしい議論。試写会は2月7日で、寒くて不参。今の上映時間を調べるが、早すぎたり遅すぎたりだ。

コンラッドの『闇の奥』との類示と、無意味な邦題の関係。「黙示今こそ」とか「現代の黙示録」とすべきだった。

4月11日。
渋谷へ。新しくできた109ビルをみる。息子が一部を設計した。渋谷東宝3時30分の回に入り、『地獄の黙示録』(35㎜フィルム版)をみる。十分感動し、四分の三ぐらい満足。

4月12日。
大学前通りのレコード屋で、ジム・モリソン「ジ・エンド」は買わずに、「地獄の黙示録」のサウンド・トラック2枚盤を買う。

日本人の「地獄の黙示録」への思い入れにはそれぞれに深刻な思い入れが含まれている。

4月14日。
ダイヤローグ全文を借りる。

右頸のつけ根に湿疹、医者はヘルペスと言う。

2020年11月11日水曜日

笠智衆『小津安二郎先生の思い出』を読みながら彼の映画を観るのはとても面白い

大岡昇平『成城だより』の続きを読む。

1980年4月3日。
平野謙の三回忌。仏事には出席せず。平野が75年に癌で入院した時、こっちは白内障手術で入院したことがある。

『レイテ戦記』補遺を書きたい。

史実記述の正確性を追求した三田村鳶魚と、物語性を追求した直木三十五の確執話。

4月6日。
老人は近所の桜がいつ咲くかを知っている。

井上靖を資料改竄で少し非難しているが、「洪水」は傑作と褒めている。(# 読みたい。)

司馬遼太郎の読者は、高度成長下に増加した中流階級。サラリーマンの程度に合わせているのがヒットの原因か。

三田村鳶魚の読者は、右よりの官僚知識層、「日本及日本人」読者。史料発掘と考証に終始。『大衆文芸評判記』や『時代小説評判記』で、藤村、菊池寛、藤森成吉『渡辺華山』にふんまんをぶつける。

4月7日。
『ハムレット日記』?新潮社に訂正稿。

4月8日。
野上弥生子先生は90歳を越えて健筆をふるうが、自分は71歳で雑文しか書けない…

『富永太郎全集』にとりかかる。詩集として考える。中原と吉田秀和の交流。

***

『トーマス・マン日記』の続きも読む。

1951年2月15日。
家を賃貸に出し、ヨーロッパに行く案を考える。

2月20日。
昨日、ジッド死去。第8章を書き進める。口内炎?。喫煙の害だ。

3月12日。
第2部第8章を書き終えた、地勢関連の修正は残る。

***

笠智衆『小津安二郎先生の思い出』(朝日文庫)を読み始めた。

48頁。「言われるままに」
小津は笠に対しては演技をすべて細く演出した。昭和17年。『父ありき』から本格化。ビデオを少し観た。面白そう。

61頁。
表情はナシで「お能の面」でいってくれ。歌舞伎調はきらい。

83員。
『長屋紳士録』(1947年)、得意だった「のぞきからくり」の口上は黙ってやらせてくれた。このビデオも、このシーンまで観た。

2020年11月10日火曜日

「Twitter文学賞」の志を継承する文学賞 「みんなのつぶやき文学賞」が創設された\(^o^)/

今日のメルマガ「週刊ALL REVIEWS」の巻頭言担当は私。書いたのはこんな感じ。


 ***

ALL REVIEWSでは今夜9時大ニュースが掲載された。

『「Twitter文学賞」の志を継承する文学賞 「みんなのつぶやき文学賞」が創設』

https://allreviews.jp/news/5118


「みんなのつぶやき文学賞」の運営には何らかの形でお手伝いできればと思っている。

***

大岡昇平『成城だより』の続きを読む。

1980年3月9日。
新聞や雑誌記事評に快気炎。

3月10日。
駅前まで散歩し、満開の梅を眺め、中華料理店で鶏ソバを食べる。本屋で、ベストセラー書を見かけたが気に入らず買わない。「読むと書くほかに、することなき人間なれど、断乎読まざる本もあるなり。」と元気が出てきた。

3月12日。
順天堂大で定期診察。関西への旅行の許可が出た。

新宿住友ビルの営業所でカシオトーン201を試し、買う手配をした。

付き添いの妻と50階のパーラーで一服。目が悪いのであまり高い感じがしないのが残念。

3月14日。
ジョセフ・ワイゼンバウムの『コンピュータ・パワー』を読む。コンピュータと人間の知能の区別が明快に書かれている。机上でメモをとりたいが、寒くて起きられない。

