2022年4月30日土曜日

国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」の開始は一般読者にも大きな恩恵をもたらす

 国会図書館のプレスリリース:「個人向けデジタル化資料送信サービス」の開始について(令和4年5月19日予定) 」https://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2021/__icsFiles/afieldfile/2022/01/28/pr220201.pdf

と、

国会図書館のページ「図書館向けデジタル化資料送信サービス」https://www.ndl.go.jp/jp/use/digital_transmission/index.html
をじっくり見た。

上記2番めの記事には、

「図書 昭和43年までに受け入れた図書、震災・災害関係資料の一部 約56万点」の項に資料リストが掲載されている。

ただし、私の環境では、「分割1(xlsx: 30.3MB)分割2(xlsx: 26.5MB)」は大きすぎて表計算ソフトではオープンできなかった。そこで「分割1(zip: 11.6MB)分割2(zip: 10.1MB) TSV形式」の方をダウンロード。

それをエディターで開いて検索してみると、例えば、私のいままで読みたかった以下の本が読めそうだ。

(1)『欧州スクーター旅行』 桶谷繁雄 著 毎日新聞社 1958

(2)『岩手における転形期の群像』 三浦宗太郎著 鼓社 1962

(3)『金星の謎  少年少女世界科学冒険全集 ; 13』 ムーア 原作塩谷太郎 訳 講談社 昭和31

(4)『覚書 : マルジナリア』 アラン・ポー 著 吉田健一 訳 芝書店 昭和10

 ……

 古本屋さんを丹念に探せば見つかりそうだが、相当時間や金がかかる。特に(2)は、自分の義父の本だが、部数が少なかったということなので、たぶん古本屋さんには皆無と思える。

5月19日以降の国会図書館の措置は私のような金も時間もない老人読者には大きな恩恵だ。私の構想している自分専用ヴァーチャル図書館の重要なファクターとなろう。はやく構想をまとめて専用サイトを造りたい。

(実はPASSAGE by ALL REVIEWSの中にも図書館を併設したいと、個人的には思っている。実現可能性をこれから考える。ALL REVIEWSの書評家さんや友の会会員にご協力を願うとか……)

2022年4月29日金曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSには付箋の付け方が素晴らしい本がたくさんある

今週火曜日夜に発信されたメルマガ、週刊ALL REVIEWSの巻頭言執筆は私が担当した。

先週私がPASSAGE by ALL REVIEWSで体験したことをもとにまとめてみた。文中にでてくる豊崎由美さんの付箋の付け方はこの写真の通り、素晴らしい。美しさも感じる。


巻頭言は以下の通り。まだの方はぜひお読みいただきたい。

貸し棚書店〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の棚のひとつ「豊崎由美の本棚」からカズオ・イシグロの『忘れられた巨人』を手にとってみた。前から気にはなっていたがまだ読んでいなかった本だ。この本は豊崎由美さんが書評をする際にお使いになった本そのものということだ。ご自分で加工されたと思われるごく小さな付箋が多数かつ整然とつけられている。その様子は芸術的と言っても良い。この美しさにも魅せられて本を購入した。奥付のページには豊崎由美さんの蔵書印が、手ずからと思うが、きちんと押されている。

『忘れられた巨人』の書評はALL REVIEWSですぐ読むことが出来るのだが、あえて読まないでおいて、まずは純粋に読書を楽しむことにする。付箋と少しの書き込みはいやおうなく目に入るが、その位置の意味の詮索も深くはしないことにする。2日かけて前半を読んだが、物語に引き込まれたので、後半は1日で読み終えた。

テーマを分析的に捉えて、結論を明確にする文章と、綜合的な記述で読者に考えさせる文章があると思う。『忘れられた巨人』は明らかに後者で、読み終えてから数日経ってもまだこの物語が何を言っているのか明確にならない。たとえば、題名の「忘れられた巨人」とは何のことか。主人公の老夫婦の遠い縁者かもしれない偉大なアーサー王なのか。彼らがくりかえす遍歴の原因となった深い霧を発生させるという竜のことか。戦乱や疫病の絶えない過酷な生活の中で人々が失った平和で安楽な暮らしなのか。

解らないという理由でこのような寓話的小説を嫌う人もいるかも知れない。しかし私はそうは思わない。この本を読んだおかげで、人間が生きるまたは死ぬという過程がいかに理不尽な出来事で左右されるか、その中で人間は翻弄されながらも他者と交渉を続けながらけなげに生き(死に)抜いていく、それこそ、正解のないのが人間の生涯であるということを深く考えることが出来た。しかも読み直さなくても物語のイメージは鮮やかに脳裏に残っているので、それを思い出してはまたいろいろ考えることが出来る。この考えているという過程が、読んでいる過程と同じように楽しい。

ALL REVIEWSサイトに行って、豊崎由美さんの書評を読んだ。ネタバレはしないように気をつけつつも、なるべく正確に物語の内容と展開を伝えて読者の興味をそそる、この豊崎由美さんの名人芸のひとつの源泉は、この本に精密につけられた付箋と書き込みであることが、実感できたような気がした。これを真似したいが何十年もかかりそうだ。『忘れられた巨人』については、ALL REVIEWSには古屋美登里さんの書評も掲載されている。古屋美登里さんはこの物語の良さは「すぐにはワカラナイ」ことだという私の未熟な意見を支持してくださるような気がした。

書評というにはおこがましく、せいぜい感想文を書くくらいが、私にできることだ。そんな稚拙な文章でも書いてみるということが、読書という行為をより深い意味の有ることに変えてくれる。「ワカラナイ」という霧のなかで、自分で考えながら手を動かして見るということは素晴らしい。ひょっとすると、この過程で私の中の「忘れられた巨人」が目覚めていくのかも知れない。(hiro) 

2022年4月28日木曜日

「生誕110年 吉田健一展 文學の樂しみ」をみてきた

みなとみらい線、元町・中華街駅6番出口のいくつものエスカレーターを登ると、突然「アメリカ山公園」に出る。16年ほど前に神奈川近代文学館に来たときにはこのルートは通らなかった。外人墓地を右手に眺めながら歩き、横浜地方気象台を左折、「港の見える丘公園」に入り、大佛次郎記念館の前の薔薇の咲いた広場を抜け、霧笛橋を渡ると目的地の神奈川近代文学館だ。歩くこと10分。少しずつ昔のことを思い出しながら、「吉田健一展」の会場に入る。以前は階上の会議室での集まりに出席したのだった。


65歳以上は安くて入場料は350円(証明書提示必要)。意外に盛りだくさんの展示品がある。自筆原稿や著作本、写真や、身の回りの品など。目を引き、内容に感銘を受けたのはケンブリッジ時代の指導教官ルカスに書き送った数々の書簡だ。一回り半しか年齢が離れていないルカスは吉田健一にとって先生というより話の合う先輩という感じだったのだろう。日本への帰途にも、日本に帰ってからも文学上の話だけでなく、細々とした悩みごとまで相談している。吉田健一が芸術と人生に専心する後押しをしたのはルカスだった。

自分もすでに年老いてはいるが、あらためて、好きな読書の世界を深堀りする努力をたゆまず続けていきたいと、思った。そのためには、効率だけを考えるのでなく、「ゆっくりと」シゴトをし続ける必要があるだろう。

このルカスへの書簡は(できればルカスからの返信も)まとめて読んでみたくなった。読む方策を講じてみたい。

著作の本は年代ごとに他の展示品に混じって並んでいたが、1960年代後半ごろから1970年代後半までの何冊かは、私の持っている単行本と同じ種類のものがあり、これを見ると懐かしさがこみ上げてくる。これらは今でも折りに触れ手にとって読むことがある。『書架記』は、文庫本で読んでいたが、その栃折久美子装丁・オリジナル版は最近神保町に通うようになってから手に入れた。

途中で体調が悪くなったので、後半・「翻訳」の展示はほぼ素通りした。出口で「図録」を900円で購入。これで展示内容をもっと把握して、また来月に「吉田健一展」に行ってみたい。


近代的・効率的な造りのみなとみらい線と横浜駅構内を通り、帰宅。午後1時40分。 

2022年4月27日水曜日

「一回限りの人生、とにかく、楽しく気ままに楽に生きること!」(城山三郎)


