2020年2月29日土曜日

コロナ騒ぎで図書館クルナ?

図書館は明日から15日まで休館。ただしインターネットでの予約とその貸出だけは可能。閲覧席と書庫には立入禁止。やむを得ない。コロナ騒ぎが沈静化するまで我慢。

予約していた本、5冊ほど借りてきた。


『現代語訳 渋沢栄一自伝:「論語と算盤」を道標として 』(平凡社新書) 。先日の月刊ALL REVIEWSの対談のレポートのための参考書。
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I023386490-00


『印刷・紙づくりを支えてきた34人の名工の肖像 』(グラフィック社)。最近のALL REVIEWSの書評で、興味を持った本。
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I030095964-00


『フジ子・ヘミングの「魂のことば」』(清流出版)。他彼女の本2冊。
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000003993799-00

***

マンションの管理組合総会。ほとんど皆マスク姿。来年度は理事担当である。

2020年2月28日金曜日

ソール・ライターは永遠に

『永遠のソール・ライター』、写真集をe-honで取り寄せてもらうことにした。渋谷での展覧会に行くのは残念ながら中止。電車賃と入場料(シニア割引なさそうだし)を考えると、購入するほうが良いと判断した。手元におけるし、マチエールが大切な絵と違い写真なので。

売れているらしく、「取り寄せ」扱いになったので手にできるまでに少し時間はかかりそう。楽しみに待つ。



レースカーテン越しの写真を撮ることを考える。これもソール・ライターのマネだが。



***



『くよくよしない力』(フジコ・ヘミング)を読んだ。
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I029120113-00

69頁。「クロイツァーとの出会いによって、音楽というものに導かれた。」

73頁。「じゃがいものお味噌汁が大好き。」ベジタリアンなのだ。

79頁。読書好き。「本の中にその人自身が投影されて」いる本。

113頁。「芸術は人と違っているほうがいい」と、ヨーロッパで教えられた。

119頁。「一つの場所にいたほうが、自分の目指すところに早くたどり着く。」

135頁。「夢は、ラヴェルの『ピアノ協奏曲』とラフマニノフの『ピアノ協奏曲』をCDにすること。」

155頁。「遅くなっても待っておれ、それは必ず訪れる」

内容は素晴らしいのだが、本の作りがいまいち。彼女はそんなところは気にしていないのだろう。

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政府の場当たり的な新型コロナウィルス対策で(学校の閉鎖など)、混乱が広がっている。今日、スーパーで買物をしていたら、トイレットペーパーやティッシュが棚から姿を消していた。デマに踊らされる人がいるのは、正確な情報を出していない政府の責任だろう。

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『論語』対談メモをnote原稿の一部用として下記のように書き直した。不明な部分を調べて補い、文章として読める形に直した。まだ腑に落ちないところがあるので、ビデオを見直してみる。

以下、作業中の文章
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16時開始。
鹿島:出口さんは「通史」にチャレンジされている。日本では珍しい。私はフランスの通史を訳した。出口さんに書評していただいた。(『フランス史』(講談社)

渋沢がいかに論語を読んだか。それをいかに事業展開に生かしたか。きっかけは二つある。
ひとつめ、例えばバルザックの理解には当時の歴史研究が必要だ。歴史家があつかっていないところ。たとえばサン・シモン主義。ユゴーもそうだし、ナポレオン第二帝政もそうだ。(出口さんは大きくうなずいている。)サン・シモン主義はモノ・ヒト・アイディアの3つが循環して利益を生み出すとする。フランス人は競争嫌い。英米露はそうでない。澁澤栄一は欧州に行きサン・シモンを取り入れたかもしれない。その一方で論語のエートス(倫理観)も取り入れた。

ふたつめ、家族人類学のキーポイントは直系(父―子―孫)家族。エマニュエル・トッドによると発達の一定時期に成立する。論語も直系家族を基にしている。他の中国の思想は共同体で平等。共産主義(トッド理論のサワリ)。論語の時代はユダヤ並みに古い。

出口:私は「保険屋」なので素人の観点で申し上げたい。

ナポレオン三世はたしかに面白い。皇帝制とサン・シモン主義が共存していた。フランスには珍しく、英国と仲が良かった。第二帝政は王制とも共和制とも言えない。私はパリが好きだが、「今の良きパリ」はほとんど第二帝政でできた。トッドも好きだ。日本は男女差別が激しい。その原因の一つは長子単独相続制。職業も安定し、社会の流動性はない。中国は流動性高い。中国を考える上で大切なものは(漢)字と紙と始皇帝。紙に書かれた文字で社会を統治している。「一君万民」の社会であり、中間に「やさしい殿様」はいなかった。ギルドにもあったが、市民は互いの人間関係(秘密結社)も使って自分で自分の身を守る。

孔子の時代(知の爆発の時代)にはプラトンもアリストテレスもブッダも現れた。天才の現れる時期だった。なぜか。地球温暖化と鉄器の普及で農業がうまく行きだした。余剰生産物を使って威信財交易もはじまった。社会の余裕で勉強する人も現れた。後に周が滅びてそれらインテリが地方に分散した。中華思想の走りをインテリが地方に伝える。戦国の七雄のなかでインテリたちが議論し、それが諸子百家。
(続く。)

16時36分。
鹿島:私なりに易しく言ってみる。「礼」とは宮廷の儀礼。孔子は礼儀作法を教えていた。ブライダル・マナーやセレモニー・マナーそして宮廷マナーの教師だった。母親はシャーマンだが、母方の祖父に学んだのだろう。学び方はブッキシュ。「詩」(詩経)と「易」(易経)をオタッキーに勉強した。ただし「論語」ではシャーマニズムを嫌っており、その要素の部分は哲学的に変えて理論武装している。
孔子は弟子には「考えろ」、勉強しろと教えている。つまり知識だけじゃ駄目と。いろいろな弟子がいた。顔回は可愛がっていて死の時のなげきは激しい。(『論語』参照)子路は駄目生徒だった。何回教えても身につかない。でも孔子は目をかけた。それらの弟子により孔子のことばの受け取りかたがちがう。
勉強が好きなのは直系家族の特徴。そして直系なので祖父母の教育力が大きい。

出口:年寄りを手厚く扱って老年まで養う。おばあさん仮説が有名だが、群れ社会での生き残り・差別化戦略だ。血統と礼儀。

平清盛と頼朝は福原と鎌倉に引っ込んで、(うるさい旧権力から離れて)政治を行った。義満も。
孔子は「礼」を創った。周の大物の夢を見たとして「礼」を記述。

鹿島:土地私有制のもとに代々続く直系家族が成り立つ。祖先崇拝が出てくる。相続だけでなく、他のことでもフィロソフィー(一般原理)に従った。

出口:戦国の七雄。中国は欧州より広大なので、一般化した原理でないと諸国に通用しない。

鹿島:孔子が引用した文献は今では分からないものが多いが、論語は文献学にもなっている。ニーチェの『道徳の系譜』に通ずる。(聖書には新旧の話が含まれており、それを見分ける。)文献学は見分けのルールを体系化する。「古い方」がいいのかなど。フィロソフィー(哲学)は「考える」ルールである。孔子は文献学好きであり哲学好きである。