頑固親父的意見が多いのだが、広範囲な読書を続けているのには脱帽だ。

***

『トーマス・マン日記』も読書再開。

1951年1月8日。
長編小説の校正(済み?)刷りを書肆に発送。

クルルの(第2部)第6章を書きはじめる。

1月11日。
クルル、「死の鳥」の章(第6章)の改稿。注、によると、クルルとローサの辻馬車の道行き。

1月18日。
クルルの新しい第7章を書きはじめる。「パリへの旅と最初の出会い」だ。

1月20日。
クルルの第2部第7章を書く。「これは行き当たりばったりの旅なのだ。…毎日の午前が、起こることをもたらしてくれるだろう。」

書くべきことは頭にあるので、物語は自由に語っているということか。

1月22日。
早くに目覚め。第7章を書き進める。

午後長時間眠る。1月29日。ネヴァダ砂漠で原子爆弾爆発実験。

眠らないと、自由に筆が運ばないのだろう。よくわかる(エラソーだが)。

2020年11月9日月曜日

『麥秋』(1951年公開)の撮影と山内義雄訳『チボー家の人々』が読まれていたのは同時代

『麥秋』(1951年公開)。北鎌倉駅ホームの朝のシーン。丸の内に通う原節子と戦死したその兄の親友で医師の二本柳寛が会話する。二本柳寛は手に持っていた本のことを聞かれて、『チボー家の人々』の4巻目の半分まで読んだと答える。

これは新版の書影

確かに当時、『チボー家の人々』は流行っていて兄や姉は読んでいたようだ。少しあとになるが、子供向け版の『チボー家のジャック』を買い与えられて読んだ経験が私にもある。

https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000000788229-00

https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000000815020-00

小津安二郎は1903年生まれ。私の父は1906年。似たような年格好だ。

2020年11月8日日曜日

小津安二郎監督の『晩春』(1949年)と『麥秋』(1951年)を観て「引き戸ベル」の存在を思い出した

昨夜、小津安二郎作品を2本観た。『晩春』(1949年)と『麥秋』(1951年)、2本とも主演は原節子。


三部作なので、『東京物語』(1953年)も今夜観る。Amazonさまさま。

***

本筋には関係ない話だが、『晩春』も、『麥秋』も主人公紀子の家は北鎌倉。原節子演じる紀子が「元気よく」玄関の引き戸を開け締めするたびに、自転車のベルのような音が連続的にする。この音に聞き覚えがあったので、インターネットでサーチしてみた。「引き戸ベル」とか、「来客報知器」とかいう名前の器具らしい。引き戸を動かすと、小さな車輪が回転し、それに連動してベルが鳴る。昭和三十年代に住んでいた我が家の戸にこれがついていた記憶がある。小津安二郎は1903年生まれ、私の父も似たような年格好だった。

派手な音をさせて、原節子が帰ってくると、父親役はたいてい机に向かっている。浴衣を着て座って横文字の本を読んでいたりする。

映画自体は面白いし、原節子は評判通りきれいだ。小津安二郎監督は原節子に思慕を抱いていたと言われる。おそらく事実だろう。

小津には戦時中、中国で戦っていた。人にはあまり言えないような作戦もあっただろう。

小津映画を観るときに、ノスタルジーを感じる人は多いだろう。われわれはノスタルジーを、単なるセンチメンタルな回顧としてではなく、当時持っていた理想への再挑戦ととらえなくてはならない。

2020年11月7日土曜日

はるか昔に観た『晩春』(小津安二郎監督)はすごい名作だ

米国大統領選挙の開票は続き4日目。ほとんどの開票中の州が民主党の青色で染まった。面白い図解ページがあった。各州それぞれの人口に比例した大きさの丸が、合衆国地図の上に書いてあり、その丸は共和党の赤と民主党の青に塗ってある。すると、直感的に支持者の多さがわかる。データ表現に工夫が要るということだ。

『殉愛 原節子と小津安二郎』の続きを読む。

52頁から。
吉村公三郎『安城家の舞踏会』(1947)にフリーで出演。「戦後民主主義の希望の星」。

木下恵介『お嬢さん乾杯』(1949)で新時代を生きる旧華族令嬢を演じる。

今井正『青い山脈 前後編』(1949)で東宝作品にも出演。島崎先生役。

ここで、やっと小津安二郎が登場する。女優として本気になってきたと思える原節子の演技に、「熱い生きた血が注入される」。名作『晩春』の監督小津安二郎により。(58頁。)