城山三郎『どうせ、あちらへは手ぶらで行く』(新潮文庫)の後半を読む。

この本の「日録」部分には、1998年(著者71歳)から2007年1月に著者が78歳で没する直前までのメモが収められている。2000年に奥様の容子さんが68歳で亡くなられるのだが、その後のメモの内容は非常に弱気、体力もみるみる衰える。その後の仕事は容子さんのことを必死に書き綴った『そうか、もう君はいないのか』のみだった。この本は図書館システムで予約した。

日録最後の日、2006年12月17日。163ページ。これが最後のメモ。

「あれこれ苦労し、苦心してここまでやってきた。
もう、これからは楽しく、楽に、を最優先。
他はまァええじゃないか、一回限りの人生、とにかく、楽しく気ままに楽に生きること!」

「鈍々楽(どん・どん・らく)」と頻繁に書かれた手帳を、城山三郎の死後に初めて開く次女の紀子さん。

手帳見開きの左側は予定欄。右側にランダムに書かれたメモがこの本の元になっている。城山三郎の当時の正直な気持ちが書かれている。私の今のブログと違っててらいも強がりも知ったかぶりも書かれていない。遠くない将来にはこの域に達することができるのだろうか。

老いへの怖れも、老いの実態も書かれている。ここは私のブログと同じなのだが、それを書く筆はなんとも明晰。ただのメモ書きとは思えない。

この本はブログの参考にするには切実すぎるかもしれない。でもともかく、人間城山三郎の晩年を知り、自らのこれからの人生の生き方の参考になる。BOOKS HIROの日記本書棚に入れることにする。

PASSAGE by ALL REVIEWS内の猫町倶楽部さんの棚から購入したカズオ・イシグロの『クララとお日さま』(早川書房)を読み終えた。AIではなくてAF(人工親友)が主人公とは意表をついている。読んでいるとAFに感情移入してしまう。その意味でAFと人間の区別がない。また、人間のほうはこの未来の時代に人間性を失っているように思える。人間とは何かを考えさせる工夫が他にもたくさん。過酷と思える環境のなかで人間もAFも変わりなく動き回る。 

城山三郎『どうせ、あちらへは手ぶらで行く』はBOOKS HIROの日記本書棚にぜひ入れたい


城山三郎『どうせ、あちらへは手ぶらで行く』(新潮文庫)を図書館で借りてきた。扉の裏のページに、この本は城山三郎が仕事場に残した九冊の手帳の内容を編集部で整理したものという。九冊つまり晩年9年間、城山三郎が何を考え、どんな仕事ぶりだったかがうかがえるだろう。城山三郎は79歳で亡くなったので晩年9年というのは、ちょうど今の私の年格好にあたる。ぜひ自分のブログ日記と比べてみたい。(不遜?)

ということで、まだななめ読みの段階だが、PASSAGE by ALL REVIEWSのBOOKS HIROの日記本書棚に入れることにした。Amazonさんで中古のうち程度が良さそうなものを選んで発注をかけた。数日かかるが到着・書棚への入荷までのあいだに、この本を読んでおくつもりだ。たぶん推薦文も書けるだろう。

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他に借りてきた本の中にブローティガンの『ロンメル進軍』もある。これは、やはりPASSAGE by ALL REVIEWSに関連して読みたくなったもの。一棚店主の「考えるみっつ」さんにある日紹介いただいた本だ。高橋源一郎さん訳の対訳詩集。どの程度面白く感じるかはまだわからない。

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シゴト机周りの模様替え。コタツは布団を外して、27インチディスプレイを載せて読書兼インターネット閲覧テーブルとする。PCでの執筆はパソコンラックで椅子に腰掛けて行う。PC画面を使うのでエディターの文字表示サイズを大きくする。メガネ型拡大鏡の導入も考えたい。

これを実行し、午前中椅子でシゴトしてみたが、早速腰が張って痛くなった。やはりコタツに戻ろうかしら。

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昨日書いたブログである人に迷惑をかけてしまった。反省しブログの不適切な部分を削除した。そして書いてすぐ公開できるブログと、「個人的」日記とは違うものとして取り扱う必要があることを再確認する。ブログを公開するにあたっては細心の注意が必要で、毎日書いてすぐ公開するという今のスタンスはやめる必要がある。即時性を打ち出しすぎるのは良くない。数日間検討の上で公開するのがいいか。森鷗外の日記のような無色透明なものを目指すか、トーマス・マンの日記のように公開は25年後とすべきか。 「読書日記」の部分だけを公開ブログには書くのが良いかも知れない。

2022年4月24日日曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSの見習い店員の手記😅

 ある理由で探してスコット・ラファロを聴いてみた。


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PASSAGE by ALL REVIEWSへ行き、店長代理を務める。店長のYさんご一家がお子様の誕生日に合わせて小旅行をしてお休みのため。雨の日曜で客の出足は鈍い。棚主さんはシステム上のご配慮により26日(火曜日)に誘導していたため、大きな混雑はなかった。一日店長のFさんは展示台のレイアウト、(高価な)人形をかざるなど、創意工夫が行き届く。何点かは開店直後にすぐ売れた。

私の持っていった『河岸忘日抄』も2時間ほどで売れた。セールス力。


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アルバイトの知識だけでは、まだ応用が効かない。オンライン販売商品の処置など。

マジメに勉強しよう。システムの動き。

言語習得の王道は時間と集中

土曜日は孫のお世話に行く日。今日も11時から20時まで一緒にいたが、言葉をかなりしっかりと発音できるようになっていて感心した。同じ言葉を何回と無く言って、それへの周囲の反応をみることにより、自ら修正しているようだ。こうして学習した言葉=日本語は忘れようにも忘れられないのだろう。時間をかけしかも集中することが大切なこととわかる。


(備忘)大人向け夕食は、肉野菜炒め、小蕪の味噌汁。

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彼が昼寝しているあいだに、『クララとお日さま』を読み続ける。朝の電車の中とあわせて1時間20分くらいで136ページまで。著者は意識して「わかりやすく」物語を展開しているようだ。大部分の描写がくっきりと頭に入ってくる。円熟の筆。

まだ、同著者の前作『忘れられた巨人』の謎を解く記述はみつからない。最後までゆっくり集中して読めば解るであろう。


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明日と明後日は店主不在(私用)のPASSAGE by ALL REVIEWSへお手伝いに行く。うまくできるように応援いただきたい。 

2022年4月23日土曜日

今回のメルマガ巻頭言執筆の準備はPASSAGE by ALL REVIEWSの本購入で全部済んだ

「カズオ・イシグロは私の中の「忘れられた巨人」を蘇らせる」という題名で来週のメルマガ、週刊ALL REVIEWSの巻頭言の第一稿を書いた。

途中の一節は以下の通り。

ALL REVIEWSサイトに行って、豊崎由美さんの書評を読んだ。ネタバレはしないように気をつけつつも、なるべく正確に物語の内容と展開を伝えて読者の興味をそそる、この豊崎由美さんの名人芸のひとつの源泉は、この本に精密につけられた付箋と書き込みであることが、実感できた(ような気がする)。これを真似したいが何十年もかかりそうだ。『忘れられた巨人』については、ALL REVIEWSには古屋美登里さんの書評も掲載されている。古屋美登里さんはこの物語の良さは「すぐにはワカラナイ」ことだという私の未熟な意見を支持してくださるような気がした。

https://allreviews.jp/review/1307

https://allreviews.jp/review/1308

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夕方、PASSAGE by ALL REVIEWSに行く機会があったので、カズオ・イシグロの次回作『クララとお日さま』を購入。新品で税込み2,750円。イギリスの7世紀の話の次はAIロボットの話。イギリスの7世紀の霧を晴らすのに役に立つだろうか。まあ、それより純粋に読みたくて買ったのだが。


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終電で帰宅。久しぶりだ。

2022年4月21日木曜日

PASSAGE棚主オンライン交流会に参加


 PASSAGEの

  • バルザック通り
  • マルセル・プルースト通り
  • ポール・ヴェルレーヌ広場
  • ステファーヌ・マラルメ大通り
  • アンドレ・ジッド通り
  • ジョルジュ・サンド通り
  • テオフィル・ゴーティエ通り    

の棚主の皆様との棚主オンライン交流会に参加した。高遠弘美先生をはじめ十数名の方が参加された。私のような「素人」はおられなかったのだが、それだけに皆様のお話を伺うことにより、得るところが多かった。