出口:孔子はそのルールを知っていた。昔の文章を集めて整理する。他国に通用するものができた。(でも)総理大臣にはなれなかった。仕方ないのでルールを体系化して弟子に教えた。プラトンにも似ている。プラトンもアカデメイアという学校を作った。(続く)

この本の前身、『「全世界史講義」 教養に効く人類5000年史」(新潮社)は近所の図書館にあったので、即日借り出せた。
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I027011430-00

第2部第2章の「知の爆発」に孔子の事が書かれている。儒教はその後、中国ではメジャーな思想にはなり得なかった。昨日の話通り、重要なのは諸子百家で言えば「法家」。紙と墨で書かれた法律が重要な統治の手段となった。「法家」と「儒家」の関係は為政者の「本音」と「建前」。後に他の宗教たとえばキリスト教が入ってきても、儒教の先祖崇拝は当然のこととして認められた。大した宗教ではないと気に留めてもらえなかったのかも。日本ではどうだったか。

17時。

鹿島:「論語」は現代中国における思想とは真逆です。

出口:孔子の言っていることは立派。立派すぎて毎日言われると嫌になる。皮肉な老荘思想のほうがインテリには好かれる。役人は法家思想でいく。一方、人民は助け合いで対抗する。世界連邦はいまやディストピア。諸子百家はその逆を行ったものだった。

鹿島:1対1では中国人は日本人に勝つ。10対10なら日本人が強い。400メートルリレーのように。
共立で30年、明治で12年教師をやったが、共立ではルールがあまりなく運営がファジー。たとえば教授と事務の間に副手がいてうまく問題を調整する。明治は巨大なので法家思想で統治される。なんでも文書化してある。

フランスでは数え方は60進法。この数え方なら財産も分割しやすい。遊牧民は平等であり、牛や羊は分割して相続しやすい。英国も12進法。始皇帝は遊牧民だったかも。

出口:四大文明は独自に発生したのでなく、メソポタミア文明がエジプトやインダスや中国文明に伝播した。たとえば、商では戦車(チャリオット)を使った。これらを岩波のシリーズに書いた。今5分冊のうち2冊め。草原と海。

鹿島:女性進出が日本では遅いが、一旦始まると早くなる。日本は世界では最も辺境。卑弥呼のいた日本は双系制家族(?)。少し女性に傾いていた。

出口:明治期に国民国家をつくろうとした。天皇制をそのツールとしようとした。その儀式のロジックに朱子学を使った。家父長制を基本としている。

司会:そろそろ時間です。

質問:澁澤栄一の論語解釈の分析をお願いします。

回答:鹿島:暴利を貪らない金儲けは正しい。論語を読み直し、ギブとテークの釣り合いをとれば良いと考えた。サン・シモンの社会民主主義に通じる。
出口:ルターが聖書に立ち戻ったように、澁澤栄一は朱子学ではなく原点である論語の理想そのものに立ち戻った。


このQandAの参考になるのは、鹿島さんの「『渋沢栄一 上 算盤篇』(文藝春秋)の解説」と、澁澤栄一自身の『論語講義』、後者は国会図書館デジタルコレクションですぐ読める。

2020年2月27日木曜日

『パリの手記』(辻邦生)とその関連本は人生の指針だった

『パリの手記1 海そして変容』(辻邦生 1973年 河出書房新社)を読み直す。note記事にするための材料仕入れ。

辻邦生さんのパリ(またはフランス)滞在日記は3種類ある。(他に旅行記もあるが。)
(1)『パリの手記』(全5巻)。1957年からの最初のパリ滞在。
(2)『モンマルトル日記』(集英社)。1968年からの滞在。
(3)『パリの時』(全3巻 中央公論社)。1980年からの滞在。

このうちで、『パリの手記』は若き(1925年生まれだから本人は32歳ではあるが)辻夫妻の、パリでの修行の様子がわかって、もっとも好ましい作品であると思っている。

先にパリに行っていた森有正もたびたび登場して、辻邦生夫妻をなにくれとなく励ます。留学生活上の些事にとらわれず、毎日規則正しく8時間は勉強するようにとも。辻邦生も国立図書館に通い、読み、調べ、懸命に「小説論」(後の『小説への序章』)を書こうとする。筆はなかなか進まない。本来は『小説への序章』をさっさと書き上げ、そこで定まったスタンスのもとに、創作を始めたかったのだろう。しかしスタンスがなかなか決まらない。辻夫人は着々と古いキリスト教美術の研究を続けて学位をとるのに。

このあたりの様子は、漱石が倫敦でひとりでやろうとした作業風景に似ている。『文学論』の自序を見るとそう思える。漱石のほうが孤独で悲壮にやっていたようだが。

北杜夫がマグロ資源調査船の船医となり、訪ねてくるが、彼の励ましもすぐには役立たない。やっと、1960年に『城』を書き上げる。北杜夫を通じて埴谷雄高に読んでもらって、なんとか文壇デビューを果たす。

このような青春の苦闘時代の日記であるので、これを読むことには大きな意味が感じられた。何回も読み直した。そして辻邦生さんの他の小説もほとんど買って読んだ。森有正の本もかなり読んだし、辻邦生が勉強したトーマス・マンの解説本だけでなく、トーマス・マン全集も買って全部読んだ。

辻邦生と森有正とトーマス・マンとは私の青春時代のアイドルで、日本文学や哲学ヨーロッパの文学や政治に関する先生とも言える。『魔の山』のゼテムブリーニが凡庸なるハンス・カストルプの辛抱強い先生であったように。

春になると何かしら新しいことを勉強したくなるが、何をしていいかわからないことがある。そんなときは彼らのものを取り上げて読んで見る。新しい興味の対象が見つかる。それを勉強していて方向が見えなくなる。するとまた彼らの著作に戻る。

そのなかでも取り出すことが多かったのが『パリの時』だった。定年後、念願(この「念願」も辻邦生と森有正の影響を受けていた)のパリ旅行を果たした。辻邦生と森有正の住んでいた旧居を探し当てて喜びを感じた。

148頁。1957年11月15日。「森先生とシャトレの中華料理店で話したとき、「日常のわずらわしい事柄の影響から、精神的なものをまもり、少しもそれがゆるがないようにすることに熟達する必要がありますね」と云っていたが、…

165頁。1958年1月19日。「僕は、この町へ来て、いよいよ、第二段階の生活に入った。準備段階、保留の時代は終わった。」

166頁。1958年1月20日。「午後、図書館で「小説の問題」。つかれると眼をあげて窓の外を眺める。」167頁。「こうした(『魔の山』が念頭にある)神業への奉仕が、本質的な、生産的な、いいうべくんば、倫理的な美的生活なのであろう。」



174頁。1958年2月15日。「リュクサンブールのクロッカスを見にいった。」
寒いパリにも春は来たのである。

「序文」「私が「絶えず書く」ということを自分に課したのはいつ頃からであったか、いまは正確に記憶はない。ともあれピアニストが絶えずピアノをひくように、自分は絶えず書かなければならない」