ということで、夕方、Amazonプライムビデオで『晩春』を観ることにした。

映画『晩春』(1949年)のオリジナルポスター
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)


その前に、鎌倉から1980年の成城へワープする。

『成城だより』の続き。

3月6日。
71歳の誕生日。戦争に行ったのが35歳で、戦後35年生きた。核、人工衛星、人類が月面を歩くなどのことがあった。「資本家が軍備拡張し、兵器を輸出して利潤を確保しようとするさまに、拍手を送る手合いの発生には驚くほかなし。」

ボルヘスの言うがごとく亡却が得策、ならばこちらもぼけて、近いことから忘れつつあるのは良いことだと。

悪く言うと、大岡昇平の老いの繰り言だが、同い年として考えれば、うなづける。

3月9日。
朝日新聞は学識ある評者を採用し、文芸誌作品でなく単行本を文学として扱っている。一理ありと。文芸時評でなく「文化時評」だと。いろいろ意見はある。

2020年11月6日金曜日

西村雄一郎『殉愛 原節子と小津安二郎』(新潮社)を読んでます

曇り空の朝。

CNNJをつけてみる。まだ米大統領選の開票は続いている。

***

『成城だより』を読み続ける。

1980年1月16日。
順天堂大学病院へ。心臓肥大去る。病院裏スナックで食事。寒い。予定を切り上げてタクシーで帰る。

1月21日。
未明、読書中に寒気。39度の熱で寝込む。

2月6日。
日記再開。1月16日に見舞わなかった編集者の葬儀には家人代参。

2月8日。
寝床から出ず読書三味。

文学、美術、音楽、推理小説、週刊誌。書評や時評めいた記述。

2月9日。
読書、読書。鬼の話も。

2月10日。
富永太郎詩稿整理。

2月12日。
田付(下山)たつ子『パリの甃(いしだたみ)』。古きよきパリの印象記。著者は富永文献に「村田美都子」として出てくる。

2月15日。
まだ寝床。新田次郎氏風邪からの心筋梗塞で急死。

「三年B組金八先生」を見る。

***


西村雄一郎『殉愛 原節子と小津安二郎』(新潮社)を、うっかり読みはじめ、ひきこまれる。先日の巻頭言に触発されたのでさっそく借りてきた本。

1920年生まれの原節子。その原節子への愛が爆発する書き出し。本文で引用される映画をすべて探して観たくなる。

山中貞雄『河内山宗俊』(1936) (AmazonPV)
内田吐夢『生命の冠』(1936)
ファンク、伊丹万作『新しき土』(1937)。ドイツヘ挨拶に訪れる。

パリ経由でニューヨークへ。クイーン・メアリー号。(28頁。)竜田号で横浜へ。

日活から東宝へ。
国策映画。

熊谷久虎『上海陸戦隊』(1939)
同『指導物語』(1941)

山本薩夫『母の曲』(1937)
『田園交響楽』(1938)
『美はしき出発』(1939)
『街』(1939)
『姉妹の約束』(1940)
『熱風』(1943)

今井正『女の街』(1940)
『結婚の生態』(1941)
『望楼の決死隊』(1943)
『怒りの海』(1944)

島津保次郎『兄の花嫁』(1941)

山本嘉次郎『ハワイ・マレー沖海戦』(1942)

渡辺邦男『決戦の大空へ』(1943)

しかしこれらはどれも原節子の代表作とは言えない。

伏水修『東京の女性』(1939)
『青春の気流』(1942)

戦争は終った。原節子の青春も……

渡辺邦男『麗人』(1946)。白蓮の役。

黒澤明『わが青春に悔なし』(1946)

芸研プロ(義兄熊谷久虎がプロデューサー)

倉田文人『殿様ホテル』(1949)

沢村勉『野性』(1950)

(つづく)

***

日本時間朝8時半、トランプ大統領の噴飯もののスピーチ公開、投票カウントの不正を訴えたが、事実に基づかないとされ、放送局側により映像放映を打ち切られた。

2020年11月5日木曜日

ファシズムと戦うトーマス・マンは1933年以降の詳細な日記を廃棄せず残した

 大岡昇平、『成城だより』の続きを読む。

1984年12月13日。
大江健三郎の『同時代ゲーム』を読了。『万延元年のフットボール』の続編か。谷間の村落共同体の一揆的反乱もの。

1月9日。
暖かい午後1時~3時に人と会い、孫と遊ぶ。他は寝て本を読む。天気が良くて暖かい日の、同じ時間帯にたまに机に向かう。正宗白鳥先生にならう。しかし先生より早く病弱になりぼけてしまった。風邪がこわい。心房細動が。