結局本を動かす(売る、手にとってもらう、読んでもらう)には、まず書棚とその中の本の存在を知らせるのが、重要だとあらためて気づいた。そこで、明日から、頻繁に、本のリスト(短い紹介つき)、本の書影、書棚のコンセプトなどをつぶやくことに決めた。

もう一つ、今後のPASSAGE by ALL REVIEWSの展開として、ブックカフェと図書館の要素を取り入れることを、提案していきたい。これは他の棚主さんもおっしゃっていた。

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『忘れられた巨人』に関する書評はALL REVIEWSに2件、豊崎由美さんと古屋美登里さんのものが、存在することに気づいた。これから両方読んで見る。古屋美登里さんが読まれた本もPASSAGE by ALL REVIEWSに出ているといいのだが……調べたが、残念ながらなかった。そのかわり「Books みつばち」さんに、『忘れられた巨人』の文庫本があることに気づいた。今度行った時購入してこよう。

「忘れられた巨人」は何のメタファーなのか? アーサー王か、あるいはアーサー王の掲げたであろう建国の理想か、もしかすると竜のことか、まさか古代民主国家のことか。そんなことを考えさせる好著だ『忘れられた巨人』は。

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『百歳までの読書術』(津野海太郎 本の雑誌社)を半分ほど読む。やはり「忘却」を防ぐために日記を書く話が含まれており、興味深い。「忘れ方」も(たとえば、身近なものの名前がとっさに出てこない、など)親しみが持てる。

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定期診断とPSA検査で医者に行った帰り、薬局が混んでおり、その待ち時間にTwitterで発見した本を購入することにした。駿台予備校の鈴木長十師の『CD付新基本英文700選 (駿台受験シリーズ)』。多分50年以上前に習ったテキストの内容が思い出せるだろう。



2022年4月20日水曜日

サリンジャーは自らのためだけの執筆という道を選ぶことでPTSDを乗り越えられたのだろうか

なんだか、最近サリンジャー界隈がにぎやかになってきた気がするのは気のせいか。軽いところから行くと、まず、「サリンジャーと過ごした日々」(ジョアンナ・ラコフ 井上里訳 2015年 柏書房)が映画化された。シガニー・ウィーヴァーが助演している。😍

『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(原題:My Salinger Year)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC

『サリンジャー ――生涯91年の真実』も先に映画化されていた。知らなかった。

『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』 https://amzn.to/3rDDP6z

AmazonPrimeで観られる映画。追加料金無しで観られるのは4月23日まで!

なので、今日、急遽観た。まずまずの出来か。原作よりも「エージェント」の役割が強調されているような気がする。そして、戦争によるPTSDが当時こんなにも認識されていなかったことに驚く。サリンジャーは独力でそれに立ち向かい、克服とまではいかないが、共存する道を選んだ。それが出版を前提としない自由な自分だけのための執筆活動だったのだ、というのがこの映画の、サリンジャーの後半生の「沈黙」への解釈なのだろう。ほぼ同意。

誰か、庄司薫氏に関してもこういった(なぜ4部作以降作品をほとんど発表していないのかについて)論考を書いていないだろうか。調べたい。

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『忘れられた巨人』の読後感。

雌竜の吐き出す霧が「世界」を覆い、そのせいで主人公夫妻を始めとして皆の「記憶」を奪っている。この設定はうまい。当然、悪の根源である雌竜を退治しようと言うストーリーになる。それで話が進むが、進むにつれてわれわれの解釈も曖昧になっていく。雌竜は悪者なのか。「記憶」を失うことは悲劇で、取り戻すとハッピーエンドになるのか。「記憶」をとりもどすことが、たとえば夫妻にとっては耐えきれないことを思いだし、仲違いの原因になるのではないのか。そのために、最後には西の島(アイルランド?)に、別れ別れに連れて行かれるのは救いなのか新たな悲劇なのか。騎士や老夫婦そして馬に至るまで、彼らの霧の中の遍歴そのものをカズオ・イシグロは書きたかった。この遍歴は英国や日本にかぎらず世界中で通用する、普遍的な思想と物語の源泉であり、そのため2015年にこの小説が発表された直後の2017年のノーベル文学賞を、著者は得ることになった。

豊崎社長の付箋や書き込みは、「曖昧」な物語を読んでいく上での良い道標となった。登場人物やストーリーの転機などが、わかりやすかった。今後小説を読む時の参考になる。明日はこれらと豊崎社長の書評(ALL REVIEWS掲載)との関連を考えてみたい。

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今日のツイートなどを見ていると、PASSAGE by ALL REVIEWSへの新規棚主さんの登録が順調に進んでいるようだ、冗談で言っていた「棚がすべて埋まる」状態が近々実現するのかも知れない。スゴイことだ。


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これ、申し込んだが、本当に行けるかな。調整しないと。
『特別展「鹿島茂コレクション2 『稀書探訪』の旅」関連講座 天使はほほえみ、悪魔はささやく/終わりのない古書探しの旅 Ⅱ』

https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/information/20220703-post_472/


 

2022年4月19日火曜日

「PASSAGE by ALL REVIEWS」と「ALL REVIEWS」の有機的つながりを自分の読書体験で確かめる

 『双子のライオン堂×BOOKSHOP TRAVELLER「本達を輝かせるには?? ~個性派書店の本の魅せ方~」|ふらっと神保町×PASSAGE BY ALL REVIEWS企画』をYoutubeで視聴した。PASSAGE by ALL REVIEWSの棚主でありクラファンにもささやかながら参加したので、視聴できたと思う。

双子ライオン堂/竹田信弥さんと、BOOKSHOP TRAVELLER/和氣正幸さんの対談と言う形で進んだ。貸し棚書店の棚主にも貸し棚書店の運営側にも参考になる話が聞けた。ほんの一部を紹介すると……

本とそのディスプレイを「動かす」ことが売上増につながる、そしてその動かし方にはいろいろなバリエーションがあって、試行錯誤を繰り返して行くのが良いとのこと。また棚主交流会はコロナ禍のいまでもやるに越したことはない。ただし「交流」をしたくない棚主も少なからずいる。つまり色々あってそれでいい、とのこと。面出しや本を並べる前後位置もいろいろやってみるべきだと。スミッコの目立たない棚に注意を引くアイデアもいろいろあるが、棚位置のシャッフルもあって良い。なにより、置いてある本の宣伝が最重要。今だとSNSという便利なモノがあるので、こまめに書影付きで宣伝をするべき。動かない本も定期的にSNSで宣伝すると売れるだろうとのこと。

このビデオはまた見直したい。以下でチケットが明日20日まで買えるようだ。

https://peatix.com/event/3224197

関連note記事:

https://note.com/university1step/n/ne41a404769e6

参考:

https://www.shobunsha.co.jp/?p=6832

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『忘れられた巨人』は今日一日頑張って、最後まで読み終えた。前提知識(たとえばアーサー王伝説)があまりないまま読んだのが、不安だったが、さすがはカズオ・イシグロさんと訳者の土屋政雄さん、すんなりと読めた。明日はまず、自分の読後感を書いてみて、ALL REVIEWSにある豊崎社長の書評と比べてみる。その読みの深さの違いはどこから来るかを、豊崎社長の付けた数多くの付箋位置を調べながら、考えてみたい。結果は来週のメルマガ巻頭言で発表することにしたい。これが、「PASSAGE by ALL REVIEWSとALL REVIEWSの有機的つながり」の勉強となり、できればそのつながりを発展させるための手がかりとなることを狙いたい。豊崎社長にかぎらず、他の書評家さんの書評対象本に関しても調べを進めたい。

同著者・同訳者の『クララとお日さま』も早急に入手して読みたい。これは個人的興味も手伝っている。




2022年4月18日月曜日

基本は「読書」PASSAGE by ALL REVIEWSもALL REVIEWSも

 昨日(日曜日)の朝日朝刊、文化欄(27面)で、アシモフ先生の「ロボットの三原則」が紹介され、関連する物語がいくつか年代順にならべて紹介してあった。その最後には、カズオ・イシグロの『クララとお日さま』があったので驚いた。俄然、読みたくなった。今読んでいる同じ著者の『忘れられた巨人』を読み終えて、巻頭言を書いたら、次は『クララとお日さま』を読むことに決めた。PASSAGE by ALL REVIEWSで買えるといいのだが、知っている棚のは少し前に売れてしまったような気がする。他の棚にないか、探してみよう。

https://allreviews.jp/review/5506


これもPASSAGE by ALL REVIEWSとALL REVIEWSとの関連を考える上で重要なできごと。

アンテナが増えた気がする。またはアンテナの感度が増している。ともかく、今まで通り読書の世界を極めるための努力が第一義。

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今日は「勤務」の往路、わざと鈍行に乗車して、『忘れられた巨人』を読み続ける。180ページまで。雨降りの帰りの電車では座ることができず、読書はできずじまい。残念!