この『パリの手記』は当時、辻邦生さんが毎日書いていたノートから材料をとった、「創作」された日記である。この創作の仕方そのものも私の模倣の対象になっている。

ほぼ人生のすべてをこの本によって律していると言っても、あながち間違いではなさそうだ。

その上で考えると(2)と(3)の日記も参考以上のものとなっている。

***

夕方、買い物に出る時、西空に月と金星が明るく輝いていた。



2020年2月26日水曜日

「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」展で素晴らしい作品に魅了された

「日本・ハンガリー外交関係開設150周年記念
ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵
ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」
に行ってきた。国立新美術館(乃木坂駅直結)。

新型コロナウィルスは怖いのだが、美しいものを見たいという気持ちが勝った。電車の空いている時間帯を選び、緩行電車に乗ったので車内はガラ空き。これは良かったが、車内が寒いのには往生した。


***

注目したもの。
27番 《ベニヤミンの袋から発見されたヨセフの杯》(クラース・コルネリスゾーン・ムーヤルト)1627年
聖書の挿話からとられた画題だが、トーマス・マンの『ヨーゼフとその兄弟たち』を思い起こさせる。

33番 《聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)》(エル・グレコ)1600年ごろ
小品だがグレコはグレコなのだ(素晴らしい)。

40番 《風景のなかの花束》(マティアス・ウィトースに帰属)
1670年代なのにリバーサル・フィルム写真のような深い色合い。

44番 《架空のゴシック教会の内部》(フランソワ・ド・ノメ)1621年ごろ
64×127センチの絵だが、8K画像の数十倍かと思わせる驚異的精細さ。この画なら何年見ていても飽きないだろう。参考↓
https://twitter.com/artnikkei/status/1224978556121276418

70番 《伝書鳩》(バラバーシュ・ミクローシュ)1843年
人物の来ているドレスの描写の精細さ。どうすればこんなに描きこめるのか?別の画家だが71番《レバノンの太守》(ボルショシュ・ヨージェフ)の人物の衣服の描写もすごい。

76番 《白いショールをまとった若い女性》(ギュスターヴ・ドレ)1870年ごろ
逆光表現がいい。これも写真作家に影響をあたえただろう。

89頁 《ガーンジー島での習作1》(ルノワール)1883年 ルノワールもガーンジー島に行ったことがあるのか!

97番 《岩山のある水辺の風景》(メドニャーンスキ・ラースロー)1900年ごろ
厚塗りの水の描写が秀逸。遠くから見ると美しい。

105番 《オンディーヌ》(ジュール・ジョゼフ・ルフェーブル)1881年
美しい。文句なし、大好きだ。

会場は空いていた。ゆっくり見ることが出来た。コロナ騒ぎに影響されないといいが…

帰りは六本木に出て遅い昼食。天麩羅と蕎麦。この店も空いていたので選んだ。



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寒い中帰宅。しばらく閉じこもって体調管理する。

2020年2月25日火曜日

『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』読み終えた

『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』やっと読み終えた。

276頁。神彰(雑誌『血と薔薇』のスポンサー、龍彥親王は編集長役だった)は、龍彥親王には「現代の政治」がないと批判。

277頁。植草甚一も『血と薔薇』に書いたらしい。
(調べよう。まずここから
 http://www.mosakusha.com/web-geppou/2010/09/post-7.html 


293頁。『滞欧日記』。三島の死の直前。

297頁。龍子と結婚。1969年。

299頁。三島はアンチ・イデオローグであると。

324頁。同窓会写真。周りはおっさん。本人だけ若い。

330頁。吉田健一の愛読者には龍彥親王の愛読者が多い。

370頁。蔵書がすごい。<群書類聚>などの叢書類。森鴎外他の全集。『書物の宇宙誌』を参照したい。

390頁。「幻想の中に生きている」と。(龍子評)

444頁。『私のプリニウス』。後にヤマザキマリが高評価。

479頁。『高丘親王航海記』を書き終えた。頸動脈に癌が再発。



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『「全世界史」講義』を拾い読みする。
文字の起源。メソポタミア文明、チャリオット(二輪馬車の機動力)。

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午前中、税務署へ。思ったより混んでいた。皆がマスク姿。

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3月10日締切の原稿のネタ探し。
小説への序章 (中公文庫)   辻 邦生 https://www.amazon.co.jp/dp/4122006155/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_n2dvEbC9WKXN5

辻邦生作品全六巻〈6〉 (1973年)小説への序章 わが文学風土から パリ日記 年譜   辻 邦生 https://www.amazon.co.jp/dp/B000J98H9I/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_d5dvEbD23NPWV
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001254151-00
関連web
http://kenkyuyoroku.blog84.fc2.com/blog-entry-683.html

パリの手記〈1〉海そして変容 (1973年)   辻 邦生 https://www.amazon.co.jp/dp/B000J98HFM/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_A7dvEb4ND12GW

2020年2月24日月曜日

『論語』対談の私的メモ(最後)

出口さんと鹿島さんの『論語』対談メモ。昨日の続き、対談終了まで。


17時。

鹿島:「論語」は現代中国とは真逆です。

出口:孔子の言っていることは立派。立派すぎて毎日言われると嫌になる。老荘思想のほうがインテリには好かれる。役人は法家思想。人民は助け合い。世界連邦はいまやディストピア。諸子百家はその逆を行く。

鹿島:1対1では中国人は日本人に勝つ。10対10なら日本人が強い。400メートルリレーのように。共立で30年、明治で12年教師をやったが、共立ではルールがあまりなく運営がファジー。たとえば教授と事務の間に副手がいて調整する。明治は巨大なので法家思想で統治される。なんでも文書化してある。フランスでは数え方は60進法。分割しやすい。遊牧民は平等で牛や羊は分割して相続しやすい。英国は12進法。始皇帝は遊牧民だったかも。

出口:四大文明は独自に発生したのでなく、メソポタミア文明がエジプトやインダスや中国文明に伝播した。たとえば、商では戦車(チャリオット)を使った。これらを岩波のシリーズに書いた。今5分冊のうち2冊め。草原と海。

鹿島:女性進出が日本では遅いが、一旦始まると早くなる。日本は世界では最も辺境。卑弥呼のいた日本は双系制家族(?)。少し女性に傾いていた。

出口:明治期に国民国家をつくろうとした。天皇制をそのツールとしようとした。儀式のロジックに朱子学を使った。家父長制。

司会:そろそろ時間です。

質問:澁澤栄一の論語の分析をお願いします。
回答:鹿島:自分のためだけでない金儲けは正しい。論語を読み直し、ギブとテークの釣り合いをとる。サン・シモンの社会民主主義。直系家族。
ルター。

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最後の方はうまくメモがとれていない。体力の限界? メモ用紙が小さく字も小さくて読めないことがあるので、今後の改善が必要だ。コロナウィルスが怖いので終了直後に会場を出て帰宅。

上記メモをnote記事に書き直すには、かなり勉強が必要そうだ。トッドの勉強どうしよう。

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確定申告書類を印刷し添付資料も揃えたので、税務署に行く準備が整った。ところで、今回から源泉徴収票は提出しなくて良いらしい。

2020年2月23日日曜日

『論語』対談私的メモ(その2)…(孔子の頭の中の「体系」を知りたくなった。)