中島みゆきを聴く。(ドーナツ盤)

アバを聴く。(LP)

1月11日。
睡眠時間計10時間以上。

ピーター・カヴニー『子供のイメージ』読了。

# 何か読むと、以前読んだ関連本をたくさん思い出す。

1月12日。
寒いが、「富永太郎全集」の仕事をする。

#このあと風邪をひくことになる。

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昨日借り出した『トーマス・マン日記 1951-1952』を読みはじめる。

「編者序文」を読んでいると、マンが1933年以降の日記は焼かないで保存させた意味が少しわかる。行く先々での複数のファシズムへの抗議の意味が確かにある。

そして詐欺師フェーリクス・クルルの物語を書く場所としてカリフォルニアは適当な場所でない、やはり欧州にいないと、と考えはじめた。

1951年1月3日。
国連軍はソウルを撤退。李は釜山にまで逃げた。

『詐欺師』の第2巻4章の改訂を完了。

1月8日。
『クルル』の第6章を書きはじめる。

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夜、ALL REVIEWSのオンライン「定例会」。テーマは「マンガ」なのだが、『鬼滅の刃』のアニメを少し観て臨んだが、やはり皆の会話にはついていけない。でも、知らないことを教えてもらえて、面白かった。とりあえず、『凪のお暇』のビデオ化されたもの(黒木華主演なので)を観ることにきめた。

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米大統領選開票状況は接戦でかつ混沌としていたが、どうやら民主党候補が一歩リード。明日にはきまるだろうか?

2020年11月4日水曜日

アシモフ先生の収入は1950年一年で5割増し

朝から好天。初孫に会う日にふさわしい。


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大岡昇平『成城だより』(文藝春秋)を読み始める。1909年生まれ、75歳の生活はどんな様子だったか。

1984年11月13日。
大江健三郎が武満徹の新作レコード持参、「イデーン2」、「ウォーター、ウェイ」「ウェィヴズ」。大江の新作は生地の孵大洲舞台の至福千年をモデルとしたもの。ボルヘスが来日中で会ったという。

立ちくらみでコンサートに行けぬので、音楽が来てくれるのを喜ぶ。

12月5日。
病院へ。心臓が大きくなっているので利尿剤をふやさねばならぬが、だるくなるので仕事にならない、困る。

雑誌新年号への対応は大変だった、この日記以外は今後断る。「富永太郎全集」(角川書店)の完成にも力をそそぐ。

出版社のくれる当用日記に日々の出来事をメモし、それをふくらませるので、手間はかからないはず。

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『アシモフ自伝』の続きも読む。

1949年12月31日。
恒例の年末決算。文筆活動の収入は1695ドル。化学者としての収入は4800ドル。総計6500ドル弱。喜んでいる。

1950年1月15日。
契約条件が決まったので、『暗黒星雲のかなたに』を改めて書きはじめる。梗概は作ったが、それにはよらないで書く。

1950年になると、キャンベル一強の時代が終った。アスタウンディング以外にもF&SFのような雑誌があらわれた。雑誌の価格は20セントから25、35セントと上がって行く。

『宇宙の小石』の評判は良い。

2月7日。
大学で「単純脂質」に関する初めての講義。「なんとかきりぬけた。」

2月14日。
ぶっつけ本番の講演も上手くできた。つまり「大受け、拍手、笑声」。

2月5日。
ガートルードと共にゲイ・ナイト・クラブに行くが気にいらない。

5月14日。
『暗黒星雲のかなたに』は三度目の書き直しで認められ、前渡金は750ドル。

6月19日。
1650ドルで新車のプリマスを買った。

6月25日。
北朝鮮軍が南朝鮮に侵入し、アメリカが朝鮮に派兵して、朝鮮戦争が始まった。弟、スタンリーは21歳だが視力が悪く徴兵は免れそうだ。

7月7日。
運転免許試験に合格。買った新車はまだ来ない。

8月8日。
車の所有者となる。30歳にして。翌日、車で出勤。

8月31日。
2台目のスミス・コロナ・ポータブルを入手。

9月12日。
共著で、化学の教科書を書くことにした。

11月21日。
腎臓結石の発作。救急車に乗る。モルヒネでおさまったが、常習者になるのが怖い。

年末。
年毎に単行本のリストを作ることにした。

    1 『宇宙の小石』(ダブルデイ)

