2022年5月31日火曜日

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の書棚中の書名の文字情報に誰でもアクセス出来るようにしたい

下記のツイートを行いました。このツイートとその中で引用されているツイートを読むと、現在の書棚の状態がすべてわかるようにしました。そして、インターネットで書名で検索をする人が、私の書棚にたどり着けるように、文字で書名を記述しています。

まだ文面が拙いので、もっと工夫が必要です。Twitterの字数制限はきついですが。

https://twitter.com/hfukuchi/status/1531460904138973184?s=20&t=_rnu4GUtNlrYpBJhAMbt5g


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昨日〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉で購入した『アムニジアスコープ』を読み始めました。確かに柴田元幸さんが付箋に書いているように「怪著」といえます。しかしこのような「飛んだ」お話を飽きさせずに読ませる技術はスゴイとしか言いようがありません。この本も含め、スティーヴ・エリクソンの本を3冊ほどまとめて、新しい(……と言ってもエリクソンは私より一歳若いだけですけど……)お薦め作家を発見したワクワク感を、来週のマルマガ巻頭言に書く予定です。あと2冊読まねばなりません。(汗)

明日水曜日と明後日木曜の2日間も〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉で仕事がありますが、この機会にエリクソンの3冊目を購入しようと思っています。先に誰かに買われると困るので書名はまだ内緒です。そして明日の電車往復時と昼休みには『アムニジアスコープ』を読むつもりです。

なお、柴田さんの書棚」からの売上は次のように使われるそうです。素晴らしい。


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以下、私の個人的感想です。具体的な話ではありませんので、誤解のなきようお願いします。

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の構想の初期には「シェアード・オフィス」の概念が強かったのですが、最近この要素も残しておいても良かったと思っています。〈PASSAGE〉書店の日常運営と、もっと経営よりの仕事および、母体であるALL REVIEWSの仕事などが、書店内または隣接のオフィスで出来ると非常に効率的だと思うからです。仕事を自宅に持ち帰るのは体に良いとは言えません。午前中つまり営業開始前の書店内をこの目的で使うという次善の手はあるのかもしれません。なにか工夫して、皆と相談してみます。

とりあえず、サンマルクカフェで始めるとしますか。

「絶版本で怪著」とは購買欲が3倍増?

 スティーヴ・エリクソン著、柴田元幸さん訳の『ゼロヴィル』をもうすぐ読み終わります。すっかり気に入ったので、スティーヴ・エリクソンの他の小説も読みたくなりました。図書館で『アムニジアスコープ』という本を借りてきています。まだ読んではいません。


今日、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉に顔を出したら柴田元幸さんの棚に『アムニジアスコープ』があるのに気づきました。大型の付箋が見返しの部分に貼ってあり、『絶版本です。怪著。』とコメントがあった。たまらず、レジにいそぐ。破格の安値。うれしい。サインも入っていました。

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の「BOOKS HIRO」関連の話題。

(1)新規アルバイトのYさんに書影の上手な撮り方を教えていただいた。

いわく、「iPhoneのメモ帳→入力画面→📷マーク→書類をスキャン→保存」

(2)書棚経営に関するオファーはとりあえず棚上げです。(*^^*)

(3)棚主様の持ち込み書籍の取り扱い方法。PASSAGEシステムへの商品登録はほぼ出来るようになり、次の段階、Squareシステムへの商品登録データの受け渡しおよび書籍のサイズチェック結果の反映もなんとか出来るようになりました。とはいえ、独力ではまだ心もとないところもあり、習熟が必要です。来週あたりには完璧にしたいと思います。マニュアル化もしておきたいところ。

(4)帰ってから本棚を捜索し沢村貞子『わたしの献立日記』を見つけ出しました。これは即刻「日記文学」の仲間入り。



2022年5月29日日曜日

『稀書探訪』が届いた

国会図書館デジタルコレクションで本を検索した後出る「書誌情報」の下部に「古書店データベースで探す」というリンクが有り、ここを踏むと「日本の古書店」に行けるという仕組みを発見しました。

以下のTweetでも紹介されています。

https://twitter.com/sumida01/status/1530359877675401216?s=21&t=5S2Hv6Ve_cqFyVQ5JOD8UQ

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〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の「BOOKS HIRO」関連の話題。

(1)辻邦生『モンマルトル日記』の文庫本を物置から探し出しました。

(2)『鷗外選集21巻 日記』と『臨床読書日記』を搬入し、購買可能にしました。

(3)『斎藤茂吉全集 29巻』日記1が古書店から届く。よく読んでから、良ければ、出品するつもりです。

(4)『稀書探訪』が届きました。これは楽しみに少しずつ読みます。

 


(5)今日はお店番に行きましたが、夕方6時過ぎにどこかで見たことのあるおかたが到着。川本直さんでした。月刊ALL REVIEWSのYoutube放映出演のためにいらしたそうです。さっそく『ジュリアン・バトラーのの真実の生涯』の愛読者であることをお伝えしたら、私の書いたメルマガ巻頭言やブログのことを覚えていてくださったらしく、その旨お言葉をいただきました。光栄。

(6)書棚の経営の件であるオファーを受けたがどうするか検討を開始します。明日には結論を出すつもりです。 

ジジバカ読書日記と改名します(嘘)

このブログは「読書日記」なので、あまり私事には触れたくはないです。しかしやはり一歳半の孫と遊ぶ楽しさについて書かずにはいられなくなります。毎週土曜日は母親勤務中の孫の世話に往く、または孫がやってくるのがここ1年恒例となっています。彼は、保育園でなんらかの病気を貰ってくることを繰り返していましたが、1年通っているうちに、丈夫になったのか、このごろは熱も出さずに、元気いっぱいです。今日は掃除のお手伝いもやってのけました。大人がやることを見ていて、大抵のことは一回で覚えるらしいです。


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孫のところに行く場合は、電車に30分ほど乗ります。この時間は貴重な読書時間となります。今日は、『ゼロヴィル』の後半を読みました。古い洋画ファンならこの本を読むと、「ノスタルジックに抱腹絶倒」するでしょう。無数の映画が縦横に引用されており、訳者の柴田元幸さんも頑張って注釈を書いていますが、すべては解説しきれていないようです。私はもちろん素人洋画ファンなので、限られた映画しか思い浮かびませんが、ここはなにかのパロディーだろうというところはわかります。映画の題名や、俳優の名前などあまり知らないが、エリザベス・テイラーとモンゴメリー・クリフトが出たのは『陽のあたる場所』ということは知っていました。シェリー・ウィンタースも出ており、後に『ポセイドン・アドベンチャー』で英雄的な役をやったのも覚えていますが、これはこの本の内容には関わりがないでしょう。しかし、どちらの映画でも「水難事故」に関わる役ということで誰かがどこかでほくそ笑んでいるような気もします。

著者のスティーヴ・エリクソンの書きっぷり(翻訳しか読んでいないのに生意気な言い草ですが)に魅せられて、新たに同著者の「自伝的小説」と言われるらしい『アムジニアスコープ』も借りてきました。


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買えばいいのですが、昨日から今日にかけて、鹿島茂さんの『稀書探訪』と、斎藤茂吉の全集の一冊(日記)を買ったばかりなので、小遣いが尽きています。しかたありません。 