出口さんと鹿島さんの『論語』対談。昨日の手書きメモをそのままタイプした。昨日の続き。

16時36分。
鹿島:私なりに易しく言ってみる。「礼」とは宮廷の儀礼。孔子は礼儀作法を教えていた。ブライダル・マナーやセレモニー・マナーそして宮廷マナーの教師。母親はシャーマンで、母方の祖父に学んだのだろう。学び方はブッキシュ。「詩」(詩経)と「易」(易経)をオタッキーに勉強した。ただし「論語」ではシャーマニズムは嫌っており、その要素の部分は哲学的に理論武装している。
弟子には「考えろ」と教えている。つまり知識だけじゃ駄目と。いろいろな弟子がいた。顔回は可愛がっていて死の時のなげきは激しい。(『論語』参照)子路は駄目生徒だった。何回教えても身につかない。それらの弟子により受け取りがちがう。
勉強が好きなのは直系家族の特徴。そして直系なので祖父母の教育力が大きい。

出口:年寄りを手厚く扱って老年まで養う。群れ社会での生き残り・差別化戦略だ。血統と礼儀。平清盛と頼朝は福原と鎌倉に引っ込んで、(うるさい旧権力から離れて)政治を行った。義満も。
孔子は「礼」を創った。周の大物の夢を見たとして「礼」を記述。

鹿島:土地私有↔直系家族。代々続く。祖先崇拝。相続だけでなく、フィロソフィー(一般原理)に従った。

出口:戦国の七雄。中国は欧州より広大。一般化した原理は諸国に通用する。

鹿島:「勉強」する。孔子が引用したものは今では分からないものが多いが、文献学になっている。ニーチェの「道徳の系譜」に通ずる。聖書には新旧の話が含まれており、それを見分ける。見分けのルールを体系化する。「古い方」がいいのか?フィロソフィー。哲学は「考える」ルールである。文献学好き。哲学好き。

出口:孔子はルールを知っている。昔の文章を集めて整理する。他国に通用するものができた。(でも)総理大臣にはなれなかった。仕方ないのでルールを体系化して弟子に教える。(# 論語はあまり体系化されてないが、孔子の喋ったことまたは頭の中は体系化されていたのか。それを知りたい…これ質問すればよかった。)
プラトンにも似ている。プラトンもアカデメイアという学校を作った。(続く)

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ここまでで定刻17時。まだまとめの話が残っている。

出口さんの本、『人類500年史』も呼んでみたい。まだ完結してない。




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この本の前身、『「全世界史講義」 教養に効く人類5000年史」(新潮社)は近所の図書館にあったので、即日借り出せた。
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I027011430-00

第2部第2章の「知の爆発」に孔子の事が書かれている。儒教はその後、中国ではメジャーな思想にはなり得なかった。昨日の話通り、重要なのは諸子百家で言えば「法家」。紙と墨で書かれた法律が重要な統治の手段となった。「法家」と「儒家」の関係は為政者の「本音」と「建前」。後に他の宗教たとえばキリスト教が入ってきても、儒教の先祖崇拝は当然のこととして認められた。大した宗教ではないと気に留めてもらえなかったのかも。日本ではどうだったか。

2020年2月22日土曜日

『論語』対談のメモ最初の三分の一

出口さんと鹿島さんの『論語』対談。今日のメモをそのまま。まず最初の三分の一。
メモ内容は完全に私個人用。それにまだ良く理解してないので間違って書いているところがあるかもしれない。引用はしないでください。(そんな人いないか(*^^*) )



16時開始。
鹿島:出口さんは「通史」にチャレンジされている。日本では珍しい。私はフランスの通史は訳した。出口さんに書評していただいた。渋沢の「論語」読んだ。いかに事業展開したか。なぜ『論語』か、きっかけは二つ。
(1)例えばバルザックの理解には当時の歴史研究が必要だった。歴史家があつかっていないところ。サン・シモン主義が大切。ユゴーもそう。ナポレオン第二帝政も。(出口さん大きくうなずいている。)サン・シモン主義はモノ・ヒト・アイディアの3つが循環して利益を生み出す。フランス人は競争嫌い。英米露はそうでない。渋沢栄一が欧州に行きサン・シモンを取り入れたかもしれない。その一方論語のエートス(倫理観)も取り入れた。
(2)家族人類学のキーポイントは直系(父―子―孫)家族。エマニュエル・トッドによると発達の一定時期に成立する。論語も直系家族を基にしている。他の中国の思想は共同体で平等。共産主義(トッド理論のサワリ)。論語の時代はユダヤ並みに古い。

出口:私は「保険屋」。ナポレオン三世はたしかに面白い。皇帝制とサン・シモン主義が共存していた。フランスには珍しく、英国と仲が良かった。第二帝政は王制とも共和制とも言えない。私はパリが好きだが、「今の良きパリ」はほとんど第二帝政でできた。トッドも好きだ。日本は男女差別が激しい。その原因の一つは長子単独相続制。職業も安定し、社会の流動性はない。中国は流動性高い。中国―(漢)字と紙と始皇帝。紙に書かれた文字で社会を統治している。「一君万民」の中間にやさしい殿様はいなかった。ギルドも弱い。市民は互いの人間関係(秘密結社)を使って自分で身を守る。
孔子の時代にはプラトンもアリストテレスもブッダも現れた。天才の現れる時期。なぜか。地球温暖化と鉄器の普及で農業がうまく行きだした。余剰生産物を使って威信財交易もはじまった。社会の余裕で勉強する人が現れた。後に周が滅びてインテリが地方に分散した。中華思想の走りをインテリが地方に伝える。戦国の七雄のなかでインテリたちが議論し、それが諸子百家。
(続く。)

***





この月間ALL REVIEWS対談は神保町の東京堂書店六階ホールで行われた。コロナウィルスが心配なので緩行電車でのんびりでかけた。現地では手指の消毒用エタノールも準備され、換気にも注意していたので一安心。講師との握手やサインも自粛することに。

2020年2月21日金曜日

確定申告書も完成

『超拡大で虫と植物と鉱物を撮る 超拡大撮影の魅力と深度合成のテクニック 自然写真の教科書』を読む(あるいは見る)と、実に面白くてわくわくする。身近で普段は何の気無しに見ているものの細部に、広大な世界が広がっている。

この本では、高価な機材を使った例が多いのだが、手持ちの機材でも似たような写真は撮れそうだ。機材に頼るのでなく、自分の周囲の世界の細部を探検したいと思う心と努力が大切そうだ。

ともかくいい本だ。



***

昨日の青色申告書に続き、今日の午前中一時間くらいかけて、確定申告書を作り上げる。インターネット上のツールのおかげだが、慣れも手伝って、随分楽に早く出来た。下準備として、年間を通じて必要書類を一箇所にまとめておいたが、これも時間短縮に役立った。

***

明日の月間ALL REVIEWSに備えて、『論語』を読み続ける。この古い箴言集がなぜ日本で今も読まれて、いや内容が良きにつけ悪しきにつけ影響を与え続けているのか。それを解明しないといけない。


***

休憩代わりにNetflixのドラマ『グッド・ワイフ』を数話観る。弁護士も判事も検事も利害だけで動いているような気がしてくる。人気のあるドラマだが、その人気の原因がそこだと、ややがっかりする。たかがドラマだと割り切ることにしよう。