    2 『われはロボット』(ノウム)

文筆収入4700ドル。大学の棒給約5000ドルとほぼ同額だ。

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午後はやっと会えたHALくんと過ごす。




2020年11月3日火曜日

トーマス・マンはようやく『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』の続きを書き始めた


『トーマス・マン日記』、1949年-1950年の巻を読み終えた。

1950年11月6日。
「マカーサー」と中国の非難の応酬。

11月8日。
選挙で共和党が勝利。ぞっとするような風が吹いてきた。(アメリカを)立ち去るべきか。

11月9日。
娘エーリカの45歳の誕生日。

11月20日。
シカゴのボルジェーゼから電話、娘メーディと別れたいと。

11月25日。
『選ばれし人』は最終的に完成。

正午にエーリカと計画と構想としての『クルル』について話し合う。素材に含まれるファウストゥス的性格。舞台をアメリカにまで拡大するか。

11月26日。
『詐欺師』の原稿に取り組む。(注)1912年『ヴェニスに死す』を優先するため、第二巻第四章で途絶していた。

11月28日。
『クルル』の原稿に取り組む。

11月30日。
『クルル』の原稿に取り組む。

12月3日。
現実のファシズム革命の可能性。この国を離れるのがいよいよ得策となった。エーリカに準備させたい。

12月5日。
左腰に「リューマチ」の痛み。

12月7日。
昨晩は薬入りの温水浴と電気毛布。ぐっすり眠る。

12月11日。
「ショウ」講演の録音。

12月20日。
『詐欺師』の材料に取り組む。年代史風のもの。

12月24日。
『詐欺師』の原稿と印刷された文章に取り組む。プレゼントは、シューマン歌曲集、『オランダ人』、『ローエングリン』、『こうもり』。

12月25日。
『クルル』の最後の、まだ印刷されていないいくつかの部分を吟味。書き直しが必要。

12月26日。
不思議なことだが40年たってまたようやく『詐欺師』の稿を書きつぐ。すなわち、中断していた第二部、第四章の末尾。徴兵検査の前の部分を書き進める。

12月27日。
原稿、構成変更を手がける。

12月29日。
日本は永久に占領下におかれるとアメリカはロシアに覚書。

最大のものと最小のもの、広く散らばっている銀河の数、分裂した原子核の粒子、これらについて感覚を混乱させるような天文学情報。

(注)1950年12月28日から30日までペンシルバヴァニア州ハヴォフォドで「アメリカ天文学会」が開かれたがその年次総会報告書を読んだのであろう。(?)

マンが読んだのはこれではなく、新聞記事だと思うが、読みやすそうなもの見つけた。

http://articles.adsabs.harvard.edu/pdf/1951PA.....59...57G

12月30日。
改稿をすすめる。この対象が私を支えているのだろうか。

長編の改稿を進める。

12月31日。
バルコニーの兄弟姉妹を細部まで仕上げた。

1年の回顧。
『オランダ人』、ロッシーニ、セザール・フランクを聴く。でもあまり楽しめない。

『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』をまた書き継ぎ始めたところで、1950年が終わった。相変わらずの産みの苦しみとアメリカを離れるべきかの悩みとで、75歳のマンは体調が悪そうだ。

『詐欺師』のファンとしては、次の巻を早く読みたい。世田谷区立図書館に予約を昨日入れたが、今日通知が来た。明日は孫の顔を初めて見るという「大イベント」があるので、ついでに受け取ってくる。内緒だがどちらも猛烈に楽しみだ。

2020年11月2日月曜日

トーマス・マンの『ファウストゥス博士』の完全な和訳ってあるのだろうか?