2022年5月27日金曜日

〈PASSAGE〉の書棚「BOOKS HIRO」に追加するメイン商品を検討中

昨日『トーマス・マン日記』がすべて売れてしまった。嬉しいのですが、なぜか少し寂しい気もします。

気を取り直して、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の書棚「BOOKS HIRO」に追加するメイン商品を検討し始めています。『トーマス・マン日記』に匹敵するようなものとしては、手持ちでは『鷗外全集(または選集)』の日記の巻か、『斎藤茂吉全集』の日記の巻が考えられます。後者は岩波の旧版全集で6冊あり、『トーマス・マン日記』10巻(出品したのは手持ちの5巻)に対抗できるでしょう。

とりあえず、読んでみないと話にならないので『斎藤茂吉全集』の第46巻をもちろん中古で購入手続しました。届くのは6月1日頃になりそうです。それまでは、国会図書館デジタルコレクションで読むことにします。

斎藤茂吉全集. 第46巻 (日記 第1)
出版者 岩波書店

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このブログのレイアウト変更を行いました。過去記事も簡単に見ることが出来るように、「テーマ」の変更を行いました。内容やブログの書き方も改善しようと思います。



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『国立国会図書館月報』 733(2022年5月)号

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_12233022_po_geppo2205.pdf?contentNo=1#page=8

この中のOCRに関する記事がオモシロイです。

2022年5月26日木曜日

ファンタジー小説を初めて読む、『星宿姫伝 しろがねの誓約』

早朝1時間かけて、菅沼理恵さんの『星宿姫伝 しろがねの誓約』(角川ビーンズ文庫 Kindle版)残りを全部読みました。ファンタジー小説には縁のない読書生活をしてきて、これを初めて読んだのですがとてもおもしろく読めました。「斎宮」の役割の書き方など勉強にもなりました。

続きを読むべきか、考慮中。著者様とまた会う機会がありそうなので「相談」してみます。


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Twitterからの情報:

https://www.kotensinyaku.jp/tag/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%A8%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%99%E6%97%A5%E3%80%85/

高遠先生の「プルーストと暮す日々」連載記事。

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午後、半分くらいまで読んだ『ゼロヴィル』が抜群にオモシロイので、スティーブ・エリクソンの小説翻訳版を図書館でもう一冊(『アムニジアスコープ』)追加予約しました。この人は何者なのでしょうか。

https://w.wiki/5CsH

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今日NDLで見つけた「日記文学」

気紛れ日記 : 魯庵随筆 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書
内田魯庵 著[他] (双雅房, 1936)
目次:氣紛れ日記 


紙魚繁昌記 : 魯庵随筆 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書
内田魯庵 著[他] (書物展望社, 1932) 
目次:銷夏日記 

↑これは抜群にオモシロイ。

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そうこうしているうちに、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉からメールが届きました。なんと、「BOOKS HIRO」の書棚から、『トーマス・マン 日記〈1935~1936〉』と『トーマス・マン日記〈1940‐1943〉』が売れたということです。これで、出品していた5冊が全部売れたことになります。1年位はかかるだろうと思っていましたが、4ヶ月弱で完売です。

少し驚くと同時に、どんな本でも、この世には誰か一人くらいは買う人がいる、という鹿島茂さんのご託宣は正しいと改めて思いました。PASSAGE棚主の行方は明るいようです。

目玉商品が売れたので、今残っている『森有正全集(日記)』と並ぶようなものを急遽見繕わなくてはなりません。いよいよ奥の部屋(物置と言っても差し支えない)の本格探索を行います。 

2022年5月25日水曜日

国会図書館デジタルコレクション(NDL)の個人送信を活用した「日記文学」リストを作り〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の書棚に置きたい

今朝、TwitterのTLを眺めていて教わった情報は、素晴らしく有益でした。

「あらゆる調べ物の出発点は「NDC」」 https://diamond.jp/articles/-/303081

「「次世代デジタルライブラリー」というポータル」 https://lab.ndl.go.jp/dl/

「レファ協DBの読み方」 https://www.libro-koseisha.co.jp/webcolumn_category/mail-reference-chips/

『哲學研究』(【附属図書館学術支援掛】) https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/269265

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上記の先達たちにならって、私も国会図書館デジタルコレクション(NDL)の個人送信を活用したいと思います。手始めに練習として自分が6歳のとき(1955年、これはトーマス・マンの没年)に出版された本で、「日記」というキーワードで絞られた本。つまり検索キーが、「図書」、「1955年」、「日記」で引っかかった本700冊ほど、の中から面白そうなものを探しました。これは近い将来リストを作って共同書店〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の中の「日記文学」の書棚「BOOKS HIRO」に置きたいと思います。リーフレットにして、無料サービスとしてリアルな本に差し込むのが良いかもしれません。

(以下のリンクから実際にNDLに行って読む場合は先に
NDLのトップページ( https://dl.ndl.go.jp/ )に行って、
以下のエントリーから「ログイン」をしておく必要があります。)


以下が今日作ったリスト(のプロトタイプ)です。実際にはもっと説明が必要か?)

井の中の蛙 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

越路吹雪 著 (創芸社, 1955)  

内村鑑三著作集. 第20巻 (書簡・日記 第3) 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(岩波書店, 1955)  

内村鑑三著作集. 第21巻 (書簡・日記 第4) 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(岩波書店, 1955)  

岸田国士全集. 第10巻 (評論集 第3) 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(新潮社, 1955)  

目次:日記について
目次:妻の日記 

斎藤茂吉全集. 第49巻 (日記 第4) 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(岩波書店, 1955)  

#これを読むと斎藤茂吉はいかに鰻が好きだったかわかります。「茂吉全集」の特に日記の部分は必読といえます。

斎藤茂吉全集. 第50巻 (日記 第5) 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(岩波書店, 1955)  

青春日記. 上 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(近代文庫) / トルストイ 著[他] (近代文庫, 1955)

青春日記. 下 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(近代文庫) / トルストイ 著[他] (近代文庫, 1955)

漱石襍記 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(角川文庫) / 小宮豊隆 著 (角川書店, 1955) 
目次:日記の中から 

知性. 2(10) 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 雑誌

(知性社, 1955-10)  

目次:トーマス・マンの亡命日記 東ベルリン / K 

トルストイ全集. 第42 (晩年の日記 下) 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

原久一郎 訳 (大日本雄弁会講談社, 1955)  

目次:晩年の日記(下) 
目次:秘密の日記(一九〇八年) 

マルテの日(手のまちがい?)記 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(河出文庫) / リルケ 著[他] (河出書房, 1955)  

娘が空を見上げるとき 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書

(それいゆ新書) / 中村メイコ 著 (ひまわり社, 1955)  

目次:私の放送日記から 

うーん、楽しい。(楽しいのは私だけかもしれません。) 

2022年5月24日火曜日

「新しいことと古いことは夢を介してつながっている」ことが解るのが老年の楽しみか

昨日入手した「マッチングブックス」の一冊を読み始める。読み終わったら題名を公開するつもり。「SF映画好き」向けの本なのだが、どこがそうなのかと最初は思った。あとがきを読むとこの作品は当初からエンターテインメントとして構想されていたという。検索をかけてみると、同一題名のアニメーション映画も作られたようだ。なるほど。そしてこのアニメも観ておこうと思う。