2020年2月20日木曜日

青色申告作業中

『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』なんとか後半へ。私の後の予約者が多いので、延長はできない。あと一週間以内に読み終えなくてはならない。多分大丈夫。

263頁。龍彥親王に愛想をつかした妻が出ていく。全面的に面倒を見てもらっていたので、困った。甘やかされて育ったお坊ちゃんにも困ったものだ。著者が「親王」と呼んでいるのはこの意味だったのだろう。

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青色申告書を作った。そもそも「売上」が少なかったし、そのせいで経費計上も網羅的にやる必要がない、だから簡単に済んだ。明日には確定申告書を作って、来週そうそうに提出しに税務署に行きたい。今年も窓口に提出に行く。コロナウィルスがこわいので空いているときを見計らっていこう。

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夕方、図書館に行き、3冊借りてきた。


『短編画廊 絵から生まれた17の物語』(ハーパーコリンズ・ジャパン)。これは以前月間ALL REVIEWSで紹介されたもの。やっと借りる事ができた。
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I029708259-00



『黄金列車』(角川書店)。これも最近の月間ALL REVIEWSにて。
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I030023934-00



『超拡大で虫と植物と鉱物を撮る 超拡大撮影の魅力と深度合成のテクニック 自然写真の教科書』
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I028115067-00

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『論語』を少し読む。

2020年2月19日水曜日

早起きは情報3件の得。そして『夢の宇宙誌』。

早起きすれば3件くらい、有用(?)情報が見つかる。この間実際には、パソコンを立ち上げたり、トイレで用を足したり、布団を畳んだりしている。そのほうが頭が活発に働いている気がする。
3件とは。

(1)超マクロ手作りレンズと人工光に集まる虫の撮影のTweet(https://twitter.com/itosaki4

  ここからたどったYoutubeビデオ
  https://youtu.be/TWeGAmeD7As
  の後半が面白い。コンビニや自動販売機の光に集まる虫の撮影とは考えたものだ。久しぶりで昆虫撮影をやってみたくなった。

(2)インターネット・アーカイブの創始者のインタビュー新聞記事(朝日新聞朝刊)
  寄贈を受けた書籍をデジタル化(だいたいpdf)。それを保有冊数分インターネットで貸し出す。400万冊あるそうだ。たとえば、グールドの『Selected letters』を借りてみた。


(3)原節子と小津安二郎と藤本真澄の「殉愛」三角関係説を伝えるカルチャーラジオ(NHK第2)
  北鎌倉に行ってみたくなった。原節子の旧居。

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『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』の続きを読む。

135頁。1958年。三島由紀夫に進められて『聲』誌に「サド論 暴力と表現」を書く。60枚。原稿料が高くて驚くが事務のミスだった。返したのだろうか?

143頁。サド裁判はじまる。1960年。マジメに出廷しないし、出廷しても反抗的。たしかに猥褻でしたと恐れ入れば大目に見てもらえただろうが、有罪(罰金)判決。

150頁。裁判の後半での証人は綺羅星の如し。ただ、龍彥親王の遅刻や無断欠席には辟易。

156頁。1969年10月の結審まで、9年かかった。

215頁。『夢の宇宙誌』。
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001057020-00
1964年に出たのだが、数年後私の学生時代に買って読んだことだけ覚えている。
この表紙。



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夕食には親子丼を作る。煮ないで最初に炒めてから味付けと卵を絡めるのがコツ。

2020年2月18日火曜日

テューレックに言わせればグールドのゴルドベルクは未熟?



『グレン・グールド論』(宮澤淳一 2004年 春秋社)を読み始める。宮澤さんんはグレン・グールドとカナダの研究で1999年にグレン・グールド財団栄誉賞を受賞している。関連したことも含めた多くの著書と訳書がある。

ALL REVIEWSの関連記事:
https://allreviews.jp/review/2456

最初にカナダの地理の説明がある。最近読んだ本にはカナダがよく出てくるのでここも興味深い。

グールドがCBSから出した最初のレコードはゴルドベルク変奏曲だが、彼が参考にした演奏家(というより研究家)の一人はロザリン・テューレック(Rosalyn Tureck, 1914年12月14日 - 2003年7月17日)というひとらしい。

Youtubeで探して聞いてみると、テューレックの演奏はものすごく長い。テンポが遅い(グールドに比べれば誰でも遅い)こともあるが、装飾音を多用し繰り返しも省略しないですべて演奏する。一時間半かかる。
たとえばこれ。
https://youtu.be/MWuS-QNdm7g

この本によてば、バッハ研究家としてのテューレックはあまりグールドの演奏を評価しなかったようだ。若いグールドの演奏の不十分なテクニックに飽きたらなかったのだろう。

ともかく、テューレックという演奏家を知ることが出来たので、この本を借りてきた甲斐がある。グールドを久しぶりに思い出したのは、彼が漱石の『草枕』の英訳の朗読をしているのを知ったからだ。
https://youtu.be/jvI5a3kZl0M

春になると、『草枕』や『虞美人草』を読みたくなる。漱石が新聞社に入社して「元気に」、本格的な作家活動に入った頃の作品だからだ。

2020年2月17日月曜日

旬の牡蠣を食す

『論語』(金谷治)で、勉強継続。

金谷治というお名前に、記憶の奥底でちらりと反応するものがあった。そこでご経歴を調べてみたら、学生当時の文学部教授だった。私は理学部だったが、私淑する先輩が文学部の大学院にいらっしゃって、金谷先生の噂を聞いたことがある。噂の内容はまだ思い出さない。今夜あたり夢の中で思い出すかもしれない。

金谷先生の「はしがき」を読んで。

孔子は古臭くはない。「論語」には、新しい歴史の進展をうながす不滅の古典としての価値がある。

論語は、拾い読みOK。しかし落ち着いて通読をしていくと、孔子の魅力的な人間像が浮かび上がる。楽天的明るさ。老人には安心され、友人には信ぜられ、若ものにはしたわれる。

仁の徳は自然な愛情から発した一種の調和的情感。

論語が編纂されたのは孔子の死後。BC2Cごろ。『論語之研究』(武内義雄)、『論語と孔子の思想』(津田左右吉)
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000000845882-00
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001009871-00

注釈書。
魏の何晏の「集解」(古注)、南宋の朱熹の「集注」(新注)。
日本では、伊藤仁斎、荻生徂徠、安井息軒、東条一堂。

読み下ろし。訓点。
後藤芝山。林羅山。

現代語訳。
倉石武四郎。

ところで私の名前の「博文」は、論語からとられたらしい。
雍也第六の二十七
子曰、君子博學於文、約之以禮、亦可以弗畔矣夫、

ALL REVIEWS友の会会員にふさわしいと思える。

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図書館で
『英文創作教室』
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I028620297-00



『グレン・グールド論』
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000007615343-00

を借りてきた。

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夕食に牡蠣ご飯を作った。あさイチのレシピ。剥き牡蠣は海水濃度の塩水で洗う。水気を切り、フライパンで5分バター炒め。醤油をかける。牡蠣のエキスをだし汁や醤油味醂塩、しめじと共に研いだ米に加え、炊く。炊きあがったら、牡蠣を加えて10分蒸らす。美味い。