***

昨日のPASSAGE by ALL REVIEWSでの作業ログ

(1)リモート解錠依頼

(2)照明点灯、エアコン起動の練習💦

(3)Square関連機器の作動確認、充電用ケーブル等の存在確認

(4)BGM機器起動(Bluetoothスピーカー起動(長押し)、Android、同アプリ

(5)24、25日オペレーション方法の打ち合わせ

(6)同、非常時連絡先確認

(7)レジ会計担当。


今日の作業ログ

(1)レジ担当

(2)書評家棚主(2名様)持ち込み書籍の登録・シール貼り

(3)バイトマニュアル原稿一部詳細化

棚主になっていただける方は相変わらず増加中。

夕方、書棚を巡回してみた、『熟語本位英和中辞典』が売れていたのを知った。残念、やはり本を買うのは一期一会だ。

「PASSAGE by ALL REVIEWS」と 「ALL REVIEWS」との関連をいかにつけるか考える




「通勤」の電車の中で、『忘れられた巨人』(カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 早川書房)の冒頭、80ページまでを読む。非常にオモシロイ。この本は先日、PASSAGE by ALL REVIEWSで豊崎社長の棚から購入したもの。豊崎社長の「繊細」な付箋がついており、本文中にも赤のボールペン(!)でしるしが付けられている。普通の人の読んだ純粋な古本とすると価値はほとんどないだろう。しかし、書評好きにとっては宝物のような本である。でも値段は「格安」の定価の半額だ。

豊崎社長の書評はここ。


読んでみると、「なるほど」と思わせるような、ストーリーの要点に付箋やしるしが着いている。この本を読んだ感想を再来週の週刊ALL REVIEWSの巻頭言に書くことにした。

ALL REVIEWSとPASSAGE by ALL REVIEWSとの関係はもちろん深いものがあるが、今の所PASSAGE by ALL REVIEWSの店頭でALL REVIEWSサイトの記事を意識したことはあまりない。具体的にどうすればよいのかはまだわからないが、互に連関するような企画を立てたい。



「通勤」で神保町の駅をでたあと、時間の余裕があるときは、PASSAGE by ALL REVIEWSの付近の古本屋さんを覗くことにしている。今日は「大雲堂」や澤口書店を除く。『堀辰雄全集』の存在の定点観測の意味もある。他に見つけた「出物」は以下の通り。


『三田村 鳶魚(みたむら えんぎょ)全集』 6000円
『正岡子規全集』 5000円
辻伊助の『スウィス日記』。 500円


など。




帰りは皆と「サイゼリヤ」で飲み食いして、PASSAGE by ALL REVIEWSの行末を感じる。

たのしきかな「サラリーマン」人生。





2022年4月16日土曜日

楽しき繰り返し


昨日のブログで触れた「文舵会」での、自分の回答を備忘のため保存しておく。

『文体の舵をとれ』の練習問題④

問一:語句の反復(3回以上)

まず、光年ということを説明しよう。光は一秒あたり30万キロ進む。一方、一年は31,536,000秒つまり3千万秒なので掛け算をすると、30万掛ける3千万イコール9兆キロ。光は1年で9兆キロ進むわけだ。これを1光年というんだ。光年というと時間の単位のようだが、長さの単位であることに注意してね。君の質問にあるすごく遠い星までの距離129億光年は、えーとむにゃむにゃ、100垓キロかな。ああ、垓は10の20乗、つまり1の後ろに0が20個つく数のことだ。こんな大きな数はかえって取り扱いにくいので、129億光年とそのまま使ったほうがいい。ちなみに、アンドロメダ銀河までの距離は約250万光年なんだけれど、129億光年はその5千倍だよね。

問二:構成上の反復

「大池先生、ハッブル望遠鏡が129億光年先の星を観測したと、ニュースで読んだんですが、129億光年ってどのくらい遠いんですか。」と高校1年の私は質問した。大池先生と杓子定規に呼んだけれど仲間内では「皇太子」と呼んでいる。当時の昭仁皇太子に顔も髪型も喋り方もそっくりだからなのだ。名前も「昭二(しょうじ)」で字面は似ている。

皇太子は顎をしゃくりながら、丁寧に説明をしてくれた。「まず、光年ということを説明しようね。光は一秒あたり30万キロ進む。一方、一年は31,536,000秒つまり3千万秒なので掛け算をすると、30万掛ける3千万イコール9兆キロ。光は1年で9兆キロ進むわけだ。これを1光年というんだ。光年というと時間の単位のようだが、長さの単位であることに注意してね。君の質問にあるすごく遠い星までの距離129億光年は、えーとむにゃむにゃ、100垓(がい)キロかな。ああ、垓は10の20乗、つまり1の後ろに0が20個つく数のことだ。こんな大きな数はかえって取り扱いにくいので、129億光年とそのまま使ったほうがいい。ちなみに、アンドロメダ銀河までの距離は約250万光年なんだけれど。その5千倍だよね。」

「えー、1光年って9兆キロ、129億光年は100垓キロで、垓は10の20乗ですか。メモメモ。アンドロメダ銀河までわれわれの宇宙から250万光年で、129億光年はその5千倍、と。すげー。でもそんな遠い星が見えるのって、なにがオモシロイんですか。」

「そうね。宇宙が誕生したのが138億年前と言われているのだけれど、そのわずか9億年後にはその星は存在していたことになるんだ。ものすごく古い星が見つかったことで、宇宙の誕生の秘密もわかるかも知れないんだよね。」

「とてもオモシロイです(棒)。センセーは何光年前のヒトですか。」

「光年は時間でなく長さの単位だよ。質問の趣旨に沿って答えると、君と僕の生まれた年は12年くらいしか違わない。宇宙の年齢に比べたら屁(失礼)みたいなものだね。」

大池先生は消えていった。目が覚めた時には、大池先生は若くして亡くなっていたのを思い出した。

この回答が、題意に適合しているかはよくわからない。題意にピッタリ適合する回答を作るのが目的とも思えない。文章を書くテクニックとして、繰り返しをうまく使えるようになるには、もっと経験がひつようだ。この練習をしたことにより、今後他人の文章を読んだときに、繰り返しの使い方に注意を払うようになるであろうことが、成果のひとつでもある。

***

今日は一日孫の訪問を受けて一緒に遊んだ幸せな一日。💩は3回繰り返していただいた。

2022年4月15日金曜日

『文体の舵をとれ』の練習問題回答の合評会「文舵会」は第4回を成功裏に実施した

ALL REVIEWS友の会の「執筆研究部」内で行っている、執筆勉強会。今年は『文体の舵をとれ』の練習問題をやってみる「文舵会」として、今日が第4回だった。

その第4回「報告書」を紹介する。

第4回「文舵会」無事終了しました。おつかれ様でした。

参加者:(4名)

日時:4月15日20時30分〜22時15分。

内容:『文体の舵を取れ』第4章の練習問題(語句や発言・行為の繰り返し)を実施。

・今回も実際に書いてみて、他の方に批評してもらうことにより、多くの気づきを得ました。

・「繰り返し」の極意はなかなか奥深い。語句を繰り返して読者にわからせる効果、ライトモティーフの効果、構成の繰り返しで物語を劇的に盛り上がらせるなどなど。

・ともかく、「繰り返し」へのアレルギーは無くなったかも。

・回答の文章を読んで思い起こされる作品など。

(『失われた時を求めて』、平野啓一郎『本心』、アガサ・クリスティー『春にして君を離れ 』など。)

・Rさんの力作の続きの部分は、「回答集」に追加していただくことになりました。

・次回は5月20日、20時半から。回答提出締切は5月13日(予定)です。いよいよヘミングウェイになれるチャンス。💦

以上です

良い雰囲気で進んでいると思う。私を除く、参加の皆様の執筆レベルは確実に上がっている。練習問題に回答しその前後のグィンの解説を読むと、『文体の舵を取れ』が非常によく理解できるのも良い。