昨日ひょんなことから知った『星宿姫伝』もそうだが、こういった私にとっては「新しい」作品の世界にも目を向けるのが必要だと、思い始めた。

一方、メルマガ巻頭言で『ゼロヴィル』が取り上げられたのでこれも、図書館で借りてきて読み始めた。映画へのノスタルジックな興味は誰でも持っているだろうが、それと「夢」との関連を語る作品だろうか。さきほど、ヤクルト1000でなく、ヤクルト400を読んだので今夜どんな夢をみるのかが、楽しみだ。


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国会図書館デジタルコレクションの活用を考えた。今回個人が読める範囲が増えたので、手に入りにくい本を皆がたくさん読める。自分の書棚のテーマ「日記文学」に関連した本や雑誌記事がたくさん見つかる。著作権保護に抵触しないように、「日記文学」というテーマに関連した文章を「紹介」するドキュメントを作り、それを書棚に置いて配布できるかを検討する。検討しすぎると実現しない可能性があるので、なるべく早く(今週中ぐらいに)プロトタイプを作り、書棚に設置したい。当面は無料配布にしたい。

「仮想図書館の作り方」も文章にして、一緒にドキュメントに収めるのがいいだろう。 

……これは「白昼夢」?

2022年5月23日月曜日

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の仲間はゆっくり確実に増えていく

 本日も昨日に続いて、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉で休憩一時間以外の6時間、バイトした。昨日同様に、疲労が溜まるということはなかった。新しいバイトの方も後半だけだが、いらっしゃったからか。書評家棚主さんの郵送書籍の登録作業の概要をご説明し、実際に登録を行いながら説明する。10冊弱行い、結果のチェックもやっていただく。その後、郵送時のサイズチェックと配架までやっていただいた。ほぼ最初の説明の内容だけで出来るようになった。最後に今日やったことの手順を自力で書いていただいた。それをチェックして今日は終了。

ノーベル賞を受賞した物理学者ファインマンが言った通り、物事を学ぶ最良の方法は、それを他の人に説明することだ。再認識した。私がいままでおこなってきたこともメモで整理してあったが、それを説明すると自分ながら感心するほどよく分かるようになった。「書く」ことも大切だ。

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夕方「KURINOKI Books」様の、入荷・登録処理をさせていただいた。ブラインドブックというか「マッチングブックス」を500円で購入。買うときには中身はわからない。わくわくしながら帰りの電車で開けてみた。「SF映画好き」向けの本であるそうだが、まさにピッタリの本だった。ヒマを作って読もうと思う。

が、また目がふさがりそうになったので今日はすぐに寝ることにする。

2022年5月22日日曜日

『まあちゃんこんにちは』(山本祐義著 昭和35年発行 文藝春秋新社刊)を当時読んだ方いますか

『まあちゃんこんにちは』(山本祐義著 昭和35年発行 文藝春秋新社刊)を国会図書館デジタルコレクションで読み終えた。当時のベストセラーで、私も読んだ記憶がある。山本祐義青年が米国の名門高校に一年間留学した経験を書いており、とても面白かった。サリンジャーの『ライ麦畑……』のような一節もある。

留学生が母親に書き送った日々の手紙をあまり手を入れずにまとめたようで、これを「日記文学」の範疇に入れて、再来週あたりに、BOOKS HIROに搬入するツモリfでいる。


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今日は〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉で店番他のバイト業務をおこなってきた。途中休憩ありでも6時間は長いと思ったが、意外に疲れない。好きな読書の話を、お店にいらした他の棚主さんと出来るからだろう。

夕方にわか雨。 

ALL REVIEWS友の会新年度懇親会が開催された

Book Review's Storeというサイトを発見!「週刊読書人」と「図書新聞」の2大書評新聞のPDF版販売に特化した販売ページで、見るだけでも参考になる。

https://dokushojin.stores.jp/

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ALL REVIEWS友の会新年度懇親会が開催された。鹿島茂さんをはじめ会員などのお子様も含めて17人程度参加。盛会だった。やはり今後は友の会とPASSAGE by ALL REVIEWSとのより有機的な結合が求められるというのが、多くの見解。


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上記懇親会に先立って、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉に行った。レジに鹿島茂さんの新著『稀書探訪』がすでに置いてあった。しかもサイン入り。いささか手元不如意なので、購入にまで踏み切れず。恐縮。林望さんの棚に行き、『羈旅十歳』の初版本を買おうとしたら、すでに売れていた。タッチの差だったのかも知れない。

しばらく棚を眺めて、『日記をつける』(荒川洋治著 岩波現代文庫)を購入。私の書棚に収める本の選定に役立ちそうだ、そしてこの本自体が面白そうだ。 



2022年5月20日金曜日

『文体の舵をとれ』の練習問題回答を持ち寄っての合評会(ALL REVIEWS友の会の執筆研究部の催し)は、第5回を迎えた


 『文体の舵をとれ』の練習問題の回答を持ち寄って合評を行う、「文舵会」(ALL REVIEWS友の会の執筆研究部の催し)は、早くも第5回を迎えた。その概要記録を書いておく。

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第5回「文舵会」無事終了しました。おつかれ様でした。(立ち上がりでZOOMの操作を間違え、しかも途中で自分(hiro)の古いMacBookがシャットダウンしてしまい、大変ご迷惑おかけしました。すみません。)

参加者:R、S、Y、hiro

日時:5月20日20時30分〜22時15分。

内容:『文体の舵を取れ』第5章の練習問題(形容詞も副詞も使わず書く)を実施。

・余分な形容詞・副詞をとりはらって書くことにより、情景描写がクリアに、リアルになる。

・このように書いてみると、自分の真の気持ちがわかるようになる。それは読み手に伝わる。

・エッセイにも向いた書き方かもしれない。

・空気感も伝わるように書く。言葉を精選しながら書くべき。

・ここぞというときにだけ副詞や形容詞を使うと、効果的になる。

・論評の途中で出てきた作家、作品は、辻邦生『海そして変容 パリの手記1』、ヘミングウェイ、星新一、村上春樹。

・次回は6月17日、20時半から。回答提出締切は6月10日(予定)です。

次回も楽しい課題が待ってるようです。

以上です。 

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上記以外はすべて国会図書館デジタルコレクションを使った読書に費やす。楽しい。

第一は『まあちゃんこんいちは』、半分ちかくまで読んだ。傑作だ。若くしてこれを書けるのは素晴らしい。著者山本祐義さんの兄君は高名な物理学者の山本祐靖さんだった。(昨年ご逝去された。)

他に、つまみ食い読書したなつかしい本たち。

『航空の驚異』(中正夫著 偕成社 昭和26年刊)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1629661

ケネス・グレアム『ヒキガエルの冒険』

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1633084

(参考:創元社(SogenSha)/世界少年少女文学全集 全50巻 1953-1956年

    https://ameqlist.com/0ta/tsogen/jzen.htm )

くるみわり人形。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1633110

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〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の私の書棚「BOOKS HIRO」の本が昨日から今日にかけて3冊売れた。『トーマス・マン日記』が2冊!!!、池波正太郎の『銀座日記』も。