牡蠣はもちろん、三陸産でクリーム色の新鮮なものを使うと良い。仕上げに三つ葉を加えろとレシピにあったが、なかったので生姜の細切りにした。


2020年2月16日日曜日

テレビが故障した

珍しく早起き。論語を勉強していたら、夜が明けてきた。




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「孔子略年表」(金谷治訳注 岩波文庫)より。

BC552 魯の昌平郷に誕生
BC550 父死す
BS534 宋の幵官氏と結婚(19歳)
BC553 子の鯉誕生
BC529 このころ母死す
BC525 このころ魯に仕官
BC517 斉に外遊
BC516 魯に帰る
BC501 魯に仕官
BC497 魯を去って外遊(56歳)
BC484 鯉死す
BC479 死去(74歳)

Kindleの『論語の本』より。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E7%89%88-%E3%82%A4%E3%83%81%E3%81%8B%E3%82%89%E7%9F%A5%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%EF%BC%81%E8%AB%96%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%9C%AC-%E4%BD%90%E4%B9%85%E5%8D%94-ebook/dp/B00O4RMWSS/ref=sr_1_4?keywords=%E8%AB%96%E8%AA%9E&qid=1581861321&s=digital-text&sr=1-4

孔子と儒教。



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NETFLIXの見過ぎだろうか。液晶テレビのバックライトが暗くなってしまった。いろいろ設定をいじってみたが、改善しない。購入してから6年位たっているので寿命かもしれない。大型のものに買い換える金が無い。小型ので我慢するか…テレビを見るのをやめるか…Jから苦情が来るだろう。シャワートイレの調子も悪いし、弱り目に祟り目。

2020年2月15日土曜日

「湯船」の語源の「正解」を争うよりも語源の探求の過程を楽しむのがよい

「湯船」ということばの語源は?
という面白い話題で盛り上がった一日。

ことのおこりは、NHKテレビの「チコちゃんに叱られる!」。江戸時代の水上移動銭湯の船である「湯船」が語源だと番組でいうのだが、もっと昔から「湯船」という言葉はあるという意見が多い。たしかに「酒槽=酒船」という言葉を聞いたことが有る。まあ、諸説ある中の一説と番組中で断っているので、目くじらをたてるほどのことではないと思う。

それよりも、このご時世に、言葉の語源の議論が盛り上がるということ自体が、喜ばしい。
おかげで、こういった言葉の問題を調べるのに適したサイトを知ることができたのが嬉しい。Twitterのおかげだ。ここはかなり役に立ちそうだ。
「東京大学史料編纂所データベース検索」
https://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/



そして、銭湯の船を紹介するのに番組で使われた『和漢船用集』という書物を知ることもできた。
書誌:
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001667975-00

国会図書館デジタルでは一般公開されていないが、ここで見ることができる。
https://www2.dhii.jp/nijl_opendata/searchlist.php?md=idl&bib=200018378



新聞やテレビの効用は浅くても広い知識を得ることができることだ。興味のわく事柄を選び出して、もっと深く調べる。そのとば口にインターネット検索があり、図書館での資料探しが続く。論文まで探して読めば申し分ない。隠居後の年寄の遊びには最適なコトではないだろうか。

2020年2月14日金曜日

龍彥親王は翻訳だけでなく生活のために校正もやっていた

『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』を読みすすめる。

大学はあまり好きでなかったようだ。

コクトーの『大股びらき』を1954年に翻訳刊行。贈呈者リストは以下の通り。堀口大學、三島由紀夫、渡辺一夫、平岡昇、鈴木力衛、丸山熊雄、中村真一郎、河盛好蔵、伊藤整、石川淳、安部公房、寺田透、岡田真吉、佐藤朔、今日出海、久生十蘭、小牧近江、神西清、川端康成、福永武彦、吉行淳之介。(102頁)

定収入を求めて、岩波書店の外校正をした。(103頁)
無用な字句の統一は避けるべきと言っている。

サドの『恋の駆引』出版。初の翻訳。坂本一亀の編集。(110頁)

三島由紀夫にサド選集の序文を依頼し、OKの旨のハガキをもらう。(120頁)

多田智満子との交友。(122頁)

東京タワーのできた年(1958年)、「新潮」で江藤淳、篠田一士と鼎談。テーマは「大江健三郎の文学」(128頁)
# さすがにこれは読んでない。9歳だったので。

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昨日借りてきた『本当の翻訳の話をしよう』(村上春樹✖柴田元幸)を拾い読み。
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I029641126-00

柴田さんによる、明治時代の翻訳史の後半で、翻訳好きの鷗外と翻訳嫌いの(でも実は上手い)漱石という話が面白い。鷗外の『諸国物語』と、漱石の『文学評論』を出してきた。森田思軒と黒岩涙香の話も泣かせる。

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MとJからのバレンタイン・チョコを味見。おいしい。



チョコに乗っているのは林檎だとか


2020年2月13日木曜日

『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』の関連本をたくさん読みたくなる

『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』を今朝からマジメに読み始める。

著者の磯崎純一さんが編纂されたという『書物の宇宙誌―澁澤龍彦蔵書目録』も読みたくなったが、これはあとまわし。そして巖谷國士さんがつくられた年譜(『澁澤龍彥全集 別巻2』)も見ておきたいけど、近所の図書館にはない。けしからん。第一章には終戦までのことが書かれている。
『書物の宇宙誌―澁澤龍彦蔵書目録』の書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000008364238-00

同、書影。



澁澤一族の一員だった。家庭は「ニューファミリー」。(24頁)

小学6年(当時としては遅い)でやっと坊主頭になった。(26頁)

『幼年倶楽部』、「講談社の絵本」、「のらくろ」、「タンク・タンクロー」がお気に入り。少年読み物、そして『海洋冒険物語』(南洋一郎)。(31頁)

書誌、書影はたぶんこれ
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000003057263-00



# 遺作の『高丘親王航海記』のルーツはこんなところにあるのかもしれない。

妹、幸子の『澁澤龍彦の少年世界』も読んでみたい。(32頁)

『アンデルセン童話集』(岩波文庫 大畑末吉訳)を自分で購入。(35頁)

昭和20年4月13日、城北大空襲で滝野川の家を焼け出される。(40頁)

旧制浦和高校へ。(43頁)

「体験嫌い」。(45頁)

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ベランダの梅が咲いた。


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昨日(2月12日)朝日夕刊の2面-3面は面白い。執筆者だけでなく編集者にも拍手。

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新型コロナウィルスは蔓延するのか?
「神奈川で渡航歴なしの80代の方が今日死亡。陽性だった。」
情報はこれしかない。情報を隠さないでわかっていることは発表してほしい。危機対応の基本なのに。

2020年2月12日水曜日

レアード・ハントの『英文創作教室』を読みたくなった

Facebookつながりで、レアード・ハントの『英文創作教室』という対訳本を知る。柴田元幸さん他が訳している。レアード・ハントはデンバー大学創作科教授でもある作家。「書くこと」に興味があるようだ。

柴田さんはこんなところ(Webマガジン「考える人」)でレアード・ハントを「ヘミングウェイ指数」(キリリとした文章か否かを計る尺度)という観点で評価しておられる。このことも面白いし、『英文創作教室』も読みたくなったので、図書館システムで予約。
https://kangaeruhito.jp/article/5689