『鷗外「奈良五十首」を読む』もうすぐ終わりだが、だんだん鷗外への風当たりがきつくなってきている。少し(鷗外に対して)厳しすぎるのではないか。愛の鞭か。

時間は遡るが、午前中の記述。

この際、これを観ておく。

『戦艦ポチョムキン(日本語字幕+活弁字幕)』

https://www.youtube.com/watch?v=AyBaMzBjr0c&t=1831s

巡洋艦「モスクワ」でもこのようなことが起きたのではないか。でも戦艦ポチョムキンの事件から、1917年の革命までは12年もかかったけれど。 

2022年4月14日木曜日

「私の脳内神保町地図」を少しずつ広げていくつもり

 「私の脳内神保町地図」をかいてみた。この2ヶ月で立ち入った古本屋さんを中心に描いてある。まだまだ狭いが、今後広げて行く。神保町全体にこの地図が広がる時、PASSAGE by ALL REVIEWSの書棚たちも神保町と日本と世界に「広がって」いく。


『鷗外「奈良五十首」を読む』を続けて読む。陸軍をやめたあと、帝室博物館総長兼図書頭として働いた鷗外。「鷗外という人は、日常煩忙な雑務に掣肘せられていた方が、かえって文学活動も盛んに行えた人らしい。」(15ページ)とある。あまりお金があると読書などやっていられないという意見は最近も聞いたことがあるが、勤務の手当の一部を本の購入に使うという生活は、質素を好む鷗外の性格に、あっていたのだろうと思う。

鷗外は公務として毎年秋に正倉院に出かけている。その行き帰りに京都の古書店に寄って本を買い、店主と話をするのを楽しみにしていた。地図好きだった鷗外の脳内にも京都の古書店地図が出来上がっていただろう。

140ページ付近からあとのこの本の記述では、鷗外が「成金」を軽蔑する様子が書かれている。実際奈良五十首にもそのような歌がある。古寺を買い取る金持ちに反感を抱いている。メセナという概念が鷗外の頭にはなかったのかも知れない。それ以上に金持ちたちの言動に反感をいだいたのだろう。

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蔵書票に関する知識が得られるサイト。

https://book-plates.com/2022/03/15/la_grande_ville/

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今日のBGM。若きアート・ペッパー。

ArtPepper - ModernArt (full album) https://youtu.be/mRbAovEXEro @YouTube

Straight Life - Art Pepper https://youtu.be/yWB-a3x_K7M @YouTube

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備忘:

ALL REVIEWS掲載の『忘れられた巨人』の書評。

https://allreviews.jp/review/1307

先日、この書評のもととなった本『忘れられた巨人』をPASSAGE by ALL REVIEWSで豊崎社長の棚から購入してきた。本を痛めることを最小限とした、繊細なポストイットの張り込み。

まず、読んでみてから、このポストイットの張り込みが書評にどう生かされているかを考えてみる。楽しみ。

2022年4月13日水曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSに行くのは楽しいし、神保町の150軒の古書店をめぐるのもとてつもなく楽しい

岩田徹さんの『一万円選書: 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語』(ポプラ新書 Kindle版)を読む。前の会社で隣の部署にいらしたK先輩から、昨夜、メールで紹介してもらったもの。「いわた書店」では午後3時から5時まで店のシャッターを閉めて、店主が一万円選書に専念する。1万円分10冊程度を選ぶが一日に何人もできない。選書希望者バックログは数千件、すでに一万人に対して選書サービスを実施している。売上は選書と店頭売りの比率が2対1だという。岩田徹さんはこれまでの本の流通形態では、この業界の衰退は免れないとして、新しい本の流通を創造したいとおっしゃる。

選書のポイントは、選書サービス希望者からの自己紹介のアンケート内容。その人となりと「将来やりたいこと」をアンケートから推し量り、過去の店主の1万冊・60年の読書体験から推薦する本を選ぶ。すでに読んだ本があれば交換にも応じる。

巻末に過去に多く選書した本のリストが付いている。これだけ読んでも良い。選書サービスをただで受けているようなものだ。


PASSAGE by ALL REVIEWSでも選書サービスができないかと考えた。経験豊かな店舗スタッフが専任すれば出来るだろう。ただし、「いわた書店」なら売上の2割近くが粗利となるが、PASSAGE by ALL REVIEWSではそうはいかないので難しい。棚主本人がそれぞれやるのが良いだろう。よく考えると店主が書棚に本を納めること自体が、不特定多数に対する選書サービスなのだろう。複数の一棚店主が、複数の読者に対して選書サービスをしていると考えればいい。岩田徹さんのおやりになっている、読者のニーズや特性に応じた選書のかわりに、書棚中のそれぞれの本に「推し」の理由を書くときに、どのようなヒトが読むのが良いかも書き添えるといいだろう。読者側のモチベーションをいかにして高め、かつ捉えるかが大問題。

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最近神保町に行く機会が増えた。古書店を見て回る余裕はごく最近少しずつできてきた。これを良い機会として多くの古書店を見て回りたい。目的は2つ。読みたい本をさがすことと、PASSAGEの書棚にいれる本をさがすこと。この2つは別々なことがらではなく、お互いに影響し合う。

「古書店マップ」を手に入れたので、これを片手に多くの古書店を訪れたい。神田古書店連盟に参加している(古)書店は150店強。各店舗にたとえば1万冊の本があるとすると、150万冊の本が存在している。これを全部見て回るにはどのくらい時間がかかるか。一日一店舗を見ると仮定すると、延べ150日間。現在の予定だと月に8日間神保町に行くが日曜日もあり、行けない日もありそうなので、月に4軒とすると、28ヶ月、2年4ヶ月で一通り見て回れる。10年で4サイクル。10年後にはある店に入った時に、棚の内容の変動がすぐ解るようになろう。これは楽しみだ。国会図書館300万冊の本は直接背中を一覧できないが、神保町では出来る。読書好きの天国が手に届くところにある。足は鍛えておきたい。 

ところで、神保町の歩き方は植草甚一さんに習ったようなものだ。

この本には神保町の話がかなりまとまっている


2022年4月12日火曜日

『鷗外「奈良五十首」を読む』(中公文庫)もBOOKS HIROの日記本の仲間に入れても良い


平山城児さんの『鷗外「奈良五十首」を読む』(中公文庫)が昨日届いたので、今朝から読み始める。PASSAGE by ALL REVIEWSで一棚店主になって以来一ヶ月、書棚の経営とPASSAGE運営のお手伝いとで、好きな読書をゆっくり楽しむことができなかった。今回は少し余裕がでたような気がして、オモシロイ読書ができたような気がする。まだ読み終わってはいないが。

部屋の掃除も滞っていたので、片付けをし、設置したままのコタツの布団を畳んでしまい、「コタツテーブル」として使うことにした。これで午前の多くの時間を使ったが、気分が変わってシゴトも捗ることと思う。読み終わらなかった原因はここにある。

『鷗外「奈良五十首」を読む』だが、鷗外の晩年の短歌「奈良五十首」を、当時の日記「委蛇録」を手がかりに読み解く経緯を書いた本だ。男性の日記は、鷗外の晩年の日記は特に、記述がそっけない。その行間に多くのニュアンスが隠れているはずだが、日記の文面だけを追っていると想像がおよばない。砂を噛むような気持ちで日記を読む羽目になり、途中で投げ出したくなる。

一方、短歌を読む時に感じるのは、その短歌がどのようなシチュエーションで書かれたのかがわからないと、短歌の意味を取り違えそうで気持ちが悪い。読者が自由に捉えるのが正しいのだろうが、取り付く島もないとつらい。

そこで、短歌と同時期に書かれた日記を照らし合わせるという手法を、平山城児さんはこの本でとっている。うまい方法だとまず感心した。難しいのは短歌の出来る源泉の鷗外の奈良体験が複数年に渡るということで、鷗外はきっと手帳に書いた短歌の原稿を毎年の奈良行のたびに、書き換えていたのではないかということだ。複合された時間差のある感興。

ともかく、この本を読むと短歌が「わかる」と同時に、「委蛇録」の無味乾燥な灰色の記述に、徐々に色彩が蘇ってくる。正倉院の宝物の絵画に広いスペクトルの光をあてると、往時の鮮やかな色彩が蘇るのと似ているようだ。

私の書棚「BOOKS HIRO」の日記本に、鷗外の日記と一緒にこの本も入れて売るのも良さそうだ。

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今日のツイート2つ。




2022年4月11日月曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSの中のBOOKS HIROに本を追加しオンライン販売の範囲もひろげた