今週末に補充に行かなくてはならない。

2022年5月19日木曜日

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉と『稀書探訪』とは不思議な呼応関係にあると思う

国会図書館デジタルコレクションの個人向け送信サービスは、正式には本日から開始された。昨夜からアクセスが可能だったので、夜通し読んだのは、若い時熱中して読んだ思い出の本。たとえば、昨夜は新潮社の世界文学全集で、サガンの「ある微笑」を読んだ。50年前にいいなと思った文体、またはコトバの調子は、今読んでも至福感を呼び起こしてくれる。この1960年ごろ刊行された世界文学全集は、実家の応接間の飾りで置いてあり、半分くらい読んだ記憶がある。大学2年の春休みに火事で焼けてしまった。この機会に何冊か読み直したい。
(参考) https://ameqlist.com/0sa/shin/zen_1960.htm

『金星のなぞ』これも昨夜から、今日の午前中にかけて読み終えた。小学生のころに読んだもの。『少年少女世界科学名作全集』の一冊。昭和36年刊なので、小学6年のときに読んだのだろう。

下記の理由で、午後は出かけたのだが、電車内では、iPhoneで『まあちゃんこんにちは』を読む。山本祐義さんが書いた当時としては珍しい高校生の米国留学記。これも、昭和36年刊。ベストセラーだった記憶がある。電車のなかで古いがオモシロイ作品を探して読めるということに対しては、いい時代だと言うしかない。この本は今読んでもとても興味深く、「日記」にも近いので、古本をさがして〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の自分の棚で売ってみようかとも思う。とりあえず最後まで目を通してからだ。

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寝不足の目をこすりながら、日比谷図書文化館へ出向く。


『鹿島茂コレクション『稀書探訪』の旅』展の内覧会の招待状をいただいたからだ。12年間144回にわたってANAの機内誌に書き続けた記事「稀書探訪」を書くにあたって、鹿島茂さんは実際に「稀書」を古本屋さんで買い漁ったのだ。これはスゴイ(または物好きがすぎる)としか言いようがない。古書を買い漁り、それについて書く。

不思議なことに古書は集まるとその故に価値を生み出す。書かれた記事も集めると、新しい価値を生み出す。これらがもっとスゴイことである。これは正にいま〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉界隈で起きようとしている読書革命、読書ユートピアの発生にも符合するのではないか。5月末には記事はまとまって『稀書探訪』という本になる。平凡社刊。税込み4400円。値段以上の価値がある本になるだろう。


2022年5月18日水曜日

リンボウ先生熱が再燃、それは〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉のおかげだ

 国会図書館デジタルコレクションの個人向け送信サービスが、まだ前日の23時だが、始まっているようだ。最初に見たのはこの画面。『堀辰雄作品集. 第1 (聖家族)』のなかの詩のページ。


植草甚一の雑誌記事も!


最初に個人としてログインをしておく必要がある。これは、国会図書館内でやるのと同様だ。

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リンボウ先生熱が再燃、それは〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉のおかげだ。

(1)『謹訳 徒然草』(林望著 祥伝社)を借りてきた。面白そうだし、「日記文学」と捉えることも出来そうなので、読み終えてから再考の上、新刊仕入れシステムを使って、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の自分の書棚で売りたい。なぜ、この本を読み始めるのかと言うと、

(2)5月14日に行われた『国文学研究資料館 創立50周年記念講演会』のオンライン配信のアーカイブで、リンボウ(林望)先生の「『徒然草』を読む楽しみ」を視聴できたから。アーカイブへのリンクはこのページに有る。

https://www.nijl.ac.jp/pages/kokubunken_50th/lecture.html

なぜ、アーカイブを視聴したかと言うと

(3)林望先生の書棚が〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉にあり、恐れ多くも私の書棚の近所なのだが、その中の古書のデータのチェック(昨夕おこなった)の際に、ある書籍の題名の入力ミスを発見しそこねた。今日になって気づき、慌てて訂正したからだ。この際にいろいろ調べていてオンライン配信の存在に気づいた。叱られそうだが「怪我の功名」。

ある書籍とは昭和17年発行(つまり初版本)の『羈旅十歳』(三好達治)。あろうことか『羈旅』を『羅旅』と開店時のデータ入力で誤入力していたのを昨夜のチェックでも見逃していた。題名の意味を考えれば容易に間違いに気づくべきだが、ボンヤリしていたとしか思えない。加齢による認識能力の衰えのせいにはしたくない。リンボウ先生と私は同じ年に生まれていて、先生には衰えはみられないからだ。


この本は今も〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の林望の棚(Rue Balzac の8番地)にある。3,000円である。貴重な本がリーズナブルに手に入るので、私が次に行く土曜日閉店時にまだ残っていたら、購入するつもりだ。


〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の自分の書棚に新たに2冊追加した

今日もPASSAGE by ALL REVIEWSにお手伝い(はっきり言うとバイト)に行った。休憩時間を利用して自分の書棚に本を2冊追加した。以下の告知ツイートを帰りの電車で行った。



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『神谷美恵子著作集(補巻1) 若き日の日記』の「商品の説明」はこうした。

著:神谷 美恵子 月報付き。

hiroのひとこと:戦時中に書かれたもかかわらず、「若さのもつ力と可能性」を感じさせる日記です。おすすめです。

中古本の性質上、カバーのイタミ、ヤケ、汚れ、書込みやマーカー、ページの折れ等ある場合がございます。商品の詳細なコンディションをご確認頂きたい場合には、必ずご購入前にお問い合わせをお願い致します。



 

山下清の『ヨーロッパぶらりぶらり』の「商品の説明」の一部はこう。

著:山下 清

hiroのひとこと

曇りのない目で見つめたヨーロッパを、絵のように細密な筆で描いた旅日記。読めば目からウロコがぼろぼろと落ち、そのうちに自分もまた旅に出たくなる。

売れるといいが。いいという意味はこれらの本は本当に「生きる」うえで重要なことが書かれており、その上読んで楽しいので、一人でも多くの人に読んでほしいからだ。 

2022年5月17日火曜日

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉は今日から12時に営業を開始

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の営業時間が、きょう5月16日から、12時〜19時となった。たまたま店番お手伝いの日だったので、12時に間に合うように出かけた。最寄り駅から神保町駅までは急行でほぼ1時間かかる。10時半には家を出ないといけない。昼食は途中の休憩時間に、小諸そばに行って済ませるつもりで朝食を少し多めに食べておいた。

12時に開店した。お客様はまだそれほど多くない。雨のせいもある。

15時まではレジを担当しながら、そしてその後は奥の机で、Kさんの本の書影をとり、新品の本以外には「中古本の状態に関する注意」を入れる。数が多いのだがこれが済めば、オンラインで販売できる。

1970年前後の「スクリーン」誌の書影をとるのは楽しい。往年の女優さんの写真がたくさん。ジョアンナ・シムカスなど、懐かしくて涙が出そうだ。


夕方、このシゴトを正式なバイト契約でやるべく、手続きをする。これで、バイト代金がいただければ、もっと本を仕入れることができる。仕入れると言うより、「読む」ための本のほうが圧倒的に多いだろう。バイトを通じて、読書に関するユートピアを作るという自分なりの理想を追求していきたい。