11月2日、朝は晴れている。昨日の疲れで、朝から眠い。

昨日、組み立てたベビーベッド。親のベッドに隣接させて使うタイプ。(こんなの初めてだったので、組み立てに手間取った。)


ここに、明後日からこんな感じで寝せる予定。


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『アシモフ自伝』、タイム・ワープする。

アシモフは1949年5月10日、一般聴衆の前で初めて講演した。主として中年婦人30名で、上手にできたという印象しか残っていないと。この前にライナス・ポーリングの講演を聞き、感銘を受けてその影響をうけたらしい。

6月1日。
ボストンのメディカル・スクールに助教授として初出勤。正教授のビル・ボイド(友人)は年棒6,000ドル。

6月25日。
手がけていた『私と共に年を取れ』という名の作品を『宇宙の小石』に変える。

最初はニューヨークを離れるのがイヤだったが、住み始めたボストンも次第に好きになった。一時住んだフィラデルフィアよりは活気があり、自由主義的でアカデミック。

10月25日。
『宇宙の小石』のゲラ刷りを受けとり、念入りに眼を通す。翌年1月19日に出版される予定だ。

11月9日。
翌年のメディカル・スクールでの棒給が決まる。同じ日に、『宇宙の小石』の前渡金450ドルが入ることが決まる。家賃半年分だ、やった。

11月15日。
『暗黒星雲のかなたに』の梗概を書く。5日後に書き初める。


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『トーマス・マン日記』の続き。

1950年9月30日。
悪名高い李がソウルに復帰した際に「マカーサー」が驚くべき演説。

10月15日。
昨日まで暑かったが、気温が正常になる。ひげを剃る。最後から2つ目の30章を書く。午後、とても疲れていたのに休息しなかった。

10月17日。
クラウス・プリングスハイムは日本でいい職が見つかりそうだ。

10月21日。
エーリカの胃は心因性だろう。

10月26日。
『選ばれし人』の最後の数行を書いた。
映画『サンセット大通り』を観た。見事な撮影と演技。
脱稿のお祝いをする。

10月27日。
散髪。午後、長時間眠る。

『選ばれし人』のタイトル・ページ、後記、索引を作成。

11月2日。
トルーマンに対する殺害未遂事件。
バーナード・ショウ死去。94歳。

11月4日。
BBCのためのバーナード・ショウについての30分間の講演をすることになった。4週間猶予がある。

良いページ見つけた。トーマス・マンの『ファウストゥス博士』を含む英訳本あり。


https://www.fadedpage.com/csearch.php?author=Mann,%20Thomas

2020年11月1日日曜日

『情報環世界』、インターネットの世界にうまく閉じこもろう

新しい本。『情報環世界』(NTT出版)を読んだ。

18頁。
フィルターバブル問題。身体がそこに閉じこもる。チョウもハチも。人間も、だが人間は別のフィルターバブルに移動が可能。e.g. 天文学
バブルの中の身体。
西島さんの見えないメモ。(22頁。)地図すらかく。
毎日が「はとバスツァー」。
知覚と作用の機能環。ユクスキュル。
作業道具と知覚補助道具。
フィルターバブルは防護壁。

91頁。
ドミニク・チェンさん、情報環世界を〈うつす〉=写す、移す、映す。
考えていることや感じていることを情報として外部化する。
複雑なことを単純化して受け止める。e.g. 二項化。
生物学的アーキテクチャの問題がある。主観を客観化する(数値化など)のでなく、主観のままの情報を共有化できぬか。
言語的相対論「サピア=ウォーフ仮説」。言語の多様性は言語を通して世界を見る方法の多様性だ。ラカンも。日本語とフランス語では異なる環世界が立ち上がる。旅は文化的環世界を「移す」こと。
意訳の良さ。
クリエイティブ・コモンズ運動。権利のある状態とない状態の中間。共有。リミックス。翻案。
オートポイエイシス。ヴァレラ。「縁起」。同時生起。
フィルターバブル。今のアメリカ。
デジタル・ウェルビーイング。
共話。協動して会話をすすめる。synlogue
共話は、論理的建設でなくてグルーミングに近い。日本語の共話性。モシ族の共話。

152頁。
意識の辞書。「単語のベクトル化」周辺文脈を元にベクトルを獲得する。
辞書は人それぞれにちがった言葉の流れを生む。人の辞書で日記を書いてみると…
浦川通(とおる)さん

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自分なりの感想。

ワンフロアであまり大きくない書店や図書館の棚を頻繁に見てあるけ。ときどきは目についた本を聞いてみながら。するとそれらの棚の本たちが自分の情報環境となる。

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ナチス・ドイツ下のホテルの従業員になっていて、アメリカ風のユニフォームを着ていて怒られる夢を今朝みた。

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午後から、三軒茶屋へ。ベビーベッドを組み立てた。かなりしっかりして大きいタイプだったので、三時間かかり、疲れた。組み立てながらテレビをみていたが大阪都構想の可否を決める投票の開票が行われ、僅差であぶなかったがなんとか否決された。