月曜日の夜、三日間昼寝してないので、疲労が溜まっている。

要点のみメモする。


(1)PASSAGE by ALL REVIEWSで新規の取材あり。傍聴、13時45分〜14時45分。


(2)BOOKS HIRO書棚に4冊本を追加した。『

  『私の脳で起こったこと ――「レビー小体型認知症」の記録(ちくま文庫)』

  『言葉と歩く日記』(岩波新書) (*)

  『池波正太郎の銀座日記(全)』(新潮文庫)

  『海そして変容―パリの手記1(河出文庫 )

(*)以外は、推薦文のメモを付けた。


(3)オンライン販売の範囲をすべてに広げた。『トーマス・マン日記』は重いが。


(4)BOOKS HIRO書棚で、面陳をすることにした。

#とりあえず本棚写真は取り忘れた。


(5)ALL REVIEWS友の会の「文舵会」の第3回回答を作成した。

初夏の陽気の中で下北沢と御茶ノ水を歩く

 11時過ぎに下北沢駅着。「日記祭」とかいうものをやっており、「栞社」という名前で、著名な校正者の牟田都子さんが出店されているという話を聞きつけたから。日記(ブログ)を書き続けるノウハウなどの講演会も併設されている。日記を書くネタが無いときは、その無いことをネタにすれば良い、書き続けられるという、やや強引な意見を聞きながら歩いていると楚々とした方が、誰かと話しており、その店(机)には、読んだことのある本が展示されている。話が終わったので、勇気をふるって声をお返してみた。確かに牟田さんだった。『校正者の日記』を作った日記、というA4版1枚裏表印刷のパンフレットを売っていらっしゃったので、それだけ300円で売っていただいて帰る。PASSAGE by ALL REVIEWSのお話をしたら、興味がおありらしい。ぜひ、棚主にもなってくださいとお願い。

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新宿経由で、JR御茶ノ水駅へ。駅頭の写真や、御茶ノ水駅かいわいの予備校やニコライ堂や山の上ホテルなど、ちいさなセンチメンタル・ジャーニーの気分だ。iPhoneで写真も撮った。初夏のような陽気で、PASSAGEにはいる前に入った蕎麦屋さんでたまらずサマーセーターを脱ぎ、半袖ポロシャツだけになる。







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PASSAGEへ。15時に、1日店長のTさんに会計業務をお教えする。あらかじめIさんにマニュアルを書いていただいたので円滑。軌道に乗ったところで、私は入庫処理を手伝う。鹿島茂さん原武史さんなど。

セット商品の登録の仕方をマニュアル化すべし。(『XXXX上下』などとし、冊数を増やさしない)。

Squareシステムのスローダウンが発生。シールの出力がおそくなる。


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PASSAGE by ALL REVIEWSにいるうちに涼しくなりセーターを着直す。帰りには上着が欲しくなった。

2022年4月10日日曜日

『モンテ・クリスト伯』のなかにも「獄中日記」が封じ込められている

PASSAGEの棚主活動のため、必要あって、以下の勉強をする。

「鍵アカの使い方」

「公開ツイートと非公開ツイートについて」を参考にする。

https://help.twitter.com/ja/safety-and-security/public-and-protected-tweets

http://localfolio.leadplus.co.jp/blog/twitter-keyaccount

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今朝の朝日新聞、別刷りの「be」に原武史さんの「歴史のダイヤグラム」という記事が載っていた。そのなかで新たな書店「パサージュ」が紹介されている。原武史さんは棚主さんでもある。

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出かける前に、『モンテ・クリスト伯(一)』(デュマ作 山内義雄訳 岩波文庫)を読む。お目当てはダンテスが牢内でファリャ司祭から個人教育を受けるところ。ファリャ司祭は、5000冊持っていた蔵書の中から、150冊を選び出し、それを熟読玩味したら、世に処するに必要充分な知識が得られたという。これはちょっといい話かも知れない。

このあと、でかけて、孫のお世話。途中12時半からALL REVIEWSおよびPASSAGEの運営スタッフ全員のテレビ会議がはさまった。

夜、10時半帰宅。明日の午前中は下北沢の日記屋日月さんに行くつもりだが、目が覚めるかどうかギモン。午後はPASSAGE by ALL REVIEWSのお店番お手伝いの予定。 

2022年4月8日金曜日

一棚店主としての新商品開発と、個人の趣味の読書とを両立させることが大切

日記専門店(BOOKS HIRO)の店主としては、新しい商品を見つける必要がある。そこで伊藤整『伊藤整 日記1』(平凡社)を図書館で借りてきて読む。


「意外に」すらすら読むことができた。理由は、書いてあることが単純だから。原稿を書く話と、原稿料がいくら入ってきたかと、文人仲間や編集者たちと飲みに行った話、家族の病気、久我山にあたらしく家を立てた話、ベストセラー番付の話。『アシモフ自伝』を彷彿とさせる。そしてもっとリアル。

この日記は全8巻なのだが、全部読むべきかはちょっと迷う。このスピードで全部読めるなら、2週間位で済みそうなので読んでもいいかも知れない。当時の文壇事情がよく理解できそうだ。

単調さを破ったのは、1954年10月1日の記述だ。野尻湖に別荘を買ったのだが……

「図面を見ると野尻湖の家は九十何坪もある大きな家なり。堀辰雄のチクマのアルバムが着いたのを見ると、昭和十年頃堀は、レークサイドホテルと言ったこの家に客となったことありとて写真出ている。……」

というところ。これを読んでピンときたので、本棚の隅から堀辰雄『幼年時代・晩夏』(新潮文庫)を見つけ出してきた。「晩夏」という20ページほどの短編を読むと、病身の堀辰雄が夫人につきそわれて、この「レークサイドホテル」に泊まったことが書いてある。他には外人の少女二人連れのみが泊まっている、夏の終りの静かなホテルでの静かな滞在記だ。この文庫本は昭和43年、14版で90円。学生時代に読んでしみじみとした情感と夫婦の仲良い姿に憧れた。



こんなことがきっかけで、『伊藤整 日記』は全巻読破の対象候補となった。そして最近神保町で見つけた『堀辰雄全集』(筑摩書房)がまたまた欲しくなってきた。これを買うには、PASSAGE by ALL REVIEWSでもっと本を売って、全集がはいるスペースを開けなくてはならない。

***

「文舵会」第3回の回答第一稿を書く。いままで一人称記述の文章ばかり書いていたが、今回は高校時代の恩師、地学の大池先生を登場させた。一年生の時のクラス担任でもあった。故人。

2022年4月7日木曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSの書棚に追加する本の紹介文と、棚主(自分)の紹介用書類を作った

 「BOOKS HIRO、書棚の本の紹介」の追加をした。

樋口直美著『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』の紹介文。

樋口直美さんの著書『私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活』は、1962年生まれの著者の実体験の日記(2012年から2014年)である。文章が素晴らしく読み物としてみても一級品と思う。もちろん、私の知らなかった「レビー小体型認知症」に関する、患者側からの貴重な知見が得られる貴重な本だ。老化現象と、種々の「認知症」の症状は、程度の軽重はあるが、どちらも脳の不調が原因だと私は考えている。それらへの対処方法は似ており、どちらも単に恐れているだけではダメで、積極的に立ち向かわなくてはならないと思っている。

『私の脳で起こったこと』で、著者の樋口直美さんがリアルな日記として記述していることは、病気の「克服」にいたる過程とそのためのキーワード(「書くこと」と「発信すること」)である。「克服」とは病気の完治ではなく、病気を知り、病気をなだめながら共存し、積極的に生き、同病の人に救いの手を差し伸べることすなわち「発信」だ。

この本で読んだことには、老人である私の今後の生き方に対するヒントが含まれていると思い、Twitterでそのことを「発信」してみた。驚くべきことに樋口直美さんから、丁寧な応答ツイートをいただいた。私の考え方もまったく見当外れというわけではなさそうだ。

いわゆる「健康余命」は日本人男性の平均値では、今72歳の私の場合あと10年と言われている。そのあとにほぼ10年の平均余命が残されているらしい。2つを合わせた20年全部を、私は「健康余命」としたいと思う。このために予想される老化現象のことを知り、上手な対処方法を考え、老化現象と共存する覚悟を決めた。今日から「楽しく」動き始め、「発信」もはじめたい。そのための基本的な手段は広範な「読書」と「書くこと」と「発信すること」と思っている。