15時昼食、親子丼。

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行き帰りはステープルドン『スターメイカー』を読み続ける。「わたし」(というより以前「わたし」だった、「意識」)。夢のような話が続く。

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帰宅後、「文舵会」第5回の資料(「回答集」)を作る。

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「読書」という観点からすると、本を読む時間がとれていない。積極的に本を読む努力をすべし。今12時、眠くなった。ので今夜は本が読めなかったということになる。 

2022年5月16日月曜日

PASSAGEで鹿島茂さんのサイン本『歴史の風 書物の帆』を購入した

 PASSAGE運営の方から棚主宛のメールが来た。ポイントは2つ。

1つ目は〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の営業時間が、明日(これを書いている今はもう今日だが)5月16日から、12時〜19時となること。

2つ目はPASSAGE新刊書仕入れシステムの(試験的)方法。

今日もそうだったが、明日も店舗運営の手伝いに行くので、1番目は重要な話だ。いままでは15時開始だったので昼食後でかけて間に合ったが、明日からは昼食前に出かけないといけない。途中で休憩時間をもらって遅い昼食をとることにする。それより、12時開始でお客様がどの程度増えるのかが、楽しみと言える。

PASSAGEで鹿島茂さんのサイン本『歴史の風 書物の帆』を購入した。書評を読んだり書いたりするには必読の本だろう。何回か図書館で借りて読んだが、やはり手元に置きたい本だ。


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今日も電車の往復で、『スターメイカー』を読む。「わたし」ははじめて訪れた奇妙な世界を離れ、そこで知り合った「哲学者」と別の世界を求めてふたたび旅に出る。「わたし」が経験する、肉体をはなれた精神の浮遊感覚は、自分がときどき見る夢の中の感覚と似ている気がする。精神の活力が鈍ると浮遊が困難になるところもそっくりだ。134ページまで進んだ。全部で400ページ以上あるのでまだまだ。

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出かける前に読んだ『編集者 漱石』はいよいよ佳境に入ってきた。亡き子規のやっていたことをなぞる漱石。文学だけでなく、絵の趣味までも。まだまだ子規の偉さにまでは達していないようだが、その模倣の延長上に「編集者」への道がひらけるのだろうか。『吾輩は猫である』で一躍有名になって、偏屈な漱石のもとにも、人が集まるようになった。自然とリーダーになりつつあり、リーダーの行動の一環として「編集」の技が必要になるのだろう。


2022年5月15日日曜日

『おじいちゃんの小さかったとき』(塩野米松 文 松岡達英 絵 福音館書店)は非常にオモシロイ絵本

昨日、図書館で借りた『おじいちゃんの小さかったとき』(塩野米松 文 松岡達英 絵 福音館書店 刊)は私とほぼ同年代の「おじいちゃん」(と書くのは業腹だけれど)が、子供時代を思い出して作った本らしい。


なつかしい事柄が次々と描かれている。例えば……

空き地、ビー玉、メンコ、囲みくぎさし(と言っていたかどうか定かでないが本の絵をみるとまさにやっていた遊び)、肥後守、ゴムの短靴、うまとび、磁石付きの水筒、とったイナゴを入れる手ぬぐい製の袋、くず湯、やっこ凧模型飛行機(レッドピニオン)、輪ゴム鉄砲、薪運び、糸巻き戦車、幻灯機、竹スキーなどなど。

昭和30年代の私の周囲の遊びはたしかにこんな感じだった。孫が大きくなったらみせてやろうと思ったが、説明しきれないような気もする。でも、ぜひやってみたい。

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同じく借りてきたステープルドンの『スターメイカー』(浜口稔訳 ちくま文庫)を、孫の世話の行き帰りの電車で読む。難解とされているようだが、天文学を趣味としている人にはそうでもない。特に困難をきたさずに、50ページまで読んだ。時空を超えてある人物の意識が伸び縮みする。こう書くことは今やそう不思議ではない。でも。これを80年くらい前に書いたということが、信じられない。

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ジェラルディン・ブルックス『古書の来歴』(森嶋マリ訳 ランダムハウス講談社)。おもしろくかつ読みやすそうだ。

これらと、『編集者 漱石』を多数並行よみ。大丈夫か。大丈夫だろう。

 

2022年5月13日金曜日

『週刊エコノミスト』掲載、黒崎亜弓さんの「シェア本屋」の記事を読んで考えた

 『週刊エコノミスト』は「ジャパンナレッジ Personal」(有料)でも読めることに気づいた。そこで、先日の黒崎亜弓さんがお書きになった「特集 シェア本屋 本は一棚、店番は一日 誰でも“本屋”に」を読み直す。あらためて黒崎さんの取材力に感心した。そして、〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の自分の本棚の内容を充実させたいと、あらためて思った。充実のためには、私の場合時間をかけてもっと本をたくさん読む必要がある。手持ちの本だけではたりないことという事もある。

他の棚主さんの品揃えをもっと良く研究しなければならないとも考えた。どの棚を見ても勉強になるし、なにより読みたくなる本ばかりなのだ。


ところで、新刊書も八木書店さんを通じて入手できるようになる(なった?)らしいが、まだその方法がわからない。これから調べることにした。

この件に限らず、細かい疑問点はたくさん湧いて出てくる、お忙しいPASSAGE運営の方の手を煩わすこと無く、棚主同士の自発的で自由なノウハウ交換で大部分が解決できるようになればと良いと考える。棚主同志の親睦にもつながり、最終的に〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉の発展にもつながるようにしたい。

近々あるだろうと予測している、SNS上の「棚主コミュニティ」の発足が待たれる。

2022年5月12日木曜日

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉も読書家にとっての「移動祝祭日」としたい

来週開催予定の「文舵会」。(ALL REVIEWS友の会の執筆研究部内でやっている、執筆の勉強会。『文体の舵をとれ』の練習問題の回答を各自持ち寄って合評する。)

今回の課題はこれだ。(訳文 大久保ゆう さん)

〈練習問題⑤〉簡潔性

1段落から1ページ(400〜700文字)で、形容詞も副詞も使わずに、何かを描写する語りの文章を書くこと。会話はなし。

(中略)

すでに書き上げた文章を、磨いて〈簡潔に〉仕上げるのもよい。それも面白そうだ。


ということで、5年ほど前に書いた「フランス旅行記-アヴィニョンからパリへ」

( https://hfukuchi.blogspot.com/2009/10/blog-post_21.html )

というブログの文章から形容詞や副詞を剥ぎ取ってみることにした。元の文章は長すぎるので、贅肉(正岡子規の言うところの「写生文」になっていないところ。例えば個人の感慨。)も剥ぎ取る。

一応できたので、これは明日朝テニヲハを直して回答用フォームで送ることにする。

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新宿のIデパートに買い物に往くことになり、途中の電車で読むものを探した。『移動祝祭日』の文庫本がよさそうだ。翻訳ではあるが今回の練習問題を考える上で参考になりそうだ。『日はまた昇る』も良さそうだが、全集の端本しか持っていないので、重いということで却下。第5章のはじめの文章(以下)のみ目を通しておいた。

晴れた朝だった。リュクサンブール公園のマロニエの木は花ざかりだった。暑い一日の早朝らしいさわやかな気分があふれていた。(訳文 大橋吉之輔)