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午前中は車の譲渡の書類を書留で送るために郵便局へ。ついでにお年玉付きハガキであたった切手シートをもらってきた。可愛いデザインだ。



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買い物もしてきた。サトイモのうまそうなのがあったので、購入して、煮転がしを作る。うまく出来たので、訪ねてきたまなみんにお土産として持ち帰ってもらう。まなみんからは美術展のチケットとバレンタインチョコとマスクをもらった。

2020年2月11日火曜日

龍彥親王もマコーマックも遍歴や変な話が大好きなのだろう

図書館で借りてきた。
まず、今度の月間ALL REVIEWSノンフィクション回の課題図書。
『論語』 (岩波文庫)
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000002845211-00

そして少し前から予約していてやっと到着した、
『龍彥親王航海記 : 澁澤龍彥伝』(白水社)
書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I030026901-00
これは面白そう。



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『パラダイス・モーテル』をやっと読み始めた。
設定が飲み込みづらく、読書が軌道に乗るのに時間がかかった。

マコーマックが好きなのか、この作品でも変な病院が出てくる。自己アイデンティティを失ったと変な医者に判断された「患者」が、その医者の作り上げたフィクションを元にした記憶を刷り込まれるという記述がある。そして、その医者は語り手である主人公(見学に来ている)に、フィクションはオリジナルでなくてはならない、過去の小説の主人公のキャラクターをもとに記憶を刷り込んでも、失敗に終わった、と面白いことを述べる。ホーンブロウアーとかブルームとかボンドとかでは駄目だったと。「売れる」小説への批判か?

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さきほど出た週刊ALL REVIEWSの巻頭言。担当は私です。

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来週末に、これに出席します。みなさまもぜひ。

2020年2月10日月曜日

またNetflixを観てしまう、『グッド・ワイフ』(The Good Wife)。

Netflix熱再燃。



『グッド・ワイフ』(The Good Wife)を数日前から見始め、現在第1シーズン21話。なにしろ全部で7シーズン156話あるので、大変。でもこの間の『サバイバー』同様、各回を続けて見たくなる。この2週間ほどは寝不足がつづくだろう。
『グッド・ワイフ』のスピンオフドラマの『グッド・ファイト』は、少々散漫な感じがしたが、魅力はたっぷりだった。『グッド・ワイフ』はより緊密な構成で、面白すぎる。調査員のカリンダという役どころがありえないほど格好良い。


今年のアカデミー賞には「アイリッシュマン」(10部門)「マリッジ・ストーリー」(6部門)「2人のローマ教皇」(3部門)などNetflixオリジナルの計8作品(計24部門)がノミネートされたという。「マリッジ・ストーリー」の助演女優賞など受賞も多そうだ。
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午前中は、かかりつけ医に行った。ここ半年くらい血圧(下のほう)が高めになったので、3年ぶりに降下薬を飲むことになった。

午後は、車のディーラーに行き、所有権解除の書類を手に入れる。また歩いていったので、今日の歩数は、医者通いと夕方の買い物を含め、1万歩。健康的。血圧も下がるだろう。

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週刊ALL REVIEWSの巻頭言原稿を書いた。原案はこのブログに数日前に書いておいた。

2020年2月9日日曜日

空海の『御請来目録』で「図書館」のパワーを考えた

「図書館」の話を考えていると、いろいろ思いつくことがあって面白い。

弘法大師のことも考えた。かれが持ち帰った多数の経典や資料類のこと。『御請来目録』を見ると、多岐にわたっており、唐での収集の苦労も考えると、単なる資料の山でなく「図書館」を持ち帰ったと言っても良さそうだ。また、持ち帰られたこの「図書館」の威力は、たとえば司馬遼太郎の『空海の風景 下巻』(中央公論社)に詳しい。当時の宗教界だけでなく国を揺るがせるような爆発力だった。


https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001253738-00




『御請来目録』は、『弘法大師著作全集』に書き下ろしが収められているが、原本に近いものはここで見られる。
https://archives.koyasan-u.ac.jp/view/resource/210008?keyword=



『弘法大師著作全集』第2巻の書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001237196-00
(この全集は、感心なことに、就職直後に買って持っている。)

今の図書館はこのような力を持っていないのではないか、と考えるのは早計である。一般に考える「図書館」でなく、インターネット上の架空の図書館も考えるべきだし、検索エンジンが発達した現在では、ほぼすべてのデータ資産を活用することができる。世界は「図書館」に満ちていると言っても良さそうだ。

図書館を、力のある「図書館」たらしめるのは、活用されるデータの集積の静的な価値だけでなく、そのデータの持つ潜在力による。そして、それを使いこなすヒトの経験や潜在する活用能力に負うところが大きい。これら全体のコラボレーションにより、社会が動かされる。

2020年2月8日土曜日

月刊ALL REVIEWS用に『論語』の勉強開始

昨日借りた本の中から、ボルヘスの「バベルの図書館」を読んだ。あまり感銘を受けない(*^^*)
画像をgoogleで検索してみた。

これをヒントに、エーコは『薔薇の名前』の図書館のイメージを湧かせたのだそうだ。一方、ボルヘスは『バベルの図書館』叢書をつくった。国書刊行会が訳書を刊行した。(うちの図書館にあるのは『新編バベルの図書館』)。面白い、面白そうな本が揃っている。これも読書対象とする。

村上春樹の『海辺のカフカ』(新潮社)にも図書館が出てくる。

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Twitterを見ていたら、面白いサイトが見つかった。「日本の中世文書WEB」。中世の文書を文字と音声で、「カラオケ方式」で読み上げてくれる。
https://chuseimonjo.net/#/

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22日にある、次の月刊ALL REVIEWSの課題図書が『論語』なので、論語の勉強を始めた。

課題本はこれ。図書館で予約した。
https://allreviews.jp/isbn/4003320212?fbclid=IwAR2Q1VawyY1aTdlIn6SwgKZ6gcZBAK5mGZJ3ajlyIzgyKB0_U6iKZtSBuvQ

下村湖人の『論語物語』
https://www.aozora.gr.jp/cards/001097/card42923.html
同じく『現代訳論語』
https://www.aozora.gr.jp/cards/001097/card43785.html

Kindleプライムでこれが読める。『イチから知りたい!論語の本』


論文:『論語の論理構造』


鹿島先生:
https://allreviews.jp/column/1973

他に:
『現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)』?