同じ著者の『『誤作動する脳』も、病に対応するためのノウハウが詰まっているので、お薦めだ。

(hiro)


***

このようなツイート記事を作成するときの手順をまとめておく。備忘のため。他の棚主の方にも役に立つかも知れない。

(1)Passageの自分のページに行く。

(2)「管理」タグをクリック。

(3)メニューから「店舗ページを見る」を選ぶ。(メニューが出ていなければ三本線のアイコンをクリックしてメニューを出す。)

(4)最下部のシェアのツイッターマークを選ぶ。

(5)ツイッターの投稿画面になるはず。

PASSAGE by ALL REVIEWSで店番をする時に使う名刺を作った。名刺と先日作ったリーフレットがあれば便利だろう。

名刺用データ

リーフレット


2022年4月6日水曜日

『パリのパサージュ 過ぎ去った夢の痕跡』(鹿島茂さん)を読むことで、一棚書店経営の楽しさと危険を深く知る


『パリのパサージュ 過ぎ去った夢の痕跡』(鹿島茂さん 中公文庫)を読み終えた。

「まえがきに代えて」より

「過去の繁栄の時代、人々はパサージュで、未来へと向かう夢を見ていた。もちろん、一人一人は活発に活動し、目覚めていたが、その集団的な無意識の中では、人々は、自分たちの未来を投影した夢の中でまどろんでいたのである。

この時代、すなわち、資本主義がまだ若く、健全だった時代、人々の見る集団の夢は、ユートピアのような未来への希望で光り輝いていた。」

本文では、19の様々なパサージュの盛衰が語られる。

「あとがきに代えて」より

「パサージュとは、ひとつの時代が語っていた夢の過去未来的表現にほかならない。」

ここを読んで、先日(一年くらい前?)高遠弘美先生の講義で聞いた、プルーストの『失われた時を求めて』の過去の動作を現在形で語るというお話を連想した。それは過去を生き直すことに他ならない。

PASSAGE by ALL REVIEWSの書棚で、過去に読んで感激した本を売るということは、自分もそしてその本を買って読む人も、過去を生き直すことになるのではないか。そうであれば、それはもちろん素晴らしいことである。一方、気をつけないといけないこともある。

やはり「あとがきに代えて」より(最後に近いところ)

「パサージュの敷居をまたぐには、それなりの覚悟が必要であり、意識の半分は、しっかりと覚醒状態においておかなければならない。そうしないと、いつしか、完全な夢の世界、「異界」へつれ去られ、こちら側の世界へと戻ってこられなくなる。」

昔の本を読み直し、それを売るということに熱中しすぎると、「黄泉の国」に入り込んでしまうのだ。自分の場合、それは50年近く前の時代を意味し、その時代は楽しくもあり哀しくもある。充分にオモシロイ世界だったのだが、そこにこだわりすぎると単なるノスタルジーの虜になってしまう。俗な言葉でいうと「昔はよかったぜが口癖のジジイ」になってしまうのだ。

現在の世界で、その本がどんな意味を持つかにもしっかり目を向けることが大切だ。新しい本を探して、それを読み、気が向けばそれも売る、ということはもっと大切だろう。

***

昨日に続いて、BOOKS HIROの書棚に入れる本をもう一冊選んだ。『犬が星見た ロシア旅行』。これの短い「推し文」を作った。これはA5の紙に印刷して、本に挟むつもりだ。この手の作業が面白くなってきた。(黄泉の国に行かないように……)あまり熱中しすぎないようにしながら、続けよう。 




2022年4月5日火曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSの書棚に新たに追加する『海そして変容』の紹介文を作った

新しくPASSAGE by ALL REVIEWSの書棚に入れる本の紹介文を作ってみた。これを印刷して本に挟んでおく。書店「BOOKS HIRO」のWeb上の紹介文にも入れておくつもり。


これを書いてみると、PASSAGEは私にとっては「読書会」の場であることがわかる。「相手が非常に沢山の読書会」。

***

月曜日にPASSAGEでお会いした棚主仲間の「安」さんにご紹介いただいた、ピアニストの方々の演奏をYoutubeで探してみた。そして、とりあえず短いものを選んで聞いてみた。どなたも素晴らしい。

黒岩航紀さん

https://www.youtube.com/watch?v=oAQjBGmWHPQ


鐵百合奈さん

https://www.youtube.com/watch?v=7t1RNDeaLNI
https://www.youtube.com/watch?v=PQuaeHC7SE0


金子三勇士(みゆじ)さん

https://www.youtube.com/watch?v=GwuKkOGUxfw
https://www.youtube.com/watch?v=UPszO-tsUFo


今日のツイート。






雨の月曜日のPASSAGE by ALL REVIEWS

昨日澤口書店で購入した『漱石全集 13巻』は昭和41年岩波書店刊の「日記及断片」。自分が持っていたのは大正9年刊の第11巻で同じく「日記及断片」。大きな違いは後者が天金を施されていること。活字が大きいこと。やはり、『13巻』のほうをPASSAGE by ALL REVIEWSの書棚で売ることにする。


机の上を片付けていたら、養老孟司先生の『臨床読書日記』が出てきた。これも「日記」としてPASSAGE by ALL REVIEWSにもって行く。面白いところは多々ある。

雨の中、神保町すずらん通りへ。先に東京堂書店に行き、今日発売の週刊誌「AERA」を購入。PASSAGE by ALL REVIEWSの記事が見開き2ページで載っている。店主の共同運営というところが気に入った。

この雨のおかげで書店のお客は少ない。レジ当番をしながら、書く読書会「文舵会」の準備ができた。あとはフォームを作り、Zoomのスケジュールを行い、皆に呼びかけるだけ。紙袋にPASSAGEロゴのスタンプをおす。リモートからの注文を処理する手順を少し聞く。

書評家棚主さんでは、杉江松恋さん来店。一棚店主では、人鳥書店さん、みつばち書店さん、安さんなど、シール貼りのお手伝いをしながら色々話す。

Quicペイの使い方の練習を兼ねて、PASSAGEのトートバッグ(2,500円)を購入。



店主ご一家三人とサイゼリヤで(私は)軽く食事をして、家に帰る。 

2022年4月4日月曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSで、自分の書棚の本と他の棚主さんの書棚の本との、コラボレーションという楽しみをみつけた

今日はPASSAGE by ALL REVIEWSのお手伝いに駆けつける。開店前に少し時間が会ったので、日曜日でも営業している澤口書店さんを覗いてみた。一通りみているうちに、岩波書店の『漱石全集』の端本、第十三巻が目についた。この巻は漱石の日記が収録されているので「日記文学」書棚の経営者としては見逃せない。価格を確かめると「!」と思うくらい安いし、状態も悪くない。迷わず購入。重いがそれを補って余りある喜び。そのまま書棚に入れようかと思ったが、少し手元で可愛がってから……と思って、持ち帰ってきた。まだ、よくみていないので、後日ここでご報告をする。


他に『堀辰雄全集』や『島村利正全集』の揃いがあり、つい買いそうになったが、踏みとどまった。

鹿島茂さんのご提供の素晴らしい机は最近「陳列台」として使用されているが、今日は私の(BOOKS_HIROの)本を中心として並べて良いことになり、「日記」をテーマとした陳列をさせていただいた。援軍として他の棚主さんの棚から何冊かを選んで並べることにした。店内の本を眺めて、これらを選ぶのはとても楽しい。並べた結果を眺めるのも楽しい。これをよく考えると、PASSAGE by ALL REVIEWSの存在価値……といったところに話が発展しそうだ。こういう経験ができるのは、棚主の特権だろう。


閉店間際に、お隣の古書店「虔十書林(けんじゅうしょりん)」の、御主人が突然いらっしゃった。いろいろ書棚を見ていただき、このPASSAGE by ALL REVIEWSの試みはオモシロイと褒めていただいた。15分ぐらいお話できたのでとても参考になったし、嬉しかった。今度はこちらから「虔十書林」にお邪魔して、もっとお話を聞いてくるつもりだ。