『移動祝祭日』では、ヘミングウェイが感じたシェイクスピア書店のシルヴィアのやさしさ。無名だがみどころのある作家とひと目で見抜いた眼力。一見にもかかわらず身元も確かめずに本を何冊も貸し出す大胆さ。これらにしびれる。PASSAGE by ALL REVIEWSでも参考にしたいものだ。と考えて読んでいたので文体の勉強にはならなかった。


2022年5月11日水曜日

『編集者 漱石』(長谷川郁夫著 新潮社)、漱石の帰国で風雲急を告げそう。

長谷川郁夫さんの『編集者 漱石』(新潮社)を読み続ける。120ページまでやってきた。漱石は明治35年12月5日に「短い」留学期間を終え、ロンドン・アルバート埠頭から日本郵船の博多丸で日本へ帰ることになった。留学中に小さな文字で(ノートが嵩張るのを恐れたのだろう)書き溜めたノートは6寸の高さだったという。これが留学の成果で形になったもの。しかし、長谷川郁夫さんは吉田健一より優しくて、英国の街や山野を歩き回った漱石はそこここに充満する思想の粒子を全身で吸収したはずだと書いておられる。私もそう信じる。


この本は『編集者 漱石』という表題だが、この120ページまでで、「編集者」であったのは、早熟であらなければならなかった正岡子規だった。五高教授にまでなっていながら、まだ人生の方向性が定まらない漱石にくらべ、漱石の莫逆の友子規は大学を卒業せずに、社会の荒波の中で文学一筋に生きた。かならずしも本意ではない「ホトトギス」の編集者の役割も立派に務めた。その奮闘が病気を助長させたのは間違いない。しかし、その病気すら文学の材料とするプロ意識を子規は持っていたと言える。

子規の死のしらせをロンドンで受け取った漱石は、親友の死を嘆いたが、これを機会にみずからも一生をかけて文学をやるという決心を一層固めたのではないだろうか。その後の漱石の行く道、そのなかで「編集」というシゴトがどのように顕現するのかは、これからのこの本を読む楽しみである。

以下は、読んでいて気づいたことがら。

子規は「写生文」という大発明を明治の文学界にもたらした。

106ページの、「明治33年10月5日記事」の抜粋の抜粋。

「何の山何の川に遊びて眺望絶佳愉快極らず抔(など)と書ける類も少からねどこれも読者には何等の愉快をも与へず候。其山其川の景色が読者の眼前に彷彿たる迄に叙しあらば善けれども、……」

これはみごとな「写生文」の説明になっている。

もうひとつ。

「又文章の時間(テンス)は過去に書く人多けれど日記にては現在に書くも善きかと存候。貰つた、往つた、来た、立つた、と、『た』ばかり続く代りに、貰ふ、往く、来た、立つ、とすれば語尾も変り且つ簡単に相成申候。」

こんなことを、子規は枕頭で開かれていた「山会」で言って後輩を指導していたという。あっぱれな編集者であったと私も思う。そして、長生きしてほしかったとも思う。

ところで、子規の「獺祭書屋日記」をBOOKS HIROに入れたくなってきた。

2022年5月10日火曜日

心楽しい73歳の誕生日

今日は気楽なことをやって過ごすことにした。クリフォード・ブラウンのLPレコードを探しだした。(もっとあったような気もするが、貧乏学生時代に必死で買ったので、枚数を過大評価しているかも知れない。)ホコリをはらって並べてみる。聴くのは明日。





ニック・カタラーの『クリフォード・ブラウン 天才トランペッターの生涯』の巻末ディスコグラフィ(作成 は訳者の川嶋文丸さん)と突き合わせていたが、どうもうまく行かない。よく見たらこのディスコグラフィはCDを元にして作成されている。


LPならやはり、「Discogs」

https://www.discogs.com/ja/artist/259082-Clifford-Brown?query=MORE%20STUDY%20IN%20BROWN

に頼るのがよさそうだ。

レコードのライナーノーツやDiscogsの記事を眺めていると、時間はあっという間に過ぎていく。学問としての「ディスコグラフィ」を追求してみるのも面白そうだが(時間数)

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聖書内容を検索して対象部分を読めるサイト。便利。

https://www.bible.or.jp/read/aidoku.html

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73歳の誕生日プレゼント二つ。

棚主仲間のフネートル・KYさんから。コゼット(レ・ミゼラブル)のトートバッグ。

Jからの薔薇。


そしてひさびさの鰻はうまい。七尾の黒作りも。



樋口直美さんの『「できる」と「できない」の間の人』(晶文社)を読むと元気になれる


昨日日曜日。PASSAGE by ALL REVIEWSへの往復の電車内で樋口直美さんの『「できる」と「できない」の間の人』(晶文社)を読みおえてしまった。少し疲れていた帰りの電車でも集中して読めたのは、この本の内容の素晴らしさと、簡潔でしかも味わい深い文体のせいだろう。

著者の言う〈誤作動する脳〉をもたらす病気そのものではないが、私も〈老い〉による認知力の衰えを実感し始めている。著者はそのような私にも「救い」の手を差し伸べてくれるような気がした。これはいままでの常識では考えられないことだ。できないことが増えてきたら、それは「我慢」して切りぬけ、できることをささやかに少しずつ行いながらひそやかに生きる、というのがいままでの常識だったような気がする。

著者はそうではなく、自分の衰えをオープンにし、自分の好きなことを積極的にやるというスタンスをとるように勧める。

最後の方の一節を書き抜いてみる。

「人と社会とつながること。本人の望む仕事やボランティア、趣味など、役割や生きがいを持ち続けること。それが、その人の脳にも心身にも周囲との関係にも、最も大切だと実感する。」

これが、衰えを感じながらも「健康」に生きていくためのヒントだし、もしかすると若くて「健康そのもの」の人にすら、当てはまるのではないかと考えたりもする。人の心身の健康状態には波があり、どんなに若くて健康でも不調なときはある。そんなときをなんとか乗り越えるためのヒントになりうるのではないか。

この本に出会えたことに感謝したい。

取り急ぎの読書直後の感想文だが、もう少し考えてこの文章を膨らませてみたい。

2022年5月8日日曜日

もっとジャズを(つまりもっと民主主義を)

『海そして変容―パリの手記1』(河出文庫 147A)が売れた。お買い上げはALL REVIEWS友の会のあの方らしい。ありがたいことだ。考えているのは自分の手持ち本を売り物にして、『全一巻』を買うか。

『エクスプロレイションズ+2』(ビル・エヴァンス・トリオ   MAR 27 1961 )を聴く。

https://music.amazon.co.jp/albums/B00BJVPSHY

トリオ3人の対等な関係。これぞ民主主義の音楽!