22日までにこれらに目を通して、ペーパー一枚にまとめておこう。

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今日、2回もNetflixからメールが来た。視聴中の『ザグッド・ワイフ』の続きを観ろという。他の自信たっぷりなオススメも。これがNetflixの強みかも。後者はAmazonからも来るけど、ポイントはついていない。

2020年2月7日金曜日

今日もキーワードは「図書館」

「【特別対談】牧眞司×豊崎由美(+驚きのゲスト) マコーマックの『雲』(東京創元社)を語る」という題名で、ALL REVIEWS友の会公式noteに記事を書かせていただいた。今日公開した。
このブログを読んだ方には、ぜひ下記のリンクをクリックして読んでいただきたい。
https://note.com/allreviewsjp/n/n159780074b89

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この記事の中で言及した本、『パラダイス・モーテル』を図書館で借りてきた。
https://allreviews.jp/review/1492

単行本のほうの書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000002361927-00



もう一冊、借りたのが『集英社ギャラリー[世界の文学]19 ラテンアメリカ』。ボルヘスの『伝奇集』が収められている。そのうちの「バベルの図書館」を読むつもり。
https://allreviews.jp/review/1247

あと、もう一冊。『神田松之丞 講談入門』も借りてきた(*^^*)
https://allreviews.jp/isbn/4309279589

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「図書館」つながりで、は、辻邦生さんの最初の日記、『パリの手記』を読み直すべきか。『小説への序章』を生み出すために、パリで国立図書館に通い詰められた経緯が書かれている。

それぞれ私の持っている版の書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001254129-00

https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001254151-00


2020年2月6日木曜日

「異次元空間」としての図書館(室)

2月5日に、ALL REVIEWSに掲載された「作家論/作家紹介」の記事。
https://allreviews.jp/column/3722

冒頭に村上春樹の『カンガルー日和』が紹介されている。野谷先生のおっしゃるとおり「彼(村上春樹)の作品世界を考えるための手掛かり」を与えてくれる本だ。収められた話のうちで最後の「図書館奇譚」は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に通じるものがあるという。


『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』では、図書館で奇想天外なモノを「読む」ことになるのだが、「図書館奇譚」では、読むものよりも、図書館の存在そのものが不思議な空間となっている。この不思議空間には『羊をめぐる冒険』と同様な変な登場人物(羊男)が登場する。



図書館という場所は、通常空間とは違うと思っている。どんな本でもそのなかには異なる時間と空間が詰まっている。図書館に通う人の頭の中にも特異な時間と意識の流れがあり、それらが入り混じって独特な時空を創り出す。

多数の文学作品が図書館を舞台にしているのは、このせいだろう。図書室まで考慮の範囲を広げると、もっと面白い。『白鳥の歌なんか聞こえない』(庄司薫)はその典型例か。そして最近読んだマコーマックの『雲』も、図書館と図書室と(そして古本ないしは古本屋)をキーワードにして読むと、面白く読める。

自宅の中に異次元空間を創りたければ、愛読した本を並べれば良い。

(書き終えた後寝る前に思い出した。

異次元空間としての図書館なら、ブローティガンの『愛のゆくえ』だ。昭和50年版の新潮文庫で読んだ。
https://allreviews.jp/isbn/4102147012

今手に入るのは、こちららしい。
https://allreviews.jp/isbn/4151200215



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今朝Twitterで見つけた情報。
https://zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/item/genre07/category07-04/
廃刊船舶雑誌が二種類読める。面白そうだ。

2020年2月5日水曜日

「図書館」のイメージは皆が好きらしい



『カンガルー日和』(平凡社)を出してきて、「図書館奇譚」を読み直す。この図書館のイメージ、以前読んだカルロス・ルイス・サフォンの『風の影』の「図書館」(「忘れられた本の墓場」)を思い起こさせる。図書館の性格は違うが、書籍のある暗い迷宮空間のイメージが似ている。入るとなかなか出てこられない。

図書館ついでに、『バベルの図書館』(ボルヘス)も読んでみたいのだが、これが納められている『伝奇集』はわが図書館では借り出されている。その代わり『集英社ギャラリー<世界の文学> 19 ラテンアメリカ』の在庫があったので、これを予約してみた。

次週の週刊ALL REVIEWSの巻頭言をピンチヒッターで書くことになったが、このあたりを題材にしたい。



書誌:
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001642738-00

https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000008245259-00

https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000002083972-00

https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000002030065-00

2020年2月4日火曜日

マコーマックは無類の本好きだが『雲』の主人公はそうでもない


先日の対談の課題本、『雲』には、「本」に関する話題が満載されている。
著者はかなりの本好きと見た。それはわれわれ本好きの興味を引きつける。

たとえば、プロローグの『黒曜石雲』という題名の古本。主人公が出張先のメキシコの町ラベルダで、突然の雨を避けようと飛び込んだ古本屋で偶然に見つける。この本の中にメグ・ミラーなる人物が登場するが、このメグ・ミラーは主人公が知っている名前だった。
若いころの主人公が、忘れられない人から手渡される『アップランドの話』という古本の著者なのだ。

古本以外にも、図書館の話題が出てくる。亡くなった父親が愛用していた故郷トールゲートの図書館。初恋の人と出会ったグラスゴーの大学の図書館。

図書室もいくつか出てくる。二度目の航海中に本を借りだした船員用図書室。ここの書棚で全然読まれていない本たちの題名は著者マコーマックの実際の本のパロディーだ。カナダのポンプ会社の社長の自宅の豪華な図書室。お金持ちの図書室はたいてい、晩餐後男たちがタバコと酒をやるときに使われるが、ここもそうだ。立派な古典の全集類があるがほとんど読まれていない。

主人公はかなりの俗人で、本を漫然と読むのは好きだが、マニアではない。ただし、後に彼の息子はミニチュア本の超マニアとなり、その趣味が嵩じて古い高価なミニチュア本も置く骨董店を始めたりする。

物語の点景としてこれらのガジェットはかなり重要な役割を果たす。マコーマックのガジェット好きは、対談のなかでも話題となった。

2020年2月3日月曜日

『パリに死す : 評伝・椎名其二』を読むと椎名も森有正もどちらも豪快

『パリに死す : 評伝・椎名其二』(藤原書店)を昨日あたりから読み始め、200頁すぎまで進んだ。寝ずによむというほどではないが、いろいろ興味深いことが書いてある。



39頁〜43頁。森有正と椎名其二との交遊。「バルザックのような魁偉な風貌に破顔一笑が加わって風格があった」と森有正は著者(蜷川讓)に評されている。森有正は椎名其二に製本を習ったらしい、ものにはならなかったらしいが。

90頁。ふたたびフランスに向かった椎名其二が乗ったのはフランス船ヴェトナム号。

126頁。ルクリュ家での石川三四郎との出会い。石川は1913年にベルギーに亡命していた。(129頁)

石川三四郎の話は、栃折久美子さんの本を読んだときに、少し出てきた。
https://hfukuchi.blogspot.com/2019/12/blog-post_11.html

これを読んでおくべきかもしれない。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1173543



131頁。著者はドンムのルクリュ家を訪ねる。さらに127キロ離れたサン・フォワ・ラ・グランド(ルクリュの生家がある)へ、そして15キロ以上離れたモンテーニュの館へ。

144頁。江渡狄嶺との関係。『土と心とを耕しつつ』(叢文閣 1924)参照。(#この本はなかったが、江渡狄嶺の本は数冊有るので調べてみたい。)

218頁。ルグロ著椎名其二訳『ファブルの一生―科学の詩人』(叢文閣)、これは国会図書館デジタルコレクションですぐ読める。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1018260



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午前中は市役所分室に行き、印鑑証明書を入手。午後はディーラーに行き車検証の所有権解除の申請手続き。車がないので、全部徒歩。今日は一万歩歩いた。車なし生活は体に良い。

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夜は豆まき。我が家では「福は内」しかいわず、「鬼は外」はいわない。
豆(落花生)と恵方巻を食べる。美味い。