ところで、「陳列台」の本は一冊、ある方にご購入いただいた。『言葉と歩く日記』。早速補充の手配をする。

今日のレジ作業で勉強したこと。「Quicペイ」はPASSAGE by ALL REVIEWSでのお支払いに使用できる。これは店頭に書いてあるし、皆の常識であるらしい。私は恥ずかしながら今まで「Quicペイ」を使ったことがなくどのようなものかを知らなかった。今日の会計で2度ほど使用する方がいて、独力ではお客様の対応ができず、店長の助けを仰いだ。クヤシイので、帰りの電車でその何たるかを調べ、帰宅して自分のiPhone(7P)で、クレジットカードを登録して、今後使用できるようにしてみた。明日も行くので、これでPASSAGEトートバッグを買ってみることにした。(大蔵大臣のお許しが出た。)

話は前後するが、書棚の貼り紙なども更新した。他の棚主さんとも、レジ業務がない時を狙っていろいろとお話できた。「一山青書房」さんの作られた本の紹介パンフレット(ブックガイド)は大いに参考になった。棚主の自分としては実り多い日だった。店長はそうは思わないだろうが。m(_ _)m

2022年4月3日日曜日

メルマガ週刊ALL REVIEWSの今週号巻頭言は私が「PASSAGE by ALL REVIEWS」のことを書いた

 今週号のメルマガ週刊ALL REVIEWSの巻頭言は私が書いた。内容は以下の通り。

***

3月1日に東京神田の神保町すずらん通りに開店したPASSAGE by ALL REVIEWSのことは、ご存知の方も多いと思います。私は、その一棚を借りて日記文学専門の「店舗」を開設しました。自分の本棚のなかから、前から好きだった日記のたぐいを持ち出して一棚の「店舗」に並べて、それが売れると楽しいだろう。昔から本屋をやってみたかったから。などと単純に考えていました。

ひとつの棚だけとは言え「店舗」を構えお客様に本を売るという行為は、実際には非常に意味深く刺激的なことなのだと、3週間たった今やっと気づきました。自分の設定したテーマ(私の場合「日記文学」)に沿った商品(本)の良さを顧客に上手に説明できないとその商品は手にとってもらえません。そこで日記文学はなぜ良いのかという、「店のキャッチフレーズ」を考えて書棚に表示し、各商品には、自分なりの「推しの文章」を手書きで書いてラベルにして貼ることにしました。

キャッチフレーズは「日記を読むと人生がわかり、日記を書くと人生がかわる!」としました。人生の先輩達の日記を読むことでその方たちの生き方が理解できて自分の参考になり、自分でもそれらに触発されながら日記を書くと現状を打破するような新しい人生の道がひらけると思ったからです。後半は過去5年間ブログ日記を書いてみた私の率直な感想です。ブログ記事を書くことを通じて、ALL REVIEWSとも関わりができPASSAGEの一棚店主にもなれたのです。

商品としての本の一冊一冊につける「推しの文章」は、過去それらの本を読んだ感想をブログに書いていたので、その中から適切な文章を選ぶことであまり苦労することなく書くことができました。例えば堀江敏幸さんの『河岸忘日抄』については、「〈たゆたえど沈まず〉のパリに滞在する理想形は、セーヌ河岸に繋留された船に住むこと。ゆるやかな暮らしを描いた日記的小説。読むのが楽しくなります。」としました。

本を買っていただいた方から、これらの文章に関する感想をいただくこともあり、嬉しいと同時にとても参考になります。同じ一棚店主仲間との語らいと合わせて、PASSAGEという「場」で、多角的な読書会をやっているような気持ちになります。そして、書棚の本の追加や補充をするために、神保町の古本屋さんの店を巡っていると、積極的読書の奥深い楽しみがより深く感じられます。

今日はPASSAGEのお隣の「虔十書林(けんじゅうしょりん)」さんで、武田百合子の『犬が星見た ロシア旅行』を購入してきました。『富士日記』で有名な武田百合子の旅行日記です。即物的なのに流麗な筆は『富士日記』以上に見事です。もう一度よく読んだ上で書棚に入れて売りに出します。

PASSAGE by ALL REVIEWSという店名が何を意味しているかを考える鍵は、鹿島茂さんの『パリのパサージュ-過ぎ去った夢の痕跡』という本の中にあります。途中経過を略して、私なりの意味づけだけを書いてみます。

PASSAGEに集う我々皆は、誰にも邪魔されずに、自分の好きな本を売り・買い・批評しあうことを、楽しみながら自由にできます。これは簡単なようで実はとても難しいのですが、それを保証するのは誰でもない、われわれPASSAGE by ALL REVIEWSに集う人たち全員の読書への愛であり、読書の自由を追求する毎日の努力なのです。

(hiro)




2022年4月2日土曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSの書棚にいれるべき本のリストを作り直した

PASSAGE by ALL REVIEWSの書棚にいれるべき本のリストを、マインドマップで作り直した。


( https://miro.com/app/board/uXjVOAouf4E=/ )

内容は、以下。

羊の歌 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E7%BE%8A%E3%81%AE%E6%AD%8C%E3%80%80%E5%8A%A0%E8%97%A4%E5%91%A8%E4%B8%80

トーマス・マン日記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%B3%E6%97%A5%E8%A8%98

闘う文豪とナチス・ドイツ https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E9%97%98%E3%81%86%E6%96%87%E8%B1%AA%E3%81%A8%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84

アシモフ自伝 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%95%E8%87%AA%E4%BC%9D&updated-max=2018-04-20T06:28:00-07:00&max-results=20&start=0&by-date=false

楽園の日々 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E6%A5%BD%E5%9C%92%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%85

百鬼園日記帳 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E7%99%BE%E9%AC%BC%E5%9C%92%E6%97%A5%E8%A8%98%E5%B8%B3

笹舟日記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E7%AC%B9%E8%88%9F%E6%97%A5%E8%A8%98

植草甚一日記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E6%A4%8D%E8%8D%89%E7%94%9A%E4%B8%80%E6%97%A5%E8%A8%98

富士日記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%80%80%E6%AD%A6%E7%94%B0%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90

犬が星見た ロシア旅行 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E7%8A%AC%E3%81%8C%E6%98%9F%E8%A6%8B%E3%81%9F%E3%80%80%E6%AD%A6%E7%94%B0%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90

池波正太郎の銀座日記(全) https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E6%B1%A0%E6%B3%A2%E6%AD%A3%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%81%AE%E9%8A%80%E5%BA%A7%E6%97%A5%E8%A8%98

若き日の日記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E8%8B%A5%E3%81%8D%E6%97%A5%E3%81%AE%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%80%80%E7%A5%9E%E8%B0%B7%E7%BE%8E%E6%81%B5%E5%AD%90

どくとるマンボウ航海記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E3%81%A9%E3%81%8F%E3%81%A8%E3%82%8B%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%A6%E8%88%AA%E6%B5%B7%E8%A8%98

パリの手記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E3%83%91%E3%83%AA%E3%81%AE%E6%89%8B%E8%A8%98%E3%80%80%E8%BE%BB%E9%82%A6%E7%94%9F

モンマルトル日記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AB%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%80%80%E8%BE%BB%E9%82%A6%E7%94%9F

委蛇録 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E5%A7%94%E8%9B%87%E9%8C%B2

言葉と歩く日記 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%A8%E6%AD%A9%E3%81%8F%E6%97%A5%E8%A8%98

私の脳で起こったこと https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E7%A7%81%E3%81%AE%E8%84%B3%E3%81%A7%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8

河岸忘日抄 https://hfukuchi.blogspot.com/search?q=%E6%B2%B3%E5%B2%B8%E5%BF%98%E6%97%A5%E6%8A%84


アドレスをQRコードにするのは、後で個別の本用のパンフレットを作る時ににやることにした。それをまとめて、小冊子にしてもいい。

***

シルヴィア・ビーチの『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』を読み終えた。


147頁。

アドリエンヌ・モニエの書店は平和に満ち溢れているような印象を人に与えました。……シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店は騒々しいところでした。……九時に始まって、真夜中に至るまで、いつでも学生、読者、作家、翻訳者、出版者、出版関係の旅行者、友だちなどが、出たり入ったりしておりました。貸し出し文庫の会員のなかには、数多くの作家たちがまじっていました。……

あとは、今のシェイクスピア書店の刊行している本、『A History of the Rag & Bone Shop of the Heart』を読む。


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今日の夜、20時から棚主全体のZoomミーティングがあった。実際に参加したのは40名弱くらいかもしれない。各自自己紹介のあと、有志の懇親会があったので、「シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」のような店を目指そうと提案したが、受けたかどうかわからない。鹿島茂さんは頷いてくださったが。