スコット・ラファロから飛び火して、クリフォード・ブラウン熱、再燃。手持ちのLPとCDのリストを作っておきたい。火曜日以降のシゴトにしよう。


たまたまTwitterで目にした「立命館大学図書館/加藤周一文庫デジタルアーカイブ」。ここには行ってみたい。

https://trc-adeac.trc.co.jp/WJ11C0/WJJS02U/2671055100

とりあえず、ささやかに支援。

https://outreach.bluebacks.jp/project/home/23

午後はPASSAGE by ALL REVIEWSで店舗運営のお手伝いなので、往復の電車内で樋口直美さんの『「できる」と「できない」の間の人』(晶文社)を読むことにする。

PASSAGE by ALL REVIEWSには棚主としての入荷という名目もある。いつもは省略しているが入荷予告Tweetをしてみた。書影もセールストークもつけた。

書影だけでなく、本の状態の写真も付けて商品登録。棚主入荷の予約もPASSAGEシステムのWebページで行う。棚主の基本動作をしっかりやってみた。これは今後行うであろう「棚主様対応」作業の参考のため。

2022年5月7日土曜日

ジョイスの『ユリシーズ』と、スコット・ラファロのベース演奏の勉強をはじめた

 今朝(5月7日)書いておいた、5月6日の日記(その2)

日本ジェイムズ・ジョイス協会の「22Ulyssesージェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』への招待」にはじめて参加。これは、下記のページによると「出版100周年のタイミングに機運を得た有志の研究者たちが集い、この難解な『ユリシーズ』の謎と魅力を一般読者に向けて解説する試み」である。今回は「第6挿話 ハーデス」に関するお話が聞けた。
https://www.joyce-society-japan.com/22ulysses/

資料は二ついただいた。もちろん公開不可。

お話を聞きながら、気づいたこと。

  • 集英社版のユリシーズは注釈が多そうなので読んでみたい。
  • ジョイスはイプセンのファンでもあった。
  • スキャンダルをおそれず利用。作品でも。作品の宣伝でも。
  • オスカー・ワイルドや、C.S.パーネルも関連。
  • 機械の見方をひろげるというコメント。(永島先生)
  • 『神曲』も関連
  • ジョイスは女性蔑視者を皮肉っている。

以上

***


「樋口直美さんの『「できる」と「できない」の間の人』(晶文社)を購入しました。これから読みます。前2作とどう違うかも楽しみです。」

とツイートしてみた。

それから、読みはじめた。コロナ禍のなかでは樋口さんも大変らしい。詳しくは全部読んでから報告したい。

***

スコット・ラファロの「幻のアルバム」を聴く。

https://music.amazon.co.jp/albums/B004QSZRXC?marketplaceId=A1VC38T7YXB528&musicTerritory=JP&ref=dm_sh_TowfMPOVyEHXCjna5PYFyIeVw

これは「解説」のページ、『The Legendary』Recorded 1957.12

http://toppe2.web.fc2.com/Scott_LaFaro/The_Legendary_F.html

「彼は1961年7月6日、ニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演後、ニューヨークに帰る途中、自らが運転する車が大木に激突し亡くなりました。 25歳という若さで…あの有名なヴィレッジ・ヴァンガード・ライブの 11日後の出来事でした。」とこのページにある。

これでは、似たような死をとげた天才Tp奏者クリフォード・ブラウンを思い出さざるを得ない。

スコット・ラファロのベースの演奏自体はビル・エバンスとの「ヴィレッジ・ヴァンガード・ライブ」のアルバムの方が好きだ。(『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』。)

2022年5月6日金曜日

PASSAGE by ALL REVIEWSでの自分の書棚経営は一度初心に帰りたい、ブログの書き方も……

 3月はじめに開店してから2ヶ月たった。本の展示方法や感想文の添付などいろいろと試行錯誤してきて、それなりの成果もあった。

でもここで、もう一回初心に帰る。

自分の好きな本、読んで感動した本を、他の読書好きに知らせるためにこの書棚を使いたい。他の方の書棚もそのつもりで見ることにする。本を売って儲けるとか、自宅の書棚スペースを空けるためとか、将来に備えて蔵書を整理したいというのは、PASSAGE by ALL REVIEWS では二の次にしよう。そうすれば、純粋に楽しく書棚に置く本を選べる。

〈ALL REVIEWS友の会〉 と 〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉 との連携もうまく考えられるようになるだろう。

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このブログを書く時間帯を改めたい。基本は朝10時から12時まで。夜まで発酵させておき、22時には、不都合なところを削り、テニヲハだけを直して、公開する。書き足すことはなるべくやらない。

トーマス・マンの習慣とその精神にできるだけ合わせる。神聖な時間(10時から12時)には、雑音をいれないで、集中する。基本的に前日の「日記」を翌朝の2時間で書くことになる。これも初心に帰るということ。

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午後は『ユリシーズ』の読書会のどろなわ予習をするつもり。オリジナルの本のコピーをInternet Archiveで3種見つけた。3番目のが、正誤表もついていて、他よりスキャンも綺麗にされている。これは参考に眺めることにする。エゴイスト・プレスで増刷したときのものか。



2022年5月5日木曜日

長谷川郁夫『編集者 漱石』(新潮社)を片手に、自分の架空図書館内で遊ぶ

長谷川郁夫『編集者 漱石』(新潮社)を再び、読み始める。図書館からの借り出しの延長を繰り返していたもの。


読んでいると、ふたたび『子規全集』を読みたくなった。たとえば「陣中日記」。全集を買おうかと思ったが、我が図書館にはある。近所の図書館にも国会図書館にも。5月19日以降は居ながらにして、国会図書館のものを読めるので、それまで待つことにした。

でも『堀辰雄全集』(筑摩書房)はやはり手元に欲しいなあ。『子規全集』も5000円で先日神保町大雲堂さんで見つけたのを思い出した。

ともかく、荒正人『漱石研究年表 漱石文学全集別巻』(集英社)を参照しながら読む。その113ページによると、明治29年熊本に行った漱石は、Edmund Burkeの『Reflections on the revolution in France』を五高で週8時間教えることになった。課外にはシェイクスピアも講義する。Edmund BurkeをInternet Archiveで少しだけ読んでみた。架空図書館で遊ぶのは楽しい。

子規はそのころ可愛がっていた高浜虚子と仲違いし、病も重くなりあまり動けなくなる。高梨光司『読書の興味』のなかの「正岡子規と群書類從 / (93) (0062.jp2) 」これを読むと子規が気の毒で仕方がなくなる。16円が工面できなくて、高浜虚子が買ったと自慢しに来た『群書類従』を手に入れるのを断念した。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1905096/62

しかし、正岡子規は年少の高浜虚子に、せっかく買った『群書類従』を読んで勉強せよとさとす。やはり可愛い後輩なのだ。

〈参考〉高浜虚子『正岡子規』
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1069383

『群書類従』はいまや国会図書館デジタルコレクションで自由に読める。(T_T)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1879424 

2022年5月4日水曜日

城山三郎『そうか、もう君はもういないのか』を読んで夫婦とは何かを考える

今日Twitterで見かけた記事。 

たしかに凄そう。→「Green’s Dictionary of Slang」

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昨日図書館で借りてきた、城山三郎『そうか、もう君はもういないのか』(新潮文庫)と、『よみがえる力は、どこに』(新潮文庫)を読む。少し前に読んだ『どうせ、あちらへは手ぶらで行く』(新潮文庫)の「続編」と言える。最愛の妻容子さんが亡くなった後に、創作意欲をなくした著者が、これならばなんとか書けると、メモを残しそれを死後に編集したもの。驚くほどの夫婦愛だが、その愛情故に容子さんは、ほぼ毎日自宅で仕事をする夫の世話に疲れたのかも知れない。城山三郎は最後は容子さんに気を使って、自宅とは別に仕事場に「通勤」して執筆をしていたが、それにも手作りの弁当を持たせる。夫には笑顔ばかり見せていた容子さんは、実は癌に蝕まれており、それが発見されたときは、手のつけようがなかった。城山三郎の不明は責められても仕方ないが、われわれも似たような事態を絶対に招かないとはけして言えない。

***

必要あって、「労働条件通知書」の官製雛形をカスタマイズするシゴトをした。内容を調べたり考えるのはまだいいのだが、

(1)Wordのファイル

(2)しかも何度も継ぎ接ぎで修正された古臭い雛形ファイル

を取り扱うのは、相変わらず苦手だ。今回はMacbookにMicrosoft 365の試供版を使ったが、これからもこのようなシゴトがあるとすれば、月額650円を払ってサブスクリプションを手に入れるべきかを悩む。

2022年5月3日火曜日

自分の仮想図書館の構成を考えて楽しむ


 国会図書館デジタルコレクションで5月19日以降読めそうな本を物色した。今は「図書館送信資料」となっているもの。子ども時代、青年時代に愛読したものが中心。私の年代の人なら、似たような事情で懐かしく思う人が多いだろう。

  • 世界文学全集(新潮社)
  • トニオ・クレーゲル
  • 現代日本文学全集(筑摩書房)
  • 国民百科事典(平凡社)(これは全7巻なのだが、挿絵を中心にほぼ全ページ眺めた記憶がある。)
  • 少年少女世界の名作文学(愉快なタルタラン、少年少女世界名作文学全集 ; 48 など)
  • スイングジャーナル(これを調べるとT先生からの「宿題」に回答できそうだ😅)
  • 世界の船、世界の翼、世界の自動車(朝日新聞社)
  • 植草甚一(の特に雑誌掲載記事)
  • モンテーニュ
  • アシモフ
  • 神谷美恵子
  • 文庫クセジュ
  • 幸田露伴
  • 斎藤茂吉
  • 佐藤春夫
  • 内田百閒
  • 堀辰雄
  • ……

***

以前もブログに書いたが、あらためて、私の仮想図書館の構成。

()内は書籍数(信憑性はあまりない、私の推測が主なので。)

  1. 自分の部屋の書棚 (1,000)
  2. 他の部屋の書棚 (2,000)
  3. 近所の市立図書館 (300,000)
  4. 世田谷区立図書館・日比谷区立図書館 (1,000,000?)
  5. 国会図書館(リアル) (3,000,000)
  6. 近所の書店 (50,000?)
  7. 神保町などの書店と古書店 (1,500,000 7,000,000?) (PASSAGEも含む)
  8. ジャパンナレッジ Personal  (1,500?)
  9. 国会図書館デジタルコレクション (1,500,000 ただし リアルとだぶる。)
  10. Internet Archive (35,000,000)
  11. ……

これは豪華! 4千万冊!? 地上の読書天国だ!と喜ぶが、いかに利用するかをうまく考えないといけない。

2022年5月2日月曜日

池澤夏樹『海図と航海日誌』の中の「図書館」の考え方は私のそれと同じようだ

PASSAGE by ALL REVIEWSのわたしの書棚の本はなかなか売れてくれない。そんなとき、Twitterでの投稿で各所の「古本市」での良い成果報告を読むと、羨ましくなる。

古本市で本がよく売れるのは、「一期一会」感が強いからだろう。客も「買おう」と思ってやってくる。PASSAGE by ALL REVIEWSでも、次回買おうと思った本はその次回にはほとんど売れている経験を何度もしている。気に入ったらその場で買うべきだ。この本は私以外絶対だれも買わないだろうという思い込みは危険。

「一期一会」と紙に書いて書棚に貼っておくといいだろう。

一方、「売れれば良い」だけの考え方だけでは、大きな過ちをおかす。

たとえば、

池澤夏樹『海図と航海日誌』(スイッチ・パブリッシング)の231ページ。


「やはり本は読むものである。一つの作品に対して著者が著者であるのは執筆の間だけであるのに似て、書物が書物であるのは、読まれている時だけだ。それ以外は本棚にただ所蔵されているものにすぎない。それならば、自分の本棚と世間一般の本棚の区別をせず、古書店や図書館や知人の棚まで含めて、本を巡る環境の全体を一つの図書館だと思えばいい。有益なものであるのだから、これを利用するのに少しばかりお金がかかるのはしかたがない。新刊でも古書でも買う時にはそれなりの金額を払う。しかしそれは書物というものの形而下的な側面に対して払うのであって、知そのものは金銭とは別の次元で流通する。こんな風に考えると、少なくとも所有欲に促されて書痴・書狼・書豚になるおそれはないし、第一自分の書棚が風通しがよくなる。それでもどうしても残ってしまう本、手放したらなかなか再入手が困難で、しかも自分がまだ何度か読みそうな本、それらだけを残すとすると、蔵書というもの、ずいぶん少なくて済むのだ。」


この一節に完全同意。寝るまえになにか読むものをと探し当てた本だが、こんなに自分の意見をピタリと言い当てた文章が含まれているとは。奇跡的シンクロニシティ。


この考え方は、PASSAGE by ALL REVIEWSの理念に通じるし、国会図書館で個人に対して書籍データの送信サービスを行うことの価値をも言い当てている。 

古本の状態記述の勉強開始

 国会図書館のプレスリリース:「個人向けデジタル化資料送信サービス」の開始について(令和4年5月19日予定) 」が、かなり大きな反響を呼んでいるようだ。私は昨日もこのブログに書いたように、良いことと思っている、開始されたらいくつか読みたい本もある。著作権の問題は(私はまだ勉強不足で理解していないが)クリアしているらしい。

絶版本を高く売りたい方は反対するかも知れない。でも、多くの読書人に今まで届かなかった本が数多く読めるようになることは、全体として読書への関心を高めることになり、物理的な本も流通が促進されるのではないかと期待している。ここでも、デジタル化された本と、紙の本とは競合するのではなく、お互いに補完し合うと考えるほうが健全だと思う。

***

PASSAGE by ALL REVIEWSの一棚店主として、二ヶ月過ぎた。本を自分の書棚と古本屋さんから調達し、書棚に並べるとことまでを、やっと出来るようになった。まだ不安なのは、本の状態を皆にわかりやすく但し書きとして書くことである。ここまでは見様見真似でなんとかやってきた。しかし、オンラインで販売が出来るようになると、本の状態記述は、一層大切になってくる。遠隔地から購入されるお客様は、本を手にとって見ることができないからだ。勉強しなくては……ということで、まずは用語から勉強を始める。


以下のサイトがまず目についた。ここを手始めに勉強を開始する。

「日本の古本屋」さんのページ「古本用語集 古本」

https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=986

(『古本屋になろう! 』単行本 – 2014/8/25 澄田 喜広  (著)が引用されているとのこと)

同上、「古本用語集 洋書」

https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=997


メルク堂古書店さんのページ、「古本用語集 (Book Terminology)」

https://melkdo.jp/reference




(続きは、勉強しながら、100冊か200冊くらいの本の状態を書いて、人に添削してもらってから。)